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  • 発表日:2007/11/19
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印刷2008/01/04 13:05

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AMDは再び立ち上がれるのか? 北米&台湾取材から占う2008年

 Quad-Core Opteron(開発コードネーム「Balcerona」)とPhenom(同「Agena」)のエラッタ問題で幕を閉じたAMDの2007年。「2008年第1四半期中には“改良版”の量産出荷が始まる」とされているが,エラッタの影響は同社のロードマップに大きな影を落としている。
 果たして,2008年のAMDはクアッドコアCPUを軌道に乗せられるのか。今回は,北米および台湾にあるPC関連企業各社の協力を得,AMDのクアッドコアCPU問題への対応と,今後の展望についてお伝えしたい。

※編注:Phenomに何が起こっているのかは,2007年末に掲載した解説記事前編中編後編を参照してほしい。



大揺れのCPUロードマップ

改良版Phenomの登場は4月以降に?


 AMDが“クアッドコアCPUの問題”を公表したのは,2007年11月末のことだ。それを受けて米ニューヨーク市で開催された投資家向け説明会「2007 Financial Analyst Day」(以下,アナリストデイ)では,AMD社長兼COO(最高執行責任者)のDirk Meyer(ダーク・マイヤー)氏が冒頭でQuad-Core OpteronとPhenomの欠陥について詫び,同社経営陣は善後策の説明に追われることになった。

Phenom
 さてMeyer氏はアナリストデイで「AMDの検証チームが昨年11月になってQuad-Core OpteronならびにPhenomにシリコンレベルの欠陥を見つけ,設計・製造レベルの改善を図っているため,次の量産出荷は2008年第1四半期にずれ込む」という見通しを示した。現行のPhenomファミリーは,2007年第3四半期に市場投入されたQuad-Core OpteronのA2ステップからB2ステップへと改良が加えられているが,それでも「TLB」(Translation Lookside Buffer:索引変換バッファ)と呼ばれる機能に問題があることが分かっている(関連記事)。

 TLBは,アプリケーションソフトが利用するデータを特定するうえで一時的に用いる仮想メモリアドレス(※「メモリ上におけるデータの在処」を示す住所に当たるもの)から,実際のメインメモリ上のアドレスデータである「物理アドレス」へ変換する際に,キャッシュとして働き,動作の高速化を図る機能。要するに,このTLBにハードウェア上の問題があるため,シリコンレベルの改善を施す必要があるというわけだ。
 しかしAMDのOEM関係者は「BarcelonaコアのQuad-Core Opteronを出荷開始した頃から,AMDはこの問題に気付いていた。Phenomの発表時期が11月にずれ込んだのも,その対応に追われていたからだ」と指摘する。実際,アナリストデイでも,Phenomの投入が遅れた原因の一つに,今回のハードウェア上の問題があるとAMDの経営陣は認めていた。

 2008年1月4日現在,主要なOEMメーカー(≒PCメーカー)やマザーボードベンダー各社は,改良版Quad-Core Opteronの量産出荷開始が3月,改良版PhenomとPhenom FXが同第2四半期(=4〜6月)になると説明を受けているようだ。
 また,AMDに近いOEM関係者は「現在のところ,AMDはB3ステップで検証を進めているが,最終的な問題の解決はB4ステップ,もしくはC1ステップになりそうだ」と述べる。確かに,現行シリコンの改良版にあたるB3ステップで問題が解決するなら2月中の量産出荷も期待ができるだろう。しかし,さらに改良を加えたB4ステップや,設計レベルでも大きく手が入るC1ステップへの移行が不可欠となれば,そのタイミングが3月以降になったとしても不思議ではない。

Phenom


2008年序盤はBlack Editionと

低消費電力版のPhenomでしのぐ


 クアッドコアの欠陥は,Phenomの収益性にも大きな影響を与えることになった。秋葉原のショップでは2万円を割る価格でPhenomが販売されている例もあるが,「AMDは,採算ギリギリの価格体系にしてでも,マーケットシェアの維持を図らなければならない危機的状況」と分析するOEM関係者は少なくない。

Phenom 9600 Black Edition
Phenom
 ただ,より多くの出荷量が見込める改良版Phenomの量産出荷が4月以降になるとすれば,AMDとしても何らかの手を打つ必要がある。
 この窮地を乗り切るために用意されている策は二つある。一つは,すでに販売が始まっている倍率ロックフリー版,つまり動作クロック倍率固定を解除した「Black Edition」だ。これは読者もよくご存じのことだろう。
 既報のとおり,AMDはマザーボードベンダーに対して「現行の(B2ステップの)Phenomシリーズと組み合わせるに当たっては,BIOSレベルでTLBを無効化することでエラッタに対処する」よう求めているが,BIOSアップデートによって,10%前後のパフォーマンス低下が生じることも知られている。そのデメリットを踏まえつつ,ユーザーにPhenomを買ってもらうとなれば,それなりの“付加価値”を提供する必要があるということのようだ。

 あるマザーボードベンダー関係者は「Black Editionは不良品をDIY市場に押しつけるために作った現品処分品」と切り捨てる。ただその一方で「これまで10万円以上もした,倍率ロックフリーのCPUが,Black Editionという形で比較的安価で手に入るようになるため,自作派のPCユーザーや自作PC市場にとってはメリットがある」と一定の評価をする関係者もいる。動作倍率を引き上げる格好でのオーバークロックで,プロセッサのポテンシャルを引き出せれば,TLB無効化によるパフォーマンスの低下を補って余りある,というわけ。Black Edition投入が“怪我の功名”となって,AMD製CPUの市場シェア拡大につながると見る業界関係者が多いのは確かだ。

 そしてもう一つ用意されているのが,低消費電力版Phenomである。
 TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)65Wレンジに,動作クロック1.8GHzの「Phenom 9100e」を投入することで,消費電力当たりのパフォーマンスでIntelに対する優位性を保ちたい考えだ。とはいえ,このPhenom 9100eも新コア投入までのショートリリーフという役割が強い。OEM関係者いわく,「Phenomの改良版の供給が安定する第3四半期には,動作クロックや仕様はそのまま,上位モデル扱いとなるPhenom 9150eへ移行する」とのことだ。
 一方,先行きが不透明なのがトリプルコア版。AMDは現在,現行のコアで3コアを有効にした「Phenom 8400/2.1GHz」と「Phenom 8600/2.3GHz」を第1四半期中に市場投入する計画を持っている。しかし,クアッドコア版Phenomの価格が底値状態にある現状で,さらに廉価なCPUとして市場投入することに,大手PCメーカーが難色を示しているとも伝えられる。このため,トリプルコアPhenomに関しては,現行コアでの市場投入は見送られ,新コアのクアッドコアPhenomよりやや遅れての,第2四半期半ば以降の登場になる可能性も出てきているようだ。なお,最新のPhenomロードマップは下に示したとおりとなっている。

※表中,Socket AM2対応のAM2+パッケージは,便宜的に「Socket AM2+」と表記している
Phenom


大幅に後退したAMDのロードマップ

モバイル,サーバーとも“堅実路線”に


新しいプロセッサカテゴリとして披露されたAPUだが,これまでFusionと呼ばれていた製品であることは明白だ
Phenom
 Phenom以外のロードマップについても整理しておこう。
 GPUとCPUを統合するFusionは,新たに「APU」(Accelerated Processing Unit)として,グラフィックスコアにとどまらず,さまざまなアクセラレータコアをCPUに統合していく方向に軌道修正され,その第一弾として開発コードネーム「Swift」(スイフト)を2009年後半に市場投入する予定となった。

 Swiftは,Phenomと同じアーキテクチャの,いわゆるSTARS CPUコアと,ATI Radeon HD 3800シリーズの流れを汲むグラフィックスコア(+UVD機能),そしてAMDが2008年半ばに市場投入予定のモバイルPC向けCPU「Griffin」(グリフィン,開発コードネーム)ベースのノースブリッジなどを,第2世代の45nmプロセス技術で統合するCPUだ。AMDは「成熟したコア技術を採用することで,統合におけるリスクを回避できる」としているが,2007年7月の「Technology Analyst Day」で発表された,「新しいアーキテクチャを採用する『Bulldozer』(ブルドーザー,開発コードネーム)コアを採用してGPU統合を果たすCPU『Falcon』(ファルコン,同)を2009年に市場投入する」という計画からは大幅に後退したことになる。

2007年7月に開催された「Tech Analyst Day 2007」におけるFusion計画の概要。ここではBulldozerコアをベースとするFalconが登場することになっていた
Phenom Phenom

しかしアナリストデイでは,第1世代のFusionが,現行技術を統合したSwiftになるとされた。Fusion計画の大幅な後退である
Phenom

サーバー向けCPUとしては,2009年にMontrealコアが投入される予定だ
Phenom
 4Gamer的にはやや主題から外れるが,この傾向はサーバー向けCPUロードマップにも当てはまる。最新のロードマップではBulldozerコアを8個統合した「Sandtiger」(サンドタイガー,開発コードネーム)が「Montreal」(モントリオール,同)に置き換えられている。OEM関係者によれば,Montrealコアは“Barcelonaコアの45nmプロセス版”という位置づけの「Shanghai」(シャンハイ,同)コア2個を一つのCPUパッケージに収めたオクタコア(8コア)CPUとなるといわれている。
 Montrealでは,Phenomで有効にされているHyperTransport 3.0や,(すでにそれ自体は実装済みの)DDR3メモリインタフェースが有効化されるとともに,キャッシュ容量も増やされ,「Socket G3」と呼ばれる新しいCPUソケットへ移行する。なおSocket G3自体は,2010年へと後退したSandtigerとも組み合わされる,共通プラットフォームになる。

これらはTech Analyst Day 2007の資料。2007年7月の時点では,まったく新しいアーキテクチャであるBulldozerコアを8個搭載したSandtigerの投入計画が明らかにされたが,わずか半年でその計画は変更を余儀なくされている。現時点のロードマップだと,Sandtigerの投入は2010年以降
Phenom Phenom


揺れるGPUロードマップ

マルチGPUソリューションへ舵を切るAMD


 4Gamer読者が最も気になるだろう,GPUロードマップについても,明らかな後退が見られる。AMDは当初,2008年に「R7xx」世代の次世代GPUを投入する計画を示していたが,アナリストデイで公開されたロードマップだと,R7xxの名は2009年のエンスージアスト向けプラットフォームに見られるだけで,まるで2008年内の投入がなくなったかのように映った。
 しかし,AMD関係者によれば,2008年半ばにもフラグシップ製品を開発コードネーム「R780」に置き換える計画に変わりはないという。ただし,現在開発中のR780が,そのままR7xx系の開発コード名を使うかどうかは分からないようだ。

 R780は「RV770」(開発コードネーム)を2基搭載する,つまり「ATI Radeon HD 3870 X2」と同じアプローチが採用されることになるが,「アーキテクチャ的にはR6xx世代から大幅な変化はないと説明を受けている」とグラフィックスカードベンダー関係者は述べる。アナリストデイの説明が正しければ,現在RV770として開発されている製品に,現行のR6xx系開発コード名が割り当て直される可能性もある。
 ちなみにAMDでグラフィックスビジネスを統括するRick Bergman(リック・バーグマン)上級副社長は,アナリストデイで「トップ・トゥ・ボトムでマルチGPUソリューションを展開する」と説明しており,その中には,ATI Radeon HD 3870 X2のようなマルチGPUカードも含まれることを示唆している。現在のAMDのグラフィックス戦略が,チップの種類を増やすのではなく,デュアルGPU製品などを拡充することでNVIDIAとのパフォーマンス競争に臨む意向であることだけは確かなようだ。

 だがこの方針には,グラフィックスカードベンダー関係者から疑問の声が上がっている。デュアルGPU環境ではオンボードでCrossFireを有効にする必要があり,「ドライバのデキ」がパフォーマンスと信頼性を左右することになるからだ。
 ある関係者は「ATI Radeonの新ラインナップがマルチGPU環境へ柔軟に対応できるスケーラビリティを持つのは理解できるが,GeForce 8600対抗のラインナップまでマルチGPU化する意味があるのか?」と疑問を投げかける。また,最大4枚のグラフィックスカードでマルチグラフィックスシステムを構築するCrossFire Xについては,「デュアルGPUカード×2を実現することが最大の目的」(同関係者)と説明する。

AMDは2008年1月に,55nmプロセスによるミドルクラスGPUであるRV635と,ローエンドGPUのRV620を投入。いずれも第2世代のUVDをサポートするなどの強化が図られる
Phenom
 一方直近では,2008年初頭にATI Radeon HD 2600/2400の後継となる「RV635」「RV620」(開発コードネーム)が市場投入される予定だ。Bergman氏によれば,RV635とRV620では第2世代のUVD(Universal Video Decord)機能を搭載し,エントリーモデルでもH.264コンテンツのフルデコードが可能になるなど,パフォーマンスアップが図られる。また,55nmプロセスへの微細化に加え,ATI Radeon HD 3800シリーズで搭載された省電力機能「ATI PowerPlay」が有効化され,消費電力面でも大幅な向上が図られることになる見込みだ。

 RV635とRV620は,それぞれATI Radeon HD 2600と同2400のシュリンク版という位置づけで,シェーダユニット数も増えないといわれているだけに,大幅なパフォーマンスアップは望めない。G9xファミリーでさらなるパフォーマンスアップを図るNVIDIAに対抗する一手段が今回のデュアルGPUソリューションであることは理解できるが,その実効性を疑問とするグラフィックスカードベンダーは少なくないのが現状だ。

グラフィックス機能統合型チップセットと単体GPUでCrossFireを実現する,Hybrid Cross Fire技術も披露された
Phenom
 ところでBergmans氏は,アナリストデイにおいて,AMDのグラフィックス機能統合型チップセットと単体GPUの組み合わせでマルチGPU環境を実現する「Hybrid CrossFire」を,「RS780」(開発コードネーム)チップセットで実装すると明らかにした。
 Hybrid CrossFireは,NVIDIAが次期グラフィックス機能統合型チップセットでサポートすると明言している「Hybrid SLI」と同様の機能で,例えばWindows操作時などはチップセット側のグラフィックス機能のみ,ゲームプレイ時はグラフィックスカードとチップセット側のグラフィックス機能の両方を使うといったように,描画負荷に応じた使い分けができるようになる。AMDはすでに,バッテリ駆動時とAC駆動時でチップセット側のグラフィックス機能と単体GPUを切り替え,省電力性能の向上を図る技術「Power Xpress」をアナウンスしているが,RS780ではHybrid CrossFireとPower Xpressの両方がサポートされることになる。


AMDの命運を握る2008年

巻き返しのスピードに注目


 大幅にロードマップを後退させたAMDが,IntelやNVIDIAに対抗していけるかを不安視する関係者は多い。現行のAMD製品が「消費電力当たりのパフォーマンス」や「同一価格帯における性能」でいくら優れていても,やはり絶対的な性能で何かしらの優位性を発揮できなければ,両社に対抗していくのは難しいといわざるを得ないからだ。

 CPUに関しては,「2008年第1四半期にQuad-Core OpteronならびにPhenomファミリーの量産が再開されれば,動作クロックを大幅に引き上げて対応する」という計画に変更はない。また,2008年後半には製造プロセスを45nmに移行させることで,さらなる性能向上と省電力化が図られる予定だ。一方,GPUに関しても,2008年第2四半期中に(現在のところ)R780として開発されているデュアルGPU製品を市場投入し,そのベースとなるRV770とその派生モデルによって,ミドルクラス製品を強化する計画も捨て切ってはいないようだ。
 その意味では2008年,“クアッドコア問題”とATI Technologiesとの合併処理などで窮地に立たされたAMDが,いかに巻き返しを図っていくのか注目の1年となる。
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