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立体視映像は高密度化,新型入力デバイスも「3D&バーチャルリアリティ展」レポート
世間では昨年各社が力を入れていた,いわゆる「3Dテレビ」がいま一つ盛り上がり切らず,コンテンツ不足感が否めない昨今だが,「立体視は当たり前」で長年やってきた当展示会では,より大画面で,よりインタラクティブなものが目立っていた。
VRは4Kディスプレイ時代に向けた動き
4Kの大画面ディスプレイで最大のものは,壁一面をリアプロジェクタにしたような200インチの「DLP 4K Wall」のデモ。投影サイズは対角線で約5mに及ぶが,大きさよりも壁一面が丸ごとディスプレイになっていることのインパクトが強い。プロジェクタは,クリスティ・デジタル・システムズによるDLP方式の「D4K35」。3素子のDLPを使い,時分割でないカラー表示を行っている。プロジェクタ本体は壁の向こう約5m後方に設置されているとのこと。
プロジェクタ3台による立体視映像デモ
3面プロジェクタ映像は,左右については視野角いっぱいに広がる感じで臨場感がすばらしい。プロジェクタなら,液晶ディスプレイのマルチ画面ではどうしても気になる継ぎ目をほぼなくせるので,マルチ画面の立体視向きとはいえるかもしれない。
没入感という意味では,画面サイズはかなり重要で,視野角いっぱいに広がる画面は,ある意味理想的な映像環境といえるだろう。まあ,ゲームでは画面の端まで見渡せないと困ることも多いのだが,プレイ中の迫力は段違いだ。同社の3DVisionに対応したプロジェクタは,ゲーム用としてもチェックしておいていいかもしれない。
手持ちのディスプレイを裸眼立体視ディスプレイに?
レンチキュラー方式の立体視ディスプレイは以前からあるのだが,3D専用ディスプレイになってしまうので,2Dコンテンツなどで支障が出るのが難点だった。Pic3Dは後付けフィルタなので,取り外して2Dディスプレイに戻して使うことも自在となっている。
わりと適当に取り付けても大丈夫というのがウリだとのことだが,設置されていた1台は取り付けがちょっと曲がっているようで,太い凸凹の筋が出ているような見え方になっていた。後付けフィルタ式で取り付け精度が悪いとそのように破綻して見えることもあるようだ。それでも,かなり手軽に取り付けられる印象ではあった。
プレイヤーソフトウェアとのセットということで,基本的には立体映像のコンテンツを見るためのものなのだが,カスタムとしてはリアルタイム映像に対応したものも対応可能とのこと。YouTubeの立体視コンテンツにも対応している。
液晶ディスプレイのドットピッチに適合させたフィルタが必要なので,需要に応じて対応するということのようだが,会場には,21インチと23インチフルHDに対応したフィルタが展示されており,この2種類だけでもかなり多くのディスプレイに転用できそうではあった。
Global Waveでは,8月から,
23インチ(1920×1080ドット)
21.5インチ(1920×1080ドット)
15.6インチ(1366×768ドット)
12.1インチ(1280×800ドット)
に対応したフィルタを発売開始するという。23インチ用で1万5000円前後の実売価格になる模様だ(iPad用やiPhone用も発売予定)。
現状では映像コンテンツを見るしか使い道がないのでちょっと割高な感じだが,ゲームに利用できるようなドライバができればちょっと面白い存在になるかもしれない。
→http://www.pic3d.net/
新感覚の3Dモデリングツール「Leonar3Do」
まず,ディスプレイの上部3か所にセンサーを取り付け,コントロールボックスに接続。コントロールボックスには,さらに液晶シャッター方式の3Dメガネと「Bird」と呼ばれる入力デバイスが接続される。
このBirdを使って空間にアクセスするわけだが,雰囲気としては,ケーキのデコレーション用絞り袋を空間的に使ってモデリングするような感じといえばいいだろうか。空間上に表示された物体に,直接モリモリできるようなツールとなっている。
多分にイメージ映像となっているのだが,以下のムービーを見ていただくのが分かりやすいだろう。
また,Birdを入力デバイスとしたゲームのデモなども行われており,立体視時代の入力デバイスの例としても注目しておきたい。
→http://www.leonar3do.com/
パーソナル(?)な3DプリンタuPrint
「パーソナル」とされているが,198万円からと自家用車価格なので,個人所有はできなくもないかもしれないが,まだまだ難しい感じだ。それまでの外車価格から国産車価格になったという感じだろうか。個人的にはあと一桁頑張ってほしいところ。
ABS樹脂を積層していく方式なので,彩色を同時に行えないものの,できあがったモノはかなり丈夫。ABS樹脂はアイボリーの単色のみだが,上位機種のuPrint Plusでは9色の樹脂が使用可能なので,パーツごとに出力すれば基本色のガンダムくらいは再現できそう。こういうのが一家に一台あると楽しいだろうなあ。
→http://www.marubeni-sys.com/de/uprint/
高密度レンチキュラー式立体印刷
展示されていたのは中国製レンチキュラーレンズシートを使って,同社が高精度印刷を施したもの。印刷精度が400dpiでレンチキュラーレンズが100lpi(Lines per Inch)ということで,中国の技術も国産のスーパーレンチキュラーに迫るところまできているのが驚きだった。
高密度レンチキュラー印刷は見た目に高精細で,それなりの品位の高立体画像を実現可能だ。なんでも,中国版VOGUE誌の外装を立体印刷で行った実績もあるとのことで,コスト,クオリティともに実用(?)段階になっているようだ。使用例としてゲームパッケージに使用したイメージサンプルがあったのだが,これなどはかなりイケる気がする。とくに3DS版とか。
同時に展示されていた「ECO Hi-Vision 3D」印刷は,インクジェットを使ったもので,レンチキュラーとは別の方式による大画面立体視印刷技術のようだ。見た目は高密度レンチキュラーよりやや粗いものの,大きさという点では圧倒的だ。
→http://www.ciz.co.jp/
「3D&バーチャルリアリティ展」公式サイト
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