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GeForce 8600
  • NVIDIA
  • 発表日:2007/04/17
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PCI版GeForce 8600 GT&8500 GTテストレポート。これらはいったい何のためのグラフィックスカードなのか
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印刷2008/07/29 10:43

テストレポート

PCI版GeForce 8600 GT&8500 GTテストレポート。これらはいったい何のためのグラフィックスカードなのか

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PCI8600GT-256X(PCI8600GTL)
メーカー:Albatron Technology
問い合わせ先:アスク(販売代理店) info@ask-corp.co.jp
実勢価格:2万円前後(2008年7月29日現在)
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同時に入手したPCI8500GT-256Xのサンプル。製品版と異なり,GPUクーラーにシールが貼られていないが,基本仕様は製品版と同じとされている。製品版の2008年7月29日現在における実勢価格は1万8000円前後
 Albatron Technology(以下,Albatron)から,PCI版の「GeForce 8600 GT」および「GeForce 8500 GT」搭載グラフィックスカードが登場した。順に「PCI8600GT-256X」「PCI8500GT-256X」と名づけられた両製品は,日本国内でも「PCI8600GTL」「PCI8500GTL」という名で流通が始まっている。これにより,PCI Expressインタフェースはおろか,AGPすら持たないPCにも,DirectX 10世代のプログラマブルシェーダ4.0(Shader Model 4.0)仕様に対応したGPUがもたらされるわけだ。

 PCIバスの帯域幅は一般的な32bit/33MHz仕様で133MB/s。グラフィックスインタフェースとして2008年7月時点で最もポピュラーなPCI Express 1.1 x16だと片方向4GB/s,双方向8GB/s(※最新仕様のPCI Express 2.0 x16だと片方向8GB/s,双方向16GB/s)なので,誤解を恐れずに単純計算すれば約60分の1だ。本来,PCI Express接続の想定されているGPUを無理矢理PCI接続すれば,パフォーマンスが低下するのは目に見えているが,その下がり具合はいかほどだろうか。
 今回は,販売代理店であるアスクから,PCI8600GT-256Xの製品版とPCI8500GT-256Xのサンプルを借用できたので,新製品がどういった意味を持つのかを,少し考えてみたいと思う。

カード背面,PCIインタフェースのすぐ近くに見えるのがPCI Express x1−PCIブリッジチップ。Pericom Semiconductor製の「PI7C9X110」(9X110BNBE)だ
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DVI-IとHDMI両対応の2製品

GDDR3搭載もメモリクロックは低め


外部インタフェースは3種類
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 カードデザイン自体はPCI8600GT-256X(PCI8600GTL)とPCI8500GT-256X(PCI8500GTL)で同じため,今回は製品サンプルである前者を中心に見ていきたいが,最大の特徴は,Low Profileにも対応しながら,充実のインタフェースを装備する点にある。
 外部出力インタフェースはDVI-IとHDMI,高解像度アナログビデオ出力の3種類。カード上に2ピンのデジタルサウンド入力端子を搭載するほか,外部機器からデジタルサウンド入力を行うための同軸RCA端子も用意されており,HDMIインタフェースを用いた,いわゆるSPDIFスルー出力も可能だ。

左はPCI8600GT-256Xの付属品一覧。Low Profile仕様のPCに取り付けたときも,高解像度アナログビデオ出力および外部デジタルサウンド入力端子を利用できるよう配慮されている。右は2ピンのデジタルサウンド入力端子
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 両製品の主なスペックは表1にまとめたとおりとなる。

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テストした両製品は共通して1.4ns品のGDDR3チップを搭載していた
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 目立つのはPCI8600GT-256Xのメモリクロックがずいぶんと低い点だが,クーラーを取り外してみると,2製品はいずれもSamsung Electronics製のGDDR3チップ「K4J52324QE-BC14」(1.4ns品)を搭載。つまり,オーバークロック設定を行えば,GeForce 8600 GTのリファレンスクロックと同じ1.4GHz相当(実クロック700MHz)での動作が可能な計算になる。
 しかし実際のところ,メモリチップがGPUクーラーのヒートシンクと接触していないこともあってか,NVIDIA System Toolからオーバークロックを試みても,実クロック700MHz(1.4GHz相当)ではNVIDIA System Tool自体の基本テストをパスできなかった。

2スロット仕様となるGPUクーラーを取り外したところ(左)と,外部インタフェースの反対側からカードとGPUクーラーを見たところ(右)。ヒートシンクはカードから若干“浮いた”格好になっており,グラフィックスメモリチップとは接触していない。メモリチップの冷却を考えるなら,熱伝導シートあたりを用意するのが得策かも
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 テストのセットアップに入ろう。
 今回は表2の環境でテストを行う。PCI ExpressベースのGeForce 8600 GT搭載グラフィックスカード,あるいは現時点で最速のグラフィックス機能統合型チップセットであるAMD 780Gを前に,PCI版グラフィックスカードがどこまで戦えるかを見ようというわけである。

※製品は4枚セットだが,今回はうち2枚を用いた
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 テスト方法は基本的に4Gamerのベンチマークレギュレーション5.2準拠だが,スケジュールの都合,そして後述する理由により,用いるタイトルは「3DMark06 Build 1.1.0」(以下,3DMark06)および「Unreal Tournament 3」,「Company of Heroes」のみとする。また,3DMark06はアプリケーションのデフォルト設定のみ実行することとし,ゲームタイトルについては「標準設定」の800×600/1024×768/1280×1024ドット解像度でテストを行うことにした。

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M3A-H/HDMI
ATX採用の「鉄板」AMD 780Gマザーボード
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) news@unitycorp.co.jp
実勢価格:1万3000円前後(2008年7月29現在)
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GE24GB1066C5QC
1GB×4枚セットのヒートパイプ付きDDR2-1066
メーカー:Golden Emperor International(GeIL)
問い合わせ先:エムヴィケー(販売代理店) info@mvkc.jp
価格:未定

 なお以下,とくに断りのない限り,PCI8600GT-256Xは「PCI8600GT」,PCI8500GT-256Xは「PCI8500GT」,PCI Express x16版GeForce 8600 GTカードは「PCIe 8600GT」,そしてM3A-H/HDMIは「AMD 780G」と表記する。


PCI接続のハンデは致命的

3D性能にはほとんど期待できず


 さて,まずは1280×1024ドット,標準設定で実行した3DMark06の結果から。
 グラフ1は総合スコアになるが,PCI8600GTのそれはPCIe 8600GTのわずか5分の1しか出ていない。Albatronでマーケティングを担当するSam Nada氏は,COMPUTEX TAIPEI 2008の会場で筆者に対し「パフォーマンスはPCI Express版の40〜50%」と述べていたが,「40〜50%」にはほど遠い値だ。
 PCI8600GTでAMD 780G比3分の2というスコアを見るにつけ,3D描画ポテンシャルは1〜2世代前のグラフィックス機能統合型チップセット並みといったところだろうか。

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 グラフ1と同条件でFeature Testを実行し,フィルレート(Fill Rate),ピクセルシェーダ(Pixel Shader),頂点シェーダ(Vertex Shader)のスコアをまとめたのがグラフ2〜4である。
 興味深いのは,GPU側のテクスチャユニットやROPユニットの性能に依存したスコアが出やすいフィルレートや,(カード上の)ローカルグラフィックスメモリ性能に依存した結果が出やすいピクセルシェーダでは,GeForce 8600 GT/8500 GTといったGPU型番に応じたスコアが出ていること。対して,頂点シェーダのスコアは極めて低く,PCI8600GTとPCIe8600GTではSimpleで約50倍,Complexで約11倍という,圧倒的なスコア差を見て取れる。
 頂点シェーダテストでは,CPUからGPUにデータが渡されるが,そのとき使われる経路がPCI Express x16か32bit/33MHz PCIかという違いが,如実に出た結果といえそうだ。まあ,ブリッジチップの性能が低い,PCI Express接続を前提としたドライバソフトウェアが足を引っ張っているという可能性はあるが。

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 ところで,ここまであえて述べてこなかったのだが,GPU情報表示ソフト「GPU-Z」(Version 0.26)でチェックすると,PCI8500GTのストリーミングプロセッサ数は32基と,リファレンス仕様の倍になる値を返していた。そこで念のため,PCI8600GTの動作クロックをPCI8500GTと同じ(※コア450MHz,シェーダ918MHz)に揃えてみたが,そのときの3DMark06総合スコアは1020。PCI8500GTとは異なる,むしろPCI8600GTに近いスコアを示していたので,これは単なるバグか何かではないかと思われる。

「PCI8500GTは32SP搭載のG86コアを搭載する」と表示したGPU-Z。念のためGPUダイ上の刻印を確認すると「G86-303-A2」になっていた
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PCI8600GT搭載時にCompany of Heroesから「自動設定」を選択したスクリーンショット
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 いずれにせよ両製品ともスコアは極めて低く,「Crysis」や「ロスト プラネット エクストリーム コンディション」といった,レギュレーション5.2で採用される“重量級タイトル”をマトモに動作させることはまず不可能。これが,今回テストする実ゲームタイトルを,Unreal Tournament 3とCompany of Heroesに絞った最大の理由である。

 さて,両タイトルのテストに当たっては,ベンチマークレギュレーション5.2準拠のほか,

  • Unreal Tournament 3:「Settings−Video−Advanced」以下の「Texture Detail」「World Detail」をいずれも最低の「1」に指定した状態
  • Company of Heroes:PCI8600GTを差したときにゲーム側が自動で設定した状態(※詳細は別途示したスクリーンショットを参照のこと)

でもテストを行い,それぞれ「低負荷設定」とした。その結果をまとめたのがグラフ5,6だ。低負荷設定の結果は参考値として灰色で示したが,それですら,PCIe8600GTのスコアには遠く及ばない。
 Unreal Tournament 3ではPCI8500GTのスコアがN/Aとなっているが,これはリプレイを開始しようとすると(おそらく負荷が高すぎて)システムの強制リセットがかかってしまったため。PCI8600GTのスコアは取れているが,無事取得できたわけではなく,テスト中,何度もリセットに見舞われた。

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PureVideo HDの効果は大きい

純然たる「ビデオ再生用」と捉えれば価値あり?


 ゲーマー的観点からすると,PCI8600GTとPCI8500GTに価値はない。PCIバス接続というハンデは極めて大きく,3Dパフォーマンスに期待がまったく持てないからだ。「手持ちのデスクトップPCにはPCI ExpressスロットもAGPスロットもない。でも3Dゲームはプレイしたい」というのであれば,素直にPCを買い換えるのが得策である。

主観になるのをお断りしつつ書いておくと,PCI8600GT,PCI8500GTとも,ファンの動作音は静かといえるレベル。「ジジジ……」といった傾向の音を出すが,PCケース内に入った状態ではほとんど気にならないはずだ
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 では,いったいAlbatronは誰のためにこの製品を投入しているのか。それをチェックするため,一つ,4Gamerらしくないテストを行ってみることにした。

 具体的には,「拡張スロットとしてPCIスロットしか持たない製品」の代表として,「Atom 230/1.60GHz」を搭載するIntel製Mini-ITXマザーボード「D945GCLF」を用意し,同製品にPCI8600GTとPCI8500GTを差し,PureVideo HDを利用した高解像度ビデオ再生を試みる。テスト環境は表3のとおりだ。

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 再生ソフトはCyberlink製の「PowerDVD 8 Ultra」,ソフトはごくごく一般的なハリウッド映画ということで,VC-1フォーマットの「フルメタル・ジャケット」(平均ビットレート23.9Mbps,4Gamer調べ)を用意した。
 PowerDVD 8 UltraのDXVA(DirectX Video Acceleration)2.0オプションを有効化(=PureVideo HDを有効化)し,再生時のCPU負荷をWindowsのタスクマネージャからチェックしたものが下の画像である。

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PCI8600GTのテスト結果
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PCI8500GTのテスト結果

PCI8600GTの製品ボックス
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 CPU負荷はPCI8600GTで26〜33%,PCI8500GTで27〜34%程度。H.264フォーマットのビデオを再生するともう少し負荷は高くなるはずだが,それでも,コマ落ちするような状況に陥ることはまずないと推測できるスコアである。Atomマシンでこのスコアなら,PCIスロットしか持たないような数世代前のデスクトップPCなも十分に「HDCP対応のDVI-IとHDMIを持つ高解像度ビデオ再生機」化できると思われ,PCI8600GTとPCI8500GTは,そういったニーズに向けた製品と捉えるべきだろう。

 カードの単体価格が1万円台後半から2万円程度で,さらにPureVideo HD対応のBlu-ray再生ソフトが別途必要となることを考えると,お世辞にもコストパフォーマンスに優れるとはいえないが,用途が明確な人にとっては,相応に価値があるのではなかろうか。
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