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Logicool Gのワイヤレスヘッドセット「G933」レビュー。G633と音が違うフラグシップはさらに魅力的だった
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印刷2015/12/19 00:00

レビュー

単なる「G633のワイヤレス版」ではなかったフラグシップを試す

G933 Artemis Spectrum Wireless Surround Gaming Headset

Text by 榎本 涼


G933 Artemis Spectrum Wireless Surround Gaming Headset(国内製品名:G933 ワイヤレス 7.1 サラウンド ゲーミング ヘッドセット)
メーカー:Logitech International
問い合わせ先:ロジクール カスタマーリレーションセンター
電話:050-3786-2085
実勢価格:2万3700〜2万6100円程度(税別,送料無料)
Logitech G/Logicool G
 発売から少し時間が経ってしまったが,「Logicool G」(日本以外では「Logitech G」)ブランドのゲーマー向けワイヤレスヘッドセット「G933 Artemis Spectrum Wireless Surround Gaming Headset」(国内製品名:G933 ワイヤレス 7.1 サラウンド ゲーミング ヘッドセット,以下 G933)のレビューをお届けしたい。

 ワイヤードモデルである「G633 Artemis Spectrum Surround Gaming Headset」(国内製品名:G633 RGB 7.1 サラウンド ゲーミング ヘッドセット,以下 G633)とほとんど同じ外観で,「G633のワイヤレス対応モデル」と目されている同機だが,その実態はどうなのか。今回は「G933ならではの部分」に絞って評価したいと考えている。

G933とG633は共通で,Logitech/ロジクール自慢のスピーカードライバー「Pro-G」を搭載する(関連記事
Logitech G/Logicool G
 よって,本稿において,「G933とG633で同じ部分」,たとえばその装着感や,Logitech International(以下,Logitech)独自開発の40mm径スピーカードライバー「Pro-G」を搭載する点,「DTS Headphone:X」ならびに「Dolby Audio」に対応する点,そしてマイクプリアンプを搭載する点などについては,説明を省略する。本稿を読み進めて「G933で知りたいことがあるのに書いてない!」と嘆く前に,まずは前後編でお届けしたG633のレビュー記事をチェックしてもらえればと思う。

Logicool G「G633」レビュー(前編)。ロジクールの新しいゲーマー向けヘッドセット,その完成度は異様なほど高かった

Logicool G「G633」レビュー(後編)。「DTS Headphone:X」はゲームプレイに何をもたらすのか



G933は何がG633と違うのか


Logitech G/Logicool G
製品ボックスから取り出したところ。左耳エンクロージャには「ここを引っ張ればマイクとUSBワイヤレスレシーバー兼トランスミッタを取り出せますよ」というガイドが用意されている
Logitech G/Logicool G
左右エンクロージャのカバーを取り外したところ
Logitech G/Logicool G
 冒頭でも簡単に触れたが,G633とG933の仕様における最大の違いはPCとの接続方式で,G633がワイヤードなのに対し,G933はワイヤレスになっている点である。G933で採用する電波周波数はLogitech G/Logicool Gのゲーマー向けワイヤレスマウスで実績のある2.4GHz帯だ。標準的な帯域ともいえるだろう。

 PCとの接続にあたって必要なUSBワイヤレスレシーバー兼トランスミッタは,本体左耳用エンクロージャのカバーを外した下,スピーカードライバーの入ったボックスの上に取り付けられている。ちなみに,右耳用エンクロージャのカバー下にあるのは専用のバッテリーパックだ。

 バッテリーパックは(取り外せるが)取り外す必要はなく,充電は,左耳エンクロージャ部にあるUSB Micro-B端子経由で行う。G633の場合,この端子経由でPCと接続することでUSB接続型のワイヤードヘッドセットとして機能するわけだが,G933のUSB Micro-B端子は純然たる充電用となり,PCとUSB接続してもワイヤードヘッドセットとしては利用できないので,この点は押さえておく必要がある。

右耳用エンクロージャ部のバッテリーパックは,外そうと思えば外せる。ちなみに,バッテリーパックの奥に見える半透明の部分が,スピーカードライバーの入ったボックスだ
Logitech G/Logicool G Logitech G/Logicool G

Logitech G/Logicool G
 ヘッドセットの重量は実測約375gで,USBワイヤレスレシーバー兼トランスミッタを外した状態だと同366g。見た目の割に重くないといったところだ。実測重量約336gのG633と比べると若干ながら確実に重量が増しているにもかかわらず,装着時の印象が変わらないのは,大型クッションと側圧のコンビネーションによって,うまく装着感のバランスを取っているからだろう。

USBワイヤレスレシーバー兼トランスミッタであり,ライン入力も持ち,入力信号のミックスを行えるUSB Mix Adapter
Logitech G/Logicool G
 本体側の端子として4極の3.5mmステレオミニピン端子を備え,これを使うことで,PlayStation 4やXbox Oneなど(※Xbox Oneと接続するには「Xbox One Stereo Headset Adapter」が必要)の据え置き型ゲーム機や,モバイルデバイスなどとアナログ接続できる点はG633と同じ。
 G933ではさらに,上でUSBワイヤレスレシーバー兼トランスミッタと紹介した「USB Mix Adapter」側にも3極の3.5mmミニピン端子が付属しており,こちらにもアナログ出力対応のデバイスを取り付けられる点が新要素となっている。

G933の接続イメージ。G633と同様に,PCとPS4の同時接続を行ったり(左),スマートフォンの出力を3.5mmミニピンでUSB Mix Adapterへ入力し,それをワイヤレスでG933側へ伝送したりもできる(右)
Logitech G/Logicool G Logitech G/Logicool G

インターセプト用の,いわゆるT字型アダプター付きケーブル。写真でケーブルの脇にあるのは,(製品ボックスのどこにも説明がないのだが)ケーブルと同じ袋の中に入っていた,Xbox 360 Controller接続用のミニピン径変換アダプターである
Logitech G/Logicool G
 Logitech/ロジクールとして,USB Mix Adapter側には据え置き型ゲーム機などからのアナログサウンド出力を入れるイメージのようで,実際,製品ボックスには,据え置き型ゲーム機とテレビ機器をつなぐRCAアナログケーブルの間に挟んで,サウンド出力を引っ張ってくる(インターセプトする)ためのケーブルが付属している。
 USB Mix Adapterはその名のとおり,PCと,アナログ入力された音をミックスしてG933へ伝送できる。ワイヤレスで,PCと,アナログ出力対応機器の音を同時に聴くことができるわけだ。いまは例としてゲーム機を上げたが,USB Mix Adapterには,アナログサウンド出力できる機器であれば,なんでも接続できる。

充電用のUSBケーブル。長さは実測約3mあった。長すぎると思ったら,別途,Androidスマートフォンなどに対応した充電ケーブルを利用してもいい
Logitech G/Logicool G
 したがってG933は,USB Mix Adapter経由のワイヤレス2系統に,G933本体側のワイヤード1系統,合計3系統の入力を行えることになる。念のため確認してみたが,確かに3系統を同時再生できた。やるかどうかはさておき,「Wii UのAVマルチ出力をUSB Mix Adapterに入れ,G933とDUALSHOCK 4をつないで,PCとWii UとPlayStation 4の音を同時に聞く」なんてことができるわけだ。
 ただ,さすがに3系統入力を行うと,音量は少し落ちる。2系統入力までならどの組み合わせでも大丈夫だった。

主にゲーム機側のコントローラやモバイルデバイスとの接続用となるケーブルは,G633に付属するものと同じようだ。インラインリモコンの仕様も変わらない
Logitech G/Logicool G
 バッテリー駆動時間は,LEDイルミネーション有効時に最大8時間,無効時に最大12時間。もちろん,4極3.5mmミニピンケーブル経由のアナログ接続のみで接続した場合は,バッテリーが切れていても駆動できる。

 バッテリーの話が出たので続けると,バッテリー残量は基本的に,Logitech G/Logicool G製品用の統合ソフトウェアである「Logicoolゲームソフトウェア」(日本以外では「Logitech Gaming Software」,以下 LGS)から確認することになる。テストに用いたバージョンは8.76.115。LGSから確認したG933のファームウェアバージョンは98.1.24だった。

左:お馴染みのLGSメイン画面だが,G933の場合は,ウインドウ左上にバッテリー残量インジケータが表示されるようになっている
右:電源スイッチをオフにするか,オンの状態でしばらく放置してスリープ状態に入ると,LGSはこんな表示になる。この状態ではミニピンケーブル経由のアナログ接続でのみ利用可能だ。意図せずスリープになってしまった場合は,慌てず騒がず,電源スイッチをいったんオフにしてからオンにしよう
Logitech G/Logicool G Logitech G/Logicool G
LGSということで,基本的な操作系はG633と同じ。なので,細かい話はG633のレビュー記事を参照してもらえればと思う
Logitech G/Logicool G Logitech G/Logicool G Logitech G/Logicool G


単純な「G633のワイヤレスモデル」ではないG933。異なる音質傾向がその最大のポイント


 いろいろ端折りつつ,試聴テストに入っていきたいと思うが,最初にお伝えしなければならないのは,G933とG633では音質傾向が異なるということだ。開発拠点の取材を通じて,G633とG933のハードウェアには,ワイヤードかワイヤレスかくらいしか違いがないものと思っていたのだが,比較試聴をしてみたところ,そうではなかったわけである。

 今回の試聴ではまず,LGS側のイコライザを標準のフラットにし,かつ,サラウンドを無効化した状態で音楽を聞いた。すると,「誇張した帯域がない」という素直な特性自体は2製品で変わらないものの,よく聞き比べてみると,G933のほうが相対的に重低域――低域ではない――が増し,プレゼンス(※)の帯域も少し強くなって,全体的に音圧感が増した印象があった。

※ 2kHz〜4kHz付近の周波数帯域。プレゼンス(Presence)という言葉のとおり,音の存在感を左右する帯域であり,ここの強さが適切だと,ぱりっとした,心地よい音に聞こえる。逆に強すぎたり弱すぎたりすると,とたんに不快になるので,この部分の調整はメーカーの腕の見せどころとなる。

Logitech G/Logicool G
 スピーカードライバーやアンプ,マイクといった基幹部品でG933とG633の間に違いはないはずで,また,G933&G633の場合,前述のとおり,エンクロージャの中にスピーカーボックスが入る仕様なので,「G933だとバッテリーパックを搭載するため,音が変わる」ということもない。そうなると,違いは無線伝送周りにしかないということになるが,果たして実際はどうなのか。Logitech G/Logicool GのテクニカルマーケティングマネージャーであるAndrew Coonrad氏に,この件を直接問い合わせたところ,以下のとおり回答が得られた。( )内は筆者による補足である。

スピーカードライバーとイコライザのプロファイル,ドライバソフトウェアはG933とG633で共通だ。しかし,G933はワイヤレス接続のため,Avnera製の(オーディオ信号伝送用)チップセットを用いている点が,G633とは異なる。これによりG933では,G633と比べても,より高品質なオーディオ伝送経路を利用できるようになった。我々としては,両製品の音質の違いはわずかだと考えているが,わずかながらも重低域はよりタイトでパワフルになり,かつ,プレゼンスの明瞭度が向上したと認識している。よく気づいたね!

DTS Headphone:XやDolby Audioを音楽コンテンツを聞くときに使うのはお勧めしない。DTS Headphone:Xでは変調がかかったときに生じる金属質の残響が耳に付き,Dolby Audioは音場が狭くなるからだ
Logitech G/Logicool G
 要するに,筆者の感じたとおりだったという理解でいいだろう。
 筆者の耳には,G633と比べて緩やかな右肩下がりの周波数特性になり,その分,音の重心がより低くなって聞こえる。プレゼンスが強くなっている割に,重低域がよりしっかりしたせいか,ドンシャリ度が増したようには感じない。
 左右のバランスも注意して聴いてみたが,ワイヤレス接続対応のヘッドセットでよくある「ど真ん中に定位すべき音像が左右どちらかに寄ってしまう」という,基本的な,それでいてよく遭遇する問題とも無縁だ。音像,というか音源の定位感はG633と同様,非常に分かりやすい。音源移動もきちんと把握できる。

 一方,インラインリモコン付きのアナログケーブルをPC側のCreative Technology製サウンドカード「Sound Blaster ZxR」に(4極3.5mmミニピン×1→3極3.5mmミニピン×2変換アダプターを別途用意して)接続したところ,ワイヤレス接続時と比べて超高域が気持ちよくロールオフ(=roll off。少し落ち込むこと)された,心地よく音楽試聴を楽しめる音質傾向となった。ゲーマー向けヘッドセットとしては,超高域まできちんと再生されているほうが「情報としての音」を把握しやすいので有利だが,G933で音楽を楽しむなら高品位なアナログヘッドフォンアンプとアナログ接続するのもアリではないかと思う。
 いずれにせよ,歪みが極めて少なく,現代的でクリーンな音質傾向のG633があって,その順当な上位モデル的な音が得られるのがG933というのが,音楽を試聴しての感想である。

余談ながら,工場出荷時のLEDイルミネーションカラーは赤だった。Logitech G/Logicool Gといえば水色,と勝手に思っていたので,ちょっとびっくりした次第である
Logitech G/Logicool G
 ここでコンテンツを3Dゲームに変えて,いつものように「Call of Duty 4: Modern Warfare」(以下,CoD4)と「Battlefield 3」(以下,BF3)で試聴を……と思ったところ,1つ問題が生じた。CoD4がDTS Headphone:Xからサラウンドコンテンツとして認識されないのだ。DTS Headphone:Xではステレオプリセットを変えると音が変わり,サラウンドプリセットを変更しても変わらないので,DTS Headphone:X側がCoD4のサウンドをステレオと認識しているとしか判断しようがない。
 CoD4は何年もテストに使っている古いタイトルなので,ゲーム側の設定を間違えるはずもない。そこで,テスト用のPCだけでなく,複数のPCで試し,最後はOSの再インストールまで行ったが,何をやっても,最後までCoD4の音はサラウンドとして認識されなかった。そろそろCoD4は古すぎて,サポートされない感じになっているのかもしれず,いい加減刷新が必要な気はするが,ともあれ,今回はCoD4を用いた「点」のサラウンドテストは行えていないので,この点はご了承を。

LGS上のDTS Headphone:X設定。8.76.115版LGSではサラウンドサウンドの体験機能を利用できるようになっていた。[サラウンドサウンドを体験する]ボタンをクリックすると,設定内容に応じたテストサウンドを聞くことが可能だ
Logitech G/Logicool G
 さて,BF3を用いた「面」のサラウンド試聴のほうは,問題なく行えた。今回はイコライザプリセットをフラットに設定のうえ,3種類のルームプロファイル「DTS 7.1」「First Person Shooter」「Logitech Signature Studio」を切り替えながらDTS Headphone:Xでテストを行ったが,基本的には音楽試聴時の音質傾向を引き継いでいるといえるだろう。

 G633と比べ,重低域がより強くなったため,サブウーファの効果はG633より大きくなる。ただし,ゲーマー向けヘッドセットにありがちな,「低域が強く,常にサブウーファが鳴りっぱなし」な感じではなく,サブウーファチャネルに音声信号が入力されたときだけ重低域が再現される印象だ。
 重低域が強くなっている分,戦車の走行音が強めになり,ダイアログ(台詞)が少し弱く聞こえるが,これが気に入らなければイコライザ設定をフラットではなく「FPS」に変更するといい。相対的に中域が強くなって,何を言っているかはっきり分かるようになり,また,重低域は相対的に弱くなる。

ヘッドセット上の出力音量ボリュームがG933とG633で同じ場合,全体的にG933のほうがよりパワフルに感じられる
Logitech G/Logicool G
 3つのルームプロファイルは,First Person Shooting選択時が最も良好。重低域が強い一方,低域が不必要に持ち上がったりはしていないため,後方定位や音源移動が不明瞭に感じられることがないのはいい。
 DTS 7.1chおよびLogitech Signature Studioの両ルームプロファイルでも基本的には同じだが,G633のレビュー時に指摘したとおり,前者は残響が増え,後者では金属質な変調のかかった初期反射音が強くなる。
 ただ,これはあくまでもFPSの場合なので,別のゲームジャンルであれば,別のルームプロファイルを選択したほうがいい可能性はあるだろう。また,イコライザのプリセットを変更すると,クリーンで現代的なG933の特性はそのまま,音質傾向がかなり変わってくるので,ぜひいろいろ試して,自分の好みの設定を見つけてほしいと思う。

Dolby Audioの設定は,各バーチャルスピーカーチャネルの音量バランスを変えられるだけ。ただ,DTS Headphone:Xと同じく,[サラウンドサウンドを体験する]ボタンが追加されている
Logitech G/Logicool G
 サラウンドプロセッサをDolby Audioに切り換えても,重低域の再生能力が高いことは確認できる。全体的な残響を抑え,音場を狭めてくる印象があるのはG633と同じだ。
 低域がそれよりも上の帯域に一部被っていると感じるかもしれないが,その場合はDTS Headphone:Xに切り替えて使うのがいいだろう。Dolby Audioは設定を弄れる幅が狭いので,「気に入ったら使う。そうでなかったら使わない」でいいと思う。

テスト時の最新版Razer Surround Proを用いて,サラウンド設定をキャリブレーションしたところ。例によって正面は少し狭めているが,横と後方はそのままにした。ハードウェアが超高域まで歪みなくしっかり再生してくれるので,後方の定位をいじる必要がないということなのだと思われる
Logitech G/Logicool G
 最後に,LGSのサラウンドプロセッサをオフにして,「Razer Surround Pro」を用いた確認も行ってみたが,G933でも,Razer Surround Proらしい音質傾向とサラウンド感が得られた。付加された残響感はまったくなく,音源の定位や移動は明確に認識できる。
 もともとやや右肩下がりとなっているG933の周波数特性に対して,高域がさらにロールオフされ,結果,低域が若干強くなった印象は受けるが,G633のときほどは高域がロールオフする印象もなく,適度なレベルに収まっていると感じた。プレゼンスが少し強いため,高域がロールオフされても聞こえ方として相殺されているのだろう。


思ったよりG633と異なるG933の入力特性。ワイヤレス接続時は努力の跡が見える


インラインリモコンには,G633と同じく,「アナログ接続時にインラインリモコン側のマイクを使うか,G933本体側のブームマイクを使うか」を選択するためのスライドスイッチがある。工場出荷時は前者が選択されていた。ちなみに,ワイヤレス接続を無効化した状態だとブームマイクは利用不可。ワイヤレス(+アナログ同時)接続時にインラインマイクを使うこともできない
Logitech G/Logicool G
 入力側のテストに移ろう。マイクテストにあたっての計測方法は解説ページを参照してもらえればと思うが,G933の場合,ワイヤレス接続を無効化するとブームマイクは利用できなくなるので,ワイヤレス接続時はブームマイク,アナログのワイヤード接続時はインラインリモコンを使ってのテストということになる。

 まずはワイヤレス接続時のブームマイクからだが,そのテスト波形は下に示したとおりだ。一般的なゲーマー向けヘッドセットのそれと比べてずいぶんとフラットで,有効な周波数帯域上に急激な山や谷がないというのはG633と同じながら,伝送経路のアップデートによって,かなり変わったというのが,筆者の第一印象である。

橙の波形がリファレンス,緑の波形がG933のワイヤレス接続時におけるブームマイクの測定結果となる
Logitech G/Logicool G

参考までに,G633ブームマイクの周波数特性。USB接続時のものだ
Logitech G/Logicool G
 G633の場合,ハイパスフィルタ(ローカットフィルタ)のカットオフ周波数が150Hzだったのに対し,G933では見方にもよるが80Hzあたりに下がった。また,80Hz〜1.5kHzくらいがフラットで,1.7kHz付近にある谷よりも高い周波数帯では一段下がってまたフラットとなっている。ただし,G633だと15kHz付近までフラットな状態を保っていたのに対し,G933では7kHzあたりで少し強くなってから一気に落ちていく格好だ。つまり,下限周波数も上限周波数も下がっているわけである。
 なお,モノラルマイクということもあって,位相特性は完璧。何の問題もない。

 下限よりも上限の周波数がずいぶん落ちているのが気になるところだが,実際,スピーチした音声データを録音して聞いてみると,少し高域が落ちた印象がある。もっとはっきり言うと,少しザラついて聞こえる。サンプリングレートが低く,かつ周波数補正をしていないときによく聞く音質傾向だ。
 では,なぜこんなことになっているのかだが,おそらく,ワイヤレス伝送帯域幅の制限から,サンプリングレートを下げているのだと考えられる。「G633をワイヤレス化する」にあたって,失ったものもあったというわけである。

インラインリモコン部に見える,スリット状のところに,マイクが埋め込んである
Logitech G/Logicool G
 では,ワイヤード伝送となるインラインマイク利用時はどうか。前述のとおり,今回は変換アダプター経由でSound Blaster ZxRと接続しているため,MacBook Airと接続したG633とはそもそも傾向が違って当たり前という点に留意して,下の波形グラフを見てもらえればと思う。

 ざっくり,低周波のカットオフ周波数は30Hz付近。高周波はちょっと分かりにくいが,9〜10kHzあたりだろうか。この範囲内に絞って見てみると,1.7kHzの凹みを中心としたドンシャリ傾向にあるといえるだろう。45Hz〜1.7kHzはなだらかな右肩さがりなのに対し,2kHz〜3.7kHzあたりには大きな山があって,その先には7kHzあたりにさらに高い山が聳えている。

橙の波形がリファレンス,緑の波形がG933のアナログワイヤード接続時におけるインラインリモコン側マイクの測定結果となる
Logitech G/Logicool G

 そのため,このまま録音して聞くと,明らかにインラインマイクのほうが「人間の耳には」よく聞こえる。帯域幅などを気にする必要がないアナログ接続時のほうが。音質的には良好だ。

Logitech G/Logicool G
 おそらくLogitech G/Logicool Gの開発チームは,PCでのみ利用できるブームマイクの音質傾向について,限られた帯域幅のなかで,「低サンプリングレート&低帯域幅が常であるオンラインでのプレイ中に,ユーザーの声を聞いたチャット相手が聞き取りやすい」ようにチューニングを行っている。一方,VoLTEに代表される高サンプリングレートの通話サービスを想定したインラインリモコン側マイクでは,ゲームにこだわらず,人間がぱっと聞いていい音だと感じられる特性にしてきた。
 テスト結果を踏まえ,筆者はそのように考えている。


単なる「G633のワイヤレスモデル」に留まらないG933。意欲的かつ魅力的な製品だ


製品ボックス
Logitech G/Logicool G
 ワイヤレスタイプのヘッドセットは,そもそも出力時の音量が足りないとか,ワイヤードの姉妹製品があった場合,それより音質が劣るといったことがよくある。なので,G933のテストにあたって筆者は,とくにその部分を見逃さないよう注意してテストを行おうとしたのだが,G933はそんな筆者の“期待”を見事に裏切った。ワイヤレス化にともなって劣化したどころか,「上位モデル」と呼んで差し支えないレベルで,出力品質が向上しているのだ。
 G633レビューを行ったとき,SNSで「褒めすぎ。Logitech G/Logicool Gからお金でももらっているんじゃないの?」とまで言われた筆者だが(※もちろんそんなことはない),G933がそれ以上の出力品質で出てきたことには本当に驚かされた。

Logitech G/Logicool G
 一方のマイク入力品質も,ワイヤレス伝送時の制限を逆手に取って,アナログ接続時とは異なるチューニングをしてきたあたりは,正直,見事だと思う。筆者の推測に反して,これが仮に意図的でなかったとしても,結果として,ブームマイクのマイク入力品質はゲームに向いており,インラインリモコンのマイク入力品質はそれ以外の用途に向いている。

 というわけで,G633に続き,G933も,4Gamer読者に強く勧められる製品に仕上がっているとまとめられるだろう。G633が先行して発売になったとき,「G933が出るから……」と,G633をぐっと我慢して予算を確保していた人が,ある意味,勝ち組なのかもしれない。
 価格の上乗せ分で得られるのは,ワイヤレスの使いやすさと,重低域とプレゼンスが強くなったよりパワフルな音質傾向だ。これからG933とG633の選択を行おうという人は,このあたりを踏まえておくといいだろう。

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ロジクールのG933製品情報ページ

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