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性能向上とバグ修正が進んだ「ATI Catalyst 9.12」リリース。複数タイトルにおける問題の解決を図ったHotfixも同時公開に
対応製品は,ATI Radeon HD 2000〜5000シリーズのGPUと,「AMD 740G」を除くAMD 7世代のチップセット。「Display Driver」のバージョンは8.681で,「ATI Catalyst 9.11」(以下,Catalyst 9.11)の同8.671からは,0.01の引き上げとなっている。
すぐに入手したい人は,4Gamerの最新ドライバリンクページからどうぞ。
→4Gamer最新ドライバリンクページ
ただし,日本時間18日12:00時点で,コンポーネントのすべてを入手できるのは英語版のみ。日本語版のATI Catalyst Control Center(以下,CCC)はCatalyst 9.11仕様のままとなっている。Catalyst 9.12仕様のドライバと,Catalyst 9.11仕様の日本語版CCCを組み合わせても基本的には問題なく利用できるが,せっかくなのでバージョンを揃えたいという人は,もう少し待つ必要があるので注意してほしい。
※2009年12月21日追記
日本語に対応した12月版CCCの公開を確認できたので,4Gamerの最新ドライバリンクページをアップデートしました。
また,同じタイミングで,Display Driverのバージョンが8.682.2RC1というHotfix版ドライバ「ATI Catalyst 9.12 Hotfix」が公開されている点も,押さえておく必要があるだろう。
ATI Radeon HD 5000/4000シリーズとFireStream 9200シリーズに対応した本Hotfixの入手先は下記のとおり。パッチではなく,フルパッケージとなっている。
→ATI Catalyst 9.12 Hotfix版ドライバ
(Catalyst_9.12_Hotfix_Win7_Vista_8.682.2RC1_Dec15.exe)
というわけで,いろいろと気をつけておくべき事柄のある2009年12月版ドライバだが,トピックは,新要素が二つ追加され,2タイトルでパフォーマンスが向上したと謳われていること。下記のとおり,リリースノートの和訳を試みているが,「3DMark Vantage」と「S.T.A.L.K.E.R.: Call of Pripyat」への最適化が進んだのは,ゲーマー的にそこそこ重要なポイントといえそうだ。
●Catalyst 9.12の新要素
- ATI Radeon HD 4800/4700シリーズのシングルカード/ATI CrossFireX構成におけるDirectCompute 10.1のフルサポート
- ATI Radeon HD 5000/4000/3000/2000シリーズにおけるOpenGL 3.2およびGLSL 1.50の新規サポート(※サポートされる具体的なエクステンションは英文リリースノートを参照のこと)
●Catalyst 9.12におけるパフォーマンス向上
- ATI Radeon HD 5000シリーズ搭載環境で,「3DMark Vantage」において,総合的に9%程度,GT1「Jane Nash」では15%程度。また,Feature Testの「GPU Cloth」では最大15%
- シングルカード構成時に,「S.T.A.L.K.E.R.: Call of Pripyat」において6%程度
毎月恒例のバグフィックスは,リリースノートに載っている数を見る限り,平均的な規模か,多少小粒気味,といったところだろうか。CCCやビデオ再生周りのバグ修正が目立っている印象だ。
Hotfix版ドライバともども,リリースノートの和訳を下記のとおり試みたので,ぜひチェックしてほしいと思う。
●Catalyst 9.12で解決した問題(Windows XP/Vista/7共通)
- ATI Catalyst Control Center(以下,CCC)からディスプレイを拡張するとき,確認を求めるダイアログが表示されない問題
- 「Desktop Properties panel」に,サポートされるデスクトップ解像度が表示されない問題(※「Desktop Properties panel」が何を指すのかは分からない。Windowsに用意された「画面のプロパティ」か,はたまたタスクトレイに常駐するCCCかのどちらかではないかと思われるが……。原文は「Catalyst Control Center: all supported resolutions are now displayed in the Desktop Properties panel」)
- ATI Eyefinity関連の設定を行うとき,確認を求めるダイアログが表示されない問題
●Catalyst 9.12で解決した問題(Windows XP)
- ATI CrossFireX構成時に,「Tom Clancy's H.A.W.X」を実行すると,VPU Recoverが動作する問題(※動作することで何が生じるのかは書かれていないが,おそらく,ゲームアプリケーションが落ちるものと思われる。原文は「Tom Clancy's HAWX: VPU recover no longer occurs in some CrossFire configurations」)
- マルチディスプレイをクローンモードに設定した環境のいくつかで,デスクトップの引き延ばし表示が機能しない問題
●Catalyst 9.12で解決した問題(Windows Vista)
- 「Adobe Flash Player 10.1 prerelease」のハードウェアアクセラレーションを有効にした状態で,SD解像度のビデオを二つ以上同時に再生すると,(ブロックノイズなどの)アーティファクトが発生する問題
- スリープもしくは休止状態から復帰させると,「WinDVD 8」が応答しなくなる問題
●Catalyst 9.12で解決した問題(Windows 7)
- D-Sub 15ピン,もしくはDVI接続のディスプレイを用いた拡張デスクトップモードを設定しているときに,DisplayPort経由でサウンド出力を行えない問題
- 「PowerDVD 9」で,「Allow PowerDVD to automatically disable Windows Aero」(PowerDVDがWindows Aeroを自動的に無効化するのを許可する)の設定を行うと,Blu-ray Discのビデオを再生しているときにシステムが応答しなくなる問題
- マルチディスプレイ環境で,プライマリディスプレイを切り替えると,「PowerDVD」によるBlu-ray Discのビデオ再生が失敗する問題
- 8xアンチエイリアシングを適用すると,DirectX 9世代ゲームタイトルのいくつかで画面表示がおかしくなる問題
- 「WinDVD 10」で,Blu-ray Discのビデオをそのままでは再生できず,いったんアプリケーションを最小化し,それから元に戻す操作が必要になる問題(※ということではないかと思われる。原文は「WinDVD10: Blu‐ray playback will now start and does not require the application has been minimized and restored」)
- 日本語版「バイオハザード5」がサポートされない問題(※Catalyst 9.11で解決を見た問題と別のことを指すのかは分からない。原文は「Resident Evil 5 Japanese version is now supported」)
- リフレッシュレート120Hzのディスプレイと接続した状態でBlu-ray Discのビデオを再生すると,真っ黒な画面が表示される問題
- 「Microsoft Security Essentials」を導入し,リアルタイム保護を有効にしたシステムで,デスクトップ解像度を切り替えると,OSが応答しなくなる問題
- 「IL-2 Sturmovik: The Forgotten Battles」で,ゲームプログラムが応答しなくなったり,システムリソースを解放しなかったりする問題
- HDMI接続ディスプレイをホットアンプラグすると,システムが間欠的に不安定な状態へ陥る問題
●Catalyst 9.12 Hotfix版ドライバで解決した問題
- ATI CrossFireX構成時に“Call of Duty Modern Warfare”を実行し,ゲーム内でサーマルスコープを使用すると,パフォーマンスの低下が生じる問題(※“Call of Duty Modern Warfare”が,「Call of Duty 4: Modern Warfare」のことを指すのか,「Call of Duty: Modern Warfare 2」のことを指すのかは判断できない。原文は「Performance drop is observed with a supported ATI CrossFireX configuration when using the thermal scope while playing Call of Duty Modern Warfare」
- 「バイオハザード5」のオープニングデモでパフォーマンスの低下が生じる問題
- 「WHEELMAN」を実行すると,ゲームのメニューを読み出している最中にフリーズし,それ以上先に進めない問題
- Windows 7環境で,マウスカーソルが巨大化して表示されることのある問題
- 「City of Heroes」「Enemy Territory: Quake Wars」“Riddick”といったさまざまなOpenGLタイトルで,画面がまたたく問題(※“Riddick”が,「The Chronicles of Riddick: Assault on Dark Athena」のことを指すのか,「The Chronicles of Riddick: Escape From Butcher Bay」のことを指すのかは判断できない。原文は「Flashing in various OpenGL titles - City of Heroes, Enemy Territories: Quake Wars, Riddick」
- 「Heaven Benchmark」をDirectX 9モードで実行すると,芝がちらつき,エッジの周辺に白いゴミが見える問題
- ATI Radeon HD 5000シリーズ搭載環境で,特定のAVレシーバとHDMI接続したときに,DTS-HDやDolby True-HD形式のビットストリーム出力が正常に機能しない問題
現時点で2009年12月版の日本語版CCCがリリースされていない以上,基本的にはそれを待つべきではないかと思われるが,「すぐリリースされる」という前提に立ってまとめるなら,正規のCatalyst 9.12は,順当にブラッシュアップの進んだ最新版といえそうだ。
一方のHotfix版ドライバは,ゲームタイトルの表記がアバウトすぎるのが残念なのと,AMDのサポート外ゆえ,決して万人には勧められないという要注意事項があるものの,記載されているバグフィックスの内容はなかなか重要度が高そうだ。名前の挙がっているタイトルを年末年始にプレイするなら,普段はHotfix版ドライバを導入しないポリシーの人も,試してみる価値はあるかもしれない。
いずれにせよ,ドライバのアップデート作業は自己責任となるので,その点だけはご注意を。
- 関連タイトル:
AMD Software
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