オススメ機能
Twitter
お気に入り
記事履歴
ランキング
4Gamer.net
お気に入りタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

最近記事を読んだタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

LINEで4Gamerアカウントを登録
QRコードでLINEの4Gamer
アカウントを友達登録すると
月〜金の週5回,21時に厳選
ニュースをお届けします!
※購読にはLINEアプリが必要です
特集記事一覧
注目のレビュー
注目のムービー
印刷2011/09/24 00:00

インタビュー

ドワンゴ・川上量生氏との特別対談企画「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」を本日よりスタート。第一回めのテーマは「世の中で一番面白いゲームは現実」



 今回からニコニコ動画の運営元として知られるドワンゴの代表取締役会長・川上量生氏との特別対談企画「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」をスタートしたい。

 この連載は,着メロ事業やニコニコ動画など,数々の人気サービスを作り出した実績を持ち,かつコアなゲーマーとしても知られる川上氏に,いろいろなテーマで話を聞きに行って,その会話の内容をまとめていこうというもの。第1回目となる本稿では,タイトルにもなっている「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」という氏の持論を,ゲーマーとしての経歴や考え方を聞きながら,与太半分,真面目半分(?)な対談でお届けする。

スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが書いた川上量生氏の似顔絵
 本題に入る前に,この企画にいたる経緯を簡単にまとめておくと,筆者は,川上氏のことを日本のIT業界/コンテンツ業界の中にあっても,ひときわ独創的な考え方をする経営者であると考えていて,実は以前から,連載執筆やより踏み込んだ取材をお願いしていた。
 現在もさまざまなメディアで積極的に自身の見解を披露している川上氏とは,実際どんな人物で,何を考えながら行動しているのか。ニコニコ動画のようなサービスを生み出す実業家の考え方とは,どういったものなのか。氏のサービスの捉え方,ビジネスモデルの分析力,そしてマーケットに対する独特のアプローチ方法などは,大きな変化を迎えているゲーム業界にとって,きっと有用なものになるだろうと思っているのだ。

 そうしたなか,ある日,「ゲームのことなら言いたいこと,書きたいことがたくさんあります。4Gamerさんで連載をやるなら,やっぱりゲームの話がしたい」と,川上氏の方からの逆提案があった。

「あ,でも単に経営者の趣味としてゲームの話をされても4Gamerさんは困りますよね」
「だからゲームに絡めながら,現在のIT業界やニコニコ動画のことについても語るっていうのはどうですか」
「初回は,ゲーマーは経営者を目指すべき,というテーマとか」

 ―――というわけで,なんだか当初志向した方向とは微妙に違う気もするが,それはそれ。川上氏ならきっと面白いゲームの話が聞けるに違いない! ところどころで筆者の聞いてみたい話にもつながるだろうしと,今回の特別対談企画に向けて動き始めた次第である。
 ニコニコ動画が立ち上がった時のことや,サービスを運営する裏側ではどういうドラマがあったのか,氏が何を考えながら数々の難局に取り組んでいったのか,世界でも類を見ないニコニコ動画というWebサービスがなぜ成立し得たのか……。本連載では,隙あらばそんな部分も探っていければと企んでいる。とはいえ氏の話はアッチへコッチへとどんどん飛んでいくので,あまり期待しないで待っていてほしい。

 成り行き任せでスタートする本企画の第1回目は,タイトル名にもなっている「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき」というテーマで,「ゲーム内ギルドと現実社会の対比」や,「日本の教育システムを補うゲーム攻略の話」,「“戦いを避ける”という考え方」に果ては「会社ごっこ」の話まで。与太半分,真面目な話半分(?)に繰り広げられた氏との対談をお届けしよう。

関連記事:
ジブリは決して続編を作らない有名ゲームスタジオのようなもの――スタジオジブリに入社したドワンゴの川上量生氏が見た,国内最高峰のコンテンツ制作の現場とは



世の中で一番面白いゲームは「現実」



4Gamer:
 さて,連載第一回めのお題ですけれど,まずは「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」という切り口で,川上さんにいろんなお話を伺えればと思います。よろしくお願いします。

川上氏:
 はい。ええと,どこからお話したもんかなというところなんですけど,以前,黎明期のドワンゴでいわゆる“廃人ゲーマー”を社員として雇ってみたという話があったじゃないですか。

4Gamer:
 結構有名な話ですよね。でも,彼らはクビにしたって話では?

ドワンゴ代表取締役会長・川上量生氏
川上氏:
 ええ。本当にずっとゲームばっかり遊んでいたので,当時はクビにせざるを得なかったんですけど(笑)。でも最近,「ブラウザ三国志」での活躍(※)が認められて,某S(佐野将基)君なんかは出戻りでまたドワンゴに戻ってきたんです。彼は彼で,いろいろと社会に揉まれながら経験を積んで,またドワンゴに来てくれたわけですが,久しぶりに会って話してみると「こいつ頭いいな。やっぱりこいつって頭良かったんだよな」と改めて思って。まぁ,昔もそう思ったから会社に来てもらったんですけど。

※編注:ドワンゴは,以前「ブラウザ三国志」に会社ぐるみで大はまりした過去がある

4Gamer:
 ああ,Sさんは確かに。ブラウザ三国志での軍師っぷりも凄かったですしね。

川上氏:
 でしょう? 凄いゲーマーの中には,やっぱり頭の回転の速い人が結構いると思うし,オンラインゲームでギルドを率いる能力だって,それ自体はほとんど現実の社会と同じものが求められるわけですよ。

4Gamer:
 ただ廃ゲーマーは,自分のリソース(労力や時間)を無尽蔵にゲームに注ぎ込んじゃうんですけどね。僕なんかもそうでしたが(笑)。

川上氏:
 そう(笑)。そこが欠点ではあるんだけど……。とはいえ,やっぱり何かのキッカケで,「人生というゲーム」にちゃんと向き合うことになった時,ゲーマーの人たちの持ってるポテンシャルってかなりのもんなんじゃないかなとは思うんです。僕自身もかなりのゲーマーだと自分では思っているんですけれど,結局,世の中で一番面白いゲームが何かといったら,それは現実にこそあると思うんです。現実にあることを調べて攻略するという面白さは,例えばビジネスなんかでも同じで。

4Gamer:
 まぁとはいえ,普通はそこまで前向きに捉えられないし,現実の中での競争は非常に厳しくて辛いというのが,実際のところだとは思いますが……。

川上氏:
 まぁ“どんなゲームに臨むか”次第ではあるけど,現実だと,なかなか自分が「ゲームをプレイする立場」になれないですしね。それに……。

4Gamer:
 それに?

川上氏:
 それに,現実のゲームは“ターンが長い”のがちょっと(笑)。一手ごとにリアクションや結果が得られるまでのスパンが長いじゃないですか。今打った手が正しいかどうか分かるのは,一週間後とか一か月後とか,下手したら1年後とかになるわけですからね。正直,これはちょっと面倒くさい!

4Gamer:
 そうですよねぇ。

川上氏:
 だからこそ,手頃な練習としてゲームを遊ぶのがいいと思うんですよ。


三手先を読むのと十手先を読むのは別のゲーム


4Gamer:
 でも,集中力を鍛えるであったり,社会性やリーダーシップを養うという意味では,別にことさらゲームにフォーカスする必然性はありませんよね。

川上氏:
 それはそうです。けど,やっぱり自分自身の過去を振り返ってみると,僕が実際のビジネスでロジックを考えるうえで,昔遊んだ“ゲーム”が思考力の源になっているという実感はあるんですよね。僕がここで言うゲームというのは,コンピュータゲームじゃなくてボードゲーム,もっと正確に言うと非電源型のシミュレーションゲームを指すんですけれど。

4Gamer:
 それは,ビジネススクールでシミュレーションゲームを使って駆け引きを学ぶ,みたいな話ですか?

川上氏:
 ゲームって攻略するために,いろんな角度から何時間,下手すれば何日もかけて考え抜くじゃないですか。やっぱりね,そういう思考のロジックというか,思考のフレームワークを鍛える訓練って,僕はとても大切だと思うんですよ。だって今,どんな難しい入試問題だって,結局は「知ってるか知らないか,覚えてるか覚えてないか」がベースじゃないですか。要は,今の日本の教育システムというのは“そういう類いの勝負”になっていて,一つのことを10時間考え抜く,みたいな部分ってなかなかフォーカスされないと思うんです。そこをフォーカスして,なおかつきちんと鍛えるようなものが世の中にどれだけあるだろうって思うんですよ。

4Gamer:
 まぁ将棋や囲碁なんかも,戦略的思考力を養うと言われていますよね。

川上氏:
 例えば,詰め将棋/詰め碁ってあるじゃないですか。あれってどういうゲームかといえば,5手先7手先13手先を読むようなゲームですよね。だけどそういうロジックって,実はあんまり現実社会には出て来ないものじゃないですか。
 例えば今,「思考を要求するゲーム」と言われているものにしたって,その多くは3手先くらいを読むものでしかない。ブログとかで話題になるようなTipsだって,受けがいいのは3手先までのロジックなんですよね。

4Gamer:
 現実社会で10手先を読めないのはなぜでしょうか。

川上氏:
 10手先を読むというのは,すべての情報が公開されていて,かつ交互に一手ずつプレイすることが保証されて,はじめて可能なことだからですよ。現実にある問題というのは,さまざまなパラメータが膨大にあって,その全部を把握しきるのは不可能。だから,現実社会では3手先を読むのが限界なんですよ。

4Gamer:
 そもそも判断の根拠となるデータ/情報を正しく集めるのも難しいですよね。

川上氏:
 そうです。一個一個のパラメータについても,本当に根拠として成立するのか検証が必要なんです。そのうえで,もっと広く(社会)全体も見なければならない。……というか,みんな必要以上に単純化して考えたがるんですけど,現実のゲームって,何も一つずつプレイしているわけではなくて,どちらかというと,常に複数のゲームを同時に動かしているような状態なんですよ。

4Gamer:
 複数のゲーム?

川上氏:
 同じ3手先でも,今週のゲーム,今年のゲーム,この先10年間のゲームとか,それぞれがまったく“違うゲーム”なんですよ。で,それぞれが有機的に絡み合いながら,物事は進行していくわけです。

4Gamer:
 僕の好きな言葉で,「戦略,戦術,戦務」(※)というのがあるんですけど,それと似たような話なのかなぁ……

※編注:日本海海戦の主席参謀を務めた秋山真之氏の言葉

川上氏:
 みんな戦略的なゲームをやってないから,そういった多層的な思考ができないんじゃないですかね。

4Gamer:
 でも,10手先を読むシチュエーションが現実の世の中には存在しないとなると,ゲームの中で“10手先を読む”というのは,いったいなんの役に立つんですか?

川上氏:
 そういう10手先を読む訓練なり思考方法を身につけていると,実際には,そここそが競争するときの差別化になるんですよ。
 最近,僕はよく思うんですけど,なんかネットとかを見ていると,起業してる人や学生とか,さまざまな人がBlogとかTwitterで議論をしていますよね。
 でも,僕がそれを見ていて感じるのは,やっぱり「議論が浅いんじゃないか」ってことなんですよね。で,なんで浅いかと言ったら,それは結局,「今ある情報から3手先までしか読んでないから」だと思うんです。今流行ってるのはこういう流れだからこれをやるべきだ,というロジック以上のものがほとんど無いじゃないですか。

4Gamer:
 ただ一方で,さっきの「受けがいいのは3手先までのロジック」という話じゃないですけれど,世の中簡単な話じゃないと伝わらない,伝わりにくいというのもあるじゃないですか。例えば,事業を興そうと思って投資をしてもらうにしても,それこそ右肩上がりのグラフを描いて「だから投資しても損しません。儲かります」という説明をして,お金を引き出したりするわけですよね。

川上氏:
 いや,お金を出してもらうというゲームとビジネスを成功させるまでのゲームというのは,僕は“別のゲーム”だと思っているので。そこは分けて考えた方がいいんじゃないですか(笑)。

4Gamer:
 た,確かに(笑)。

川上氏:
 起業する人はもっとそこを意識した方がいいと思うんですけどね。お金を出してもらうためのゲームと,実際にビジネスで勝つためのゲームは全然違うものですよ。



ルールを見直し,変えることの大切さ


4Gamer:
 川上さんの経営者としての基礎力,素養はシミュレーションゲームで養われたというお話ですけど,具体的にどのあたりのゲームを遊んでいたんですか?

川上氏:
 うーん,たくさん遊びましたけど,有名どころでいうとエポック社の「戦国大名」,あるいはアバロンヒル社の「マキャベリ」とか「第三帝国」とかですよね。僕がボードゲーム自体を遊び始めたのは小学生の頃で,雑誌「タクティクス」を買い始めたのが中学生くらい。最初にタクティクスを買った時は,まだ季刊だった頃だと思うんですけど。

4Gamer:
 川上さんがタクティクスを読んでいたという話を聞いて,実は少し持ってきたんですけど……。

川上氏:
 うわ,これは懐かしい!
 ボードゲームとひと口にいっても,最初はやっぱり,「日本特急旅行ゲーム」や「億万長者ゲーム」みたいな簡単なゲームが流行ったんですよね。でも,そういうのを遊んでいる人間の一部は,だんだんとヌルいゲームには飽きてきて,もっと戦略性の高いコアなゲームを追い求めていくわけですよ。

4Gamer:
 個人的に驚いたのは,このタクティクスの対戦相手募集欄あたりを見ると,投稿者の多くが10代,それも13歳とか14歳とか,そういう年代なんですよね。ボードゲームというと,今でこそマニアックな,それこそ大学生や社会人が遊んでいるってイメージがありますけど,この当時は中学生も遊んでいたんだなと。

川上氏:
 流行っているといっても所詮はニッチですから,対戦相手にみんな餓えていたんじゃないですか(苦笑)。かくいう僕も,高校1〜2年生くらいの時,戦国大名のルールを少しカスタマイズして,郵便プレイをしていた時期があって。このタクティクスの対戦相手募集に投稿して,一緒に遊ぶ人を募っていたりしたんですよね。

4Gamer:
 戦国大名で郵便戦,ですか。……どうやって遊ぶんだろう?

※システム的にはどう考えてもメールや郵便プレイには向かない

川上氏:
 ディプロマシーみたいな同時ターン制にして,そのほかも細かいルールにも手を加えて。

4Gamer:
 へぇ。

川上氏:
 戦国大名で郵便戦のルールを作って,(おそらくは)日本で一番最初にそれを公の場で実行したことは,自分の人生でも,とても誇りに思っていることの一つなんです。僕が郵便戦の募集を募り始めた後,他でも流行っていったんじゃないかな。

4Gamer:
 戦国大名ということは,25年以上前ですよね。川上さんが高校生くらいの時ですか。

川上氏:
 なんというか,「自分のアイデアが世の中で通用した」という意味で,僕にとって“現実のゲーム”での初めての勝利だったんですよね。だから,とても思い入れが強いんですよ。

4Gamer:
 ああ,そういう気持ちはとてもよく分かります。

川上氏:
 それに,僕がウォーシミュレーションゲームで学んだことの中で,この「ルールを変える」という部分は大きな意味を持っているんですよね。

4Gamer:
 ルールを変える?

川上氏:
 ウォーシミュレーションゲームって,本来は文字通り,何かの戦場だったり戦いを再現しているものですよね。ある事象をシステム(ルール)で再現していて,その中で思考力を競い合う遊び(ゲーム)なわけです。抽象化/簡略化されているとはいえ,それは現実と同じロジックのうえに成り立つものなので,そのゲームの中で培われる思考力というのは,現実社会でも応用が効くわけですよ。

4Gamer:
 実際,兵棋演習やミニチュア・ウォーゲームがウォーシミュレーションゲームの源流だったりしますしね。

川上氏:
 でも一方では,その“用意されたルールの中では絶対に勝てないゲーム”というのも良くあったじゃないですか。分かりやすい例で言えば,第二次世界大戦がテーマのウォーゲームでは,日本軍は基本的に勝てないようになっていて,その中でどうやりくりするかみたいなゲームになっている。

4Gamer:
 シミュレーション性を重視すると,どうしてもそういう方向になりますよね。

川上氏:
 けれど,そのルールを変えると,当たり前だけど,“ゲームそのものが変わる”わけじゃないですか。だから,勝てないゲームも勝てるようになるわけですよ。それって実際のビジネスとかでも同じで,ルールが変わるタイミング,ルールを変えられる瞬間というのがあると思うんですよね。
 そもそもルールって未来永劫続くものはなくて,ビジネスをするうえでも,勝つためにはゲームと同じくまずルールの検証から入るわけですけど,調べてみると,“変えた方がみんなの都合がよいルール”が案外あったりするわけですよ。

4Gamer:
 ああ,確かにそういうのは少なくないですよね。世の中にあるいろいろなルールや決まり事……法律や業界の慣習なんかもそうですけど,出来た当初は合理性のあるものなんですよね。

川上氏:
 業界の慣習なんかにしても,例えば,とりあえず××しておけばいい! みたいな話って,往々にして前の世代が出した最適解を,新しい世代がそのまま受け継いでいるものが多いじゃないですか。
 でも時代が変わったり,環境が変化したり,あるいは業界内の力関係が変わっていった時,そのルールなり決まり事が最適解じゃなくなっちゃうんですよね。つまり,合理的ではなくなるわけ。

4Gamer:
 分かります。

川上氏:
 だから,原理原則を見直したうえで,ルールを再検証するのって大事だよなって常々思うんです。昔のシミュレーションゲーマーって,「このルールは不公平だ」とか「これではあの戦いを再現できていない」とかいって,結構ルールにいちゃもん付けて変えちゃう人が多かったんですけど,この考え方というか体験は,僕がビジネスをするうえで,凄いベースになっている部分なんですよ。

4Gamer:
 まぁただ,最近のコンピュータゲームは基本的に「ルールの中で遊ぶ」しかないわけですけど。

川上氏:
 そこはそうかも(笑)。ちなみに僕が最近のコンピュータウォーゲームの何が気に入らないかっていうと,「シミュレーションしてない」ことなんですよね。昔のウォーゲームって,現実をシミュレートしたものが多くて,現実(史実)とどのくらい一致してるのかというのが評価の対象になっていたと思うんですけど,今のコンピュータゲームって,あくまでもゲームとして楽しむことが目的で,「戦国」や「三国志」という世界観を使った,何か違うゲームだと思うんですよ。

4Gamer:
 昔から「ヒストリカル性とプレイアビリティ性」みたいな話はありましたけど,確かにコンピュータウォーゲームは,抽象化が先鋭化していった結果,昔のウォーゲームにあった遺伝子は大分薄れていますよね。

川上氏:
 それに,なんと言うんだろう。僕が,思考力を鍛えるのにゲームがいいんじゃないかって思っている理由の一つは,ゲームで勝つためには,まずルールの確認と検証があって,そこで最適解を探していく,思考を突き詰めるみたいな部分なんですよ。だけど,コンピュータウォーゲームの多くはパラメータ重視というのかな,単に数字を増やしていくみたいな印象が強くて。


4Gamer:
 ああ……,構造的に言うと実はRPGとかに近くて,兵士1000人からから始まって,その兵士が1万人,10万人,最後は100万人になって全国統一みたいな作りになっているんですよね。……って,そういう話ですか?

川上氏:
 そうそう! そうなんですよ。RPG要素が入ってるんですよね。シミュレーションゲームの衣をまとったキャラ移入タイプのゲームというかね。シミュレーションじゃない!(笑)

4Gamer:
 やっぱり対人前提のアナログゲームと比べると,一人で遊べるコンピュータゲームは,手軽で画期的だったと思うんですけど,それまでのゲームが持っていた面白さをばっさり切り捨てることで成功した,みたいな側面もあるとは思うんですよね。一人で遊ぶのが前提になると,勝ち負けの意義も変わってくる。とくにコンピュータに負けて楽しい人って基本的にいませんから。そうなると,そういう設計が最適ってことになるのだと思います。

川上氏:
 うーん,悲しいなぁ。僕はもっと思考力を競うゲームがやりたいし,流行ってほしいんですけどね。最近のゲームって,ゲーマーの集中力を,質じゃなくて量の方に求めるじゃないですか。時間をかければ強いというね。でも,一個のことを突き詰めるみたいなね,そういう遊びがもっとあっていいんじゃないかな。
 例えばパズルゲームとかって言っても,最近のやつは反射神経がないと解けないパズルゲームじゃないですか。思考力じゃなくて反射神経が必要なゲームになっていますよね。リアルタイムストラテジーゲームとかを遊んでいても感じましたけど,ゲームって全体的に反射神経を求める方向ばっかりが進化してる気がして。

4Gamer:
 そこは,コンピュータゲームの良いところでもあり悪いところでもあるんだと思います。凄くドライに言っちゃうと,そっちのほうが“快感を得るまでのサイクルが短い”と言うのでしょうか。娯楽としてどちらが手軽かというと……。

川上氏:
 まぁ,楽な方に流れちゃいますよね。


  • この記事のURL:
line
4Gamer.net最新情報
トピックス
スペシャルコンテンツ
注目記事ランキング
集計:12月14日〜12月15日
タイトル評価ランキング
83
82
ARMS (Nintendo Switch)
73
スプラトゥーン2 (Nintendo Switch)
70
2017年06月〜2017年12月