― 連載 ―
今回紹介する中でもミッション8は,3階層で広いわ,遮蔽物が多くてフラッシュバンが効かないわ,犯人の武装は完璧だわで,かなりの隊長泣かせ

 隊員諸君! エリート街道を突き進んでいることだろうか。何をやらせてもエリート極まりない諸君のことだから,もはや全ミッションを難度Eliteで100点満点クリアしていることだろう。しかし,ミッション内容をおぼろげにしか把握せずに100点満点を取ってしまっているのは,別にいいんだけど,ちょっといただけない。
 そこで前回に引き続き,今回も松本隆一氏によるブリーフィングの英文超訳(8〜13ミッション)を掲載する。実際にプレイした諸君なら分かると思うが,ミッション8以降は急に地獄のような難しさになる。もしかしたらブリーフィングの中に何かヒントが隠されているかもしれないので,事件の内容なんかに興味のない人も目を通しておこう。



・混乱の収拾

・民間人の安全

 またしてもタフな事件だ。閉店時間直前のデュプレッシー・ダイヤモンド・センターが襲われたのだ。容疑者は,トラックを使ってセキュリティドアを破り,ロビーに飛び込んだ。ビルの警報装置はただちに作動した。目撃者の話によると,ビルに突入した複数の容疑者は機関銃で武装し,ボディアーマーを着込んでいる。開店中であり,ガードマンが勤務に就いていたにも関わらず,店の従業員が逃げ出してくるのを見たものはいない。


 デュプレッシーのオフィスビルは,まるでちょっとした要塞だ。ほとんどの部屋に監視カメラがあり,独立したセキュリティ・システムと金属探知機が金庫を守っている。金庫の扉は時限式だ。毎晩18時に施錠され,翌日,店が開店する09時まで開けられない。だが,犯人が中に隠れているかも知れないので,警備会社が我々の要請で扉のロックを解除してくれた。記憶に留めておけ。ビル内の電話は犯人らによって切断された。

 デュプレッシーは卸売りで,扱っているのは主に原石だ。つまり,それらは磨かれてもいないし,カットもされてもおらず,しかも未登録だ。それらの宝石を金に変えるのは面倒でもある。そこらへんの質屋へ持っていくわけにもいかないからな。だが,今週,デュプレッシーには発送のための仕上げ済み宝石が保管されていた。これは偶然とは思えない。犯人達はおそらく,海外のブラックマーケットと関係があるのだろう。たとえ加工済みの宝石でも,換金するには量が多い。


 犯人達は,機関銃とボディアーマーで武装している。戦う準備はできているというわけだ。警報が鳴り出せば金庫は自動的にロックされるはずだから,我々は犯人達が金庫をどうやって開けるつもりだったのか分からない。一つ考えられるのは,内部に共犯者がいるということだ。したがって,注意を怠るな。重要なのは,全員ではないにしろ,デュプレッシーの従業員がまだ中に残っていることだ。人質がどういう状況にあるのか分からない。見取り図をチェックしろ。突入地点を選択し,作戦を練るのだ。だが,残り時間はあまりないぞ。



・アンドリュー・トローニの中立化
・混乱の収拾
・民間人の安全

 オーケイ,諸君。今回,我々が相手にしなくちゃならんのは頭のおかしな連中だ。やつらの周囲にとっても,またやつら自身にも危険な存在だ。約1時間前,公衆電話からタレ込みがあった。自分達をトロニアンと呼ぶイカれたカルト集団が,周辺住民を巻き添えにして,自分達の住むビルを中天高く吹き飛ばそうとしている,と言うのだ。


 捜査員が書類をひっくり返し,トロニアンのもとに不審な品々が届けられているのを発見した。つい最近の買い物には,疑わしい化学薬品,とりわけ莫大な量の肥料が含まれており,我々はこれを深刻な事態だと受け止めた(※窒素肥料は爆弾の原料になりうる)。通報者は時間や場所を明らかにせず,こちらがそれ以上の話を聞き出す前に電話を切ってしまった。我々は通報者がカルト集団を抜けた人物だと見ており,最近,家に帰った元信者がいないかどうか,家族関係を中心にチェックしている。今のところ捜査は継続中だ。とはいえ,差し迫った危険が近づいていることは情報からも明らかで,悠長なことはしていられない。捜査員達は,建物を取り囲んで家宅捜査を要求し,さらに容疑者達に外に出るよう呼びかけたが,いずにしろ中からは何の反応も戻ってこなかった。


 トロニアンについて分かっていることだ。彼らはアイダホの分離主義者グループを飛び出し,リーダーのアンドリュー・トローニに従って,ここへやってきた。正式な名前は「トローニの子供達」とかいうらしく,彼のことを,すべてを知る導師とも預言者ともみなしている。やつらがここに姿を見せたのは3年ほど前で,かなりの補修が必要な古いアパートを現金で購入し,一緒くたになってやってきた。彼らはいつも3人以上のグループで外出し,部外者の侵入を拒んでいる。


 彼らのすべての行動はトローニの命令によるものであり,したがって,我々が話をしなくちゃならないのは彼ということになる。とはいえ,彼は決して外へ出ようとしないので,こちらが中に入って探すしかない。グループは,強力な自己防衛能力が必要だと心から信じており,その主義が変化したと考えるべき理由は何もない。強い抵抗が予想され,たとえ銃を持たない信者でも,なかなか投降しないことに驚かないことだ。相手がメンバーの子供達であろうと,注意を怠るな。

 トロニアンが引っ越してくるまで,建物は普通の造りのアパートだったが,おそらく彼らは内部を改造しただろう。各階の見取り図が頼りだ。不意打ちに気を付けろ。やつらの爆発物には,なんの予防措置も講じられていないはずだ。不注意な銃弾が予想外の犠牲を生むかもしれないので,そのことを考えに入れて装備を選択しろ。



・ヒュン・ジュン・パークの救助
・混乱の収拾
・民間人の安全

 オーライ,諸君,国際的事件が転がり込んできたぞ。ヒュン・ジュン・パークは韓国の外交官だ。今日の早い時間帯,彼はレストランにいたところを6人の武装犯に襲撃された。ガードマンが彼を助け出すことに成功したものの,パーク氏は銃撃で傷を負った。襲撃者は最初の攻撃で逃げ,パーク氏は緊急処置のため聖マイケル・センターに搬送された。病院の安全を確保する時間がなかったので,ガードマンはパーク氏と一緒に救急病棟に入った。


 パーク氏は韓国大使館に派遣された高級官僚であり,南北統一について今次の話し合いが行なわれているここ2日間,国連で演説した。パーク氏は平和的統一推進派の重要人物であり,韓国派遣団の意見を代表する人物でもある。我々は,今回の襲撃が彼の政治的立場によって起きたと思っているが,事件の背後にいかなる人物がいるのかは分からない。それが誰であるにせよ,襲撃者達は完全武装しており統率が取れていた。しかも襲われた場所は,彼の公式日程表には載っていなかったのだ。

 現在,聖マイケルは武装犯の一団に襲撃されている。たぶん,今朝パーク氏を襲ったのと同じ連中だろう。彼らは十分に武装し,自分らのターゲットを見つけ出すため,まっしぐらに病院に入ってきた。犯人らは人質を取るつもりがなく,それゆえ病院内での彼らの攻撃はすさまじい。突入地点を選べ。装備を整えろ。突入だ。



・ハデオン・コシュカの中立化
・クラーク・ジェニングスと合流
・混乱の収拾
・民間人の安全

 OCCB(組織犯罪監視局)が,我々のために仕事をしてくれたぞ。彼らは1年近く,町にあふれる違法銃器を追ってきたが,ついに逮捕に踏み切れる決定的な証拠をつかんだのだ。容疑者の名前はハデオン・コシュカ。ウクライナ人で,しばしば合衆国を訪れている。彼の来訪と,裏通りに流れるロシア製火器の増加は,ぴったり一致する。


 今夜はラッキー・ナイトだ。潜入捜査官クラーク・ジェニングスは2か月かけてコシュカの商売に潜り込んできた。先ほど,彼はOCCBに連絡を取り,会合の場所と時間を伝えてきた。今夜,ブレイクストーン通り1302の廃墟となった住居で,でかい取り引きがあるのだ。ジェニングス刑事が取り引き相手を確認し次第,すぐに我々に知らせる手はずになっている。だが,その知らせはごく短いものだろうから,我々には手入れのためにATF(連邦アルコール・タバコ・火器取締局)へ連絡を入れている時間がない。厳密にいうと武器の闇取り引きはATFの管轄だが,今夜の件に限っては,我々はうまい時間にうまい場所にいるわけだ。彼らではなく,我々が仕事をする。


 背景説明を少ししよう。ソビエト連邦は大量の武器を保管し,各地にある軍事基地を運営していた。ソ連崩壊後,それらの武器は破棄されたか,あるいは"消えた"。合法であれ非合法であれ,武器取り引きは地域経済にとって重要な収入源になっており,当局はそれらの取り締まりに対する複雑な事情を持っている。つまり,そうした武器が町に流れ込むのを阻止できるかどうかは我々次第,ということだ。


 取り引きの場所であるブレイクストーン通り1302は,廃棄された元のHUD(連邦住宅都市開発省)ビルだ。細かい見取り図は得られなかったが,だいたいの概略図なら手に入れた。ジェンキンス刑事に感謝しろ。コシュカは,バイヤー達と一緒に武器の置いてある部屋にいるはずだ。大きな金のかかった仕事なので,双方,護衛を連れているだろう。ビルの中,あるいは外にいるのは,武装した危険な犯人達だと思え。ジェニングス刑事もいるはずだが,我々が状況を完全にコントロールするまで,その素性がバレるわけにはいかない。よって,彼の存在には注意が必要だ。目標を頭に入れろ。装備を選べ。準備はいいか。



・ジェームス・ベッチンコートJr.の救助
・ローレンス・アダムスの救助
・混乱の収拾
・民間人の安全

 オーケイ,みんな,こいつはまるで動物園だ。しかも,事態がよくなる気配はまるでない。民兵組織である自称「アメリカ・ナウ」が,不動産業者ジェームス・ベッチンコートJr.と,建設業者のローレンス・アダムスを人質に取った。どうやら,二人が現在工事中であるオールド・グラナイト・ホテルに立ち寄り,アダムスの仕事ぶりを視察しているときに襲われたと見られる。現在,容疑者達はホテルの上2階分を占拠し,身代金として1200万ドルを真夜中までに持ってくるように要求している。彼らによると,この金はベッチンコート・インベストメントが負うべき"アメリカの人民に対する負債の払い戻し"らしい。


 アメリカ・ナウは,規模は小さいが活発な国内の非合法武装民兵組織だ。彼らは凶暴な孤立主義者であり,移民,自由貿易,海外資本に強く反対している。最近の活動は,もっぱら外国資本の所有する建物に対して行なわれ,建設段階でのサボタージュ活動,あるいは深刻な器物破損活動を通じて,それらの建物を維持する費用を高騰させようというものだ。今回は,彼らが起こした初めての誘拐事件であり,もしかしたら彼らの戦略は変化したのかもしれない。この種の事件に対する世間の注目を得るため,彼らは宣伝にも関心がある。我々はメディアと話し合って協力の約束を取り付けたが,それもいつまで持つか分からない。

 アメリカ・ナウの連中は十分に武装しているだろうし,彼らはグループで行動する。だが,人質を取った経験はなく,そのことがヤツら自身と人質の状況をさらに危険なものにしている。細心の注意を払え。


 さて,人質についてだ。ジェームス・ベッチンコートJr.はフランスに本拠を置く不動産開発会社,ベッチンコート・インベストメントの主要なオーナーであり,CEOの息子だ。6か月前,彼の会社は1200万ドルの負債を出して倒産したオールド・グラナイト・ホテルを購入し,それ以来,改装工事を続けている。Jr.は改装工事の責任者であり,犯人に捕まったときも工事の視察中だった。建築士のローレンス・アダムスはホテルの仕事を請け負っており,改装工事の責任者だった。

 犯人達はホテルの上層2階,6階と7階にいる。ボードに設計図があるはずだ。我々がエレベーターの電源を切ったため,犯人のうち一人が5階と6階の間に閉じ込められている。突入には,階段を昇っても,エレベーターシャフトを降りてもいい。さきほど,7階から銃声が聞こえたという報告があった。仕事の時間だ。



・シオドア・スタージョン博士の救助
・ジーン・トゥルファンの中立化
・ブリーフケースの回収
・混乱の収拾
・民間人の安全

 もし諸君が「信仰の軍隊」(Army of Faith)の名前を聞いたことがないなら,いい機会だぞ。20時を少し過ぎたとき,ヤツらの一団が,マウント・スレッショルドにあるホロジェン研究所に押し入った。そこはマウント・スレッショルド大学の関連施設だ。2台のパトカーが警報に対応して緊急出動し,活動家達を建物に追い込んだ。残念ながら,遅くまで働いていた研究者や大学院生達までも,彼らと一緒に閉じ込められてしまった。容疑者達はすでに「喜んで殉教者になる」と宣言した声明文を発表しており,我々は「彼らが何より殉教者になることを望んでいる」と信ずべき根拠を持っている。こいつは非常にデリケートな状況であり,最悪の事態を迎える可能性がある。


 信仰の軍隊についてだ。彼らは2年ほど前から活動しており,幹細胞とクローン技術を研究する施設はどこでも爆破される可能性がある,と宣言している。彼らのことを,ただのイカれた連中だと思うのは間違いだ。何を信じているにせよ,彼らはまた十分に武装し,十分に訓練され,そのうえ,大義に喜んで身を捧げる。彼らは幹細胞とクローン技術,両分野の先進的な研究者に向けて殺害を予告した脅迫状を送り──そして実行した。彼らが侵入した研究施設は,一つではない。


 我々は,彼らの目的がホロジェンを短時間のうちに襲撃し,大きな打撃を与えることにあったと考えている。しかしながら,大学の警察がそばにあり,すばやく対応した警察が彼らを追い詰めた。状況はいまだに錯綜しており,我々は何人の民間人が中にいるのかも分からないし,犯人の数についても,大雑把にしか推測できない。

 ホロジェンはDNAクローンの研究を活発に行なっており,それが犯人達のターゲットになった理由だろう。犯人達を率いているのはジーン・トゥルファンという男だ。彼は,信仰の軍隊の主要な活動家のうちの一人で,中絶クリニックを爆破した容疑で手配され,地下に潜ったあと,信仰の軍隊と共に再び姿を現わした。我々は,彼と一緒にいる武装犯達の正確な人数を掴んでいない。だが,目撃者の証言によると7人か8人だ。


 信仰の軍隊が最初にやったことの一つが,保安システムの解除であり,そのため我々は中に何人の民間人がいるのか分からない。今のところ,容疑者達は人質の名前を一人だけ挙げている。シオドア・スタージョン博士だ。ホロジェンの指導的な研究者であり,彼は今,容疑者達の手によって,切迫した状況に置かれていると思われる。いつものように,諸君の最優先事項は,博士とほかの民間人達を安全に建物から救出することだ。さらに,スタージョン博士のブリーフケースにも注意を払ってくれ。ケースの中には,世界中の研究者の連絡先を書いた書類が入っているのだ。彼らの手に落ちれば,それらは狩猟シーズンの開幕を告げるものになるだろう。場所と敵の状況を頭に入れろ。慎重に装備を選べ。突入だ。困難は多いぞ。



■■松本隆一(ライター/学生)■■
昨年に引き続き,今年のE3にも4Gamerスタッフとして参加した松本氏。とにかく"バトルフィールドシリーズ"が好きで好きでたまらない松本氏は,4GamerのE3取材は血が出るほどキツいと知っているにも関わらず,「バトルフィールド2」のために自ら志願。しかし今年もめっぽう忙しく,BF2の試遊台を何度も目の前にしながら,とうとう満足には触れられずじまい。無駄な血を流す結果となった。
タイトル SWAT4 日本語版
開発元 Irrational Games 発売元 ライブドア
発売日 2005/08/05 価格 7980円(税込)
 
動作環境 Windows Me/2000/XP,PentiumIII/1GHz以上(Pentium4/2.4GHz以上推奨),メモリ 512MB以上(1GB以上推奨),HDD空き容量 2GB以上,VRAM 64MB以上(128MB以上推奨)のビデオカード,DirectX 9以降

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