― 連載 ―

コサックスII 大陸軍の軌跡
国家別データ&解説:前編

 各プレイモードについて一通り解説し終えたところで,本連載の最後に,登場する全6か国の解説とユニットのデータ集をお届けする。マニュアルに記載されていない数値や効果についても言及するので,ぜひプレイの参考にしてほしい。
 今回お届けするのはフランス,オーストリア,プロシアの3か国家。ユニットデータの各項目の意味は以下のとおりだ。

 

育成に必要な金の量
育成に必要な木の量
育成に必要な食料の量
育成に必要な鉄の量
ライフ いわゆるヘルス値。これが0になるとユニットは死亡する
訓練 育成時間
弾薬 射撃一発あたりで消費する石炭の量
追加 経験を積むごとに得られる乱戦攻撃力アップのボーナス値
乱戦 乱戦攻撃力
射撃 所持している銃の火力
フランス:ゲームの標準ゆえ,際立った特徴を欠く

てき弾兵の本領は乱戦能力の高さ。敵がむやみに突っ込んでこられないという意味で,抑止効果抜群だ

 しょっぱなから恐縮だが,このゲームの主役であるはずのフランスは,実のところあまり強くない。6か国の中で"標準"と位置づけられているために特徴に乏しく,はっきりした長所がないのである。やはり,優秀な指揮官がいてこそのフランスの強さということだろうか。
 ただしユニットの種類が多いので,プレイスタイルに合わせていろいろな戦略を採れるという楽しみはある。

 

ユニット:オーソドックスな兵種が豊富に用意される

 国民軍,フュージリア兵,選抜歩兵,てき弾兵と,強くなるにつれて当然ながらコストが高くなっていく。内政の規模に応じて,上位のユニットを使っていくようにしたい。
 国民軍は,まず序盤しか使わないとして,残りの3種類,つまりフュージリア,選抜歩兵,てき弾兵のうち,どの歩兵を使うか。六つのポイントに沿って,優劣を整理しておこう。

 

●育成スピード: 選抜歩兵>フュージリア兵>てき弾兵
●育成コスト(安い順): フュージリア兵>選抜歩兵>てき弾兵
●射撃コスト(安い順): 選抜歩兵>フュージリア兵>てき弾兵
●乱戦能力: てき弾兵>フュージリア兵>選抜歩兵
●射撃能力: 選抜歩兵>フュージリア兵=てき弾兵
●疲労に対する強さ: てき弾兵=選抜歩兵>フュージリア兵

 

 てき弾兵に関しては,名前の由来であるてき弾を使って,建物を破壊できるという点も重要だ。
 どのユニットにも得手不得手があることが分かるだろうか。とりあえずオールマイティなのはてき弾兵だが,コストがかさむのが難点。とくに射撃コストが一発あたり10というのは高い。
 騎兵や大砲と組み合わせるという前提ならば,選抜歩兵が最もコストパフォーマンスが高い。乱戦は騎兵に任せ,建物破壊は大砲がやってくれるならば,選抜歩兵の一番の強みである射撃能力が生かせるからだ。

カラビニエ騎兵は高いライフ値と乱戦能力に加え,銃に対する耐性を持つという,最強の騎兵だ

 騎兵は8種類も用意されている。それぞれに特徴はあるものの,ことごとく高価なので,実際どれを使うかはまずはコストと相談ということになる。軽騎兵と重騎兵の差についてはこの連載の第2回で述べたので,それ以外のポイントについて考えてみよう。
 軽騎兵のうち,まず目を引くのは「槍騎兵」だ。射撃能力を持たず,育成には木と食料を使う。鉄や金を使わずに育成できるのはメリットだが,鉄は騎兵育成以外にあまり使わない資源なので,有り難さは微妙なところ。中盤まではむしろ木のほうが足りないくらいであり,コスト構造がほかの騎兵と異なる点には注意が必要だ。
 射撃能力がないということは,乱戦だけで敵の隊形を崩さなければならないということだ。敵に方陣隊形をとられてしまうと,単独ではほぼお手上げなので,ほかの射撃ユニットとの連携が必須となる。
 「フザール騎兵」が装備している散弾銃は,火力こそ15と小さいものの命中率が高く,敵の士気に与える影響は通常の銃より高いようだ。しかし,その点を買ったとしても育成コストや弾薬コストが高く,猟騎兵と比べた場合に,あえてフザール騎兵を使うほどの魅力は感じられない。
 また「マムルーク騎兵」はエジプトの"純正"マムルークに比べて弱く,個人的には使う価値なしと判断している。

 重騎兵4種類は竜騎兵,胸甲騎兵,騎馬てき弾兵,カラビニエ騎兵の順に,コストに比例して強くなっていくというイメージだ。このうち,胸甲騎兵とカラビニエ騎兵には銃に対する防御力が15ある。なお,胸甲騎兵とマムルーク騎兵は二丁拳銃である(コラム参照)。

 

コラム:二丁拳銃の秘密

拳銃は威力が弱いので,至近距離からでないと効果がない。威力を最大限に発揮するため,射撃は乱戦に入って,完全に敵と接してからでもよいだろう

 胸甲騎兵(フランス,オーストリア,プロシア,ロシア)とマムルーク騎兵(エジプト,フランス)は,ほかのユニットと比べてひときわ小さい銃を持っている。射程もかなり狭いが,これは実は二丁の拳銃であり,1回のリロードで2発続けて撃てる。さらにうまいことに,この拳銃は移動中でもリロードできるのだ。ほかのユニットでは,リロードのために立ち止まる必要があるため,一発撃ってしまったらいったん離脱しなければならない。しかし胸甲騎兵やマムルーク騎兵なら,戦っている途中であれ移動中であれ,リロードされるのだ。

 

 

 だが,いかに強いといっても,このゲームはユニットの数を揃えてこそ,という側面が強い。するとやはり,重騎兵の中では一番育成時間の短い竜騎兵が,一番使い勝手がよいということになるだろう。

 

内政:高価な騎兵を活用するには終盤まで拡大を

 フランスの内政については,第7回のクイックバトルの項で述べたのでここでは深く立ち入らない。強いて挙げるとすれば,フランスにはコストの高いエリート騎兵が何種かあるので,それらを使おうと考えるなら,終盤にいたっても内政をどんどん拡大していくことに留意したい,ということだ。

 

歩兵

 ライフ訓練弾薬追加乱戦射撃
国民軍 55100101005100
フュージリア兵 205100205510100
選抜歩兵 501210015205130
てき弾兵 90121003010520100
猟歩兵 10020100605005200
工兵 15 50510010010010100

 

騎兵

 ライフ訓練弾薬追加乱戦射撃
猟騎兵  606025012015014150
槍騎兵 20060 2509001014 
フザール騎兵  1001003001603001715
マムルーク騎兵60 20020040026015020100
竜騎兵  10010030016015017150
胸甲騎兵60 10010030020015020100
騎馬てき弾兵40 20020030020015020200
カラビニエ騎兵100 32030040026015025150
オーストリア:内政の利で弱兵を克服したい

 A地点とB地点は方陣で防御しつつ,C地点に徹底して主力部隊を送り続ける。内政の基盤が固まったら,てき弾兵と竜騎兵の生産を開始したいところ。左右から回り込んで包囲し,C地点の中心にある金産出居留地を占領する。

 

ユニット:乱戦に強い歩兵の欠如を射撃で補う

てき弾兵の乱戦能力10は頼りないが,旗手を加えて横隊形で守備モードを取れば合計20となり,多少はしのげるようになる

 フランスとほぼ同じ種類のユニットが揃っているものの,エリート騎兵のみ欠けたラインナップである。
 ただし異なる部分ももちろんあって,フランスと一番大きく違うのがてき弾兵だ。コストが低く,育成が早い代わりに,乱戦攻撃力が低い。乱戦能力はフュージリアと同等で,ほかに白兵戦に秀でた歩兵がいないのである。

 実のところ,これはかなり痛い。フランス,イギリス,プロシアなどのてき弾兵は乱戦攻撃力が20を超えるので,倍以上の差があることになる。これらの国の軍隊に弱みを突かれて,繰り返し乱戦に持ち込まれる展開になったら,かなり苦しい。
 対策としては,守備モードを活用して防御力を高め,敵を待ち伏せるようにすること,攻撃方法は射撃主体にすることが考えられる。そうなると必然的に,国境警備兵が脚光を浴びる。
 また,獲得経験値に応じて乱戦能力が高まっていく特徴を活かし,槍騎兵に経験を積ませて強化するのもいい。
 騎兵はフランスのものとほぼ同種だが,「重竜騎兵」(フランスでいうと竜騎兵の役目を果たす)は育成コストの高さが気になる。フランスにおいて,竜騎兵はお勧めの騎兵だが,オーストリアでは残念ながらそうならない。歩兵の乱戦の弱さを補う意味でも,槍騎兵や胸甲騎兵を使いたいところだ。

 

内政:市場を早期に建設し,スタートダッシュを

 傾向はフランスとよく似ている。ただし,細かい点だがオーストリアの「町の公会堂」はサイズが大きいことに注意したい。
 町の公会堂の破壊は,クイックバトルの勝利条件となっているので,2個目,3個目の町の公会堂をどこに建設するかは重要なポイントになる。本作では建物を建設する場所の確保がシビアで,サイズの大きい建物はかなり広い平地がないと建てられない。あらかじめマップを偵察し,公会堂の建設予定地をあらかじめ確保しておきたい。

 

 ところで,国家ごとの内政の差異を考えるときにポイントとなるのは,

 (1)建物の建設コストの違い

 (2)建物を建設できる順番

 

オーストリアの建物の大きさや市場建設の早さは,前作でもおなじみ。コサックスIIではちょっとしたところに前作のテイストが

 という2点だ。(1)はもちろん重要だが,(2)に関してはあまり差となって現れてこないことが多い。例えばフランスで騎兵育成所を作るには,町の公会堂 → 歩兵育成所 → 研究開発施設 → 騎兵育成所という段階を踏む必要があるのに対し,オーストリアならば町の公会堂 → 騎兵育成所と,すぐに建設できる。
 だが,どうせプレイ序盤から騎兵育成所がフル稼働することはまずないので,実際のところ問題にならない差異なのだ。
 ただ,オーストリアは最速で市場を建設できるという点は覚えておいてもいいかもしれない。ゲームがスタートしたら町の公会堂と倉庫を建設し,あとは200の石を集めるだけで市場を建設できる。鉄と石炭は序盤ほとんど使わないので,それらを売って木や石や食料に交換すればスタートダッシュが可能だ。

 

歩兵

 ライフ訓練弾薬追加乱戦射撃
国土防衛兵  57100101005100
フュージリア兵  205100205510100
国境警備兵  501210015205130
てき弾兵  5071002010510100
猟歩兵  10020100605005200
工兵15 50510010010010100

 

騎兵

 ライフ訓練弾薬追加乱戦射撃
軽竜騎兵  606025012015014150
槍騎兵 20040 2509001014 
フザール騎兵  1001003001603001715
重竜騎兵  10016030016015017150
胸甲騎兵60 10010030020015020100
プロシア:コスト面,歩兵とのバランス面で騎兵の国

 騎兵の国である。騎兵育成所の建設コストが低いだけでなく,個々の騎兵の育成コストも低い。また,すべての騎兵に経験値による追加ダメージが付加されているのも,大きなメリットだ。
 だが,安いといってもそこはやはり騎兵なので,歩兵に比べればコストはかさむ。騎兵の大量育成と内政とのバランスをとれる,熟練者向けの国家といえるだろう。

 

ユニット:低コストの騎兵,やや使いづらい歩兵

プロシアで重要なのは騎兵。3部隊程度をまとめて運用すると,歩兵隊形との兵力差が補えて,バランスがとれる

 まず歩兵についてだが,てき弾兵に関してはフランスと同じでほぼ問題ないものの,マスケット銃兵と「黒い軍団」の使い分けが難しい。
 マスケット銃兵はフランスでいうと国民軍に当たるユニットだ。よってさっさと卒業し,より上位の歩兵に切り替えていきたいところ。そうなると使うべきは黒い軍団ということになる。
 黒い軍団はフュージリア兵と選抜歩兵の両方の属性を持っており,士気も高い優秀なユニットなのだが,育成に金2がかかるのが難点だ。1部隊=120人作ると,金240も使ってしまうことになる。
 宮殿が建つまで金は貴重な資源であり,黒い軍団の育成にえんえんと金を消費していると,いつまで経っても金が溜まらないという事態にもなる。
 結論として,宮殿ができるまでは黒い軍団を育成するのは得策ではない。だがマスケット銃兵で他国の上位歩兵とわたりあうのは心もとない……というジレンマを抱え込む。

 そこで騎兵の役割が重要になってくる。プロシアの騎兵は能力こそ他国のものと同等だが,全騎兵とも経験を積んで乱戦攻撃力を伸ばしていくのが特徴だ。
 そして,なんといっても猟騎兵の食料40,鉄40という育成コストの安さが目を引く。中盤まではこのユニットを主力とし,数にものをいわせて主導権を握ろう。
 フザール騎兵は他国よりコストが低く,しかも経験による乱戦能力上昇のボーナスがついているので,魅力的なユニットになっている。コストは猟騎兵の倍だが,使い捨てにせずじっくり経験を積ませて育てていけるなら,使う価値は十分にあるだろう。
 ちなみにプロシアの胸甲騎兵は,他国の胸甲騎兵と違って銃に対する防御を持っていないので弱く,あまり使う意味がない。

 

コラム:銃防御を持つユニット

エジプトのヤタガン戦士が横隊形で守備モードを取ると,銃に対する防御が55にもなり,多少の射撃ではびくともしなくなる。マッラーを帯同させればさらに鉄壁になる

本作におけるユニットの防御力は,素の状態では0で,隊形を組むと+3,旗手を組み入れるとさらに+2,そのほかの守備モードをとることによって防御力アップ,となっている。しかし例外があり,表面上のデータ数値には表れないが,胸甲騎兵(フランス,オーストリア,ロシア)とカラビニエ騎兵(フランス)および「ヤタガン戦士」(エジプト)の3種類は,銃に対する防御力が15ある。120人の隊形からの銃撃を浴びた場合,単純計算で120×15=1800ものライフ値がセーブされることになる。これは胸甲騎兵でいうと6騎分にもなるので,かなり大きいといえよう。

 

 

内政:騎兵を量産するための国力涵養

 プロシアにおいては,いかにして内政を拡大しつつ,騎兵の量産体制を維持するかがポイントになる。まずはプロシアの騎兵育成所の安さを見ておこう。

 

騎兵育成所(プロシア)の建設コスト

 
1個目850100100
2個目4250500500
3個目2125025002500

 

騎兵育成所(プロシア以外)の建設コスト

 
1個目1500300
2個目60001200
3個目240004800

 

プロシアの住居は3種類。同じ種類のものは建てるごとにコストが上がっていくので,安いものをバランスよく建てたい

 上に示したとおり,金のコストが約半分である。プロシアなら,かなり早い時期に騎兵育成所が2個作れるので,猟騎兵の育成に必要な食料と鉄の居留地を,優先して確保/維持しよう。
 なお,プロシアでは"住宅事情"がほかの国と異なる。ほかの国には120名収容可能な「住居」と,240名収容可能な「大型住居」の2種類がある(それに加えて町の公会堂が240名収容)が,プロシアでは次のように3種類の住居が存在する。

 

 住居……120名収容(研究開発施設が必要)

 大型住居……120名収容(騎兵育成所が必要)

 大型住居……180名収容(宮殿が必要)

 

 これに加えて,歩兵育成所自体も240名の収容能力を持っている。町の公会堂(240名)と合わせると,住宅の役割を果たす施設が5種類もあることになる。コストあたりで見た場合に,他国に比べて人口上限が有利ということはないが,序盤〜中盤にかけて余裕があるのは確か。これはプロシアにとって大きなメリットだ。

 

歩兵

 ライフ訓練弾薬追加乱戦射撃
マスケット銃兵  123100101005100
黒い軍団2 555100202510100
てき弾兵  100101003010520100
猟歩兵  10020100605005200
工兵15 50510010010010100

 

騎兵

 ライフ訓練弾薬追加乱戦射撃
猟騎兵  404025012015114150
フザール騎兵  80803001603041715
竜騎兵  8012030016015217150
胸甲騎兵50 10010030020015220100
騎馬衛兵65 28025040026015425150
■■Sluta(ライター)■■
 4Gamerレビューコンテスト大賞受賞者にして,"コサックスシリーズ"のベテランプレイヤー。今回いつになく原稿の完成が遅れたので,理由を聞いてみると,「Age of Empires III」のデモ版にハマっていたとのこと。「コサックスII」が扱う年数はわずか15年ほどであって,両者のプレイ内容はかなり異なるわけだが,RTSプレイヤーとしてチェックせざるを得ないのはよく分かる。……ともあれ,よろしくお願いしますね(笑)。
タイトル Best Selection of GAMES コサックスII〜皇帝ナポレオン〜
開発元 GSC Game World 発売元 ズー
発売日 2006/10/13 価格 3990円(税込)
 
動作環境 N/A

(C) 2005 CDV Software Entertainment AG. All rights reserved. CDV, the CDV logo and Cossacks II - Napoleonic Wars are either registered trademarks or trademarks of CDV Software Entertainment AG or GSC Game World in the US and/or UK and/or other countries.