主人公とそれを取り巻くキャラクターの交流が,魔法店経営の合間にイベントとして展開される"リトル・ウィッチ パルフェシリーズ"。物語のノリは"男性も読める少女マンガ"といった感じだろうか |
さて今回は,2005年3月25日に発売された,工画堂スタジオの「リトル・ウィッチ パルフェ コンプリートパック」を取り上げる。魔法アイテム店経営ゲーム"リトル・ウィッチ パルフェシリーズ"4作に,ファンディスク「パルフェ ふぁんBOX」を加えた,統合リパッケージ版だ。
シリーズ第1作の発売が1999年4月,最も新しい「パルフェ ふぁんBOX」でも2000年9月と,しばらく前の作品ではあるが,「こちら」の記事でお知らせしたように,これらの世界観を引き継ぐRPG作品「イアルサーガ ミマナの導き」が今年(2005年)に発売される。"予習"を兼ねてプレイしてみるのも面白いかもしれない。
「エンジェリック・コンサート」「AS〜エンジェリックセレナーデ」,そしてこの連載でも取り上げた「シンフォニック=レイン」の世界観とは微妙に重なっているフシもあり,その意味で"リトルウィッチ・パルフェシリーズ"は「くろねこさんちーむ」作品の原点として興味深い。
一見するとほのぼの系だが,なかなか油断のならないストーリーを秘めたシリーズ作品達を紹介していこう。
シリーズ第1作の発売が1999年4月,最も新しい「パルフェ ふぁんBOX」でも2000年9月と,しばらく前の作品ではあるが,「こちら」の記事でお知らせしたように,これらの世界観を引き継ぐRPG作品「イアルサーガ ミマナの導き」が今年(2005年)に発売される。"予習"を兼ねてプレイしてみるのも面白いかもしれない。
「エンジェリック・コンサート」「AS〜エンジェリックセレナーデ」,そしてこの連載でも取り上げた「シンフォニック=レイン」の世界観とは微妙に重なっているフシもあり,その意味で"リトルウィッチ・パルフェシリーズ"は「くろねこさんちーむ」作品の原点として興味深い。
一見するとほのぼの系だが,なかなか油断のならないストーリーを秘めたシリーズ作品達を紹介していこう。
かなり絵柄の異なる「お花畑のフローレ」の画面。これは噴水広場でフローレがレネットに出逢うイベント。しかし,「お花娘」という呼び方はなんかアタマ悪そうでいやだなあ |
続くLWレネットでは,パルフェのライバル役である少女レネットが,同じ時期にトラブルで作った借金を返済すべく実家の「スマイル魔法店」を切り盛りする。……まあ,要するに同じシステム/シチュエーションを使ったシリーズ作品である。
パルフェの友人フローレが主人公となるお花畑のフローレは,前述の2作品から3年ほど前を舞台に,妖精さんの頼みで花を育てるゲームだ。プレイアビリティの観点で言うと,これがいちばんやり込み要素に富んだ作品だったりする。
そして最後のパルフェ2では,シリーズで初めて男性キャラが主人公になった。先行作品とはかなりストーリー内容が異なるにもかかわらず,なぜかこの男性もまた多額の借金を抱えており,それを返済するために黒猫魔法店に居候してお金を稼ぐことになる。
シリーズの登場キャラクターについて整理すると,明るく元気で健気な女の子パルフェ,パルフェをライバル視する強気の優等生レネット,おとなしく病弱なパルフェの親友フローレ,レネットの妹でその言動が周囲を引っ掻き回すココットという,4大列強が覇権を争うほのぼの世界だ。
パルフェ2ではこれにゲストヒロインのルティルが加わる。自分を「ボク」と呼び,歌が好きで感情の起伏に富んだ少女だが,いかにもワケありげな風情である。さらに,なぜか主人公を敵とつけ狙うネコミミ娘ライナも登場する。
お約束ついでに主人公について触れておくと,大怪我/記憶喪失状態でパルフェに助けられてゲーム世界に登場という,たいへんポピュラーな技を披露する。あっちのキャラこっちのキャラに引きずられつつも,彼の自分探しがストーリーの原動力になるのは必然的帰結といえようか。
パルフェ2以外の作品で展開されるストーリーは,主人公とその周辺で起こるエピソードを中心としたほのぼのとしたもの。まあ,サブキャラがパルフェを見るときの視線が,女の子同士にありがちなベタベタした友情と解釈するには熱っぽすぎたりして,いろいろ物議を醸した作品群でもあるわけだが。
それに対してパルフェ2では,序盤こそほのぼのストーリーが展開するものの,途中から話が大きくなり,主人公は世界を救うために戦いはじめる。それはいいんだけど,借金のほうも忘れずにね,という感じである。
まあ世の中では,学ラン着た中学生が喧嘩ボクシングを始めたはずなのに,気づいたらバックに星雲を背負ってギリシアの神々と闘っていたり,中国の奥地で陽気に武道を修行中のしっぽのある人が,いつの間にやら星間戦争の矢面に立ってたりするので,そう驚くべきでもないか。国産ファンタジー作品らしく気軽に世界の運命を巻き添えにしつつも,とりあえず前作との間でストーリーが破綻していない点は誉めるべきだろう。
パルフェ=シュクレール
魔法使い見習いの14歳(第1作時点)の女の子。母親が遺した黒猫魔法店を一人で切り盛りする,ちょっとドジだが元気で健気な主人公。魔法薬の調合に失敗して爆発するイベントがあるのはお約束だ。頭の大きなリボンが感情にリンクしており,場面に応じて形を変えるのは説明するまでもない。落ち込んだりもしたけど元気なわけです,はい。(CV:古山きみこ。現:こやまきみこ) |
フローレ=ミルフィア
パルフェの親友の女の子。花を愛する,病弱でおとなしい子という設定だが,主演作お花畑のフローレでは,花の種を探してさまざまな場所に出没,そのときの無理が後年に祟ったのであろうか。病弱キャラとして何度か死にかけたり,捨て鉢な気持ちでふさぎ込んだりするのも,たいへん恐縮だが彼女の仕事である。(CV:三五美奈子) |
レネット=キルシュ
パルフェをライバル視する,自称天才魔法少女。勝ち気で何かにつけてパルフェに突っかかるが,実はパルフェのことが……という,これまた分かりやすい役どころの人である。主演作LWレネットでは,魔法薬の調合に失敗し,爆発で父親の大事な壺を壊してしまったのがお金を稼ぐ理由となっている。お花畑のフローレでは,フローレに何かと厳しい言葉を浴びせるが,無理をするフローレの体を心配してのこと,らしい。(CV:水樹奈々) |
ココット=キルシュ
レネットの2歳下の妹で,明るく無邪気な女の子。レネットと一緒に実家のスマイル魔法店を切り盛りしており,もっぱら店番を務める看板娘的な存在だ。場の空気を読まない無邪気な発言で周囲をかき回して去ってゆく「笑顔の小悪魔」な一面を持ち,とくにパルフェ2では主人公を冷やかすことに自らのアイデンティティを賭けているようだ。(CV:水橋かおり) |
ルティル=エル=サーレ
パルフェ2に登場する快活なゲストヒロインで,一人称が男性形のいわゆる「ボクっ娘」。森の泉で水浴びしているところを通りがかった主人公に見られるという,古典的パターンで作品にデビューする。週に3日はパン屋でアルバイトをしており,そのほかの日には森の泉で会える。別の国から来たらしいということになっているが,もちろんタダ者ではない。(CV:堀江由衣) |
ライナ=フォーゼル
パルフェ2に登場し,主人公を姉の仇と狙うネコミミ娘。故郷の村を主人公ともう一人の男が襲い,その際に姉を殺されたという。記憶喪失の主人公にはもちろん覚えがなく,とにかく逃げ回るが,そのうち誤解が解け,なぜか黒猫魔法店に居候することに。このキャラの場合ネコミミとの組み合わせでポイントになるのはもちろんCVキャストである。CVネタのパロディエピソードもあるので,ピンとくる人は探してみよう。(CV:真田アサミ) |
アイテムを店に並べて販売する。店のどこに何を置くかが売り上げに関わるポイントだ。陳列場所の変更は開店中にはできないので,開店前の朝か閉店後の夜に行う必要がある |
いっぽうお店でのアイテムの売れ行きには陳列方法が影響する。おすすめ商品や目玉商品として割り引きすれば買う客は増えるし,愛用者が増えれば,通常の価格でもよく売れるようになる。街の広場にある掲示板などを参照して売れ筋商品を掴み,その中でも利益率の高い商品に力を入れるなど,考える要素は多い。
とはいえ全体的な難度はそれほどでもなく,いったんコツさえ掴めば目標金額の達成はそう難しくないだろう。
いっぽうお花畑のフローレは,まったくシステムの異なる花の栽培ゲームである。森で採取したり,ほかの人から入手したりした種や球根を花壇に植え,育った苗を街の各所に植えていくのだが,与える肥料や水の量などを調整しないとよく育たないし,それぞれの花が持つ属性と植える場所が合わないと,やはり育ちが悪くなる。これらを考えたうえで花を育ててゆく必要があるのだ。
新しいアイテムや種/球根を物々交換で手に入れるというルールも独特だ。これをうまくやらないと手に入らないアイテムもがあるので,気をつけたい。
お花畑のフローレのエンディングは,純粋に目標を達成できたか否かにかかっている。アドベンチャー部分はあくまでお楽しみ要素に留まるので,プレイヤーは目標達成に向けて,とにかく考えうる手を打っていけばよい。
それに対してシリーズ他作品は,ストーリーが主,プレイ要素が従となっている。基本的な目標は借金返済であるはずなのだが,ゲームの終わりは"誰々エンディング"を明確に意識するタイプのアドベンチャーになっており,借金なんぞは途中で関係なくなってしまうルートが少なからず存在する。まあ,キャラクターゲームらしいといえばらしいのだが。
工画堂スタジオのキャラクターゲーム展開の原点になった本シリーズは,少々ブッ飛び気味のストーリー展開を奥に隠した,油断のならない作品群である。イアルサーガを待つ間,丹念にエンディングコレクションに努めてみると面白いかもしれない。