― 連載 ―

カジュアルゲーム

連載第4回 ゴルトモ

 カジュアルゲームを「オコチャマ向け」とは呼ばせない! 大人もしっかり楽しめるカジュアルゲーの,真の魅力を掘り起こしてみせる。……と宣言したものの,筆者自身の実年齢と精神年齢にだいぶギャップがあったせいか,第1回〜3回で取り上げたタイトルは,やや若者寄り。ここいらで一つ,お仕事帰りのお父さんや家事で多忙なお母さん向きの,大人のためのゴルフゲーム「ゴルトモ」を紹介しよう。

 

 ゴルトモのゲームシステム自体は,いたってオーソドックス。使用キャラクターを決めたなら,あとは三つのゲームモード(後述)からプレイしたいモードを選ぶだけだ。5人用意されているキャラクターは,1アカウント1キャラしか使用できないといった制限はなく,有料キャラクターも今(9月26日現在)のところいない。また本作では,日本に実在する70のゴルフコースを,忠実に再現して収録している。

 

 インタフェースは従来のゴルフゲームとほぼ変わらない。ゴルフボールの上にマウスカーソルを合わせると,打った場合の弾道が表示されるので,左右にスライドさせてショットの方向を決定。その後ボールをクリックし,「ショットゲージ」の上を動くカーソルが,任意の場所(ショットのパワーを決定する)に来たら再度クリック。さらにもう一度「インパクトゾーン」にカーソルが差し掛かったところで3回めのクリック(ショットの正確さを決定する)をするだけである。

 

 しかしゴルトモ最大の魅力は,そういった操作のシンプルさではなく,なんといってもオンラインゲームでありながら,「リアルタイム対戦ではない」ところだといえるだろう。対戦相手はゴルトモに登録している“誰かさん”のデータからランダムに選ばれる,プレイデータ・マッチング方式を採用している。深夜だろうが平日昼間だろうが,遊び相手が見つからないという悩みとは無縁だ。
 さらに自分のターンであれば,いつでもゲームを途中終了できるのも,忙しい大人にはもってこいのシステムだろう。1ホール目開始直後に電話が……となっても心配いらない。そのままゲームを中断すれば,いつでも好きなときに再スタートできるのだ。

 

 もう一つ,ゴルトモの重要な機能として「glog」がある。glogは,ゴルトモの登録ユーザーが閲覧できる,SNS(ソーシャルネットワークサービス)のこと。単に日誌を書くだけのツールではなく,ゴルトモと連動しているのが大きな特徴。各ゲームモードでの対戦結果(スコア表)は自動的に記録され,ロングパットを決めた瞬間やパー以下でカップインしたときの画像なども勝手に撮影して,glog上に自動で掲載してくれるのだ。
 「フレンド対戦」モードで特定のプレイヤーと対戦したい場合,事前にglogを通してフレンド登録が必要となるので,気になるglogを見かけたら,思い切って「友達から始めてください!」と申請してみよう。

 

 

キャラクター紹介

 今のところキャラクター本体はすべて無料。有料アイテムには「フェイス」「ヘアスタイル」「トップス」「ボトムス」「足・脚」「手・腕」「アクセサリ」といったカテゴリがあり,それぞれ多数のアイテムが用意されている。
 やっぱりなんといっても,着せ替えの楽しさ(とくに女の子キャラ)は別格! というわけで全キャラのコーディネート例をズラリと掲載してみた。当然,水着パターンもセットで!

 

ユウキ

 

アイ

 

グレース

 

ゴードン

 

キョウカ

 

本来ゴルフは紳士のスポーツ。襟付きのシャツでなければ,参加を認められないはずなのだが……。何この水着+プリーツスカート+ニーソックスの組み合わせは。しかも可愛いし

ゲームモード

 ゴルトモで現在実装されているゲームモードは,「ポイントバトル」「ストローク」「フレンド対戦」の3種類と,開催期間中のみ選択できる「公式大会」が用意されている。今後,これに「コンペ」が追加される予定だ。

 

・ポイントバトル

 ポイントバトルは3ホールごとに異なるコース,対戦者がランダムに割り当てられ,ヴィクトリーポイント(VP)の合計で勝敗を争う,シングルプレイモードだ。いろいろな人(のデータ)と3ホールずつ対戦できるので,気軽に遊ぶにはピッタリのゲームモード。プレイするごとに友達も増やしていける。

 

一打ごとに「フェアウェイキープ」「ニアピン」などの判定が下り,VPを獲得。何打でカップインしたかでもVPは変わり,そのホールで勝利すればボーナスポイントも獲得 3ホール終了後はスコア差のボーナスポイントなども加算した,合計ポイントによって勝者が決まる。終わるとすぐ次の対戦者が登場するが,ここでやめても記録は自動的に保存される

 

・ストローク

 こちらは通常のゴルフと同様,普通に18ホール回ってスコアを争うモード。コース研究のために一人でプレイしてもよし,最大3人のプレイヤーを追加してもよし。このとき,対戦相手の設定をオート(ほかのプレイヤーのデータ)かマニュアル(ホットシート)から選べる。

 

70種類あるコースは最初からすべて遊べるわけではなく,この「ストローク」で少しずつアンロックしていく必要がある。じっくり腰を据えて遊ぶゲームモードだ

 

・フレンド対戦

 フレンド登録した友人一覧から相手を選び,1対1で対戦を行うモード。任意の相手と対戦したいなら,このゲームモードだ。
 フレンドがいなくても,公式大会の上位3名と対戦可能なシステムが現在は実装されている。ただし,当然かなりの強敵だ。

 

対決

 そしていよいよ今週も,対決の時間がやってきた。今回の敵は4Gamer編集部一のオヤジ……ではなく,お父さん世代代表,松本隆一氏(47歳)である。この業界の長い松本氏は,ゴルトモの原点ともいえるゴルフゲーム「遥かなるオーガスタ」関連の記事を,17年ほど前に某誌で書いていたほどのベテラン。
 Kawamura氏からは「今回はオヤジ対決ということで,勝ったほうが真のオヤジです」などと,わけの分からないことを言われていたが,それより松本氏はもう忘れてしまっただろうか? 初めて筆者と顔合わせしたあの日のことを。
 「ザ・シムズ2」連載では幸せの青い鳥を求め続け,連載の出だしはいつも「独身」を強調。そんな松本氏の熱烈なファンであった筆者は,大変緊張しながら編集部を訪問し,思い切って挨拶代わりに名刺と愛の告白を差し出したのだ。

 

「松本さん,嫁にもらってください!」(※注:本当に言った)
「……」

 

 松本氏は黙って筆者の名刺を受け取り,そのまま背を向けて編集部に戻っていったのである。ちょっと,乙女の心を傷つけておいて,そのままでいられると思ってんですか,松本さん?

 

麻生ちはや
負け続きでご機嫌斜めなフリーライター。今回のゴルトモはゴルフ世代の松本氏が相手ということもあり,本番まで丸々1週間,毎日5時間ずつゴルトモをやり込んだので,負ける気がしない。……と言いながら,過去2戦も勝算は十分にあったにもかかわらず負けている

松本隆一
PCゲーム業界に足を踏み入れてから(途中,学生に戻ったりしつつ),18年が経とうとしているベテラン編集者。「遥かなるオーガスタ」と同系のゴルフゲーム「ベブルビーチの波濤」開発時には,なんとT&Eソフトに同行してベブルビーチ現地を訪れたこともある

 

 

まずは松本氏のダミーデータと対戦。チップインイーグルなど奇跡のプレイを連発し,「−7」を叩き出す。このときの松本氏のスコアは「+2」だったが,これは勝負とは関係なし。おそらく,本戦では手ごわい結果を出してくるに違いない

 勝負は「フレンド対戦」で,まず筆者が松本氏の適当な過去データと対戦して,対決用のプレイデータを作成。続いて,そのデータと松本氏が対戦したスコアが今回の勝敗を決める。もしスコアが引き分けだった場合,Kawamura氏が最終ジャッジを下すとのこと。なお,提出するスコアは両者とも1戦めのものに限定し,やり直しは認めないルールだ。
 ここで筆者は自らのポケットマネーで,アバターアイテムの購入をコソコソ開始。スコアで引き分けになってしまった場合,少しでも可愛らしいアバターならば判定に有利に働くのでは? という姑息な考えによるものだ。何度もしつこく本連載で言っているように,勝てばよいのだ,勝てば。

 

松本氏は,グレースに「白シャツ+白ビキニ」という,自分の趣味をストレートに丸出しの衣装で挑戦してきた。うぐぐ,これでは引き分けた場合の「コスチュームで印象を良くする作戦」も,向こうに軍配が……

 さっそく松本氏をフレンド登録し,「松本隆子」(仮名)とフレンド対戦。決戦の場は「つつじケ丘カントリークラブ」だ。どういうわけか,ロングチップインでイーグルを決めるなど,奇跡のプレイを連発した筆者は,−7でラウンドを終了した。今度は,このプレイデータと松本氏が対戦する。筆者としては,あとは待つだけだ。
 ……遅い,遅すぎる。筆者が18ホールを回った倍以上の時間が経過したのに,まだ松本氏から結果が伝えられない。結局,数時間後に送られてきたスコア表を見てみると「+4」という,ちょっぴりお粗末なスコアが。なんでも松本氏はゴルフゲームがからっきしで,バンカーからバンカーへ打ち込んだり,SWで森を越えようとしてOBだったりと,ド素人っぷりを発揮。ベブルビーチに実際に行ってきたんじゃないんですか……?

 

 そうそう,「真のオヤジ」の称号をもらいました。

 

結局ボギー,ダブルボギー連発で「+4」という結果の松本氏。プレイにえらく時間がかかっていたのは,単に下手だからなんですね……。というわけで,「対決」は2勝2敗となりました

 

 

 

■■麻生ちはや(ライター・お姉さん)■■
「松本はかつて,某誌でオーガスタ関連の別冊ふろくを作ってたらしいですよ」「T&Eソフトの取材でべブルビーチにも行ったそうですよ」などといった情報を次々と吹き込まれ,すっかり松本を強敵だと思ってしまった麻生氏は,毎日何時間も熱心に練習。一方の松本は「もともとゴルフゲームはからっきし」だそうで,編集部内でギャラリーを沸かせたのは衣装選びのときだけ,という体たらくであった。
タイトル ゴルトモ
開発元 ティーアンドイーソフト 発売元 デジタルゴルフ
発売日 2006/08/01 価格 無料(アイテム課金制)
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9.0c以上),CPU:Pentium III/1GHz以上(Pentium 4/2GHz以上推奨),メインメモリ:256MB以上(512MB以上推奨),グラフィックスチップ:GeForce 2 MX以上(GeForce 4 Ti以上推奨) ,グラフィックスメモリ:32MB以上(64MB以上推奨)

(C)DIGITAL GOLF Inc.


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http://www.4gamer.net/weekly/casualgame/004/casualgame_004.shtml