― 連載 ―

カジュアルゲーム

カジュアルゲームを定義してみる

 担当編集者のドイツ行きで,何やらバタバタと慌しく始まった本連載。第1回では実に偉そうに「時代はカジュアルゲーム」などと述べているが,第2回ではさらに偉そうに,この記事におけるカジュアルゲームの定義なぞを語ってみようと思う。
 一言でまとめるならば,カジュアルゲームとは「老若男女に愛されるゲーム」なのだが,ちょっとまとめすぎなので,もう少し解説すると以下の4点がポイントとなる。

  • 見ただけですぐ分かる簡単なインタフェース
  • シンプルだが,どこかやり込み要素のあるゲーム性
  • いつでもやめられるシステム(区切りの良さ)
  • 対戦(コミュニティ)の輪の中に入りやすい

 カジュアルゲームに分類されないタイトルにも,上記の一つないしは二つを満たしているものは数多くあるが,四つすべてとなるとやはり少ない。FPSは,シンプルだが熱くなれるゲーム性と,1試合が短い(場合によっては数分)という区切りの良さを持っているが,少人数のチーム戦などで,プレイヤースキルが伴わない初心者には入りづらい閉鎖性を感じることも多い。
 一方で,コミュニケーションやコミュニティ性が高いライト系MMORPGは,この点をクリアしているものの,ミッションに参加すると途中で急な用事が発生しても,ほかのメンバーに迷惑をかけるから抜けると言い出せない……といった,気軽なオン/オフが難しい面も持ち合わせている。
 そんなわけで,好きなときに接続できて,ちょこっと息抜き程度に楽しめて,キャラクターレベルやプレイヤースキルが低くても気にせず楽しめるカジュアルゲームは,忙しい現代人にピッタンコだ! とカジュアル姉さんこと筆者は主張したいわけだ。

連載第2回 R2BEAT

 今回はNeowiz Japanが運営する,「音ゲー」と「レースゲー」を融合させたカジュアルゲーム「R2BEAT」を紹介しよう。
 インラインスケートをはいた男女のキャラクターが,直線コースを爆走しながら障害物をよけたり,アイテムを獲得したりすることでメロディが流れるという,従来の音ゲーにはなかったスタイルが同タイトルの特徴であり,魅力となっている。レース中の操作は「カーソルキー」と「Ctrlキー」の2種類だけ。そのほかはすべて,マウスのみで対応できる。

 キャラクターはアニメ調の男女どちらかを最初に選択。顔や髪型はこの時点では変更できず,お洒落や個性を楽しみたければ,ゲーム内通貨を貯めてアイテムショップで購入する。このR2BEAT,韓国版ではただの白いシャツに黒い短パンというスタイルがデフォルトなのに,日本版はいったいどこのターゲット層に合わせたのか,女の子キャラクターは体操着+ブルマというスタイルなのだ。
 現実世界では今や絶滅寸前のこのアイテム,筆者が小中学生のときには当たり前のように着用しており,思わず郷愁を覚えてしまった。結構好きだったんですよね……ブルマ姿。まぁ中にはブルマに嫌な思い出があるプレイヤーもいるかもしれないので,そんな人はさっさとRコインを貯めて,浴衣姿や猫耳娘の着ぐるみに着替えさせてしまおう。

 

1ルームでは6人まで同時にプレイ可能。このルームは個人戦の設定だが,このほか3対3で競うチーム戦も設定できる アイテムは安くても3000コイン程度からと,なかなか値が張る。つい出来心でスクール水着を試着してみたり

 

 音ゲーということで,使用されている楽曲にも注目したい。楽曲データの多くはオリジナルだが,一部では「サポートアーティスト」と呼ばれる,レーベルから提供された楽曲や,クラシック音楽のリミックスもあり,その種類は豊富だ。
 トラック(マップ)もほんわか田園風景から,学校の廊下,ピンクにまみれた桜並木など,選択肢は幅広いので,気分とレベルに合わせてプレイが楽しめるのもR2BEATの魅力といえよう。操作がまだおぼつかない初心者にオススメしたいのが,クラシック音楽「愛の挨拶」をアレンジしたもの。誰もが一度は耳にしたことがある馴染みやすいメロディで,「超高速」に設定してもプレイしやすく,いい練習になるだろう。

 

 

キャラクター紹介

これが男女各キャラクターの初期衣装だ。初心者が集う部屋ではアバターアイテムにお金をかける人は少なく,全員同じ顔でブルマ姿のキャラクターがずらりと並ぶ光景は,なかなか……迫力ですよ

ゲームモード

ミッションは挑戦できるレベルが決まっており,チャンネルの中には規定ミッションをクリアした後でなければ,入室できないものもある

 R2BEATではレベルが上がると挑戦できる「ミッションモード」や,一人で徹底練習したいプレイヤーのための「一人で遊ぶ」モードなども用意されているが,基本は「アイテム戦」および「スピード戦」で,ほかのプレイヤーと争うことになる。

 「アイテム戦」ではコース途中に落ちている「?」をゲットすると,ランダムでアイテムを一つ入手できる。Ctrlキーを押すことで入手したアイテムの効果が発動するのだが,ライバルの動きを封じるお邪魔アイテムだったり,お邪魔アイテムの効果を打ち消す防御アイテム,逆にブーストをかけてくれるサポート系アイテムだったりと,何が出るかは取ってみなければ分からない。お邪魔アイテムには,スピードを極端に落とす「タートル」や,音楽を聞こえなくしてしまう「妨害電波」,相手を凍らせる「アイスロック」などの種類があり,使われると実に腹立たしい……。
 このアイテムだが,一度に1個しか持てず,次の「?」を入手した時点で上書きされてしまうので,手に入れたら躊躇せずさっさと使ってしまおう。ただし,アイテムショップで購入できる「ペット」を装着していれば,一度に2個まで所持可能になる。

 

巨大ゴリラが地面を踏みつけることで地震のように画面が揺れ,障害物をよけるタイミング計れなくなる妨害アイテム「地震」 音楽が聞こえなくなる「妨害電波」。リズム感がゼロに等しく,音に頼らない筆者の場合,くらってもあまり被害はないのだが 一定時間,障害物の回避とアイテムの入手を自動で行ってくれる「オートプレイ」。頭上のバーで,残り時間が表示される

 

 「スピード戦」は,上記のようなアイテムが存在せず,ひたすら障害物を避ける正確さとタイミング,そしてタイムだけを競うシンプルなモードだ。コンボが40個溜まると,一定時間猛スピードで走れる「ブースター」が使える……らしいのだが。すみません,40もコンボを成功させたことがないので,そのありがたみは分かりませんでした!

リズムに乗って走ろう

 コンボの最高記録が16という,プレイヤースキル皆無な筆者だが,気にせずレース攻略のコツを語らせていただこう。余談ではあるが,上級プレイヤーになると142コンボとか,とても人間技とは思えない数字を叩き出す。
 ただ画面上を流れる音符を見つめ,タイミングよくキーを押せばいい従来の音ゲーと異なり,R2BEATでは障害物に乗っかったり,ジャンプして避けたりといったアクション性も多少含まれている。障害物に乗る瞬間に加えて,降りるときのタイミングも重要なのだ。慣れないうちは指を離すタイミングがつかめず,せっかく順調だった走りが途切れがちなのだが,そんなときは画面中央に現れる「リズムボール」に注目。黄色いリズムボールが中央ではじける瞬間が,ベストタイミングの指針になっているので,カンだけに頼らず,リズムボールを見つめていれば,たいていの障害物は綺麗にクリアできるだろう。
 まああとは,目で見たコースに指の動きを素早く合わせられるか次第なので,「最近物忘れが激しい」などという人には,脳の活性化を兼ねて(?)ぜひプレイしてほしいところだ。

対決

 さてさて,仕事も兼ねてR2BEATをほぼ毎日プレイし続けた筆者。その鍛え抜いたテクニックを駆使して,今回もドイツから無茶な指令を送り続けてきたKawamura氏を叩きのめそうと待ち構えていたのだが……。筆者の前に突き出されたのは,なんと4Gamer編集部のnoguchi氏であった。
 noguchi氏は,自分がなぜこの場に送り込まれたのか分かっておらず,きょとんとした様子だが,実は筆者とnoguchi氏の間には,R2BEATをめぐる深い因縁があるのだ。
 忘れもしない2006年6月10日,東京・秋葉原で開催された同タイトル初のオフラインイベントでは,読者プレゼントを懸けたメディア対抗戦が行われ,筆者は4Gamerではない某メディア代表ライターとして出場。偶然にも隣の席は4Gamer代表のnoguchi氏だったのだが……。
 noguchi氏は何の恨みか,次々とお邪魔アイテムを筆者のキャラクターに投げつけて妨害。結果,noguchi氏はブービー,筆者はビリで読者プレゼントももらえずじまい。挙げ句,某メディア編集長に叱責されるという,オマケまで付いたのだ。

 

麻生ちはや
フリーライター。本連載の執筆者。「読者の共感を得やすい才能を持っている」とそそのかされたが,要はゲームが下手だということである

noguchi
4Gamer編集者。麻生氏と直接の面識はなく,まさか因縁があるとは夢にも思ってなかった様子。本人の知らないうちに恨まれているのが得意そうではある

 

 

noguchi氏いわく「そんなことありましたっけ?」。筆者をボコボコにしたことを本当に少しも覚えていないらしく,こちらの闘志は倍増である

 というわけで,直接言葉を交わしたことすらないnoguchi氏と,因縁のR2BEAT対戦の火蓋が切って落とされた。
 ゲームモードは,かつて屈辱を味わった「アイテム戦」で,曲は「愛の挨拶」,スピードは「超高速」を選択。もちろん,筆者も何の勝算もなしにこの対決に臨んだわけではない。実はnoguchi氏も,Kawamura氏と同様にGCへ旅立っており,試合を申し込んだのはその帰国翌日。疲労でフラフラなnoguchi氏を叩き起こし,しかもゲームに向かないノートPCしか手元にないのを知りつつ,「今日しか対決の時間が取れません」と,強引にプレイさせたのだ。
 時差ボケと疲労とロースペックのPC。この相手に勝てないワケがない。いうまでもなく筆者は,連日連夜同じコース,同じ曲で猛特訓を重ねてきた。その勝負の様子と結果は,画像と共にお伝えしよう。

 

スタート直後なのに,なぜか画面内には筆者しか見えない。いや,よく見れば,はるか先にnoguchi氏のキャラクターが小さく見えるではないか…… 卑怯にも妨害アイテム,タートルを出してきたnoguchi氏。もっと正々堂々,戦いましょうよ! いや,アイテム戦だから別に卑怯じゃないのかもしれない

 

なんと筆者は完走できずじまい。当然,奥の手「3本勝負ですよね?」を使ってみた。疲労の窮みにありながら,断らないnoguchi氏の優しさにつけこんでみる

 ……完敗でした。2戦目はスピード戦で挑戦してみたが,「本当に疲れてるの? それ疲れたふりして騙してない? この試合,無効試合じゃない?」と問い詰めたくなるような華麗な走りで,noguchi氏はほぼノーミスゴール。いやその,もし本当にnoguchi氏が疲れていなかったとしても,別に無効試合となる理由はまったくないのだが。
 「超高速モードなんて初めてやったので,余裕がなくて……手加減とか無理でした」というnoguchi氏。言っていいことと悪いことがあるゾ☆ リベンジどころか逆に完全に打ちのめされ,どこからか聴き覚えのあるクラシックの旋律に乗って,Kawamura氏のいやーな忍び笑いが超高速モードで聞こえてきたのは,果たして幻聴でしょうか……。

 

コース半ばまでは,かなりいい勝負。抜きつ抜かれつで今度はイケル!と思ったんだけどなぁ 二人きりのレースなので負けても2位。無邪気に喜ぶアバターの笑顔が,とても虚しい

 

 

 

■■麻生ちはや(ライター・お姉さん)■■
今回の「因縁」について,noguchi本人はほとんど記憶にないらしい。翌日出社すると,よく分からないまま「R2BEAT」をプレイした気がするんですけど,なんだったんでしょうということであった。結局,数日前から特訓していた麻生氏をコテンパンにした挙句,「で,結局僕は誰と対戦したんですか」とのこと。うーん,頑張れ麻生お姉さん!
タイトル R2BEAT(旧題RnR)
開発元 Seed9 Entertainment 発売元 NeoWiz Japan
発売日 2006/10/15 価格 基本無料(アイテム課金)
 
動作環境 OS:Windows 98/Me/2000/XP(+DirectX 9.0c以上),CPU:Pentium III/500MHz以上[Pentium 4以上推奨],メインメモリ:256MB以上[512MB以上推奨],グラフィックスチップ:GeForce 2またはRadeon 7200以上[GeForce 4またはRadeon 8500以上推奨],グラフィックスメモリ:16MB以上[64MB以上推奨],Windows Meでは動作が不安定になる場合あり

(C)2002-2007 Neowiz Japan Corporation., All rights reserved.
(C)1997-2007 Neowiz Corporation., All rights reserved.
(C)2001-2007 SEED9 Entertainment Inc., All rights reserved.


【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/weekly/casualgame/002/casualgame_002.shtml