― 連載 ―

ハートマン松本7世の全軍突撃!バトルフィールド2142

連載第1回 諸君!氷河期の未来戦士になろうじゃないか!

 未来兵士諸君! これからの時代は未来だ! 現代など,すでに過去のことであり,今や,未来の戦争なのである。諸君は,氷河期の地球に残ったわずかな土地や資源をめぐって,諸君の側の陣営の生き残りを懸けた,食うか食われるか,やるかやられるか,のるかそるかの戦いに身を捧げるのである。気をつけ!

 

 というわけで,新たに始まった金曜日連載は,2006年10月20日に発売されたばかりの人気マルチプレイFPSシリーズ最新作,「バトルフィールド2142」(以下,BF2142)をテーマとして未来の戦争を研究し学習し実践し,勝って勝って勝ちまくり,貧弱な坊やと呼ばれたキミも女の子にモテモテで背もぐんぐん伸びる理想の未来戦士を目指そうというものである。私が未来士官学校教官のハートマン松本7世軍曹だ。よろしくネ。ビシビシしごいて,泣いたり笑ったりできなくしてやるからそのつもりでいろ。
 さて,BF2142といえば,やはり「タイタンモード」である。そして奇しくも,先週までのこの金曜日連載は「Titan Quest」攻略連載だったのである。ぶっちゃけ“タイタンつながり”という意外な理由で小官がひっぱり出されたわけで,しかも,はっきり言ってまだ木曜日である。金曜日連載を木曜日に掲載するとは,まさに未来志向の賜物といえるかもしれないが,責任者出てこい!
 ……などと言ってはいけない。たとえそれが不条理な命令だとしても,黙々とそれに従うのが諸君ら兵士の務めなのである。というわけで,記念すべき連載第一回ということもあり,ついに発売になったBF2142について概略を説明しよう。たとえ知っていることがたくさん出てきても,ここは一応「はあ,そうなんだ」と知らない顔して驚いてくれるのが未来兵士の礼儀と言うものである。なので,耳の穴をかっぽじってよく聞くように。
 また,ご丁寧にも「こちら」にデモ版が掲載されているので,そちらをダウンロードしてプレイしてみるのもいいだろう。なにしろ,古代の伝承にも「百聞は一プレイにしかず」というではないか。

 

未来は寒く,しんどい

未来を舞台にした「バトルフィールド2142」では,高性能ライフルや未来戦闘機,そして2足歩行のバトルウォーカーなどが大活躍するSFになった。今までの常識が通用しない,あっと驚くスタイルの戦争が諸君を待っているのだ

 未来兵士諸君,BF2142は,2002年に発売された「バトルフィールド1942」から連綿と続く伝統と格式を誇る人気シリーズの最新作だ。2年後の2004年にはベトナム戦争を描いた「バトルフィールド ベトナム」が,そして2005年には情け容赦のない現代戦をフィーチャーした「バトルフィールド2」が登場し,さらには2006年に本作と,なんというか,ビッグタイトルの割には(ほぼ)毎年新作が登場し,デベロッパのDigital Illusions Creative Entertainment(D.I.C.E.)も大忙しである。
 途中,コンシューマゲーム機用の「バトルフィールド2 モダンコンバット」なんてのもあったし,現在は次世代機用の「Battlefield: Bad Company」なんかも開発中なので,バトルフィールドのフィールドは順調に広がっているのである。だが,毎年といわず半年にいっぺん,いや,一か月に一本リリースされても本官は大丈夫だと思う。3日じゃ,ちょっとつらいかな。

 

 さて,物忘れの激しい未来兵士諸君のことだから何度も言うが,本作の舞台は2142年である。過去には地球温暖化が危ないと思われていたが,なんと22世紀中盤から地球には氷河期が訪れ,温暖化どころか小職のフトコロ具合同様,すっかり冷え込んだ,というのがごく大雑把な設定である。
 さあ,これで本職も諸君も安心だ。なにしろBF2では,いかなる訳柄でアメリカ軍と中国軍と中東連合が戦っていたのかさっぱり分からなかったが,今回は違う。ちゃんと理由があるのだ。寒いところに行くとすぐに鼻カゼをひいてしまう小職にとって,これはまさに生存を懸けた過酷な戦いである。諸君は地球を二つに分ける陣営,ヨーロッパ連合(EU軍)もしくはアジア連合(PAC軍)に属し,残された可居住地域と資源をめぐり,堂々と雌雄を決することになるのだ。

 

タイタンモード/未来兵器入門

大空に浮かぶ巨大要塞,タイタンを奪い合う「タイタンモード」が新たに導入された。あれを沈めればこちらのチームの勝ちだが,はて? あんなでっかい物,どうやってやっつければいいのだろうか?

 さて,BF2142を特徴づける最も大きなナニは,ナニはともあれ「タイタンモード」であろう。新しいゲームモードとして導入されたこれは,互いの巨大空中要塞タイタンを攻め合い,最初に沈めたほうが勝ちというルールだ。未来兵士諸君も知っているように,タイタンはもともと氷に覆われた地域から人々を乗せて脱出する移民船だったのだが,やがてそれが戦争に使用されるようになり,いろんな武装を施され,やがてシールドが設置され,ついには押しも押されもせぬ主力兵器になったわけだ。
 司令官もこの船に座乗し,難攻不落のこの空中要塞から指揮を下す。ここはまたリスポーンポイントでもあり,さらには武器も出現する手強い相手なのだ。さすが未来だけあって,動力はよく分からないが,船の深奥部には“リアクターコア”(反応炉)があって激しく反応しており,そこから青白い光を放つ神秘的なエンジンに動力を与えている。木の板に樟脳(しょうのう)をくっつけて水に浮かべるとなぜだか前進するので,たぶんその原理を応用しているのではないかと本官はニラんでいるのだが,どうであろうか?
 さて,そんな手強いタイタンを沈めるには……。ふふふ,詳しくは次回,連載第2回のテーマとさせていただこう。諸君の中にはその「リアクターコアが怪しいんじゃないか?」と鋭い読みをしている人もいるだろうが,ぜひ楽しみに待っていていただきたい。

 

 

 未来兵器もまたBF2142最大の楽しみの一つだ。なにしろ未来なので,未来兵器はすごい。BF2142を象徴するアイテムと呼んで誰もさしつかえないであろう2足歩行の兵器“バトルウォーカー”をはじめ,ホバー移動するため操作がやや面倒な戦車“Type 32 Nekomata”,そして空中で静止できる戦闘機“UD-6 Talon”などの大型兵器が戦場を所狭しと駆けまくる。
 歩兵達もまたネットバット(NetBat=Nerwork Battlefield System)という高度なIT装備を身に着け,従来では考えられなかったような多様な情報を入手しつつ,半透明になれるアクティブ・カモフラージュや,兵士の頭上を飛ぶ攻撃ドローンといったハイテク兵器を使いこなさなければならないのだ。
 そこのキミ,私の話を聞いているか? ロボットセントリーが何なのか知らず「おや,これは何かしら?」と近づいて即死してしまったのは私なのだ! いやもう,びっくりしたのなんのって。さらには兵器の動きを一時的に停止させるEMPや,コマンダーの使う軌道砲撃など,知らないと「何が起きたのだろう?」的なアイテムが山盛りであり,したがって,これらの愉快な未来グッズの特性に習熟しなければ戦場で生き残ることは不可能なのだぞ新兵ども。
 前作までは実在する兵器/武器類のアナロジーでだいたい理解できたが,さすがに今回はそうはいかないので,このへんも諸君にみっちり学んでほしいところだ。やがては「実力」だの「戦略眼」だの「チームワーク」だのが勝敗の重要な鍵にはなってくるが,まだ発売後約1か月の現在,アイテムの使用法にとまどっている敵兵も多い様子だ。アンロックしたはいいけど,これなあに,って感じだ。したがって,兵士諸君にはぜひ序盤でつけられるだけ差をつけていただきたい。今のうちだぞ。

 

新たなマップ,新たな戦略

マップに慣れ,正しい戦略を学べば百戦危うからず。司令官の統率の下,一糸乱れぬ戦いを演じた方が,たとえ個人の力量は劣っても勝つ可能性が高い。相手は人間だ。「こうすれば絶対に勝てる」という法則はないのである

 言うまでもなく,戦略関係も大いに変化している。パッと見,リスポーンポイントの圧倒的増加が目に付くところだ。リスポーンポイントは各ミサイルサイロ周辺だけでなく,タイタンそのもの,そして輸送機とAPCがある。これにBF2でおなじみのスクワッドシステムを加えれば,もうマップ中リスポーンし放題といって過言ではない。大げさだが。
 前作までは,各拠点間の移動および制圧の順序が勝敗に大きく影響していたが,BF2142では,「生まれたところがもう激戦地」という局面が多々ある。これはまた部隊が集合しやすいということであり,うかつな場所でヘリから飛び出すなど,ヘタこいて一人でちんたら移動していたら,あっという間に敵に押し込まれると考えていいだろう。従来とは雰囲気の違うスピーディな戦いが各所で発生し,つまりは,未来戦争には未来の戦略が必要なのだ。
 さらに,タイタンモードの場合,どちらかのシールドが破られた場合の人数バランスなども的確に判断しなければならない。地上攻撃とタイタン制圧の兵員配分にしくじると,ほぼ勝っていたのに負けちゃったという事態にも陥りがちであり油断もスキもないのである。前作までに比べ,かなり“ゲーム”としての面白さが増したと言えるかもしれない。

 

美しいグラフィックスで描かれるユニークなマルチプレイFPS,「バトルフィールド2142」。来週も軍曹が新兵諸君をみっちりしごいてくれるはずだ。お楽しみに

 こうした戦略の裏づけとなるのがマップの研究である。マップは全部で10枚用意され,そのうち5枚がタイタンモードに,5枚がコンクエストCo-opに使われる(コンクエストは10枚全部使える)。降りしきる雪や未来感覚あふれる建物などはなかなかいい感じだが,それはともかく,それらのマップに習熟することが連戦連勝の兵士養成に欠かせないのは論を待つまでもあるまい。
 タイタンモードの話だが,コマンダーがタイタンをミサイルサイロの真上に移動させると,直下のサイロの奪取は非常に困難になる。タイタンの備える4基の砲台の弾幕をかいくぐるのは並大抵のことではない。とはいえ,そのサイロの近傍に対空兵器があった場合,今度はタイタンの砲台が危険にさらされる。シールドに覆われてはいるが,砲台だけはむき出しであり,工兵の持つ対戦車兵器でさえ破壊できる(工兵による修理は可能)ほどだ。
 拠点の中には,大型兵器がリスポーンする重要なものや,建物に囲まれて航空機での接近の難しい場所,攻めやすく守りにくいものなど千差万別であることは諸君もよく知っているだろう。こうした知識を必要十分に持っていなければ,広いマップでウロウロしていたら戦争に負けてしまった,となる。これらもいずれみっちり学習するので,覚悟しておくがいい。

 

 というわけで,なぜだか木曜日に始まったこの金曜連載,「全軍突撃! バトルフィールド2142」だが,次回は「タイタン」を大胆に攻めることにする。新兵ども,モタモタしてると,未来戦争が終わっちまうぞ! で,本日は解散!

 

 

 

 欧米では10月17日に発売された「バトルフィールド2142」だが,発売直後からさまざまなフォーラムに「EAのマスターサーバーに入れない」「プレイ中にサーバーから落ちてしまう」という書き込みが見られた。デベロッパのD.I.C.E.およびEAは発売直後からその事実を認識しており,発売の翌日(現地時間)には,Ver 1.01パッチがリリースされている。
 編集部でも同じような症状に悩まされていたが,パッチを適応してみるとあっさり状況は改善された。マルチランゲージ対応のBF2142なので,日本語版へのインストールにも問題はない。「おっかしいなあ」と思っている人はぜひお試しあれ。

 

■■松本隆一(4Gamer編集部/未来教官)■■
前作「バトルフィールド2」でも,鬼教官として連載執筆を担当した松本が,約140年の時を経て未来教官として帰ってきた。今回も相変わらず,「タイタンの真下から運搬車でポッド射出したら船底に激突」「タイタンのゲーセンでバリバリ撃ってたらポッド射出した瞬間の味方を射殺」など,開発者の盲点を突く戦術で味方を次々と窮地に陥れている。
タイトル バトルフィールド2142
開発元 Digital Illusions CE 発売元 エレクトロニック・アーツ
発売日 2006/10/20 価格 オープンプライス
 
動作環境 OS:Windows XP(+DirectX 9.0c以上),CPU:Pentium 4/1.70GHz以上(Pentium 4/3.0GHz以上推奨),メインメモリ:512MB以上(1.5GB以上推奨),グラフィックスメモリ:128MB以上(256MB以上推奨)

(C)2006 Digital Illusions CE AB. All rights reserved. Battlefield 2142 is a trademark of Digital Illusions CE AB. Electronic Arts, EA and the EA logo are trademarks or registered trademarks of Electronic Arts Inc. in the U.S. and/or other countries. SoundBlaster and the X-Fi logo are registered trademarks of Creative Technology Ltd. in the United States and/or other countries


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http://www.4gamer.net/weekly/bf2142/001/bf2142_001.shtml