― 連載 ―

ハートマン松本の全軍突撃! バトルフィールド2
諸君! 基本中の基本だがマップを知らねば勝てないよ

 新兵諸君! いよいよ基本に帰るときがきた。当連載をここまで読破したという諸君らは,すでに良きパイロットであり,良き司令官であり,良き軽度兵器マニアでもあることだろう。だが,それだけじゃ「バトルフィールド2」(以下,BF2)では勝てないのだ。
 諸君はすでに,戦場によって妙に楽勝だったり,かなり頑張ったはずなのに敵にいいようにされてしまったりすることがあるのに気づいているだろう。そのとおりである。いうまでもなくBF2に用意された12枚のマップは,それぞれに特徴があり,それぞれに求められる戦略があり,それぞれに勝ち方というものがある。発売されてはや3か月,各戦場の研究が深まるにつれ,「勝利へのセオリー」というべきものも確立されつつある今日この頃だ。
 そこで,今回はそれぞれのマップについて簡単に解説してみよう。もちろん,ご存じの通りBF2には「必勝法」などというものはない。人間同士の戦いである以上,敵味方兵士の練度,指揮官の力量,参加人数などなどで戦況は千変万化するのだ。解説とはいっても,あくまで一般的な範囲の話であることは,ふふふ,いわずもがなであったろうか?

 ちなみに,今回は32人用マップと64人用マップについてのお話である。16人用はシングルプレイでも遊べるので,だいたいは了解しているものと見なす。気をつけ!

Dalian Plant

 

■32人用マップ:コンクエスト,ヘッドオン

 

 ■64人用マップ:コンクエスト,アサルト

 

 

BF2には,32人用でも64人用でも拠点の数と登場兵器が異なるだけで,面積そのものはほとんど変わらないマップがあるが,この「Dalian Plant」もそうだ。アメリカ軍は沖合に停泊した空母を,中国軍は谷の奥の滑走路を出撃点として戦いが始まる。つまり,まず渡海しなければならないアメリカに比べ,徒歩の移動も可能な中国軍のほうが序盤はやや有利なわけだ。したがって中国軍の基本戦略は,拠点をすべて奪って敵に足がかりを作らせないことになるだろう。とくに海辺の拠点は,アメリカ軍だけが使える戦闘ヘリコプターが現れたり,戦車がリスポーンしたりするので,押さえられるとやっかいだ。アメリカ軍はその逆で,開始と同時にいかに素早く拠点を奪い,それを確保し続けるかが重要になる。中国軍を谷間の拠点に追い詰められれば圧勝間違いなしだが,空母上で飛行機,ヘリ待ちをして無駄に時間を潰している兵士が多すぎるようなら(よく見る光景だ),アメリカ軍は不利になる。

 

Daqing Oilfield

 

■32人用マップ:コンクエスト,ヘッドオン

 

 ■64人用マップ:コンクエスト,ヘッドオン

 

 

低い雲が垂れ込めた薄暗い空が印象的な戦場だ。開始時点で,突撃すべき各拠点はアメリカ軍からやや遠いが,中国軍は出撃拠点と飛行場が離れているため,条件はほぼ同じといっていいだろう。32人用,64人用ともにヘッドオンマップなので,過半数の拠点を占拠することが必要であり,順当にいけば中盤以降は取ったり取られたりの繰り返しになるはずだ。これに疲れて,ことさらに陣地を守ろうとする向きの兵士もいるようだが,「守って勝った軍隊はない」という言葉を忘れてはいけない。コマンダーはこちらの位置を把握できるし,砲撃も可能なので,拠点守備は前作より格段に難しくなっているのだ。積極的に動き回って敵を撃退した側が,より勝利に近づくことになる。「輸送ヘリに分隊を乗せて拠点を占領して回る」という戦術は有効だが,航空機が多数登場するし,戦闘の中心となるであろう石油タンク付近には対空ポストもあるので,ヘリパイロットは慎重な操縦が必要だ。

 

Dragon Valley

 

■32人用マップ:コンクエスト,アサルト

 

 ■64人用マップ:コンクエスト,アサルト

 

 

細長い地形のアサルトマップで,攻撃側のアメリカ軍はゲーム開始時点の拠点を占領されることはないが,守備側の中国軍は全拠点を失陥して全滅する可能性さえある。最も重要な拠点が,谷の最奥部にある飛行場であることは論を待たないだろう。ここを奪われた場合,中国軍は航空機使用が不可能になってしまううえ,飛行中の機体も補給を受けられずにジリ貧状態だ。といって,基地にべったり張り付いていたのでは,ほかの拠点を守れない。このへんがコマンダーの腕の問われるところだろう。アメリカ軍は当然,飛行場を急襲するためのヘリコプターを飛ばすだろうから,64人用の場合,中国側の戦闘機パイロットはそれらの撃墜を最優先する必要がある。敵空母の空爆なんかに血道をあげている場合じゃないのだ。拠点を押さえない限りチケットの減り続けるアメリカ軍には,何よりも速攻が求められる。各拠点間の移動距離が長めなので,分隊システムを積極的に使う必要性がある。

 

FuShe Pass

 

■32人用マップ:コンクエスト,ヘッドオン

 

 ■64人用マップ:コンクエスト,ヘッドオン

 

 

深い谷をめぐる戦いで,高低差が大きく地形が複雑なため,ヘリコプターが重要な役割を果たすことになる。とくに32人用マップには固定翼機が登場しないため,ヘリパイロットの腕前が戦況に反映しやすい。あっという間に開始時の拠点に追い詰められ,手も足も出ない,という状況もよく目にするところだ。道が狭いので,地上の重車両は攻撃ヘリコプターのよい標的になってしまうだろう。序盤はジープによる高速移動も有効で,敵味方,空陸が錯綜したレースが展開されることになるはずだ。したがって,何よりルートを熟知し,無駄の少ない拠点移動を行わなければならない。息を切らして右往左往している兵士は戦力ではないのだ。取れるところを取ったら,中盤は例によって拠点の奪い合いに突入する。地形の関係で兵士がバラけやすいので,集中運用を心がけたいが,状況次第では兵士個人による拠点占領も効果的だ。高い位置にいる狙撃手に注意する必要もあるかも。

 

Songhua Stalemate

 

■32人用マップ:ダブルアサルト

 

 ■64人用マップ:コンクエスト,ヘッドオン

 

 

これは「必勝パターン」がほぼ決まってしまったマップといえる。戦闘機が出ず,対空ポストの数も限られているので,輸送ヘリコプターによる拠点占領が極めて有効なのだ。彼我のパイロットの技量が戦況を決めるといっていいだろう。ヘリパイロットの腕前が同程度だったら,単装の機関銃に優る地上制圧能力を誇るミニガンを搭載したアメリカ側のヘリがやや有利か。むろん機長は分隊長で,修理のための工兵,体力回復のための衛生兵などからなるバランスの良い分隊を搭乗させるべきだ。地上部隊は,拠点の確保をヘリに任せ,ミニガンの苦手とする重車両,あるいは対空ポストに陣取る敵兵士の排除などに専念すべきだ。拠点確保の手間がかからなければ行動の自由度も高くなり,空陸が噛み合えば,全拠点の制圧も可能となる。いずれにせよ,やられる側の歩兵にとって上空から襲う銃弾の嵐はしのぎようがなく,戦意さえ喪失してしまいそうだ。良い策があったら教えていただきたい。

 

Gulf of Oman

 

■32人用マップ:コンクエスト

 

 ■64人用マップ:コンクエスト

 

 

初期配置を見れば分かるように,MEC側のプレーヤーは相当の苦労を強いられるマップだ。アメリカ軍は占領可能な拠点数で上回っているうえ,防空能力に優れ,なおかつ重車両が近づけない空母上から体制を整えて出撃できるのに対し,MECの本拠地である飛行場は,容易に肉薄されてしまうからである。実際これらのハンデは大きく,MECの敗北シーンをしばしば見かけるが,とはいえ,100戦100敗でないのがゲームの面白いところ。敵の行動に統率が取れていなかったり,飛行機待ちの行列ができていたり,コマンダーの判断が悪かったりといろいろ条件はあるだろうが,諦めるのは早いというわけだ。まずはMEC側にしかない戦闘爆撃機を使った航空優勢を目指すのがよろしいかと。敵空母を攻撃しているプレイヤーが多いが,爆弾5発の一斉投下は拠点確保にこそ使いたいところ。次いで重車両の現れる拠点を占領し,地上戦でも優位に立ちたいものだ。

 

Kubra Dam

 

■32人用マップ:コンクエスト,アサルト

 

 ■64人用マップ:コンクエスト,アサルト

 

 

広い戦場に拠点が散在し,道も入り組んでいるので,何かと時間がかかるマップだ。ほぼ中央にある巨大な建設中のダムが,地形をさらに複雑なものにしている。当然ながら,攻撃側のアメリカ軍は素早く展開して拠点を占領することが肝心であり,守備のMEC側はそれをさせないことが基本戦略となる。地上戦に関しては,ルートが限定されているので,部隊を集中させてアメリカ軍の進撃を遅らせることは比較的容易だろう。問題はヘリコプターだが,アメリカ軍は最も重要な拠点である飛行場を狙うケースが多い。むろん,MECの航空機使用を制限するのが目的だ。通常,攻撃側が拠点をいくつか押さえることに成功し,中盤以降,膠着した戦況が続く。一つの拠点をめぐって小規模な戦闘がマップの各所で発生し,地味ながら競り合う展開になりがちだが,うっかりしているとすべての拠点を占領されてMEC全滅,などということも起きる。個々の兵士の的確な判断が重要になるだろう。

 

Mashtuur City

 

■32人用マップ:ダブルアサルト

 

 ■64人用マップ:コンクエスト,ヘッドオン

 

 

前述の「Songhua Stalemate」と同様,「輸送ヘリコプターによる拠点占領」が勝ちパターンとして定着したマップだ。このマップも輸送ヘリコプター以外の航空機が登場しないため,結果としてヘリコプターをうまく使ったほうが勝利を収めることになる。個人携行の対空ミサイルぐらいゲームに欲しいところだが,今はせいぜい対戦車兵のロケットを当てるぐらいしかできない。敵勢力のヘリコプターがリスポーンする拠点を,占領してしまう作戦もある程度の効果はあるが,それもヘリコプターで簡単に取り返されてしまうだろう。地上部隊は,戦車などの重車両を盾にして,上空を常に気にしつつ戦わなければならない。と,脅かしちゃったけど,まあ,必ずしも常に敵のヘリパイロットが上手いというわけでもないし,飛んでいるものは,いつかは撃ち落される。あきらめずに動き続け,拠点制圧を目指していれば,愁眉を開く機会もあるだろう。それにしてもちょっとバランスがねぇ……,という気もしないでもない。

 

Operation Clean Sweep

 

■32人用マップ:アサルト

 

 ■64人用マップ:アサルト

 

 

一見すると「Gulf of Oman」のように,海の向こうに占領不能の基地を持つアメリカ軍のほうが有利に思えるかもしれない。だが,決定的な違いは「攻撃側が,島嶼部に拠点を持っていない」ということだ。アメリカ軍は,何はともあれ渡海して島のどこかに拠点を築かなければならないのだが,海峡は見晴らしが良く,接近してくるボート,APC,ヘリコプターなどはすぐに発見されてしまう。海に向かって戦車,対空車両などを並べれば撃退は容易だろう。MEC側の戦闘ヘリコプター,戦闘爆撃機のパイロットの腕が良い場合,地上部隊は来ない敵を待って退屈な時間を過ごす場合さえある。アメリカ軍は自陣から最も近い岬にある拠点を攻めがちだが,重要なのはやはり飛行場,およびヘリポートのある拠点だろう。ともかく足がかりを確保しないと,互角の戦いさえ挑めないのだ。成功率はさほど高くないが,MEC軍が海を渡り,敵の航空機を奪い取るという作戦もたまに見られる。

 

Sharqi Peninsula

 

■32人用マップ:コンクエスト,アサルト

 

 ■64人用マップ:コンクエスト,アサルト

 

 

攻撃側のMEC軍は戦場の外に3か所の占領不能の拠点を持ち,どこからでも攻め込める。そのため有利に見えるが,結果は必ずしもその通りではない。とくに中央の建築現場がやっかいで,拠点占領には白兵をもって当たるしかないのだが,アメリカ軍拠点間の距離がそれほど遠くないため,すぐに応援が来て撃退されてしまうのだ。MECが重要目標とすべきは,やはりテレビ局だろう。ここを押さえればやっかいなコブラ戦闘ヘリコプターの登場を止められるし,戦車も得られる。当然ながら,守備側にとっても最重要なので,この建物の所有は二転三転するはずだ。狭い市街の戦いは歩兵が主役。分隊システムを活用して着実に拠点制圧を繰り返していった側が有利になる。輸送ヘリコプターが出てこないのが歩兵にとって安心材料か。建築現場の高いクレーンの上に狙撃手が陣取ることも多いが,まあ,狙撃で戦争に勝てるわけではないので,気をつける程度でかまわないかも。

 

Strike at Karkand

 

■32人用マップ:コンクエスト,アサルト

 

 ■64人用マップ:コンクエスト,アサルト

 

 

航空機のまったく出てこない唯一のマップで,けっこう評判が良い。中には「このマップしかやらない」というサーバーもあるほどだ。「バトルフィールド1942」を思わせる歩兵同士の激しい戦いを楽しめるのが人気の理由だろう。アメリカ軍は力攻あるのみで,銃を撃ち,グレネードを投げ,通りを駆け抜け,拠点を一つ一つ占領していくしかない。MEC軍は,波のように押し寄せる敵を跳ね退け,市内に入れないことが重要だ。重車両も出てくるが,戦車やAPCの苦手な市街戦なので,うっかりしていると即座に対戦車ロケットの餌食となってしまうだろう。守備側はどうしても兵力が分散しがちなため,とくに64人用マップでは,運河にかかる橋の左右で拠点を分け合うという形になることが多い。一つの橋をめぐって,敵味方入り乱れた映画のような激戦が繰り広げられ,これは確かに興奮するシーン。ただし,エキサイトし過ぎたときに起きやすいチームキルには気をつけてちょうだいね。

 

Zatar Wetlands

 

■32人用マップ:コンクエスト,ヘッドオン

 

 ■64人用マップ:コンクエスト,ヘッドオン

 

 

湿地帯の中,三つの土地が水に囲まれている。そのため水陸両用のAPC以外,地上部隊は必ず橋を渡らなければならず,おのずと攻略ルートが決まってしまう。また視界が利くため,こっそり進撃するのも困難という,やっかいな戦場だ。例によって,序盤はヘリによる拠点の取り合いになるだろう。64人用の場合,アメリカ側は空母と陸上に占領不可能の拠点を持つが,空母にリスポーンして飛行機もヘリも出払っている場合,無駄な時間が生じてしまう。バランス感覚が必要である。中盤以降,戦闘の焦点となるのはもちろん三つの島の拠点だろう。激戦になりやすいが,それより問題なのはリスポーンする兵器の少なさかも知れない。やっとの思いで占領し「さて次」と思ったとき,たいしたものが出てこないのだ。乗っていた車両を戦闘で失うのはありがちなこと。とはいえ,歩くには広すぎる。かくして部隊はバラけ,各拠点で少人数の兵士の小競り合いが続くことになるだろう。

 

■■松本隆一(ライター/学生/教官)■■
新兵達に訓練過程を無事修了させ,ほっと一安心のハートマン松本教官。あとは情緒不安定な太めの兵士にトイレで撃ち殺されるのを残すのみとなった。2005年は「スプリンターセル パンドラトゥモロー 完全日本語版」「SWAT 4」「Grand Theft Auto:San Andreas」そして今回の「バトルフィールド2」と,精力的に週刊連載を執筆し続けてきた松本教官だが,「疲れた」ということで,しばらく充電期間に入る模様。休息が1週間になるか半年になるかは不明だが,とりあえず松本教官の次回作をお楽しみに。
タイトル バトルフィールド 2
開発元 Digital Illusions CE 発売元 エレクトロニック・アーツ
発売日 2005/07/07 価格 オープンプライス
 
動作環境 OS:Windows XP(+DirectX 9.0c以上),CPU:Pentium 4/1.70GHz以上(Pentium 4/2.40GHz以上推奨),メインメモリ:512MB以上(1GB以上推奨),グラフィックスメモリ:128MB以上(256MB以上推奨)

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