思えば2004年秋には「DOOM 3」「ハーフライフ 2」というFPS界のビッグ2が立て続けにリリースされ,シューター達の歓喜の悲鳴と銃声が世界中に響き渡った。
そして2005年秋,再び世界はシューター達の嬉しすぎる悲鳴と銃声に包まれる! 10月11日に欧米で「Serious Sam 2」が発売されたのを皮切りに,10月18日には「Quake 4」と「F.E.A.R.」が,そして10月25日には「Call of Duty 2」が発売。シューターにとっては,天国とも地獄ともつかない大変なお祭り騒ぎである。ワッショイワッショイ!
「Quake 4」
|
「F.E.A.R.」
|
「Call of Duty 2」
|
「Serious Sam 2」
|
しかし筋金入りのシューターならいざ知らず,4本もFPSが出たところで「全部同じに見える」というFPS初心者も少なからずいることだろう。本連載では,この四大FPSの発売を記念し,それぞれの個性と魅力を初心者にも分かりやすくお教えしていく。どれが自分に一番ピッタリな作品かを見極めて,ぜひこの世界的なFPS祭りに参加してほしい。
第1回は,日本でも10月21日にライブドアから発売された「F.E.A.R.」だ。この「F.E.A.R.」は,"エイリアンvs.プレデター"シリーズや"ノーワン リブズ フォーエバー"シリーズなど,むしろコアゲーマーによる評価が高い,通好みのFPS作りで知られる,Monolith Productionsが開発したオリジナル作品。E3 2004で初お目見えして以来,鼻の利くFPSファンの間でずっと注目されてきたタイトルだ。
当初より話題になっていた,クールな特殊部隊シューティングと,謎の少女に代表される心霊ホラーの融合。「無理じゃん?」というのが大方の予想だった(と思われる)が,「F.E.A.R.」は違和感なくやってのけた。「敵が出てきたら撃つ」を繰り返すだけの,単調になりがちなFPSのシングルプレイ。そのところどころに意味深な怪奇現象を散りばめることで,大げさなムービーシーンをそれほど挿入せずとも,常にストーリーが進行している感覚が保たれるのだ。あと,怖い。
ホラー要素と共に当初から話題になっていた,次世代を予感させる美しいグラフィックス。光と影を多用した演出,生々しい質感溢れるテクスチャなど,「現在ダントツNo.1」とは言わないまでも,トップタイぐらいの実力を誇っている。1シーンに登場するオブジェクトも結構多いため,グラフィックスカードだけでなくCPUも相応のパワーが必要だ。要求されるPCスペックはかなりぜいたくなものだが,パーツにはお金を惜しまないというハイエンドゲーマーなら,現行作品の実力を知るうえでも最適なタイトルだ。クオリティをぐっと下げることで,割と低スペックPCでもプレイは可能。
何かと分かりやすいウリの多い本作だが,実際にプレイした者だけが知る最大のウリは,銃撃戦の面白さがハンパじゃないところだ。これは主に「Slo-mo」という,時間の流れをスローモーにする機能のおかげ。ここ数年よく見かける"バレットタイム"とほぼ同じだが,使い勝手があまりに良すぎて,気持ちいいのなんの。Slo-mo発動中は銃身がほとんどブレないこともあり,敵の体に吸い込まれるかのように自分のショットが決まっていくのは快感だ。登場するすべての敵をSlo-moで倒したくなるが,ほかのFPSが下手になりそうで心配。
10月25日現在,欧米では発売から1週間が経過したところだが,マルチプレイの盛り上がりはまあまあといったところ。もともとMonolith社にはシングルプレイを重視した作品が多く,「マルチプレイはオマケ」という昔の名残が「F.E.A.R.」にも見られる。特別な何かを期待するのは難しいが,"Slo-mo"を使用できるゲームモードも用意されており,ちょっとしたデスマッチなどを楽しむ分には面白い。
- シングルプレイ優先
- どれ,最先端のFPSってやつを見てやろうか
- とにかく目新しい未知のものが大好き!
- ハイスペックPCで最新グラフィックスを楽しみたい
- 最近の日本のホラー映画は怖くて面白いと思う
第1回「F.E.A.R.」は,読者の心の琴線に触れただろうか。常に良質のFPSを提供してきたMonolith社の中でも,とりわけ評価が高い本作。どこか奇をてらったイメージも若干あるが,実は「ハズレをつかむのは嫌だ!」という人にも間違いなくお勧めできる,正統派の手堅い作品なのである。デモ版もあるので,動作チェックも兼ねて試してもらいたい。なお,ライブドアから日本語版の発売もほぼ決定されているので,ストーリーをより楽しみたい人は,日本語版まで待つのも手か。