グループCに劣らない激戦が予想されているのが,このグループEだ。FIFAランキング15位以内の強豪国が3チームもひしめくこのグループでは,どこが上位2チームに入ることになっても不思議はない。
チェコはチェコスロバキアから独立して以来,初のワールドカップとなる。FIFAランクは2位と高いが,地区予選ではオランダと同じグループに入ってしまい,結果グループ2位となって,ノルウェーとのプレーオフを経ての本大会出場となっている。しかしユーロ2004での準決勝進出など,その実力は折り紙付き。コラーやネドベド,ポボロスキーなどのベテランと,若手がバランスよくミックスされたチーム構成,スーパーゴールキーパーのチェフの活躍などで,ユーロ2004以上の上位進出を狙おう。
かつては「サッカー不毛の地」と呼ばれたアメリカは,前大会ではベスト8に名を連ねるなど,徐々にサッカー大国として育ちつつある。予選ではメキシコを抑えて堂々の首位。残り3試合の時点で余裕の本大会出場を決めた。ビーズリーやドノバンといった若手に加え,マクブライドやレイナらベテラン勢も健在。充実したチーム構成で,日韓大会以上の成績をも挙げられる可能性を秘めている。
現状のFIFAランキングでは,グループ3番手ということになってしまうが,それでもイタリアが世界有数の強豪国であることは,誰の目から見ても疑いようがない。鍵,かんぬきを意味する「カテナチオ」と呼ばれる堅守は現在も健在だが,2004年7月にイタリアの代表監督に指名されたリッピ監督は「守備中心では国際的タイトルは取れない」との考えを示し,イタリアのサッカーを攻撃的なものに大きくシフトさせた。エースのトッティが2月に故障し,どれだけ調子を上げられるのか懸念する声もあるが,FIFA 06では元気なままの彼を操作可能だ。
「黒い星」の愛称で呼ばれるガーナは,ワールドカップ本戦こそ初出場だが,もとよりアフリカ有数の有能なサッカー選手を輩出する国であった。今回のメンバーにもアフリカ史上破格の金額でチェルシーに移籍したエッシェンなど,人材は豊富だ。アフリカNo.1と言われる中盤の安定感で,旋風を巻き起こしたい。
前評判では前大会の優勝国であり,今大会でも優勝候補の筆頭に挙げられるブラジルのグループリーグ突破は,ほぼ間違いないとされている。2004年,2005年と連続でFIFA選出の世界最優秀選手に挙げられたロナウジーニョをはじめ,スター選手が目白押し。大会連続決勝戦進出と優勝5回の実績を誇り,サッカー史上最強のチームとして名高い。FIFA 06で手軽にワールドカップの優勝を味わいたいなら,このチームを選択するのが賢明だろう。
「サムライブルー」こと日本は,3大会連続3度目の本大会出場となる。地区予選では序盤にイランに破れたものの,最大勝ち点18点中15点を挙げて,堂々の首位で突破。開催国として出場し,ベスト16を勝ち取った前大会のメンバーが数多く残っており,とくに中田,中村らを擁する中盤の人材は豊富だ。中盤でボールを回し,ポゼッションを高くして試合を有利に進めれば勝機は見えてくる。ゲームでは久保がスタメンにいて巻がいないなど,現実とは違いがある。こだわる人は要修正だ。
初出場の'98年の大会でいきなり3位となったクロアチアも,日本と同様3大会連続の出場となる。監督の息子である司令塔のクラニツァールを中心に,それぞれのポジションに軸となる選手がおり,地区予選では強豪スウェーデンを抑えての首位で本大会出場を決めている。
前大会では韓国を4位に押し上げた,ヒディンク監督が率いるチームがオーストラリアだ。オーストラリアはなんと32年ぶりの本大会出場となるが,その32年前も奇しくもドイツ大会であった。中心選手の多くがイングランドのプレミアリーグでプレイしており,個々の資質は高い。FIFA 06では監督の力量はゲームに反映されないが,「ヒディンクマジック」に負けない采配を振るって,決勝トーナメント進出を成し遂げたい。
前大会では誰もが予想だにしなかった,無得点でのグループリーグ敗退……そして,今大会の予選でも序盤に苦戦を強いられたのが「レ・ブルー」ことフランスだ。今回,低迷するフランスの起爆剤となったのが,ジダン,マケレレ,チュラムといった,一時は代表を引退していたプレイヤー達の代表復帰。世代交代は未だ進めることができていないフランスだが,往年のスター達を操って上位進出を果たしたい。
アジア圏では最多の本大会出場を誇る「アジアの虎」韓国は,前大会では地の利を活かしてベスト4進出と大健闘を見せた。しかし今大会の予選では予想外の苦戦。サウジアラビアにホーム/アウェーの両方で負けるなど精彩を欠き,結果,地区予選以降で二度の監督交代劇を招いている。フォワードを3人置く攻撃的なサッカーで,敵の守備陣を崩壊させていきたいところだ。
協会が若手の発掘と育成に多くの予算を割いてきたスイスは,現在その努力が実りつつある。2002年U-17欧州選手権で優勝した,そのときのメンバーが代表チームにも名を連ね,ベテランと若手がバランス良く配された好チームに仕上がったのだ。若く野心的なこのチームで,'94年のアメリカ大会のベスト16進出以上の成績を狙っていこう。
前大会では初出場だったセネガルが,フランスを相手に大金星を挙げて勢いをつけたが,そのセネガルを地区予選で退け,今大会に堂々の初出場で臨むのがトーゴだ。名門アーセナルに所属する190センチの巨漢ストライカー,アデバヨールがチームの中心。前大会のセネガルのような旋風を,プレイヤーの腕で巻き起こすことができるだろうか?
バルセロナ,レアル・マドリードといった一流チームを擁する,世界一レベルが高いとされるスペインリーグ。国内で一流の試合を体験できるスペインの選手達が優秀なのは当然のことと思えるが,なぜかスペイン代表はワールドカップでは華やかな成績を残せていない。とはいえ,豊富なタレントを擁し,攻守ともに隙がない。個々の能力は高いので,プレイしやすいチームの一つといえるだろう。
スペインとは逆に,エース級の選手はほとんど見当たらないのがチュニジアである。フランス出身の名匠,ルメール監督の指揮のもと,中盤の組織力と展開力で勝負を懸ける。ブラジル生まれのテクニシャン,サントスを有効に使っていきたい。
サウジアラビアといえば,前大会でドイツ相手に0-8という屈辱的なスコアで敗れ去った試合が印象に強いが,元々は'94年のアメリカ大会でモロッコとベルギーを下し,ノックアウトラウンドに駒を進めるなど,アジア圏の強豪として知られるチーム。2005年アジア年間最優秀選手,モンタシャリを中心としたディフェンス陣をしっかり操作して,失点を確実に防いでいきたい。
'91年にソ連から独立し,今大会で悲願の初出場を勝ち取ったウクライナ。予選では前大会で日本,韓国を敗り,3位となったトルコを抑えて欧州最速での予選通過を果たしている。ウクライナといえば東欧一のストライカー,シェフチェンコの存在が大きい。彼のポテンシャルをプレイヤーが引き出していけば,初出場での初優勝も夢ではないかもしれない。
6月9日の開幕戦から,7月9日に行われる決勝戦までの1か月間,まさに世界中が4年に一度のお祭り騒ぎとなる。テレビで試合を見ているだけでも楽しめるには楽しめるが,FIFA 06があれば,各グループリーグを一通り体験してみたり,6月24日から始まる決勝トーナメントの試合を一足先にシミュレートしてみたりして,より深くW杯に浸れることだろう。
なお,FIFA 06は4月末に発売になったタイトルで,現実の代表メンバーが決定したのはその後なので,選手の編成に若干の違いがある。例えば日本代表で本大会のメンバーに合わせるなら,デフォルトのメンバーから久保と田中誠を外し,巻と茂庭を登録させなければならない。また,イングランドのウォルコットのような,誰もが予想しなかったであろうサプライズメンバーも加えたいなら,プレイヤー自身がオリジナル選手の作成機能を用いて登録する必要がある。少し骨が折れる作業ではあるが,どうせなら凝りに凝ってワールドカップとFIFA 06を楽しみ尽くしたいものだ。
おそらくは最も熱くサッカーゲームを楽しめる,貴重な1か月間。ぜひこの機会を存分に満喫してほしい。