特集 : 三國志 Onlineインタビュー

「三國志 Online」コーエーがノウハウ/技術を結集して作る新作MMORPGは,つまり,どんなゲームなのか?プロデューサー&ゲームプランナーに独占インタビュー

Text by 星原昭典 Photo by kiki 

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ゲーム内容・ダンジョン

4Gamer:
 ダンジョンはインスタンスですか?

上野氏:
 はい。「牛魔王倒しに行くぞ!」となって,行ってみたらもう倒されていた,というのはないようにします。そういったダンジョンは,徒党専用,連合専用のプライベートダンジョンになりますね。

4Gamer:
 オープンなダンジョンはあるんでしょうか。

テオ氏:
 パブリックなダンジョンもあります。例えばレベルがまだ低いキャラクターの修行場のようなダンジョンでは,出会いがあったり助け合いがあったりしたほうが面白いのではないかと思います。スタート地点である荊州近辺なんかはそうなりますね。まだみな仕官前ですし。

4Gamer:
 キャラクターは荊州で修行を積んで,それぞれ好きな国に仕官していくんですね。違う勢力のプレイヤー同士はどういう関係になるんですか?

上野氏:
 平時は何もありません。三國志の時代でも,例えば魏の武将が蜀に行ったところで,別に背中に旗を立てて歩いてるわけでもないので,魏の武将だと分からないじゃないですか(笑)。だから他勢力の領地も普通に歩けます。

4Gamer:
 どこの地方にも,どこのダンジョンにも制限なく行くことができて,さらに他勢力の人達とグループを組んで遊ぶことも可能なんですね。

上野氏:
 そうです。そして,対人戦闘が行われるフィールドは,はっきり区別されます。

4Gamer:
 三つの勢力のどこにも所属しないという選択はできるんですか?

上野氏:
 それも可能です。そういう人はおそらく長安に住むような形になるでしょう。

4Gamer:
 しかし,勢力に所属しない以上,勢力戦には参加できませんよね。

上野氏:
 基本的にはそうですね。おそらくそういう人は,冒険や生産をメインにプレイすることになるでしょうね。

ゲーム内容・生産

4Gamer:
 では,その生産についても詳しく教えてください。7系統の生産技能と5系統の採集技能があるとのことですが,具体的にはどのようなものが作れるんでしょうか。

上野氏:
 武器,防具,薬,宝飾品などが作れます。キャラクターが装備するものは,大体作れるようになっていますよ。
 生産に使う材料は,フィールドを巡って,採集技能を使って集めることになります。中にはモンスターがドロップする材料が必要な生産品もありますね。

4Gamer:
 信長の野望 Onlineの生産と似ている感じですね。ただ信長では,生産技能は職業(クラス)に結びついていて,変更は不可能でした。クラスの概念のない三國志 Onlineでは,どのキャラクターでも好きなものを作れるんですよね。

上野氏:
 はい,好きなものを作れます。ただし戦闘技能と違い,すべてを鍛えられるのではなく,好みの生産技能を選択する形になります。

4Gamer:
 生産などで蓄財していって,いつかは自分の家を持てたりするようになるんでしょうか。

上野氏:
 残念ながら,サービス開始時には家を持てるようなシステムはありません。ただ,うーん……,それは半年後くらいにシンガポールにお越しいただけると,きっとお話しできるんじゃないかと(笑)。

4Gamer:
 では,実装自体は,いつかされると考えていていいんですね。

上野氏:
 ええ。ずーっとゲームを作り続けていく中で,いつか必ず入る要素だと捉えていただいて結構です。

4Gamer:
 分かりました。やはり三國志の世界に,家を構えて住んでみたいですものね。期待しています。

ゲーム内容・合戦

4Gamer:
 まだまだ聞きたいことはたくさん残っているのですが,時間が迫っているようですね。
 では最後に,本作でキモとなるだろう,対人戦について聞いていきます。

上野氏:
 対人戦は,重要な要素の一つではありますね。
 他勢力のプレイヤーとは,主に合戦場で戦うことになります。また,局地戦という,普段から対人戦闘が楽しめる特別な場も用意します。これは参加申し込みをしておくとマッチメイクが行われて,人が集まると一斉に戦場にゾーンインして試合が始まる,というようなコンテンツです。

4Gamer:
 PvPの練習場みたいなものですね。そこでコツをつかんで,合戦に参戦するという流れでしょうか。発表会では,その合戦は週に3回くらい行われる予定というお話でしたが。

テオ氏:
 はい。合戦は,誰もが参加しやすい時間に行うつもりです。一つの合戦は数時間で,それが一日に何回か行われることになります。

4Gamer:
 合戦の勝敗はゲーム全体にどういう影響を与えるのでしょうか。

上野氏:
 今考えているのは,勝利数をカウントして,一番勝ち星が多かった勢力が“その年”の優勝――つまりゲーム内でいう,制覇ですね――というのを計画しています。そして,制覇した勢力に所属する人には,称号や報酬が贈られることになります。報酬はゲームバランスに影響を与えるような高性能アイテムなどではなくて,名誉的なプライズを用意したいと思います。

4Gamer:
 “その年”というのはゲーム内の時間ですか?

上野氏:
 いえ,現実の時間です。現実の生活を考慮したいという希望がありまして,例えば,元日は合戦をなしにしよう,という風に,現実世界の季節や催しに合わせて,ゲーム内の進行を考えていくつもりです。1年単位でゲームを進行させれば,そういったことが可能なんですよ。
 新シーズンの前には,昨年の合戦の反省点を生かしてレギュレーションをチェンジしたりして,それを試すためにオープン戦のようなものも行うのもいいですね。

4Gamer:
 まるで,野球やサッカーみたいな感じですね。
 そういえば,合戦は,高レベルキャラクター向けの要素でしょうか。それとも,レベルが低いうちからも参加できますか?

上野氏:
 三國志 Onlineでは,レベルの高低に関係なく,合戦に貢献できるようにしたいと思っています。
 “連合”は最大25人で組めますが,そこまでの人数になると,プレイヤー一人一人の責任は軽くなってくるんですね。少人数同士の対人戦闘ですと,レベルが離れているキャラクターが一人いると,すぐに崩されてしまうという部分がありますが,そういう気兼ねはナシで参加してもらえるようにします。

4Gamer:
 低レベルでも,何かしらは貢献できると。

上野氏:
 そのとおりです。

4Gamer:
 なるほど,分かりました。……というところで,もうお時間のようですね。超過密スケジュールの中,ありがとうございました。

上野氏:
テオ氏:
 こちらこそありがとうございました。

まとめ:遊びやすさに重点が置かれた注目作

 コーエーの看板タイトルである三國志の名を冠するMMORPGが,果たしてどのようなものになるのか。本作の開発が発表された2005年2月以降,ワクワクしながら詳細の発表を待っていた人は,少なくないだろう。筆者もその一人だ。
 右を見ても左を見ても似たようなMMORPGが溢れる中,何か“目新しさ”が感じられる作品として発表されることを期待していたが,三國志 Onlineは,ベースとしては,今あるMMORPGの枠組みからそう離れてはいないゲームのようである。そういう意味では,少し物足りなさを感じた人もいるかもしれない。
 だがしかし,発表会でも強調されていたように,コーエーには,シミュレーション/ストラテジーゲームの三國志シリーズをはじめとした“三国志”コンテンツでの実績と,信長の野望 Online,大航海時代 Online,そして真・三國無双BBと,テイストの違うオンラインゲームを開発/運営しているノウハウがある。三國志 Onlineが今後どのような方向に進化していくのか,非常に楽しみである。

 三國志 Onlineは,コーエーにとって,いわば“外せないプロジェクト”だ。すでに実績のあるMMORPGの枠組みを手堅く持ってきていることからも,それはうかがえる。そのような成功にフォーカスして制作が進められているゲームであるからこそ,かなり“遊びやすい”作品になるのではないかと期待がかかる。

 「ヒーラーがいないために冒険に出かけられない」という事態は,MMORPGではよくある話だ。持つ武器によってグループでの役割を変えられるという仕組みは,まさにそういう“遊びにくさ”の解消を狙ってデザインされたものだろう。合戦にしてもそうだ。そういったものは,どうしてもハイエンドコンテンツ化してしまいがちだが,そうではなく,誰でも楽しく参加できるコンテンツとして,ゲームに組み込もうという工夫が施されているようである。
 これまでさまざまなストレスにさらされ続けてきたゲーマー達に,三國志 Onlineはどのようなエクスペリエンスを提供してくれるのか。期待しつつ,続報を待ちたい。(2006年12月7日収録)

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タイトル 三國志 Online
開発元 コーエー(KOEI ENTERTAINMENT SINGAPORE PTE. LTD.) 発売元 コーエー
発売日 2007年内 価格 N/A
 
動作環境 N/A

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