4Gamer:
ムポーの新規タイトル第一弾は,韓国産の「コンコンオンライン」ですよね。でも今回の発表会では,国産タイトルを前面に押し出していた印象があります。ムポーとして,国産タイトルを押し出すという方向性なのではないかと感じたのですが,もし仮にそうであるとしたら,その方向性を決めたのは,コンコンオンラインの権利を獲得する前か,それとも獲得した後なのかというのを教えていただけますか?
越知氏:
厳しいところにつっこんできますねぇ(笑)。実はラインアップとしては,2006年のうちに二桁に限りなく近付くんですよ。今回は確かに,国産タイトルばかりを発表する形になりましたが,ラインアップ全体で見ると,実は国産タイトルばかりというわけではないんです。
4Gamer:
3月3日よりオープンβテストが行われる“とんではねる”レーシング「コンコンオンライン」
となると,コンコンオンライン以外にも韓国産のゲームが出てくるわけでしょうか。
越知氏:
そういうことですね。やっぱり韓国には,オンラインゲームをたくさん作ってきた歴史があるので,それなりにいいものを作ってくれるであろうという安心感があるんですね。一方,日本の場合は,キャラクターやゲームの世界観の作り方などに対する安心感がある。ただ,オンラインゲームとしての仕組みを作るという部分では,まだ不安があります。
4Gamer:
とくに今回,コンシューマ系の開発会社なども参加してますもんね。
越知氏:
ええ,そういうところは,どうしてもコミュニティのことや,それこそクローズドβテストやオープンβテストのやり方について,知らない部分が多いんです。経験がないから当然のことなんですが。そこは,我々ガイアックスと密に相談しながらやってもらってます。
ただ実際のところ,ムポーとして国産重視とか,韓国産重視とか,そういうこを決めているわけではありません。
4Gamer:
では,そういう状況の中で,今回あえて国産タイトルにスポットを当てたのは,どういう理由なのでしょうか。
越知氏:
やっぱり,サービスの発表にあたって,日本でもこれだけ作っているんだよっていうのが,一つのウリになると考えたからですね。打ち出し方として,分かりやすいじゃないですか。もちろん,開発中のゲームが,これまでになかったようなものもあって,魅力的だったというのも大きいんですが。
4Gamer:
ということは,冒頭の話とも重なりますが,ムポーとして国産タイトルを推し進めることで,差別化を図っていこうというわけではないんですね。現在のラインアップを見ると国産タイトルが多いので,そこを差別化のポイントにしていくのかと思ったんですが……。韓国産のものなんかも増えてくると,少し焦点がぼやけてしまいそうな気もします。
越知氏:
いやぁ……それはもう,そのとおりなんですけどねぇ……。
実際のところ,国産タイトルがうまく軌道に乗っていくようであれば,そっちにシフトしていくとは思いますよ。なんせ,距離も近い,言葉も同じっていう意味で,作る前からいろいろ議論ができるし,作りやすいんですよ。韓国で出来上がっているものを買ってきて,さらに直したりするのは,それはそれで双方に負担がありますから,やりにくい部分もあるのは事実です。
4Gamer:
でも逆に,韓国で開発したほうが,コストは抑えられますよね。
越知氏:
まったくその通りですね。だから,こっちで企画したものを韓国に持って行って開発してもらうとか,そういう形で開発初期から関わっていくようなスタイルに,今後は変わっていくと思います。
まあ,今回は国内でもそれほどコストがかかっているわけではないですけどね。
4Gamer:
そういう理由もあって,今回のタイトルはカジュアルゲームばかりという感じですか?
越知氏:
そうですね。いきなり「MMORPGを作ってください」と持ちかけて,「はい,分かりました!」ってやってくれる会社は,日本にはそうそうないじゃないですか。
4Gamer:
続編が開発中だが,まだまだ現役のMMORPG「ストーンエイジ」
カジュアルゲームばかりだと,似通ったものが増えてしまう危険性もあると思うのですが,そのあたりはどうコントロールしていくんでしょうか。
越知氏:
そういう懸念は確かにありますね。もちろん,そうならないよう,事前に手は打ちますが。
4Gamer:
ゲームの内容に関しては,基本的に開発元にお任せという感じなのでしょうか。
越知氏:
基本的には,ほぼ任せてます。ゲームとしてどうかっていう部分に関しては,元々きっちり実績のある方々なので心配はしていません。ただ,オンラインゲームとしてどうなのか,と疑問に思う部分だけ,注文を付けさせていただくような感じです。
4Gamer:
じゃあ,全体的なコントロールはあんまりしていないと……?
越知氏:
日本で作っているものに関しては,企画の方向性が見えた時点で,ある程度全体像も見えると思うんで,あんまり心配はしてないんですけどね。ただ韓国のゲームの場合は,比較的近いジャンルの中で,さらに細分化していたりするんですが,実際にやってみないと分からなかったりして。正直,悩むところではあります。結果的に同じようなコンテンツが集まって来ちゃうってことも,あるかもしれないですね。
4Gamer:
やっぱりバラエティに富んだラインアップが用意されていると,ムポーのアカウント一つで遊べるというメリットが,プレイヤーにとっては大きいと思うんですよね。逆に,ある一本のゲームをやるためにムポーの会員になった人が,次のゲームをやろうとしたときに同じようなゲームばっかりだったら,ムポーにこだわる必要はないわけで。
越知氏:
ムポーを一つのお店だと考えた場合,やっぱり品物の種類は多くあるべきですよね。そこは本当に,すごく気をつけなくちゃいけないと思っています。
4Gamer:
そのあたりは,手探りということでしょうか。
越知氏:
そうですね,気をつけてはいるんですが。こちらで作る場合じゃなく,海外から契約して持ってくるような場合って,複数との話を同時に進めたりするんです。その話の進み方は,まちまちなんで,結果的にあれ? ってなってしまうことも,あるかもしれない。もちろん,同じようなタイトルを連続でリリースするようなことはしませんけどね。