― レビュー ―
常識はずれのコースを常識はずれの速度で走り抜けろ!
トラックマニアサンライズ エクストリーム
Text by UHAUHA
2006年7月11日

 

 

世界中で大人気のレースゲームが
ついに日本語で遊べる

 

現実ではあり得ないトラックをあり得ないスピードで走り,ついでにあり得ないほど飛び回る「トラックマニア」。ドライビングテクニックよりも,超トリッキーなトラックをいかに速く走り抜けるかが最重要課題

 現実ではあり得ないトリッキーでハチャメチャなコースを,猛スピードで走り回るレースゲーム「トラックマニア」シリーズ。「トラックマニア」と聞くと,大型トラック好きの人々が集まって「うーむ,ベンツのトラックはいいねえ。タイヤが多い」という情景を思い浮かべるかもしれないが,違うのである。ここでいう「トラック」とは「コース」のことだ。英語としては微妙にニュアンスが違うらしいが,ややこしいので,以下,トラック=コースとする。
 この「トラックマニア」はほかのドライブゲームによくあるように,ライバルたちを相手にレースに勝つことを目的とせず,現実にあったら命がいくつあっても足りないようなトラックを,ギンギンに攻めて攻めて攻めまくることに重点が置かれた,ちょっと変わったゲームなのである。

 

 本シリーズのデベロッパはフランスのNADEO。2003年に登場した初代「トラックマニア」は,2005年にリリースされた「トラックマニアサンライズ」の後,そのグラフィックスエンジンを使用して「トラックマニア」を作り直した「トラックマニア オリジナル」,そしてトラックマニアサンライズを拡張した「トラックマニアサンライズ エクストリーム」と,着実な進歩を続けている。もちろんそれもこれも,本作の人気の賜物だ。

 

 6月30日,トラックマニアシリーズの最新作である「トラックマニアサンライズ エクストリーム」の日本語版が,オーバーランドから発売された。ゲーム中のテキストがすべてローカライズされているうえ,国内パブリッシャの提供ということで,我が国のトラックマニアマニア(分かります?)にとって,このマニアックなタイトルを入手しやすくなったという点も見逃せない。ついでにプレイ人口が増えてくれれば非常に嬉しいところだ。
 なお,前述した「トラックマニア オリジナル」の日本語版もオーバラーランドから7月28日に発売される予定となっており,こちらにも大いに期待したい。

 

ゴーストカーやライバルカーも同時に走る。ライバルカーに当たり判定はなく,ただ邪魔な存在。気になるなら非表示にしてしまおう 高所恐怖症の人はご注意。まるで鳥になったかのように大ジャンプする。眼下に見えるコースにちゃんと戻れるように祈ろう タイヤ1本分の幅を200km/h近い速度で走り抜けなければならない。ビビってブレーキを踏めばタイムロスだ。瞬きもせず一発で決めろ

 

登場する車はトラックごとに固定されており,プレイヤーは選択できない。左からIslandで使用するスーパーカータイプの「Dark Plasma」,Bayで使用する四輪駆動車タイプの「GT」,Coastで使用するスポーツカータイプの「Matte」の3台。どれもモデリングが素晴しい

 

 

■多彩なゲームモードでリプレイ性も十分

 

平行するコースへのUターンは捻りを加えたジャンプ。飛距離が足りなかったり,飛びすぎたりしないように速度と角度を調節して飛び出せ! 着地後は強制ダッシュポイントもあり,これが普通のドライブゲームではないことがすぐ分かるはず

 最初にちょっとゲームモードについて説明。これには“ソロ”と“マルチプレイヤー”の2種類があるのだ。
 ソロプレイには,さまざまなレースをこなしてメダルを獲得する「オフィシャルキャンペーン」,NADEOの公式サイトにアクセスし,そこにあるキャンペーンに挑戦できる「コミュニティキャンペーン」,オフィシャルキャンペーンに登場するトラックやボーナストラックを選択して挑戦できる「シングルチャレンジ」が用意されている。

 

 本作のメインとなるオフシャルキャンペーンは,規定タイム内でトラックを走り抜ける「レース」,規定リトライ回数内でトラックをクリアする「プラットフォーム」,あらかじめ用意された路面,ジャンプ台などのアイテムを使い,決められたタイム内で走り切れるコースを完成させる「パズル」,規定のスタントポイントを稼いでトラックを走り抜ける「スタント」,同じトラックを決められた回数,制限タイム内で走破する「クレイジー」,そして,「レース」とルールは同じだが,タイム制限とトラックの作りがはるかにシビアになった「エクストリームレース」といったキャンペーンが用意されている。

 

 一つのキャンペーンは,いくつかのチャレンジで構成されるシリーズ戦になっており,すべてのチャレンジを合計すると,なんと150種類にもなる。しかもすべて異なるトラックが用意されているところが大したものである。まさにトラックマニア。最初からすべてのチャレンジに挑戦できるわけでなく,「一つ前のキャンペーンを銅メダル以上でクリアしている」「あるチャレンジを達成している」などといった条件を満たす必要がある。もちろん,後半のチャレンジほど難易度も高くなり,簡単にはすべてのトラックを走らせてはくれないのである。

 

 そんなわけで,さっそくレースだ。ゲームに登場するトラックは,いずれもほかのカーゲームでは決して登場しないであろう突拍子もないものばかりだ。淡々と平坦な道路を走るのとはわけが違い,おい,無理だろこれ! と思える派手な,というか無茶な,場合によっては非常識なトラックを攻められるのが本作の醍醐味だ。それぞれのトラックは,いずれも“豪快に行くべきところと慎重に行くべきところのバランス”がお見事で,何度トライ&コースアウトを繰り返してもふたたび挑戦したくなってくる。車にはとくにモデルがあるわけではないが,ぶつけても転がっても海に落ちても全然平気なので,せいぜい盛大にやっていただきたい。

 

 本作をプレイすると,その圧倒的なスピード感に驚かされる。普通に走っていてもF1カー並の時速300kmオーバーとなり,美しく描かれた風景を見てる余裕などはまったくなく,もったいない話である。コースによっては,エフゼ……,えーと,まあ,そういうゲームで見たような黄色や赤色の矢印ゾーンが設置され,そこを通過すると,どんな仕掛けか知らないが,一気に400km/h〜900km/hオーバーの世界へと急加速! 車のコントロールに精神を集中しないと,真っ直ぐ走らせることもままならないほどだ。いやー,このスピード感はクセになりますよ。

 

 いずれにせよ,声を大にして言いたいのは,やはりトラックの作りの面白さだろう。登場するすべてのトラックはトリッキーでアクロバティックでエキセントリックで「あるか普通?」なものばかり。例えば,ビルの間を縫って作られた高速道路を走り抜けるのかと思ったら甘く,突然,道路が途切れてジャンプし,隣のビルの屋上へ着地。そこからダイブして道路へ落下し,コースへ戻ったったらあなた,先の見えない坂道を駆け上がり,そのままジャンプするのかと思いきや,実は下った直後に直角右コーナーが待ち構えていたなど,「うわ〜」と言ってしまうトラックが大盛りで用意されている。

 

 とにかく起伏やジャンプ台を使って大ジャンプするシーンが多い。ハイスピードなので滞空時間が長く,普段「打たれたゴルフボールってどんな気分なんだろう」と思っている人の疑問を氷解させてくれるはず。とにかくぶっ飛ぶ,ぶっ飛ぶ。ジャンプ時に真っ直ぐ飛べて,着地地点が真正面に見えてくればあなたは幸せ者だ。走行スピードが速いため,真っ直ぐ飛び出すことさえ難しく,着地すべきコースから外れて崖下へ転落,海の中へジャポン! となることが多い。スタントマンがミスったときはこんな気分になると思う。また,気持ちよく飛んでいたら,通過すべきチェックポイントやフィニッシュラインを飛び超してしまったり,トンネルの天井に当たってタイムロスなんてこともあるから,調子に乗って飛び回るのも考えものだ。

 

 アクロバティックな仕掛けはまだまだある。垂直の壁のようなジャンプ台を駆け上がり,さながらスノーボーダーのように,道路を挟んでお向かいに立つジャンプ台へ反転して着地したり,ループ上の道路を駆け抜けるなどなど……。ここまでくると「おいおいおい……」とニンマリだ。
 とはいえ,ちょっと気になったのがプレイ視点の強制切り替え。ゲームには,二つの後方視点とバンパー視点が用意されているのだが,後方視点でプレイしていてもジャンプ台やループに入ると強制的にバンパー視点に切り替えられてしまうのだ。方向が分からずに斜めに飛び出したり,ループ中,あらぬ方向へ進んでしまうことがしばしばあった。

 

 ぶっちゃけ,あまりにもハイスピードすぎて,ちょっとした起伏でコースアウトや壁に激突というシーンもかなりあり,車体のコントロールに「運」や「まぐれ」に頼る部分が多く含まれている。しかしそれは,車のゲームに長けていない人でも,気軽にプレイできることも意味するだろう。まあ,なんにせよ,興味のある人は,4GamerにUpした体験版を試して,あらぬ方向へ吹っ飛ぼうが,壁に激突しようが,ひっくり返ろうが,海に落ちようが何でもござれの豪快なレースをとりあえず味わってほしいのである。

 

先の見えないトラックをひたすら攻める。何度もトライ&エラーを繰り返して,トラック全体の構造を頭に叩き込んで極めていこう モトクロスで出てきそうな連続ジャンプ。登り斜面に着地すると車速が落ちるため,下っているところに着地するのがキモ 天地が逆転する360度チューブでは,進むべき方向を見失いやすい。無理に向きを変えると,車速が落ちて落下の憂き目に

 

派手なドリフトは車速低下の原因。ブラックマークが付かない程度でコーナーを抜けるのが最高だ。コツを掴めば俄然,面白くなる 黄色や赤色の矢印を踏むと急加速され,連続して踏めば車速は900km/hを軽くオーバーする。このハイスピード感がたまらないなあ トラックを完全に頭に叩き込んでも,ハイスピードゆえ簡単に挙動を乱す。そのままジャンプすればコースアウト。こりゃ悔しい

 

真正面の水上にある細いコースが行くべき場所。どんなに頑張ってもジャンプでは届かない。実はとんでもない方法でコースへ復帰するのだ 制限時間内に派手なアクションを決めてポイントを稼ぐスタントモード。ジャンプの瞬間にハンドルを切って空中で回転させる 用意されたアイテムを配置して,スタートからゴールまでのコースを組み立てるパズルモード。最短距離で走れるコースを作れ

 

 

■エディタこそがトラックマニアのマニアたるゆえん

 

オフィシャルキャンペーンにはロケット発射台とロケットの間を大ジャンプですり抜けるようなチャレンジがあるが,トラックエディタを使ってそれにも負けない度肝を抜くものを作れてしまうのが本作の魅力の一つだ

 インターナショナルで本シリーズの人気を牽引している,もう一つの重要要素が,充実したエディット機能だ。トラックやキャンペーン,リプレイ,カースキンなどさまざまなエディットが可能となっており,オフィシャルキャンペーンに登場するようなトリッキーでイカれたトラックを作成して楽しめるのである。しかも,作成したトラックやキャンペーンはネット上で配布できるため,世界中の人に楽しんでもらえるのだ。

 

 オフィシャルキャンペーンに登場するチャレンジ顔負けのトラックを作りたい,作らずにはいられない! と思ったあなたにはチャレンジエディタ。最初にベースとなる地形をIsland,Bay,Coastの中から選び,あとは地面を作り,道路,ジャンプ台,ループ,ダッシュといったアイテムを配置していくだけという簡単エディット。
 地面を盛り上げたり,立体交差したトラックを作ったりもできるので,単純なものから複雑でトリッキーなものまで簡単。作成のポイントになるのは,やはりトラックレイアウトだろう。例えばコーナーの立ち上がりにジャンプ台を設置して,十分な速度でジャンプしないと向こうに届かない設定にしたりと,それなりに熟練のテクニックを駆使しなければクリアできないレイアウトにすると面白いはずだ。厳しいコースこそ燃える,ってもんでしょ。もちろん,走行してゴールできなければ意味がないので,そんなことがないよう,実際にコースを走って調整を行う“テスト走行”もある。ご安心を。

 

 また,プレイ前,プレイ後に挿入されるイントロの作成,規定タイムの設定,ほかのプレイヤーがトラックをいじれないようにするパスワードの設定もできる。最初から凝ったチャレンジは無理,という場合は,ボーナストラックなどをロードして改造してみよう。さすがにゲームのコースは良くできており,初心者の参考になる。
 いろいろ試して,世界のトラックマニアマニア(しつこいですか?)が驚愕するトラックをぜひ作ってみよう。完成したチャレンジを世界中のプレイヤーに遊んでもらいたいと思ったなら,あちこちにあるファンサイトにアップロードするがよろしい。ああ,みんなの喜ぶ顔が目に浮かぶ。あ,あの人は怒っているようだぞ。いひひ。

 

 筆者の個人的なお気に入りがリプレイエディターだ。チャレンジ終了後にリプレイが流れるのだが,カメラアングルがワンパターンだし,いまいち気に入らないところがも多い。
 だが,リプレイエディターを使って保存してある自分のリプレイデータを読み込み,ビデオ編集でお馴染みのタイムライン上にカメラアングルやモーションブラーのエフェクトなどを配置すれば,なんと,オリジナルのリプレイ映像を作れてしまうのだ。AVI形式でファイル出力できるので,レース映画のようなカッコ良いリプレイムービーを作って一人でニヤニヤきるのはなにより嬉しい。

 

 そんなこんなで,突拍子もないトラックを走り回り,リアリティにはほど遠いド派手なカーアクションを味わえる本作。用意されたチャレンジだけでなく,オーバーランドの公式サイトからも海外プレイヤーが作成した豊富なチャレンジやカースキンがダウンロードできる。インターネット上には数え切れないほどのデータがあるので,それを使えば,非常に長い間遊べるはずだ。オリジナルキャンペーンよりも完成度の高いチャレンジもあったりするので,ダウンロードしてぜひ試そう。
 というわけで,まさに「お楽しみは無限大だぜ」ともいえるこの「トラックマニアサンライズ エクストリーム」。なるべく多くの人に挑戦してもらいたいのである。

 

スタートとゴール,チェックポイントを用意して,自由にアイテムを配置すれば簡単にトラックを作れる。あとはセンスの問題(これ,重要)だ 地面の高さ調節も簡単にできる。これにより,高低差のある島々をジャンプで飛び回るようなトラックを作ると面白いかも 高さだけでなく,“低さ”のあるトラックも作成可能。アンダーグラウンドモードにすれば,地上のアイテムが消え,地下のレイアウトを作成できる

 

いわゆる“リプレイフェチ”には嬉しいリプレイエディタ。カメラアングルの変更,モーションブラーの追加などでイカしたムービーを作ろう ボディ色,カースキンの変更,デカール,テキストを貼り付けなどが可能なカーエディタ。センスのない色とマークで申し訳ありません ネット上に無数にある「世界のトラックマニアが作ったキャンペーン」をダウンロードしてプレイできるのも本作の魅力だ

 

マニアが作成したキャンペーンは,その完成度の高さに驚かされる。オフィシャルキャンペーンよりやりごたえがあるかも? フェラーリ F50のカースキンは,どう見てもF50にしか見えない素晴らしい出来ばえ。お気に入りのカースキンを探しまくろう ケミカル サイボーグというカースキン。F50と共にオーバーランドの公式サイトからダウンロードできる

 

タイトル トラックマニアサンライズ エクストリーム
開発元 Nadeo 発売元 オーバーランド
発売日 2006/06/30 価格 6800円(税込)
 
動作環境 OS:Windows 98/2000/ME/XP/XP Professional 64-bit Edition(+DirectX 9.0b),CPU:Pentium III/500MHz以上[Pentium 4/1GHz以上推奨],メインメモリ:128MB以上[256MB以上推奨],グラフィックスチップ:DirectX 9対応以上,グラフィックスメモリ:16MB以上[64MB以上対応],HDD空き容量:900MB以上,オンボードグラフィックスは動作対象外,オンラインプレイ時は56kbps以上のネットワーク環境必須

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