2007年8月10日

※レビューコンテストの性質上，エントリー原稿をそのまま掲載します。ただし，諸般の事情により4Gamer編集部で，必要最低限の修正を行っている場合がありますので，ご了承ください

 

気軽に遊べるすごろく風味のオンラインゲーム

 

　このゲーム，公式サイトでは「一番お金持ちになること」が目的と書いてあるが，実際にはお互いに湯水のごとくお金を使いながら，ライバルを破産させることが目的のゲームと考えたほうがいい。極端な話，自分が破産すれすれであっても，相手を先に破産させてしまえば勝ちとなるのだ。
　基本的に現金は相手から奪い取る事でしか大きくは増やせず，また現金だけたくさん持っていてもあっという間に取られてしまう事がほとんどなので，このゲームにおいては「お金は貯めるもの」ではなく「ライバルを破産させるための手段」として有効に使っていくことが勝利への近道となる。
　よって，す〜ぱぁ★リッチというタイトルにも関わらず，実際にはゲーム内でお金を貯めてリッチになれることはなかなかないのだが，スピーディーな展開で気軽に楽しめるゲームとなっているので，ここはご愛嬌ということにしておこう。

　ゲームの基本的な流れは順番にサイコロを振り，空いている土地のマスに止まれば購入して自分の土地とする事ができ，他人の土地のマスに止まった場合は持ち主にお金を払わなければいけない。こうしてお金を取ったり取られたりして，最終的にライバルを破産させれば勝ちとなる。
　マスには土地だけでなく，予測不能なイベントが発生するマスや，カードを購入できるカード屋マスなどさまざまな種類があり，また頻繁に場所を変えるNPCがマスの上に立っている場合もある。NPCは止まると嬉しい福の神や，遭いたくない貧乏神などこれまた種類が豊富で，NPCの存在によってあっと驚く大逆転劇が演じられることもあるのだ。

 

マップは複数用意されている。マップによって戦略が変わるかも	どこかで見たようなビルが立っている東京マップ。秋葉原らしい･･･

 

　さて，ただサイコロを振るだけでは完全に運任せとなるが，このゲームの勝敗を分ける重要な要素としてカードの存在がある。例えば表示されている数だけマスを進めるカードなど，様々な効果があるカードを使いこなす事により，完全に思い通りとは行かないまでも，自分に有利なゲーム展開にしていくことが可能なのだ。
　カードはスタート時にランダムで配布されるほか，カードの置いてあるマスに止まって入手するか，カード屋に止まれば品揃えの中から選んで買うことができる。ただしカード屋の品揃えは毎回変化するので，その時の所持金と相談してどのカードを買うかの判断も重要となる。
　高いお金を払って買った土地やカードが，ピンチの時に資産として処分できない点は賛否両論あるかもしれないが，この点はオンラインでの対戦を主眼において，軽快なテンポを最大限引き出す為の仕様と割り切って楽しむのがいいだろう。

 

 

カードの使い方が全て

 

　始めたばかりのうちはカードの効果などがよくわからず，すべて運次第のゲームかとも思えてしまうほどだが，それぞれのカードの特徴を理解して場面場面で臨機応変に使いこなせるようになると，驚くほど高度な駆け引きの応酬が楽しめるゲームとなる。
　例えば，「のろのろ」と「チーター」という2種類のカードがある。これらはカード屋で非常に安く購入できるのだが，例えば「のろのろ」は2つのサイコロの目を必ず1か2にしてくれる。つまり，サイコロの目の合計が2となる確率が25％，3となる確率が50％，4となる確率が25％あるわけだ。このような特徴を理解して使っていく事により，出費を極力抑えながらも，止まりたいマスを狙っていく事が可能となる。
　また，使った対象を強制的に入院させて数ターン休みにしてしまう，「ミサイル」というカードがあるのだが，これはライバルに使うだけのものとは限らない。ゲーム後半でサイコロを振ると高確率で破産してしまうような場面や，通行止めを目の前に置かれてにっちもさっちもいかなくなった場合など，自分にミサイルを撃って入院し，危険を回避するという使い方もあるのだ。
　なにしろ上手い人ほどカードを効果的に使い，ただサイコロを振るだけの回数は少ないと言っても過言ではない

 

 

しゃべりまくるボイス機能

 

　ところで，このゲームにはなかなか面白いコミュニケーション機能がついている。一般的なチャットに加え，猫の顔をモチーフとした顔文字を表示できる「猫文字」，そしてロビーでは使用できずゲーム中のみとなるが，各種キャラクターの声で選択した言葉をしゃべらせる事ができるボイス機能があるのだ。
　最初のうちは忙しく，なかなかボイス機能を使っている暇もないのだが，操作に慣れて使えるようになってくると，独特のセリフの応酬がこれまた楽しい。ゲームの展開に合わせて的確なボイスを選べるようになれば，ゲームが一層盛り上がること間違いなしだ。
　ボイスの中には「弱すぎて相手にならないよ〜」「本気でやってるの？」など，普通のチャットであればとても言えないような挑発的な言葉もあるのだが，キャラクターにボイスで喋らせるとなぜか憎めないのも面白いところだ。ただし使い過ぎると「不愉快な方ですね」と言われて嫌われてしまう元になりかねないので，挑発のしすぎにはご用心……。

 

 

そしてはしごモードへ･･･？

 

　みんなでワイワイ楽しめるチーム戦も楽しいが，カードの使い方に自信が出てきたら，自分の腕前がどの程度なのか，腕試しをしてみたくなる人も出てくるかもしれない。そんなあなたにはピッタリのモードがある。その名もはしごモード。ランキングのLadderモードを直訳して「はしごモード」としたのが意図的なものなのか，そうでないのかは計り知れないが，とにかくこのモードでは1対1の専用マップで，相手を破産させるまでのガチンコ勝負を楽しむことができる。まさに気分はコロシアムといった感じなのだ。
　現在は試験運用中とのことだが，ゲームの結果によりスコアを獲得していき，スコアの合計値によってランキングが決定される。ランキングはリアルタイムで変動しているが，いい成績を残せばどんどんランクアップをするのは間違いないだろう。腕に自信のある人は是非チャレンジしてみてほしい。

 

開始時に手持ちがこれでは，しばらくサイコロを振るしかなさそうだ	どのカードを買うか迷うところだが，時間切れにならないように注意！

 

 

これからのバランス調整にも期待

 

　プレイしていて気になった部分もいくつかある。
　例えば最初に配布される数枚のカードの中身は完全にランダムなのだが，カードの使い方が大きく勝敗を分ける本作で最初に利用価値の低いカードばかりくると，最初からかなりのハンデとなってしまう。ここは，例えば3枚のうち1枚は○進めるカードの中から選んで配布するなど，ある程度のランダム性は残しつつも最初では大きな差がつかないようなバランス調整を期待したいところだ。
　また，1ターンあたりの時間制限について，短めの時間設定がゲームのテンポを軽快にしていることは間違いないのだが，ランダムで位置を変えられた後など，どうしてもここは少し考える時間が欲しい，という場面も少なくはない。対戦相手と同意の上であれば，ゲーム設定で1ターンあたりの時間を増やす設定が選べたり，ここぞと言う場面では少し考える時間を取れるように，囲碁や将棋のような持ち時間制を採用するなど柔軟なオプションを検討するとより遊びの幅が広がるだろう。
　とくに，ゲームの操作に慣れていない初心者にとっては，現在の時間設定は短く厳しいように感じる。このような細かいところで，新しく始めたプレイヤーが敷居の高さを感じてしまう可能性があるのは少々残念な部分だ。

 

貧乏神のいるマスに止まってしまった･･･これで破産してしまうことも	合計12コンボが炸裂！　どんなに大金を持っていてもひとたまりもない

 

 

こんな人にオススメ

 

　とにかくカードの使いかたが勝敗を分けるため，すごろく風のカードゲームと言ってしまっても違和感がない。
　また，カード自体は事前に用意する必要がないため，カードコレクションとしての楽しみ方はできないが，その分気軽に始められるうえに，手持ちのカード資産によって開始前から差がつけられるということもない（現在はアイテム課金の形でカードパックの販売が行われている。これを利用している場合に限り，ゲーム開始時に通常プレイより多くのカードを所持している可能性はある）。
　1回のプレイ時間は数分から30分程度と短めで決着がつくため，ちょっと時間が空いている時に気軽にプレイできるのは，忙しい人にとっても嬉しいところだろう。
　モノポリーライクなボードゲームが好きな人だけでなく，カードゲームが好きな人にも是非プレイをお勧めしてみたいゲームだ。

チーム戦で見事に勝利！　2人のチームワークが勝利の秘訣？	はしごモードで挑戦状が送られてきた。果たしてどんな相手なのか･･･？