― プレビュー ―
短時間のプレイに向き,モンスターの召喚も特徴的なMMORPG
RAPPELZ
Text by 大陸新秩序
2006年10月13日

※本稿は10月9日(オープンβテスト)時点でのゲーム内容に準じています

 

スキルレベルと個別スキルで,キャラクターを個性化

 

オープンβテストは10月2日開始,正式オープンは10月25日を予定。矢継ぎ早の展開に驚く人も多いだろう

 ガーラが運営するファンタジーMMORPG「RAPPELZ」(ラペルズ)のオープンβテストが,10月2日に開始となった。本作は韓国のnFlavorが開発したMMORPGで,現在は韓国と香港で正式サービス中。またアメリカでもすでにクローズドβテストを経て,オープンβテストが行われている。日本ではクローズドβテストどころか事前の告知もほとんどないまま,いきなりオープンβテストが開始されたため,RAPPELZの存在すら知らない人も多いであろうことが予想される。それも少々もったいないので,ここに概要を紹介する次第だ。
 なお,本作は10月25日に日米同時に正式サービスを開始する予定。基本プレイ料金は無料で,アイテム課金制となっている。

 

 RAPPELZは,いわゆる「クリックゲー」である。各種の情報ウィンドウや操作方法も,多くの韓国産MMORPGと変わるところはない。そのため,すでにこのタイプのゲームに慣れ親しんでいる人なら,戸惑うことなくプレイできるはずだ。
 また,プレイ序盤からチュートリアルクエストが用意されているため,まったくの初心者であっても,すぐに慣れられるだろう。一連のチュートリアルクエストでは,武器の装備方法やスキルスロットの使い方といった,同タイプのゲームに共通する操作方法を初め,クエストの進行や後述する本作独自のシステムに至るまで,段階的かつ親切に解説されている。プレイのハードルはかなり低いといえるだろう。

 

 プレイヤーキャラクターとして選択できるのは,「デーヴァ」「アシュラ」「ガイア」の3種族で,それぞれ男女が用意されている。

 

●デーヴァ
体力と防御力に優れており,回復と補助を得意とする。初期職業は「ガイド」で,1次職業では「ディバインソルジャー」「クレリック」「ブリーダー」が選択可能。

 

●アシュラ
集中力に優れ,回避能力が高い。近接系はアサシンタイプ,魔法系は与ダメージに特化している。初期職業は「ステッパー」で,1次職業では「ストライダー」「ダークマジシャン」「ソーサラー」の選択が可能。

 

●ガイア
攻撃力に優れ,多彩な武器が扱える。初期職業は「ワンダラー」で,1次職業では「闘士」「呪術師」「魔獣師」の選択が可能。

 

 種族や国家間での対立などは特に設定されておらず,また1次職への転職はキャラクターレベル10以上で,チュートリアルクエスト中に行われる。なお,2次職は名称のみ発表されているものの,先行している韓国でもまだ実装されていない。

 

 キャラクターは経験値取得による一般的なキャラクターレベルのほか,「ジョブレベル」によって成長していく。ジョブレベルは,敵モンスターを倒すことによって経験値とともに得られる「ジョブポイント」を消費して上げていくのだが,これがなかなかの曲者。というのもジョブポイントはアクティブ/パッシブを問わず,各種スキルのレベルアップ時にも消費するのだ。また新たなスキルを習得するためには一定のジョブレベルが必要となり,さらにスキル体系はツリー状となっているため,上位スキルを習得するためには,特定の下位スキルを一定のレベルまで上げなければならない。
 したがって手当たり次第にスキルのレベルを上げているとジョブレベルが頭打ちになり,上位スキルの習得が遅れる。逆にジョブレベルばかり上げていてもスキル習得がままならない。なかなか頭を悩ませる部分だが,このジョブポイントの割り振りこそがキャラクターの個性を生む大きな要素といえるだろう。
 それだけ重要な要素であるにも関わらず,ゲーム中にはスキルツリーを表示させる機能や,不要なスキルに振ってしまったジョブポイントを還元する手段がないのは少々疑問だが,後者は課金アイテムに期待したい。

 

天上世界から遣わされた種族,デーヴァ。ヒンズー教における神の総称であるからして,聖なるイメージが強い 同じく天上世界から遣わされたアシュラ。こちらもヒンズー教でいう,荒ぶる神であり,混沌のイメージが濃厚 地上の民ガイア。これはまあ,ヒンズーではなくよく見るギリシャ語由来で,ほかの2種族に導かれる存在だ

 

ジョブポイントを割り振ることにより,ジョブレベルを上げ,スキルを習得していく チュートリアルクエストでは,基本的な操作から,本作の独自システムまでを学べる プレイヤー間の交流を促すため,チュートリアルにはパーティプレイを推奨する項目も

 

 

プレイヤーと共に戦い成長する「クリーチャー」

 

クリーチャーには近接型,防御型,回復型などさまざまな種類がある。しかし複数のクリーチャーを同時に育てるのは難しい

 RAPPELZ最大の特徴となるのが「クリーチャー」システムである。クリーチャーとは,いわゆるペットのことであり,「クリーチャーテイミング」など関連スキルを習得すれば,ブリーダーや魔獣師のみならず,すべての職業で召喚可能だ。また召喚に最低限必要なスキルを習得するためのジョブポイントは低めに設定されており,プレイ序盤からクリーチャーを召喚できるようになっている。

 

 召喚したクリーチャーは戦闘に参加させることが可能で,プレイヤーキャラクターが得る経験値とジョブポイントの一部を自動的に取得して成長していく。またクリーチャーはプレイヤーキャラクター同様,レベルに応じてスキルを習得し使用できる。また武器と防具を装備することも可能だが,攻撃力などの能力値が変化するだけで,グラフィックスには反映されない。
 クリーチャーを召喚するためには,「クリーチャーカード」が必要となる。カードはNPCが販売しているほか,モンスターも低確率ながらドロップする。各カードにはテイミング可能なモンスターが設定されているため,複数のクリーチャーを所有したい場合には,それぞれのカードを入手しなければならない。
 しかし,実際に複数のクリーチャーを成長させるのは,なかなか困難である。というのもクリーチャーが取得する経験値とジョブポイントは,初期状態でプレイヤーキャラクターの1割。クリーチャーのパッシブスキルで取得量を増加させることもできるが,その分プレイヤーキャラクターの取得量は減少してしまう。
 結局のところ,1匹のクリーチャーを集中して成長させながら,より強力なクリーチャーのカードを入手,テイミングに成功したら乗り換えるという形になりそうだ。

 

 またクリーチャーは「進化」させることも可能だ。進化には「基本形」「成長形」「進化形」の3段階があり,それぞれ一定のレベルに達すると次の段階に進化できる。しかしながら,可能レベルに達してもあえて進化させずに,そのままの段階で成長させる「オーバーブリード」も選択できるのがミソである。未確認だが,オーバーブリードにはクリーチャーの基本能力値上昇や隠しスキルの習得など,さまざまなボーナスがあるようだ。

 

クリーチャーを召喚するには,まず「ソーモンクリーチャー」のスキルを習得しなければならない 戦闘時に指示を出せば,クリーチャーは指定された敵を攻撃する。また,スキルも習得,使用が可能だ

 

レンタル制クリーチャーのオルニト。移動専用で攻撃できない。6時間が経過すると消える クリーチャーの編成や復活などは,テイマーNPCのところで行う。武器,防具の装備も同様だ

 

 

長時間連続プレイが必ずしも有利でないシステム

 

スタミナは,獲得経験値バーにカーソルを合わせると表示される。残り100を切ると獲得経験値が半減してしまう

 RAPPELZのもう一つの特徴が「スタミナ」の概念だ。MMORPGといえば,プレイにより長い時間を費やしたプレイヤーほど有利になるのが常識だが,本作では必ずしもそうとは言い切れない。というのも,継続して戦闘することによってスタミナが減少し,それに応じて獲得できる経験値とジョブポイントの量も減少するからだ。スタミナが100を切ると獲得経験値は半減してしまう。すなわち同じレベルアップをするにしても,単純に倍の数のモンスターを狩らなければならないのだ。

 

 減ったスタミナを回復する手段としては,以下の3通りが用意されている。

  • クエストの報酬として支給されるアイテムを使う
  • 狩りを中断して休憩する
  • ゲームを終了してサーバーへの接続を中断する

 このうち1.については,アイテムごとに定められた量だけスタミナが回復する。2.と3.では,休憩した時間およびサーバーに接続していない時間に比例してスタミナが回復していくのだが,後者のほうが回復率が高い。また休憩した場所やゲームを終了した場所によっても時間当たりの回復率が異なっており,モンスターのいるフィールドよりも街のほうが,多くのスタミナを回復できるようになっている。

 

 それでは実際,スタミナはどれくらい回復するのだろうか。キャラクターレベルと狩るモンスターのレベルにもよるのだが,上限5000に達したスタミナは4時間前後戦闘を続けると0になる。これに対して,いったん街へ戻ってからゲームを終了し,20時間前後サーバーへの接続を中断した場合のスタミナ回復量は1600程度。狩場となるフィールド上でゲームを終了して,24時間弱サーバーへの接続を中断した場合は,700弱の回復量だった。
 プレイスタイルの差によって前後するが,いずれにしろ20時間以上接続を中断して回復するスタミナは,わずか30分から2時間程度モンスターを狩り続ければあっさり消費してしまう量でしかない。以上の結果を踏まえると,毎日1〜2時間プレイして残りの時間はサーバーに接続しないのが,効率的かつ健康的(?)という結論に落ち着きそうである。
 システムに効率を制限されるとなると,MMORPGの醍醐味であるはずの他プレイヤーとの交流にも影響が出そうな気もするが,もともとこれは長時間プレイできない人や,数日おきにしかプレイできない人のモチベーションを保つシステムといえる。実際,毎日プレイできず,ほかのプレイヤーと差がつくのが嫌だからという理由でMMORPGを敬遠している人も多いので,そうした人にはうれしい仕様だろう。

 

 いくつか疑問を抱く仕様は残るものの,チュートリアルクエストはなかなか懇切丁寧で好印象である。続く序盤のクエスト群も同様なのだが,「○○を何匹退治する」「△△を集める」といった単調なものではあるにせよ,ノルマをクリアするためにモンスターを狩り続けていれば,次のクエストに必要なレベルに達している場合が多い。
 加えて前述のスタミナを考慮に入れたプレイすると,1日2時間程度でも,比較的速いペースでレベルアップしていく。プレイのモチベーションを維持するには十分といえよう。戦闘時のキャラクターモーションは,可もなく不可もなくといった感じで,欲を言うならもう少し機敏な動きだと爽快感が出るとは思うが,とくに大きな問題はないだろう。
 一方,気になるのはレベル30前後から,つまりゲーム中盤以降に生じる,クエストの内容とレベリングの乖離である。このあたりからクエストの数が少なくなる反面,レベルアップに必要な経験値が大幅に増加するため,モチベーションを保ちづらくなるのは事実。それを考慮したなんらかの策が望まれるところだ。

 

 いずれにしても現在は,公式に発表されている情報があまりにも少ない気がする。例えばギルド戦の詳細や,勝利した場合に獲得できるメリット,また課金アイテムなどについては,まだほとんど情報が公開されていない。正式サービスの開始に当たって,これらの詳細も順次明かされていくだろうから,その内容が中盤以降のモチベーション維持に繋がるものであることを,とりあえずは期待しよう。

 

序盤に登場する修練者の島。海岸周辺のクエストを完了したところで,チュートリアルは卒業 デーヴァの街,ラクシ。天から遣わされたというデーヴァの設定に合わせたものか,神殿や神像など,宗教的な意味合いがありそうな建造物が多い

 

クエストのノルマは,画面左のように透明化して表示でき,非常に便利である アシュラの街,カタン。こちらはカオスのイメージを強調するためか,全体に荒涼とした風景が続く。なんとなく,陰鬱な気分にさせられるプレイヤーもいるかもしれない

 

タイトル RAPPELZ
開発元 nFlavor 発売元 ガーラ
発売日 2006/10/25 価格 基本プレイ無料/アイテム課金
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9.0c以上),CPU&グラフィックスカード:Pentium III/800MHz以上&グラフィックスメモリ 128MB以上のグラフィックスカード。もしくは,Pentium 4/1.50GHz以上&GeForce 2MXないしRadeon 7000以上[Pentium 4/2GHz以上&グラフィックスメモリ 128MB以上のグラフィックスカード推奨],メインメモリ:256MB[512MB以上推奨]

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