■ゲーマー待望のロジクール最新モデル
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MXシリーズで,一般のPCユーザーだけではなく,ゲーマーからも高い支持を受けているLogitech。その日本法人であるロジクールから,ゲーマーをターゲットにした「ゲーミング・グレード」のマウスが登場した。20年以上にわたってマウスを販売してきている老舗がノウハウを結集して開発したと思われる,ゲーマー向けマウスの性能は果たしてどれほどのものなのか。今回は,2005年10月28日に発売が予定されている「G5 Laser Mouse」(以下G5)を採り上げて,ゲーマーの期待にどれだけ応えてくれるのか見ていくことにしたい。
なお,G5は発売前のサンプルだが,ハードウェアは製品版と同じという公式情報を得ているので,プレビューではなく,レビューとして評価を行っていく。
■ゲーマーにも安心なハイスペック仕様
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7080fps化の恩恵として,光沢やペイント,木目などの上でも問題なくマウスを利用できるそうだ。もっとも,専用のマウスパッドを持っていることの多いヘビーゲーマーにとっては,あまり関係ないかもしれないが |
G5は,ロジクール製のワイヤードマウスで初めてレーザーセンサーを搭載した製品だ。レーザーセンサーを搭載した同社製マウスとしては「MX1000 Laser Cordless Mouse」(以下MX1000)がよく知られているが,これはワイヤレスタイプであり,「ワイヤードタイプと比べてワイヤレスタイプの信頼性は低い」と判断する傾向にあるゲーマーからの受けは今ひとつ。その意味で,ロジクール初のワイヤードレーザーマウスには価値がある。
スペックは,解像度2000dpi,フレームレート7080fps(設置面積情報処理能力換算では6.4Mpixel/s)。従来の最上位モデルだったMX1000は最高解像度1600dpi,フレームレート6400fpsだったので,順に400dpi,680fps上回っている。解像度は「マウスの精度」のことで,解像度が高いほど,細かなマウスの動きが正確に反映されることになる。また,フレームレートは「センサーが1秒間で読み取れる回数」を示す。要するにG5なら7080分の1秒内の動きも正確に読み取れるわけだ。
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ケーブルには網のようなものが巻かれており,絡まってしまうのを防いでいる。この処理のためか,ケーブル全体はやや硬め |
このスペックは,「こちら」で紹介した「Razer Copperhead」と同じ。2005年9月現在,市場には最高解像度2400dpiを誇るマウス「Raptor-Gaming M2」があるので,最高スペックではないが,既存の製品の中では明らかに最上位クラスのスペックなので,ゲームをプレイする上ではまったく問題のないレベルだろう。
なお,G5ではこのハイスペックに対応するため,USB 1.1の「Full Speed」モード(転送速度12Mbps)を採用している。これを「フルスピードUSB機構」と呼んでいるロジクールによれば,転送速度1.5MbpsのUSB 1.1「Low Speedモード」を採用する一般的なマウスと比べて,G5は4〜8倍の情報をPCに送信可能であり,結果としてポインタの移動に遅延がなくなったとのことである。情報は「レポート」と呼ばれており,一般的なマウスが63あるいは125レポートなのに対して,G5では500レポートが可能なのだとか。もっとも,これはスペック上の話なので,まあそういうものらしい,という理解でOKだ。
OSはWindows 98/Me/2000/XPに対応。ただし,Windows 98/Meでは,Full Speedモードを利用できない。Low Speedモードでの利用となるので,Windows 98/Meのユーザーは,これを機にOSのアップグレードというのもアリだろう。
■チルトホイールの採用で使いやすさが大幅に向上
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この写真では最も手前に当たる部分,ホイールの下に従来はボタンがあったが,これが廃された |
さて,「こちら」の記事で紹介したように,G5にはさまざまな付加機能がある。では,筆者がどこに最も引きつけられたかというと,実はチルトホイールだ。
G5が発表されるまでロジクールのワイヤード最上位モデルとして君臨していた「MX510 Performance Optical Mouse」(以下MX510)は,マウスボタンの数が多かったのは良かったものの,ホイールの周囲に,ホイールを挟み込むような格好で小さなボタンが配置されていたため,あまり押しやすいとはいえなかった。そこでG5では,押しづらい位置のボタンがなくなり,代わりにチルトホイールが採用されている。
ホイールの周囲やマウスの側面に配置されるボタンを押そうとすると,指を大きく動かす(あるいはずらす)必要がある。すると,ボタンを押し間違えてしまったり,ほかのボタンに乗せている指に不要な力が加わって,誤動作を引き起こしてしまったりということが多くなる。その点,チルトホイールなら指の位置を大きく動かす必要がないから,激しいボタン操作を行う場合でも誤動作してしまう危険が少なく,ゲームプレイに集中できるというわけだ。
チルトホイールに馴染みのない人や,他社製マウスのチルトホイールを利用して,使い勝手に難を感じた人などは,「ホイールボタンを押し込んだときにチルトに設定した操作が誤作動してしまうのではないか?」といった不安があるだろう。この点,G5のチルトホイールは左右に傾けたときやホイールボタンを押し込んだときの手応えも,ボタンの返りもしっかりとしているので,ホイールボタンを多用するタイプの人なら相当使いやすいと思う。ホイールを回すと,一目盛りごとに「カチッカチッ」と反応してくれるのもいい。
とはいえ,チルトホイールには「ホイールを操作する指によって使いやすさに差が生じるのを避けられない」という問題もある。筆者のように,人差し指でホイールを操作するタイプなら,ホイールを左右に動かすという動作に違和感を持つ人は少ないはずだ。しかし,左右のクリックボタンに人差し指と薬指を乗せた状態で,中指を使ってホイールを操作するタイプだと,指を動かす範囲が狭いため,少々使いづらい印象を受けるかもしれない。慣れないうちは使用率の低い操作をバインドするなど,自分に合った調整を行うといいだろう。使いやすく感じたなら,使用率の高い操作をバインドし,積極的に利用することをお勧めする。
■「ウェイトカートリッジ」の効用には疑問
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大×2,小×1のソールがポリテトラフルオロエチレン製。あえて製品名を使って説明すると,要するにソールは「テフロン」加工済みである |
おそらく,ロジクールがG5の目玉機能として考えているギミックが,マウスの重量を好みで調整できる「ウェイトカートリッジ」だ。これはその名のとおり,マウスの底面に挿入して利用するカートリッジ。4.5g×8個,1.7g×8個の錘(おもり)から好きな重さを最大8個選択してはめ込んでG5へ挿入することで,G5の重さも,重さのバランスもユーザーの好みのままに調整できる。マウス底面には「ポリテトラフルオロエチレン」という素材のソールが3か所に取り付けられているのだが,このソールによって従来製品よりも滑りやすくなっているマウスを,錘(おもり)で制御しようというわけである。