― レビュー ―
複数vs.複数による軍事ロボット戦闘を堪能できる
フロントミッション オンライン
Text by デイビー日高
2006年3月17日
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■仲間を募って戦場に出てみよう!

 

バトルグループに参加してのワンシーン。左下のレーダーに表示された青い三角マークは味方機だ。普段はメカニックなのだが,このときはセカンドマシンのアサルトで出撃し,敵機と直接戦闘を展開した

 本作では,戦闘を行う「セクター」(マップ)が複数集まって「エリア」を,エリアが複数集まって「ゾーン」を構成している。
 ゾーンには「統制区」「占領区」「激戦区」の3種類がある。「統制区」はどちらかの陣営が絶対的な支配下に置いていて,レベルが低いCPUの敵しか出てこない,つまりは初心者プレイヤー用の練習マップだ(これとは別に訓練場もある)。「占領区」は,パイロットレベルが10(パイロットレベルは経験値で成長するもので,貢献度によって上がっていく階級とは異なる)になると行ける場所で,より手ごわいCPUの敵が出現する。またレベル15になると,敵陣営の占領区に行くことができ,ここでPvP戦に参加できるようにもなる。さらにレベルが20になると,島中央の「激戦区」へ移動できる。ここでは領土争いに関わる重要なPvP戦が主に行われている。実にシビアな戦いが待っているのだ。

 

 戦いを求めるプレイヤーは通常,ロビーにいる。ロビーはエリアごとに用意されているので,混んでいてラグがひどいときなどは,もう少し空いているところに移ってもよい(そのかわり,仲間を捜しにくくなってしまうが)。
 戦場へは,ロビーにあるマップセレクターを利用して,自分に合ったレベルのマップを選択して出撃する。ほかのプレイヤーと出撃したい場合は,スクランブルボードを利用し,自分でバトルグループを作って仲間を募るか,募集しているプレイヤーのバトルグループに参加させてもらって出撃することになる。また,既に戦闘中のマップに,5分以内なら参加(これを「乱入」という)可能だ。乱入を嫌う人もいるので,まずOKかどうかコメントをチェックしてから行うようにしよう。
 統制区や自国の占領区ではCPU戦のみが行われ,そのマップに参加したプレイヤー数に合わせて,同数のCPUの敵が出現してくる。各マップにはバトルコスト(機体が高性能になればなるほど高くなる数値)の上限が設定されており,この上限以内であれば最大10人まで出撃可能である。統制区のレベル0〜1は,戦車と戦闘ヘリが敵。レベル2より上は,それにヴァンツァーが加わる形になる。また,同じ兵器でも,レベルが異なると装甲厚や攻撃力などが変わってくるので,上のレベルの戦闘は当たり前だが,より激しくなるのだ。
 戦闘は,味方が1機でも残った状態で,敵を全滅させれば勝利だ。戦闘に勝利すると,階級に関連する貢献値,パイロットレベルに関する経験値,そして報酬をもらえる。さらに,参加者数×10%のボーナス経験値もあるので,10人で出撃すれば最大200%得られるのでお得。もちろん,レベルの高いマップほど得られる経験値は多い。つまり,より多くのプレイヤーでもって,レベルが高めのマップに出撃すると得するというわけである。全滅させられてしまうと負けで,その場合はわずかな経験値しか得られない。なお,戦闘から離脱するのは愚行なので注意。負けてもペナルティは一切ないが,離脱すると貢献値が減ってしまうのだ。よって自機が破壊されてしまったとしても,離脱せずに最後まで仲間の奮闘を応援しよう。

 

総勢10名で出撃。アサルトが前戦,ミサイラーが後方,その後ろに回復用の筆者のメカニックという布陣だ 各マップには拠点がある。だいたい,ミサイルを撃ち下ろしやすい丘の上などの高台に位置している チーム戦は,各自が与えられた役割をまっとうすることがポイント。筆者はメカニックとして味方を回復中

 

中級以上の役割の一つ,コムス。サルベージを要請し,破壊された味方をヘリで輸送して修理,復活させられる 筆者の左側の機体は中級以上の一つ,ジャマー。ECMのバックパックを装備し,ミサイルの誘導機能を殺せる 筆者が参加しているスコードロンのメンバー(全員ではない)と記念撮影。鍛えてもらっている毎日だ

 

 なお,ヴァンツァーはボディが破壊されなければ,修理できる。メカニックがいれば,腕や脚は耐久力がゼロになっても,元に戻せるのだ(回復用バックパックによっては不可能な場合もある)。ただし,本体はゼロになってしまうと,ほかがどれだけ残っていようと破壊となってしまう。こうなると,コムスに頼んでサルベージ用のスリングヘリを呼んでもらわない限り,復活はできないというわけである。アサルトの場合,かなり集中してヴァンツァー戦を展開すると思うので,耐久力は常にチェックし,不安に感じたら早めに前戦を離脱し,メカニックに修理をお願いしよう。

 

 なお,大勢で出撃する場合は,役割分担をするとより戦いが楽になる。敵はこちらと同数登場するが,1機ごとの性能はCPU側の機体のほうが上で,力押しをしてくる。よって,連携しないと各個撃破されてしまう可能性があるのだ。基本的な編成は,敵と正面から戦う「アサルト」,援護射撃の「ミサイラー」,そして回復役の「メカニック」の3種類が揃っていればOK。アサルトやミサイラー3機に対し,メカニック1機という割合でいくと効率がいいだろう(参加人数が少ないときは,メカニックはミサイラーも兼任するとなおよし)。
 また,レベルが10以上になると使えるようになる「レコン」や「ジャマー」などの役割は,より上位レベルの戦場に挑むときにいると心強い。レコンは味方のミサイルの射程距離を伸ばしたり,偵察でいち早く敵を発見可能。またジャマーは相手の誘導ミサイルを無効にするなどの力を持ち,味方の攻撃力と生存確率がアップするのである。また,こうした中級以上の機体を構成するためのパーツはデザイン的にもカッコよく,目立つものが多い。ぜひ入手して,脱初心者を証明してほしい。なお,スナイパーやコムスはさらに上のレベル20から。ここらへんの強力な機体を手に入れたときは,激戦区だけでなく,たまには新米兵士を導いて上げるべく,統制区のレベルの低いマップにも参加してあげるといいだろう。

 

 経験値を稼げるという点では,「イベント」に挑戦するのもよい。これはいわゆる特別任務で,ロビーや自分のハンガーなどにいるNPCに話しかけると挑戦できるようになる。自国領土内に潜入してきた敵の特殊部隊を迎え撃つとか,自軍の特殊なヴァンツァーをマップ上のある地点にまで誘導するなど,多数の内容が用意されている。難度は少々高いのだが,クリアーすると通常の戦闘よりも経験値や報酬を多くもらえるのはもちろん,特典として機体に施せるカラーリングも得られる。自機を目立たせるためにもぜひ挑戦してほしい。なおイベントは,最も簡単なものでも二人以上で挑戦する必要がある。経験者が加わってくれると,オトリ役を引き受けてくれたり,移動ルートを教えてくれたりと大変心強いので,イベントに挑戦したいときは,スクランブルボードでメッセージを書き込んで,手伝ってくれる人を募るといいだろう。
 そのほか,一般的なMMORPGにおけるギルドに相当する「スコードロン」という要素もある。いつも同じメンバーで出撃すれば,連携技術も徐々に高まっていくという寸法だ。

 

スコードロンに所属していても,ほかのプレイヤーともバトルグループを組める。イベント実施中 統制区で始められるイベントの二つ目は,女性傭兵Ellenの特殊機を,ある場所まで誘導するというもの イベントをクリアーすると,自機の立ちポーズに。このときは,ミサイラーもできるメカニックという装備

 

 

■占領区以降のマップはゲーム性が変わるほど難度アップ

 

 続いて,脱初心者のレベル10で初めて足を運べる,「占領区」のマップについて。
 まずは対CPU戦だが,ここでは敵の強さが格段に変わってくる。ローラーダッシュを頻繁に使う高い機動性,それにも関わらずぶ厚い装甲,そしてガシガシこちらの装甲を削る強力な攻撃力。さらには,アサルトタイプのくせにジャマーのバックパックを装備していて誘導ミサイルが効かないなど,それはそれは強敵である。
 レベル10になったからと思っていたら,まず叶わない相手で,単独での出撃(一人で戦闘に突入した場合はBOTが味方として1機同行し,敵機と2対2の戦闘になる)では,もっと上のレベルの機体がないと無理。BOT機の援護をうまく受ければ勝てないこともないのだが,それも一番簡単なランク1のマップの話。ランク5ともなると,レベルが10台前半では歯が立たない。レベル10程度で手に入るボディの装甲厚では,長射程のロックオン式ミサイルを数発発立て続けに食らうと簡単に破壊されてしまうほどだ。

 

 よって,占領区はチームで出撃するのが無難。レコンやジャマーがいてくれると非常に心強い。敵も通常のレーダーには映りにくい装備をしてくるので,偵察のレコンは必要だし,とんでもなく強力なミサイルを回避するにはジャマーがないと難しい。役割分担が増えるので,それだけ高度な連携が要求されるのだ。
 初級用の統制区のマップでは,ある程度レベルが上がってくると,メカニックさえ回復に気を配っていれば,割と誰もが勝手に戦っていられた。しかし占領区になると,各人が役割をしっかり認識し,与えられた任務を全うするといったことがより要求されるようになる。そうした軍隊的プレイを楽しみたい人にとっては,まさに打ってつけの場所だろう。難度はもちろん高くなるが,それだけに勝利したときの達成感も大きいのだ(敵国の占領区や激戦区でのPvP戦に備えた練習ともいえる)。

 

占領区のランク1のマップに単独で出撃してみた。2機のヴァンツァーがかなり強力である 訓練場を利用し,紅白戦的にスコードロン内でPvP戦。まだまだレベルが低いので,すぐ撃破されてしまった バックパックの種類によって用途が大きく変わるのがヴァンツァーの特徴。中には浮遊可能なジェットパックも

 

 

■肝心のPvPはレベル15以上から

 

占領区のマップでの激戦が展開。経験値がおいしいので,レベルが10を超えたらすぐ占領区へ

 そして最後は,本作で最も人気の高い要素である「PvP戦」について。PvPは「O.C.U.」と「U.S.N.」の両陣営に分かれて,下は2対2(お互いが自機&BOT機)の勝負から,上は10対10の集団戦が楽しめる(対戦人数は必ずしも同数とは限らなくて,運が悪いと倍の敵を相手にするハメに)。ただし,PvP戦はレベル15にならないと参加できないというのが,本作最大のポイントでもあり,ネックでもある部分。
 詳しく説明すると,レベル15から参戦できるのは「敵の占領区」を舞台としたPvP戦。感覚としては,激戦区での陣地争いが絡む本格的なPvP戦の練習ステージ(といっても,PvP戦はPvP戦なのだが)といっていいだろう。本格的なPvP戦は,ハフマン島中央の「激戦区」で行われており,レベル20以上のプレイヤーのみ参加できる。ここでの戦いは,両陣営のセクター争奪戦(陣取り合戦)に直結しており(関連しないマップもある),レベルの高いプレイヤーが集結し,最も激しい戦いが繰り広げられているところだ。なおPvP戦は,制限時間内にこちらから敵国のプレイヤーがいるマップに乱入するか,自分達のいるマップに敵国のプレイヤーが乱入してこないと,対CPU戦になるという仕組みである。

 

 個人的に残念に思うのが,レベルが15にならないとPvP戦に出られないという点。まあ,初心者が間違って参加して,瞬殺されたショックでゲームを離れてしまうといったことに対する配慮なのだろう。ただ,それにしてもレベル15への道は長く険しい。せめてレベル10ぐらいから参加できてもよかったかな,と思う次第である。
 なお,PvP戦と聞くと,腰が引けて挑戦したがらない人もいるかもしれない。だが本作では,自軍の占領区における“レベルの高い集団BOT戦”と,さほど変わらない。参加すれば,味方部隊が敗北してしまっても経験値は必ず入るので,臆することなく参戦してみよう。
 確かに,激戦区にはレベルが30,40,50といったプレイヤーもいるわけだが,レベル差がどれだけあっても,そう焦る必要はない。レベル15まで到達したプレイヤーの機体なら,よほど装甲が薄いものを選んでいない限り,普通いきなり倒されたりはしない。ただし,待ち伏せをくらってミサイルの雨が降ってきたりすると,大変な目に遭うので,レベルが低いうちは仲間から離れないように行動しよう。

 

レベル15になると,敵陣営の占領区へ移動できる。O.C.U.所属の筆者は,U.S.N.の占領区へ移動 メカニックやミサイラーなどは,アサルト隊が激突する前戦から下がって後方で援護,または待機していよう 筆者の機体はメカニックなので,あまり機動力がない。しかし敵に接近されてしまい,味方機とともに格闘戦へ

 

 ポジション別のポイントとしては,メカニックは最初に狙われることが多いので,後方に位置したり,アサルトやミサイラーに守ってもらったりする必要がある。逆に自分が攻めるときは,まずメカニックから狙っていくといいだろう。同様に,誘導ミサイルを無効化できるジャマーも狙われやすいので注意。また,偵察用途のレコンは部隊の目なので,必然的に敵がいる方向へ偵察に出ることになる。誰よりも慎重なプレイが必要だ。

 

 また対人戦の面白いところとして,相手がアサルトの場合,激しい背後の取り合いが繰り広げられるといったことがままある。こうした,しつこさというか,あきらめないところがBOTにはない動きといえよう。また,相手の裏をかいて意外な方向から攻めてきたり,戦力を集中させての一点突破を図ってきたりといった,CPUにはできない戦術も,PvPの魅力だろう。
 こうしたPvP戦の戦術は,熱心なプレイヤー達が,マップごとの地形の応用も含めて,日々熱心に研究している模様。その一方で,とりあえず人数を集めて,行き当たりばったりの戦闘を楽しんでいるプレイヤーも多いので,気軽にPvP戦を楽しみたいという人もOKである。自分の活躍次第で,自陣営の陣地が増えるかもしれないので,ぜひ激戦区での戦いに参加してほしい。

 

 回線状況に関しては,参加人数がMAXに近くなってくると,少々反応がおかしいときがある。回復がうまくいかない,ヴァンツァーなどの位置が急にずれる,突然落ちたりする,などである。これは,本作が一般的なクライアント・サーバー型のシステムに加え,プレイヤー同士の間でもデータをやり取りするピア・ツー・ピア方式のデータの送受信も行っているところに理由があるのだろう。中には回線状況のあまりよくないプレイヤーもいるわけで,そうしたことも影響してしまうようである。
 当たり前のことだが,夜になってくるとプレイヤー数は増え始め,一つのロビーだけでもかなりの人数が集まって,ラグも少々発生しやすくなる。混雑しているときは,さっさとエリアを替えて空いているロビーに移るか(サーバーは一つしかないので,サーバーを変えるという手段は採れない),自分以外のプレイヤーキャラクターの表示人数を減らすなどして,描画の負荷を減らしてやろう。ただし,人数が多ければそれだけバトルグループも増えるので,自分が参加しやすいチームを見つけるのが容易になるといったメリットはある。

 

 本作は,ロボット兵器による戦闘という,日本の男の子が大好きな分野を楽しめる数少ないSFミリタリー系のオンラインゲームである。ファンタジー系MMORPGでは味わえない硬派な楽しさが確実に存在しているので,ファンタジーに食傷気味の人,SFテイストやロボット型兵器が好きな人,フロントミッションシリーズのファンは,そんな無骨な迫力をぜひとも堪能してみてほしい。

 

ハフマン島の中央部が陣取り合戦が展開されている激戦区。レベル20以上になって初めて参加できるPvP戦だ 激戦区のロビーは2層構造。1階にマップセレクタなどがあり,2階にPersonal Officerらがいる 激戦区のO.C.U.とU.S.N.の戦局図。戦局図は,本作のトップ画面でも確認できる

 

激戦区には補給の概念があり,パイプラインの通っているマップをしっかり制圧していく必要がある 激戦区での戦闘で,なんとか勝利。メカニックは狙われやすく,接近戦に持ち込まれることが多い レベルが20を超えると,これだけの重武装も可能に。お金をかければ,もっとすごい装備も可能だ

 

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タイトル フロントミッション オンライン Windows版
開発元 スクウェア・エニックス 発売元 スクウェア・エニックス
発売日 2005/12/08 価格 オープンプライス
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9.0c以上)[Windows XP推奨],CPU:Pentium 4/1.30GHz以上[Pentium 4/2GHz以上推奨],メインメモリ:512MB以上,グラフィックスチップ:AGPまたはPCI Express x16接続,グラフィックスメモリ:64MB以上[128MB以上推奨],HDD空き容量:4GB以上,ネットワーク環境:1Mbps以上

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