― プレビュー ―
「ファンタジーアース ザ リング オブ ドミニオン」第2次βテストレポート
ファンタジーアース ザ リング オブ ドミニオン
Text by midi
2006年1月25日

 

第2次βテストにおける目玉は,召喚モンスターの実装だろう。通常のプレイヤーキャラクターの数倍もある召喚モンスターが戦場を闊歩する姿には,なかなかの見応えがあった

 スクウェア・エニックスが,2006年2月23日(木)にパッケージ販売と正式サービスの開始を予定しているMMOアクションRPG×ストラテジー「ファンタジーアース ザ リング オブ ドミニオン」(以下,FE)。本作はファンタジーRPGの要素のなかに,最大50vs.50のRvRとなる「戦争」という大きな仕掛けを配し,既存のMMORPGとは一線を画した意欲作だ。
 現在は第3次βテストを目前に控えた段階だが,ここではまず,2005年末に実施された第2次βテストのプレイレポートをお届けする。
 すでに第1次βテストのプレビュー記事は掲載されているため,それと比較しつつ変更点を挙げ,テストを重ねるごとにどのように変化してきているのかを理解してもらえればと思う。
 ちょうど本日(1月24日),第3次βテストの新仕様などが明らかにされているが,第3次βテストから参加するという人は,これを読んで予備知識としていただきたい。

 

 

■追加された三つの国家 そこから広がる戦い模様

 

 第2次βテストにおける最大の変更点は,所属国が増えたこと。第1次βテストで所属できた「カセドリア連合王国」と「ゲブランド帝国」に加え,「エルソード王国」,「ホルデイン王国」,「ネツァワル王国」の3国が新たに導入され,計5か国から所属国を選択できるようになったことだろう。
 第1次βテストでは,善のカセドリアvs.ダークサイドのゲブランドというイメージの1対1のスタイルだったが,そこに新たに3国が加わったことで,戦乱はさらに拡大。より複雑な状勢を織りなすことになった。
 個人的には,第2次βテスト開始直後にどのような人数バランスで各国家がスタートするのかが気になっていたのだが,姫将軍ワドリーテ効果からかホルデインに人気が集まっていた以外,それほど偏った国家は生まれなかった印象だ。追加された各国家の詳細については,以下を参照していただきたい。

 

●エルソード王国

国王:賢人王ナイアス・エルソード
領地:ペデスタル大陸

 

 ペデスタル大陸全土を支配する国家。各種魔術や錬金術の技術促進を積極的に支援し,国を繁栄に導いた「賢人王」ナイアスを支持する声は高い。首都リベルバーグには,世界中から魔術師や錬金術師が集まってきている。
 やはりというか何というか,ジョブでソーサラーを選択したプレイヤーの多数が,このエルソードを所属国としていたようだ。ソーサラーはほかの2ジョブに比べて戦闘方法が特殊なため,非常に活発な情報交換が行われていたのが印象的だった。

 

「賢人王」の国だけに,文化水準も高そうなイメージ。ソーサラー向けの国家という印象もあるが,職業選択の自由は保障されている

 

●ホルデイン王国

国王:姫将軍ワドリーテ・ベルクシュタイン・ホルデイン
領地:オーレオール大陸

 

 オーレオール大陸全土を支配する国家。長く内乱が続いていたが,クリスタルの啓示を受けた羊飼いの娘ワドリーテが民衆を率いて平定。この圧倒的なカリスマの下に団結した国民は,開拓者の気風にあふれ,尚武の心も厚く,多くが剣術を得意としている。
 ここを所属国にしたプレイヤーの数十人に「どうしてこの国を選択したのか?」と聞いたところ,「ワドリーテ様に惚れたから」との回答が6割を超えたという。まさに愛溢れる驚異の国家だ。余談ではあるが,「ワドリーテ・ツンデレ説」が当たり前のように流れていたのは,個人的に興味深かった。

 

ワドリーテは,国民(NPC)から愛されている設定だが,その美貌ゆえか(?)忠誠を誓うプレイヤーも多かったようだ

 

●ネツァワル王国

国王:獣の呪いを受けし王ヒュンケル
領地:ビクトリア大陸

 

 ビクトリオン大陸全土を支配する国家。かつての戦役で活躍した獣人王ロムの再来といわれる獣王ヒュンケルが率い,その善政で国民の高い支持を得ている。ヒュンケルを含め,この国を守る兵士達はみな斧を携えている。
 正義の印象が強く,また国王ヒュンケルの力強く男らしいカリスマ性に惹かれてか,とりあえずこの国を選択して遊び始めた初心者ウォリアープレイヤーも多かったようだ。

 

ネツァワルでウォリアーを選んだプレイヤーは,ヒュンケルを意識してか戦争では勇猛な戦いぶりを心がけていた様子

 

 

■戦争ルールの明確化により,戦闘時のストレスから開放

 

戦況ゲージの搭載により,現在の状勢や残り時間などを把握しやすくなった

 本作の第1次βテスト時に最も問題となっていたのは,戦争時のルールの曖昧さだった。テスターからも同様の意見が多かったのか,第2次βテストではこれが明確化され,戦争でどのように戦ってほしいとメーカー側が考えているのかが分かりやすくなっていた。それでは,具体的にどのように変更されていたのかを書き上げていこう。

 

 最も大きな変更点は,戦争時の勝利条件だろう。具体的には,先に敵の拠点(城,キープ)のHPを0にした国が勝利する,というようにカッチリと提示/変更がなされていた。
 拠点のHPを減少させる方法は,オベリスク建築による支配領域の拡大,敵プレイヤーキャラクターの撃破,拠点自体への直接攻撃の三つ。なかでもオベリスク建築→支配領域拡大からのダメージ(一定間隔で継続して与えられ,支配領域が広いほうが1回に与えるダメージが大きくなる)がボディーブローのようにじわじわと効く点が,テスター間でも歓迎されたようだ。
 慣れたグループになると,オベリスクをどのように配置してダメージを与えていくかまで計算していたようだ。このあたりはベテランと初心者の差が出るところ。開始直後は第1次βテストを経験した多くのプレイヤーが戸惑っていたようだったが,数日もすると慣れたようで,戦況を見ながら細かな指示を出す軍師的な役割のプレイヤーが現れていたのには驚かされた。

 

 また,戦争をより分かりやすくしたものに,戦況ゲージの一新があった。戦況ゲージには,攻撃側,防御側それぞれの城のHPや支配領域,そして時間進行のゲージが表示されていたのだが,これが思いの外役に立つ代物だったのだ。
 第1次βテストでは,一斉に攻め出してゴチャゴチャっとしているうちに戦争が終了するといった感じだったが,第2次βテストでは戦況ゲージを逐一確認することで,戦争に参加している誰もが,全体的な戦況を把握できた。そのため,自分がいま何をすべきなのかを判断できるようになり,テスターのモチベーションアップにつながっていたように思う。
 個人的な事例で申し訳ないが,防御側の戦争に参加したときに「あと少しで戦闘が終わるから,死力を尽くして守り抜こう!」という一体感が,時間ゲージがEndに近づくにつれて大きくなっていったのにはちょっと感動した。たった一つのゲージが,ここまでの思いを生み出すとは……と,改めてゲームの持つインタフェースの重要性を認識させてもらった次第だ。

 

 第2次βテストでは,敵が支配している領域に自軍のオベリスクを建築できないようになっていたが,むしろこれは当然といえる対応だろう。というのも第1次βテストでは,敵側が支配している領域でも自由にオベリスクが建設できたため,その場所が攻めるべき場所なのか,それとも守るべき場所なのかが曖昧になりがちだった。だが,今回の修正でそれもハッキリとし,一つの領域の中でオベリスクを守る側と攻める側がきちんと別れるようになった。
 また,建築できる数に上限が設けられたため,オベリスク自体の重要性もアップ。力任せにガンガン攻めるよりも,オベリスクを有効利用しつつ攻めるという,戦略性も重要になっていた。まさに,オベリスクを制するものが戦争を制するといった具合だ。テスト後半になると,そのようなスタイルが各地の戦争で当たり前のように見受けられるようになったのは,テスターにとってもメーカー側にとっても非常に良い傾向だったように思う。

 

 遊びというものは,ルールがきっちり設定されているからこそ成り立ち,そして楽しめるものだ。第1次βテストのときは(無論テストであるのだから深くは言及しないが)そのあたりがうまく設定されていなかったため,ただ漠然と戦争を繰り返していたような気がしたが,第2次βテストではルールの簡略化と整備が徹底的に行われたため,テスター各自がより戦争を楽しめていたように思う。
 まだ完成形でないとは思うが,ゲームデザイン上重要な柱の一つである戦争が,ついに一つの柱としてゲーム中で機能し始めた,そんな印象を受けた。

 

テストを重ねるごとに,戦争がより遊びやすく楽しいものに進化していく過程を体験できるのは,テスターの喜びと言える

 

 

■新たに追加された建築物とモンスター。バランス調整は今後の課題か

 

召喚モンスターと初めて遭遇したときには,誰もがその大きさ,迫力に驚いたことだろう

 戦争をより奥深いものに進化させた要素の一つに,追加された建築物,そして召喚モンスターがある。建築物では,「ウォークラフト」と「ウォッチタワー」(第3次βテストより「アロータワー」に名称変更)の二つが,そして召喚モンスターでは「ナイト」と「ジャイアント」の二匹が追加。戦いを彩るコマの一つとして,さっそく多くのテスターが使用していた。
 ウォッチタワーは,牽制用の建物として重宝する攻撃タイプのものだが,ウォークラフトは通常の建築物とは違い,ジャイアントを呼び出すためのポイント。
 このジャイアントが戦況を左右しかねないモンスターで,動きは遅いものの,建築物に対してべらぼうに高い攻撃力を誇る拠点攻撃要員として大活躍。見張りをつけつつ,ジャイアントを敵拠点に誘導する場面が,多くの戦争で見受けられた。ナイトは,対召喚モンスター用のモンスターで,ジャイアントに対する切り込み隊長,もしくはアシスト担当のような使い方をされていたようだ。
 だが,これらの投入により戦争のバランス,戦い方もかなり変わり,まだまだ調整中という印象を受けたのも事実。このあたりは,今後さらにチューンする必要があるだろう。新規ファクターを投入するときには,このような問題は常につきまとうものだが,メーカー側がどのような対応をするのか,第3次βテスト以降も注目していきたい。

 

建築物に砲撃を加えるジャイアントへ,ナイトが襲いかかる様子は,ついついポカーンと見上げてしまうようなド迫力だった

 

 

■強国と弱国の格差が減少。さらに初心者への配慮も

 

 戦争に直接は関係ないが,支配力の高い国と低い国の格差をなくすべく,さまざまな処置が行われていたのも,いい方向に作用したようだ。装備品の修理にかかるコストの引き下げ,宿屋の利用料金に幅を作ったこと,文化レベルによるショップ販売アイテムの格差の廃止などはその例だ。第1次βテストでは,弱国が軍資金難に陥って戦争を起こせないパターンも多く見受けられたため,これはかなりの改善といえるだろう。
 お互いが完全にイーブンな立場になってしまうと,強国が強国である意味がなくなってしまうが,この程度の平均化であれば弱国にもチャンスが生まれる一方,強国と弱国の差をなくしてしまう心配はない。元々,本作は戦争が大きなファクターだったため,システム面に固執しすぎてその戦争が楽しめなくなってしまっては本末転倒だ。苦行を強いるようなバランスは,避けたいところだろう。そういう意味では,考えられていたシステムを一気にひっくり返してまで,戦争をより楽しんでもらえる方向へと誘導したメーカー側の判断は,正しかったといえるのではないだろうか。

 

 また,弱者とは多少違うかもしれないが,ゲームを始めたばかりの初心者テスターが,ゲームに入ってすぐに戦争に巻き込まれてアタフタしないように,各国の首都と直接つながっているフィールドが完全に中立(制圧不可能な地域)となっていたのも,素晴らしい配慮だったと思う。
 筆者などは戦争も好きだが,一人でチクチクと戦闘するのも大好きなタチ。そういった人間にとっても,初期のレベル上げのためにモンスターとの戦闘のみに集中できる中立フィールドがあるのはありがたい。もちろん,戦争に参加したほうが得られる経験値も多く,レベル上げも楽ではあるが,システムを覚えるまでには自由に冒険できる初心者用フィールドは必要だ。おそらく第3次βテストでも,これらのフィールドは初心者テスターで賑わうことだろう。

 

 それ以外に第1次βテストから第2次βテストに移行したときに変わった点は以下の通り。

  • チャットで入力できる文字数が128文字に拡大
  • スキルエフェクト表示時にかかる負荷の軽減
  • しゃがまないとクリスタルが取得できなくなった
  • クリスタル取得時にHPが回復するようになった
  • しゃがんでいるときに攻撃を受けると通常時よりダメージが大きくなった
  • 武器/防具を修理に出しても,最大耐久度が減少しなくなった
  • オートランを行なうためのショートカットキーがRに変更
  • 大陸マップを表示させるショートカットキーがF10に変更
  • レベルキャップが20から25に変更

 上記変更点の中でも興味深いのは,レベルキャップがいまだ25で止まっているという点だろうか。第3次βテストでも若干のキャップ解除は予想されるが(30?),このゆるやかなキャップ解除は,プレイヤーキャラクターのレベル格差をあまり大きくしないための措置なのかもしれない。
 実際,既存のMMORPGでは,高レベルプレイヤーと初心者の格差はかなり大きく,その間には(システム的にも)大きな壁が存在しているものもある。だが,本作における最大の目玉は,協力しあっての戦争。大きすぎる格差や特異性は,グループ内での不要な力関係を生み出しかねない。それはおそらく,メーカー側としても好ましくないことなのだろう。誰もが楽しく遊べるという前提で考えるのであれば,安易なレベルキャップ解除は避けてほしいと思う次第だ。

 

 最後にまとめてみると,第1次βテストと比較して,大小含めたバージョンアップが随所で行われており,ゲームとして非常にまとまってきたと感じられた。
 とはいっても,(頻繁にではないが)ラグが発生したり,ゲーム開始時などのローディング時間が長かったりと,不満がないわけではない。このあたりを第3次βテスト,そして正式サービスで解消していけば,さらに多くのプレイヤーを取り込んでいけるのではないだろうか。
 ゲーム性やシステム面ではたぐいまれなものを持ち,すでに個性が確立されている感もある本作品。さらなるチューンで細かな問題点を潰していけるかどうかが,正式サービス開始後の盛り上がりに繋がっていくだろう。
 「ファイナルファンタジーXI」を運営するスクウェア・エニックスの作品だけに,プレイヤーの期待,要求のレベルも他作品に比べて高いだろう。だが,それに応えながら,オンリーワンな作品として成熟していくことをぜひ期待したい。

 

※記事中では諸事情により,第2次βテスト開始前にスクウェア・エニックスより提供された画像を使用しています。ご了承ください

 

タイトル ファンタジーアース ゼロ
開発元 スクウェア・エニックス 発売元 ゲームポット
発売日 2006/12/21 価格 月額プレイ料金無料(アイテム課金制)
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9.0以上),CPU:Pentium 4/1.30GHz以上[Pentium 4/2GHz以上推奨],メインメモリ:512MB以上[1GB以上推奨],グラフィックスメモリ:64MB以上[128MB以上推奨],HDD空き容量:3GB以上,ネットワーク環境:300kbps以上

(C)2005-2007 SQUARE ENIX CO.,LTD.All Rights Reserved, Licensed to Gamepot Inc.

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http://www.4gamer.net/review/febeta2/febeta2.shtml