― プレビュー ―
派手なコンボ技を前面に押し出した,手堅い作りの3D MMORPG
デコオンライン
Text by 川崎 政一郎
2006年1月20日

 

※2006年1月23日追記:以下の記事は,基本的にクローズドβバージョンに基づいて記述されています。初出時に「2006年1月20日時点」での記事である旨が添えられていましたが,お詫びして訂正させていただきます。

 

■ミレナとレインの2国家によって,プレイスタイルは大きく変わる

 

本作は,現在でもなお人気の高い3DタイプのMMORPG。そこにアクション性を取り入れたシステムとなっている

 「デコオンライン」は,韓国のRocksoft社が開発した3DタイプのMMORPGだ。日本語版の運営はGMOインターテインメントが行っており,現在は,2006年1月中旬から始まったオープンβテストのまっただ中にある。韓国などを筆頭に根強い人気のあるクリック式のシステムを採用し,アクション性の高い戦闘と,親しみやすいグラフィクスを両立しているのが売りのタイトルだ。

 

 本作の舞台となるのは,ファンタジーな世界観を持つ「クアリス大陸」。この大陸はミレナとレインの国家によって二分されており,プレイヤーは最初に両国のどちらに所属するかを選ぶ。そして,ゆくゆくはミレナとレインが織り成す国家間戦争――すなわち対人戦――も行えるようになるのだ。そんなストーリーが根底にあるため,所属国が異なると,共に冒険を行えない。友達などと一緒にプレイしようと思っている人は,気をつけよう。

 

 さてミレナとレインの国家だが,それぞれによって選べる職業すら完全に異なっているのも特徴だ。例えばミレナは物質文明に基づいた国で,武具を操る職業全般に就ける。もう一方のレインは魔法国家という設定で,職業もそれに準じている。要は,イメージ的には「肉弾系」「魔法系」に分かれていると思っていいだろう。
 さらに,レベルが30になると上位職へのクラスチェンジも行える。両国の職業一覧を確認すると,以下のようになる。

 

・ミレナ職業一覧

 

・レイン職業一覧

 

 前述のように,ミレナは武器,レインは魔法と方向性が異なっており,そして両者は一緒にパーティを組むことはできない。……とそれだけ聞くと「パーティ編成時のバランスがぎこちなくなるのでは」と思う人がいるかもしれない。
 確かに普通のMMORPGであればそのとおり。肉弾系だけ,魔法系だけではまともな戦闘になりづらい。しかし本作においては,その点は問題ない。例えば武具を得意とするミレナでも,アーチャー用のスキルに「治癒の矢」がある。これを活用すれば,魔法を持たないミレナでも仲間の回復を行えるというわけだ。
 レインの場合も同様で,「シャーマン」は自らの体に魔法生物を憑依させ,それによって直接攻撃が得意になる。魔法系というよりは,実際には格闘家に近い性質の職業なのだ。そういう仕掛けがいくつも用意されているので,同じ所属国だけという制限があれど,ある程度バランスの取れたパーティプレイが可能になっている。

 

 また,上記のメインクラスとは別に「サブクラス」も取得できる。サブクラスは戦闘とは直接関係がなく,クローズドβテストの時点では「ウェポンクラフト」「アーマークラフト」「エルダークラフト」といった,生産系のものが幾つか導入されていた。ゆくゆくは,政治・経済等にちなんだサブクラス群も導入予定とのことだ。このメインとサブの2系統を合わせた“デュアルクラス”が,本作の特徴の一つとなっている。

 

職業ごとに異なるコンボ技が,本作ならではの魅力。それほどラグは生じないので,痛快な戦闘を満喫できる 国家によって職業はがらりと変わるので注意しよう。ミレナのキャラクターは,武具による攻撃を得意とする もう一方のレインは魔法にちなんでいる。写真のシャーマンは,召喚したものを自らに憑依させるという,ユニークな職業だ

 

現在選べるサブクラスは,生産系のみ。政治や経済にちなんだサブクラスは,今後どのような展開を見せてくれるのだろうか クラスチェンジを行ってみた。元の職業に戻すことはできないので,くれぐれも慎重に 鎧の種類によってグラフィックスは大きく異なり,見ていて飽きない。キャラクターレベルの大まかな目安ともなる

 

キャラクタのグラフィックスは,韓国産ゲームの一般レベル。全体的に,やや派手さが強調されたテイストだ

 

 

■アクション性を取り入れた戦闘。中でもコンボ技が痛快

 

画面左に表示された「4Combo」の文字に注目。敵に反撃の隙を与えぬまま,立て続けに攻撃できるのだ

 本作の最大の特徴は「戦闘時のアクション」なので,詳しく説明していこう。
 すべてのキャラクターは,攻撃時に特定の操作を行うことで“コンボゲージ”を蓄積できる。そして,コンボゲージを放出するクラス専用の特殊スキルを使い,一気に大ダメージを与えられるのだ。イメージとしては,「ファンタシースターオンライン」の連続攻撃に比較的近いが,本作の場合は最後に特殊スキルが付随するので,痛快さが一層増している。

 

 例えばミレナのソードマンの場合は,攻撃がヒットした瞬間,画面内に「Z,X,C」のいずれかのキーが表示される。このキー入力に成功すると“コンボ技”となり,次の攻撃が立て続けに入る。これはもちろん,「C→Z→X→X」といった具合に,複数回を連続させることも可能だ。このようにしてコンボゲージを溜めてから,最後にソードマン専用のスキル「狙い斬り」を使えば,通常時の何倍ものダメージを一気に与えられるというわけだ。
 またアーチャーの場合は,ゴルフゲームのショット時のようなゲージが表示される。攻撃時はこのゲージが動き出し,タイミング良くボタンを押すことで,大ダメージを与えられるのだ
 しかし実際にソードマンで「X,Y,C」のキー入力を行える時間は,1秒未満とかなり短い。また,アーチャー用ゲージの動きも速く,コンボを決めるにはそれなりに集中する必要がある。この緊張感が,戦闘に良い流れを生み出していると思う。コンボ入力時のほどよい緊張感と,決まった瞬間の痛快さ――派手な効果音やエフェクト――こそが,本作の最大のアピールポイントといえよう。しかもそれは,慣れればどんどんうまくなっていける類(たぐい)のものなのだ。

 

 ところでこれらのコンボ技の入力方法は,装備する武器の種別によって微妙に異なっている。一通り触ってみた感触では,初心者には両手持ちの武器を使うタイプがお勧めだと感じた。攻撃間隔が比較的長いため,入力時のキー操作を余裕を持って行えるのである。

 

 また,サブクラスの生産系スキルを使うときは,パズル型のミニゲームを行うというシステムとなっている。もちろん,これに失敗すると生産も失敗だ。ランクの高い生産はパズルの難度も比例して上がり,なかなか緊張する。しかしそれも,単にダブルクリックしていくだけ,などの単調なプレイにならないよう加えられた“一工夫”なのだろう。オープンβテストに入ってからは,サブクラスは改めて調整中のようだが,導入が楽しみなシステムである。

 

攻撃時は,次に入力すべきキーの文字が浮かび上がる。この場合は「C」。表示時間は短く,それなりに集中せねばならない 画面はマジシャン用のコンボ技「ファイアーボール」を放った瞬間。これだけでも,通常時の5倍前後のダメージを与えられる アーチャーが攻撃を行っているところ。ゲージの色が濃い場所に合わせれば,大ダメージを与えられるという寸法だ

 

コンボ用をはじめとしたスキルは,レベルと共に少しずつ増えていく。NPCと話すだけなので,お金は必要ない パズルゲームを使って生産するのは,とても新鮮。単調的な作業にならないよう,随所に心配りが感じられる 生産時に必要な秘石「エルダーストーン」は,武器から抽出して得られる。冒険時の戦利品から,生産材料を自給自足できるのだ

 

 

■全体的にそつのない作りで,クリックタイプのRPGが好きな人にお勧め

 

ゲームを進めていくのは,クエストが中心。もし目標を見失ったら,画面中のマップで点滅しているNPCを探してみよう

 基本的なゲーム展開は,お約束のタイプ。拠点エリアにいるNPCからクエストの依頼を受け,それを目的とした冒険をフィールドエリアで行うことになる。クエストの内容は,モンスターから戦利品を数十個単位で持ってこい,といった収集系が多い。この手のタイトルではごくオーソドックスな形式なので,誰でも悩まずにプレイできるだろう。そうやってキャラクターを育て,レベルアップしたら獲得した能力ポイントを各種ステータスに割り振っていく。まさに王道だ。
 ……がしかし,それもまた本作らしく,国家によって能力値の名称が違う(おそらく示す内容は同じだと思われるが)。ミレナのキャラクターは「パワー,持久力,体力,敏捷」で,レインのキャラクターは「交感,知能,体力,敏捷」だ。レベルアップのときは,忘れずに割り振っておこう。

 

 ちなみに戦闘がメインのゲームらしく,キャラクターが死んだときのペナルティは何気に厳しい。武具の耐久度や経験値がガクッと落ちるのだ。しかしちょっと「厳しすぎるかも?」という感も否めないし,そもそもこれが本仕様なのかテスト中の仕様なのか,それともバグなのか,実に微妙な感じがする。これについては今後のパッチ次第,といったところだろう。
 そして,そうやってがんばってレベル21以上に育てたキャラクターは,対人戦を行えるようになる。本作の対人戦は,名声値や貢献度を競う「国家戦」と,練習用の「フリーバトル」の2種類。後者であれば,ミレナとレインのキャラクターが共にパーティを編成できる。

 

 アクション性の高い戦闘を前面に押し出している本作は,プレイの大半がモンスターハンティングで占められている。なので,本作の戦闘システムを楽しめる人であれば,コンボなどを軽快に使って存分に楽しめるだろう。しかしこれは言い換えると,「ひたすら戦闘を繰り返してレベルアップするシステム」ということでもある。このあたりは,人によって好みが分かれるところだろう。

 

 しかし原稿執筆時点では,オープンβテスト開始後間もないということもあり,未実装の機能がいくつかある。この段階で早々と評価を下してしまうのは,少々酷というものだろう。政治・経済関連のサブクラスや,プレイヤー同士で拠点を築き上げる「フロンティアシステム」,そしてパーティメンバーによるプライベートエリア作成など,今後楽しみなシステムの数々が,未導入の状態なのだ。
 また,本作にちなんだライトノベルを公式サイト上で連載し,その世界観をゲーム内に反映させるなど,意欲的な試みも行っている。ゲームとして純粋に見た場合,本作ならではの個性的なシステムは多くないものの,裏を返せば,それだけ広く受け入れられたメジャーなシステムということでもある。奇抜なもの,ちょっと変わったものもよいが,結局のところオーソドックスなクリックタイプのMMORPGが一番良い,という人にはお勧めできるタイトルだ。

 

コンボ技の戦闘をどれだけ楽しめるかが,本作の評価の分かれ目となりそうだ。それ以外に関しては,ごくオーソドックスな作り 対人戦は,「国家戦」と「フリーバトル」の2種類。最初はフリーバトルで様子を見てみるのがいいだろう ソロプレイ時は,戦闘している時間に対して体力回復に要する休憩時間が長くなる。パーティプレイであれば,これも緩和されるだろう

 

名称が同じ武具でも,実は微妙な性能差がある。バザーなどからの購入時はよく注意しよう 一つのエリアを越えるだけで,出現モンスターは10レベルほども上がってしまう。必然的に,同じエリアで長期間を過ごすことになる 画面は,クローズドβの最終日に行われたGMイベントの模様。感情表現コマンドを用いた体操という内容だった

 

 

タイトル デコオンライン
開発元 Rocksoft 発売元 ロックワークス
発売日 2006/04/14 価格 基本プレイ無料/アイテム課金
 
動作環境 対応OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9.0c以上),CPU:Pentium III/733MHz以上[Pentium 4/1.8GHz以上推奨],メインメモリ:256MB以上[512MB以上推奨],グラフィックスメモリ:32MB以上[64MB以上推奨],HDD空き容量:1GB以上(Cドライブ)

Copyright(C)2006 Rocksoft Co., Ltd.,(C)Copyright RoC Works Co.,Ltd. All rights reserved. / Published by RoC Works Co.,Ltd.

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http://www.4gamer.net/review/deco/deco.shtml