■過激な暴力描写がウリのアクションゲーム
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| 「Crime Life」は,「Grand Theft Auto」の自由度の高いミッション制アドベンチャーに,「三國無双」を連想させる格闘アクションが満載 | |
最近,欧米に拠点を設けて独自展開する日本のメーカーが増えてきたが,コナミもそんな企業の一つだ。ドイツのフランクフルトをベースにしたKonami of Europeが,「Apocalyptica」や「Casino, Inc.」のように数々のPCゲームをリリースしている。
今回紹介する「Crime Life: Gang Wars」は,コナミがイギリスのHot House Creationsとタッグを組んでリリースした作品で,タイトルどおりプレイヤーがギャングの一員となり,その中で成り上がっていくことを目的としている。
Hot House Creationsといえば,ストラテジーゲーム「Gangsters」シリーズの開発元として記憶しているゲーマーもいるだろう。実際,筆者はパッケージを開けるまでは本作もストラテジー要素の強いゲームであろうと思っていたのだが,ゲームプレイは「Grand Theft Auto」を彷彿とさせるミッションベースのアクションゲームだった。
ゲームの舞台となるのは,傍若無人に暴れまわるギャング達によって無法地帯となった,アメリカの仮想都市グランド・シティ・セントラル。以前はビッグドッグ(Big Dog)率いるOutlawzというギャング団が大きな縄張りを維持していたが,近隣地区のHeadhunterzのリーダー,ジャスティス(Justiss)が,過激な手段によって組織を拡大。さらに,新興のKYCやPogue Mahonesといったギャング団も加わり,まさに群雄割拠の状況である。主人公となるトレ(Tre)は,いとこダリル(Daryll)の紹介でOutlawzに仲間入りするという設定だ。
Outlawzにはほかにも,フュリオス(Furious),ロニー(Ronnie),コラプト(Corrutt)といった脇役達が所属しており,ゲーム中にプレイヤーと行動を共にしてくれることがある。また,決闘場のジャッジとして腕を振るうコンチータ(Conchita),今は引退して床屋を経営しているスモーリー(Smally)など,多彩なキャラクター達が登場し,主人公の成り上がりストーリーに華を添える。
■アクション性は高いが,操作性にやや難あり
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| 金銭は,基本的には公衆電話の破壊や強盗で入手。強盗では,店員が立ち上がろうとしたら殴って座らせ,時間稼ぎをすることで収入が増える。コツさえ分かれば,かなり魅力的な資金源となる |
Crime Lifeは3人称視点のアクションゲームで,視点のズームや回転が可能だ(角度は変えられないので,例えば空は見られない)。ゲームプレイの基本は,ビッグドッグやスモーリーらから常時複数のミッションを受けることになるが,プレイヤーは比較的自由に行動可能である。
マウスコントロールはカメラ移動のほか,左クリックでライトアタック,右クリックでヘビーアタックと割り振られており,FPSのようにW,A,S,Dキーでキャラクターを移動させ,特殊攻撃はスペースバー,防御はShiftキーとなっている。マウスクリックとスペースバーの併用で,さまざまなコンボ技が繰り出せ,バックブレーカーや,首への決め技,刃物による突き刺しなど,バイオレンス度の高いアクションも用意されている。
Outlawzによるターフ(Turf。縄張り,シマという意味のスラング)の奪還が目的のゲームであるため,とにかくアクション重視のゲームプレイが楽しめる。縄張りの近場であれば仲間が加勢してくれることもあり,30人程度が入り乱れての大乱闘になることもしばしば。とくに序盤は,Outlawzの組織や仲間達から「リスペクト」(尊敬)を得る必要があるため,街のそこかしこにいるHeadhutnerzのギャング団を倒しまくらなければならない。
敵の再出現率が高く,一人をやっつけるのに最低でも10回程度の攻撃が必要となり,指への負担は相当なものとなっている。実をいうと,カメラの位置やプレイヤーキャラクターの方向合わせなどが非常に不出来で,戦闘中に思うように操作できず,イライラすることも多かった。また,プレイヤーキャラクターは最も近くにいる敵を自動的に攻撃するようになっているので,せっかく相手を追い詰めていても,別の相手にターゲットが移ってしまうことも頻繁に起こった。アクション主体のゲームだけに,そういった点は非常に残念である。
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| 仲間はヘルス値がなくなっても死なないが,一緒に戦ってくれなくなる。回復には,チェーン店のFat D'sでハンバーガーを食べよう | 乱闘ではフィニッシュムーブを決めて一人一人の相手を料理していく。カメラが最大までズームアップし,ポキッ,グサッ,バキッなど効果音が生々しい | 仲間が近くでフィニッシュムーブを決めたときは,左下に小型のウィンドウが表示されて教えてくれる |
■「ポストGTA」とはいえないものの,好きな人は好き?
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| 大規模な乱闘になると血が飛び,死体が横たわり,うめき声もアチコチで聞こえる。倒しても倒しても,しばらくすれば敵のギャング団はリスポーンされてくるので,さっさとミッションを進めるほうがお得 |
Crime Lifeでは,敵のターフにある店を略奪したり,相手のアジトに乱入して暴れ回ったりと,ギャングの活動の中でも,とくに暴力に重点が置かれている。町を歩く人はおろか,パトロール中の巡査に危害を加えることも可能で,このあたりがMレーティング(17歳以上推奨)に指定されている理由だろう。殴るたびに血が飛び散り,町中で卑語が飛び交うといった要素も,プレイヤーを選ぶところだ。
プレイヤーが使用できる武器は角材やバット,なた,ナイフ,ピストルなど。武器を持っている敵を倒すことでドロップアイテムとなり,一定回数使用すると壊れてしまう。箱や椅子といったオブジェクトを敵に投げつけることも可能だ。
また,スプレーで敵のグラフィティの上から落書きし,自分の領域であることを主張するのも重要な要素になっている。一つのマップには30か所程度のポイントがあり,それを見つけ出しては落書きし,いわば敵の顔にドロを塗る。こうすることで,その地域には敵が出現しなくなるらしいが,この地点を見つけ出す行為が,ある種のパズルのようになっていて,何度も同じ地域を走り回る結果になった。
なお,Crime Lifeのグラフィックスは,やや旧世代的。テクスチャが粗くモデリングの角が目立つうえ,アニメーションもキャラクターモデルの歪みがあからさまに目に付く。
すでに記したように,カメラやキャラクターのコントロールが持つ問題と,クリック重視の単純なプレイフィールを含め,このゲームからは「Grand Theft Autoの対抗馬」としての価値は見いだしにくい。過激な描写を加えただけの二番煎じ,いや三番煎じくらいの印象しか残らなかった。Konami of Europeも,もう少し作品のクオリティを管理すべきだったのではないか,と老婆心ながら思ってしまう(デモ版がリリースされていない点も,ゲーマーとしては残念である)。
とはいえ,この手のバイオレンスアクションが好きなゲーマーなら,そこそこ楽しめてしまうのも事実。ギャング団員の成り上がり伝説を疑似体験してみたいという人は,試しにプレイしてみるといいだろう。
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| 強盗や略奪の失敗で逮捕されてしまうことも。画面写真は,罰金500ドルで済んだ,軽微なケース | 戦闘が長引けばRageメーターがマックスになって,より強力なパワーを発揮できる。このRageモードは,酒場で買う不気味な飲み物でも発動可能だ | ゲームに声優としても登場している,D12らのヒップホップの選曲は評価できる。D12のメンバーらのインタビューがアンロックされる特典も |
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