Vanguardの概要
世界中のコアなMMORPGプレイヤーが何年も待ち続けていたタイトル,「Vanguard: Saga of Heroes」(以下 Vanguard)がついに発売された。以前から,この作品に関する話題の中心にあったのは,これが,あのMMORPGの金字塔,「エバークエスト」を手がけた開発者達によって作られているということだった。実際にプレイしてみても,インスタンスがなかったり,難度設定や死亡時のペナルティが非常にシビアだったりといったことから,本作がエバークエストを強く意識したゲームであることを実感する古参プレイヤーも多いはずだ。
ゲームの舞台となる大陸とそこに住む種族
“Telon”は大きく三つの地域に分けられ,各地域はそれぞれ“中世ヨーロッパ”(Thestra),“東アジア”(Kojan),そして“アラビアンナイトの世界”(Qalia)をモチーフとして作られており,それぞれの地域のカラーに合わせるように住む種族が配置されている |
Vanguardの冒険の舞台となる“Telon”の特徴は,第一にとても広いことだ。物理的にマップが広大であることに加え,初期には手軽な長距離移動の手段がほとんど用意されていないため,プレイヤーはその広さを強く実感できる。ただ広いだけではなく,地域ごとに異なった文化や植生,景観の特徴などがきっちりと設定されていることも,より深いゲーム体験を求めるプレイヤーには見逃せないポイントだろう。
このような作り込みのおかげで,本作では広大なファンタジー世界を旅する感覚が十二分に味わえるのだ。
豊富に用意されたクラス
Vanguardでプレイヤーが選択できるクラスは15種類。これらのクラスは,大まかな特徴や,グループを組んだときに担当する役割によって,4種類のアーキタイプに分けられる。
●Healer
|
●Caster
|
材料採集とアイテムの生産について
Vanguardのアイテムクラフティングは,かなり凝った,奥の深いものになっている。ものづくりやアイテムの売買が好きなプレイヤーが,生産活動をメインとしてゲームを楽しむことも可能だろう。武器や防具といった装備品が生産可能なほか,腕を磨いていけば,家屋や船も作成可能になるという。
さらに本作ならではの要素としては,以下のようなものがある。
●生産インタフェース
限られた量のポイントを消費しながらアイテム生産の“行程”を進め,さらにできる限り“品質”も向上させていく。その駆け引きがミニゲームのようになっている。
●Workorder
町のNPCから“材料をあずかってそれを加工する仕事”を受けられる。これを利用すれば手持ちの材料を消費せずにスキルを上げられるうえ,仕事を完了すれば報酬も得られる。
●グループで採集
グループメンバーと協力して採集すると,一人で行うよりも多くの材料を採集できる。鉱石に向かって大勢でハンマーをふるう光景は,見ていてほほえましい。
ディプロマシーの楽しみ
町中にいるNPCとの交渉/舌戦をカードゲームで表現した“Diplomacy”は,ほかのMMORPGにはない,Vanguardならではの要素だ。
ファンタジー小説の登場人物達は,しばしば機知に富んだ話術で重要な情報を聞き出したり,窮地から逃れたりする。ペン&ペーパーのRPGで,酒場の主人にうまく話をふると,有益な新情報が得られる……などという展開もおなじみだろう。
このDiplomacyは,そういったものをMMORPGで体験できるようにしたい,と願った作り手の思いが形になったものだ。
コアゲーマーのためのMMORPG,Vanguard
マウント(乗用動物)の種類が豊富であることもVanguardの特徴の一つだ。馬やラクダといった地上用の乗用動物のほか,高レベルになるとグリフォンやユニコーンといった空を飛ぶマウントにも騎乗可能になる。またVanguardでは,MMORPGとしては珍しく,パブリックなフィールド上に自分の家を建てることが可能になっている。内装などに凝ることもできるのだ。
すでに正式サービスが始まっているVanguardだが,いまだバグや不具合は多く,プレイしていてイライラさせられることも少なくない。しかし,このゲームの示す将来性に魅力を感じ,本作に関わり続けているプレイヤーが少なくないこともまた事実だろう。
現在のところ,万人にお勧めできるタイプのゲームではないが,コアゲーマーにとってはしばらく見つめ続ける価値のある作品,といった印象である。