「Feats of Arms」という名前に聞き覚えはなくとも,「墨香オンライン」と言えばピンとくる人も多いのではないだろうか? 墨香オンラインは,韓国の人気武侠小説「墨香」の世界観をベースにしたMMORPGで,日本人のプレイヤーには,掲示板サイト「2ちゃんねる」とコラボレーションし,ゲーム内にAA(アスキーアート)キャラクターを登場させた作品と言ったほうが,分かりやすいかもしれない。
墨香オンラインは,日本で独自展開していたゲーム内容に韓国版の要素を追加するに当たって,いったん正式サービスを停止,キャラクターデータをすべて削除し,Feats of Armsとしてリニューアルオープンすることになったのである。世界観や基本的なゲームシステムを踏襲しつつ,6月7日から実施中のオープンβテストでは,転職やペットシステムなどの新要素が追加されている。
キャラクター作成と成長システム
キャラクター作成時に選択できるのは性別,顔,髪型,身長と体型(横幅),初期装備。職業の選択はなく,どのようなキャラクターを作っても初期性能は変わらない。身長と横幅が選べるのは面白いが,それほど極端なキャラクターを作成できないのは少し残念だ。
キャラクターはレベル40で修羅/覇者に転職することで,専用のスキルなどが使用可能になるが,本作では基本的に職業の概念はない。本作での転職は,スキルを特化させるものというイメージだ。そのため,好きな武器を選び,自分が必要だと思うスキルを習得して,自由にキャラクターを育てていける。レベルアップするごとに得られるポイントを割り振って基本ステータスを強化していく。
◆武功と軽功
本作では,戦闘で使用するスキルを武功,移動速度や回復速度をアップする補助スキルを軽功と呼び,SP(Skill Point)を消費して発動する。武功のうち,武器に依存するものを外功,武器に依存しない魔法のようなものを内功と呼び,スキルごとに成長要素が存在する。スキルを使用すると得られる経験値が一定値に達するとレベルが上昇し,より強力な効果を発揮する。
フィールド移動で大きく変化する世界
本作の世界は,ポータル同士がそれぞれのフィールドを繋ぐことによって構築されている。移動速度をアップさせる軽功の存在もあって,移動にストレスを感じることはなく,別のフィールドへ移動すれば文字通り世界が大きく変わるため,新鮮な気持ちでプレイできる。未知のフィールドへ足を踏み入れるのが楽しみになるのだ。
冒険を盛り上げるさまざまな工夫
●ペット
Feats of Armsになって新しく実装されたシステム。ペットは召喚アイテムを使用することで呼び出せる。呼び出したペットは戦闘の手助けをしてくれるほか,アイテムを預ける臨時倉庫としても活用できる。また,ペットのレベルを上げれば進化して,外見も変化する。
●武神モード
スキル「武神」を修得すると,ステータスウインドウの一番下にあるゲージが反応するようになる。モンスターを倒すとゲージは少しづつ上昇し,フィールド間の移動,戦闘不能,あるいはログアウトによってリセットされる。ゲージが最後までたまると武神モードが発動でき,キャラクターの能力が一時的にアップする。
●ジャックポット
サーバー内に存在するプレイヤーキャラクターがモンスターを倒すたびにゲーム内通貨がプールされていき,ランダムで選び出されたプレイヤーにキャッシュバックされるというシステム。一等から四等までがあり,抽選は各プレイヤーがモンスターを倒すたびに行なわれる。
●フィールドボス
モンスターが存在するフィールドにはそれぞれ,フィールドボスが存在する。取り巻きのモンスターを連れており強力だが,首尾よく倒せれば,多くの経験値と修練値を得られる。時にはレアなアイテムを落とすことも……。
●AAキャラクター
武侠世界に2ちゃんねる発祥のキャラクターという,異色の世界観が特徴的だった墨香オンラインだが,本作においてもモナーなどのキャラクターは健在。街をうろつきながら,例のセリフを繰り返している。今後のイベントやクエストでの活躍を期待したい。
リニューアルをきっかけにプレイしてみる価値あり
Feats of Armsには武侠小説のオンラインゲーム化という経緯があるが,「墨香」を読んだことがなくても十分楽しめる。また,確かに武侠小説の世界観を踏襲しているものの,堅苦しい雰囲気はなく,誰でも気軽にプレイできるカジュアルなイメージの作品に仕上がっている。
シンプルで分かりやすいだけでなく,プレイヤーそれぞれの好みに合わせた,自由で幅広い育成が可能な成長システムの完成度は高く,ゲームとしても面白い。今後は攻城戦や,ロボットのようなものに変身する「タイタンシステム」の実装などが予定されている。もはや武侠というよりは,ますます何でもありの独自の世界観に向けて突き進んでいる本作。武侠小説由来のオンラインゲームということで,背景を理解するのが難しそうだと二の足を踏んでいた人も,リニューアルオープンされたこの機会に,ぜひ一度プレイしてもらいたい。