RTS界にその名を刻む「コサックスII」とは?
4月13日にズーから発売された「コサックスII 〜ヨーロッパの戦い」は,18世紀末〜19世紀初頭のヨーロッパを舞台にした歴史RTS「コサックスII 〜皇帝ナポレオン〜」の,拡張パックだ。本作の特徴といえば,最大で6万4000ユニットにも達するという膨大なユニット数と,さまざまな要因でリアルタイムに変動する部隊の士気の管理だ。
本作はシリーズ初作から,戦場に一度に表現できるユニット数(兵士数)にこだわり続け,数千単位の大部隊同士が衝突する迫力をウリにしてきた。とはいっても,数に頼ってやみくもに突っ込むだけではなく,ナポレオン時代の戦闘らしく,大部隊vs.大部隊が激突の前に,お互いを牽制し合って対峙する。その様子は壮観で,銃の一斉射撃のタイミングや突撃開始のタイミングが勝負のポイントとなる。戦闘中も資源を獲得して兵士を育成しながら戦うタイプのRTSだが,内政をできる限り簡略化している点も特徴である。
単体動作の拡張パック「〜ヨーロッパの戦い〜」
本作はコサックスII拡張パックであり,とくに新しい機能の追加などはないが,多くの新シナリオと三つの新勢力が追加され,バランス調整なども行われている。
また拡張パックという位置づけになっているが,単体での起動が可能だ。つまり,本編にあたる「コサックスII 〜皇帝ナポレオン〜」を持っていなくてもプレイできる。なお本編と拡張パック,両方のシナリオを楽しみたいという人には,2本がセットになった「コサックスII スペシャルパック」をオススメしたい。
壮大なスケールで楽しめる「新シナリオ」
本作の追加点で最も目を引くのが,新シナリオの追加だ。前作に盛り込まれなかった史実上の有名な戦いが,多数追加されている。とくに,ナポレオンにとってもヨーロッパにとってもターニングポイントとなった,「国民の戦い」(歴史用語としては「諸国民の戦い」が一般的)や「ワーテルローの戦い」が収録されているのは要注目だ。
ストーリー形式のキャンペーンシナリオも4本収録されている。一度は敗北してエルバ島に隠遁させられたナポレオンが,フランスに帰還して再起をかける歴史を描く「百日天下キャンペーン」と,拡張パックで追加された3か国それぞれのキャンペーンの合計4本だ。
・キャンペーン
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「百日天下キャンペーン」(フランス) |
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イベリアの問題(スペイン) |
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ポーランド王の名誉(ポーランド) |
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ウィーンへの道(ライン同盟) |
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・歴史上の戦い
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国民の戦い(ライプツィヒの戦い) |
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ボロディノの戦い |
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ワーテルローの戦い |
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アウステルリッツの戦い(本体にも収録) |
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3か国が新たに追加され,合計9勢力に
従来の「フランス」「オーストリア」「プロシア」「イギリス」「ロシア」「エジプト」に加えて,「スペイン」「ポーランド」「ライン同盟」の3勢力が追加され,合計9勢力が使用可能になった。これに伴って「ヨーロッパの戦い」キャンペーンのマップも新しく書き換えられている。とくにライン同盟とポーランドが追加されたことで中央ヨーロッパ付近のマップが細かくなっており,その周辺国の戦略はかなり様変わりするだろう。
細かい修正点も嬉しい
地味にうれしい変更点としては,クイックバトルで2対2や3対3といった複数プレイヤー同士の対戦が可能になった点が挙げられる。チーム分けも自由に行えるので,よりバラエティに富んだ戦いが楽しめるだろう。
コサックスII本編の発売からだいぶ時間が経ってしまっているが,単体で動作するのは嬉しい仕様。より完成度が高まった作品になっているので,本編をプレイしたことのある人は久々に,そうでない人はこの機会に,ぜひ6万4000ユニットの激突する戦闘を体験してほしい。