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マビノギガールズ総勢50名は,”アキバ”の話題を独占できたか?
2005/03/22 17:32
■限定5食,オリジナルカップ持ち帰り可のマビノギメニュー

マビノギタイアップメニューのアイスチョコにネコのトッピングを施す,サキュバスの人。一心に働く姿は美しい?
 以前当サイトの「こちら」の記事でお知らせしたとおり,3月20日(日),21日(月)および翌週26日(土),27日(日)の計4日間,秋葉原の街頭にて,MMORPG「マビノギ」のPRイベント「マビノギガールズ秋葉原ジャック」が実施される。
 マビノギの登場キャラクター「ナオ」と「サキュバス」に扮した総勢50名もの「マビノギガールズ」が,道行く人に販促アイテムを配るというこのイベントと,同じく秋葉原を舞台としたPRイベント「マビノギカフェ」の様子を取材してきたので,レポートをお届けしよう。

 まずはマビノギカフェの様子から。取材といっても,マビノギカフェはカタギの衆がこれでもかと平和にお茶をしばく"メイド喫茶"のアレンジ版である。あまりズカズカと足を踏み入れるわけにもいかないらしい。報道陣が集められたのはドンキホーテ5階にある「@ほぉ〜むかふぇ」の取材専用スペース(普段はLIVINGと呼ばれるスペースとのこと),時刻は11時30分。
 秋葉(あえてアキバとは書かない)歴も,違う方面でそれなりに長いと自負するPC関連出身の筆者だが,午前中に足を運んだことなぞ,まずない。しかも,物珍しさに店内の注意書きをしげしげと眺める限りでは,ここは店員さんが「ご主人様」「お嬢様」なる語を二人称代名詞として使う不思議な空間だ。

 そうこうするうちに,1日5食限定で1000円也のマビノギタイアップメニューが運ばれてくる。いや,撮影用であって試食したりはしてないわけだが。チョコレートケーキとシャーベット,オリジナルマグカップに入ったラテ付きアイスチョコがその内訳で,ラテの泡の上には,開発元devCATのトレードマークであるネコの顔がチョコレートソースでデコレートされる。あまり時間が経つとチョコレートソースが沈んでしまうということで,慌しく撮影開始。ちなみに2種類用意されたオリジナルマグカップは,帰りに洗ってお客さんに持たせてくれるらしい。

 続いて,開催期間中に店内を徘徊するというナオ,サキュバス姿の店員さんが登場し,またも撮影タイムである。「サキュバスの羽をどう撮る?」とか,「ナオに何持ってもらおうか?」などと言いながら,こちらもつつがなく終了した。
 どこかのタイミングで主催側が企画の内容と趣旨について説明してくれるものと思っていたところ,本日午前の部はこれにて終了だ。まあ,ここまでで予定どおり30分,正午にいったん解散であるから,無理からぬところかもしれない。
 とはいえ,せっかくなので現地で確認できた情報をいくつか。当サイトの「こちら」でもお伝えした,店内で流されるマビノギの"オリジナルムービー"についてだが,これはゲーム内のオープニングムービーおよび,公式サイトで公開中のチュートリアルムービー「ロナとパン」の2種類をDVD-Videoの形にしたものとのこと。内容的に独自のものではないので,あくまでお店の雰囲気作りの一環として楽しみたいところ。
 次に,各店舗の詳しい営業日について。「カフェメイリッシュ」での催しは3月21日までなので,この記事が載る頃にはすでに終了しているはずだ。残り2店舗については,

JAM ヲタンコナス部
開催日:3月16日〜30日(21日を除く) 時間:12時〜23時

@ほぉ〜むかふぇ
開催日:3月16日〜30日 時間:11時〜23時

となっている。オープンβテストのタイミングから考えると,ゲーム内コミュニティの形成促進には早すぎる時期のような気もするが,これから出かけてみようと思う人は,チェックしておこう。

写真上段左:マビノギカフェ開催中の,@ほぉ〜むかふぇのカウンター。午前中だが,すでにお客さんが入り始めていた
写真上段中:こちらはあくまで取材専用スペースだが,店内の様子。壁に貼られたポスターは,フロア内の各所で見られる
写真上段右:ナオをあしらったオリジナルコースター(手前)と,店員さんのリスト(奥左側)。……そういう文化らしい
写真下段左:こちらが完成したばかりのマビノギタイアップメニュー。後で持ち帰れるマグカップが2種類あるのに注目
写真下段中:興味本位で先刻の店員さん紹介冊子を開いてみる。先生,冊子の中身がマビノギルックじゃありません
写真下段右:店内貼りポスターのアップ。中央の模様がいかにもケルト神話らしい。ケルト文化の基本構造は"永劫回帰"である


■いささか賑やかさを欠いたのが惜しまれる秋葉原ジャック

街頭でチラシ入りのクリアフェイルを配布する"マビノギガールズ"の勇姿。ちなみに中央左がサキュバス,右がナオだ。見れば分かるか
 さて,正午を挟んで13時15分からは,マビノギガールズ秋葉原ジャックである。ワシントンホテルの隣にある,労働省秋葉原庁舎2階がこのイベントのヘッドクォーターとなっており,まずは集結を完了したマビノギガールズ50名の洗礼を受ける。
 ……黒い。とにかく黒い。いや何かの比喩ではなく,両キャラクターとも衣装が衣装なため,本当に黒づくめの集団なのだ。ファンタジーストラテジーゲームの中で閲兵式をやったらこんな感じだろうかと想像してしまう。いや,MMORPGなんですが。ナオ役のみなさんのなかには,髪型をきちんとツインテールにして扮装を凝らしている人もいたが,さすがに髪を白っぽく染めている人はいなかった。そりゃ黒くもなる。
 このヘッドクォーター,50名が準備/待機するには十分な面積なのだが,いかんせん奥行きがあまり取れない。よって,写真を撮ると,もれなく一面の黒服軍団。その威容をしばし堪能されたい。

 集合写真(?)の後は,いよいよ数派に分かれて街頭に出撃だ。我々も"PRESS"腕章を巻き,広告代理店の方の先導に従い黒服コスプレ隊の後をついて行く。なんというか,どこかのテーマパークに来たパックツアーの客みたいなありさまで,よく知った土地を歩くのは少々きまりが悪かったのだが,こうでもしないと取材にならない事情は,間もなく明らかになる。
 中央通り沿いの展開予定地点で,マビノギガールズの面々は3〜5人のグループに散開してグッズの配布を開始する。配ったのはチラシの入ったマビノギクリアファイルだ。こちらはその情景を写真に収めるわけだが,ものの10〜20分で用意してきたクリアファイルを撃ち尽くして戦闘終了である。したがって,我々の取材もこれで終わり。確かに随行取材でもしない限り,肝心の場面に出会えない可能性が大きい。

 後で聞いたところによると,この二日間で配るクリアファイルの総数は3000枚。1日に2回配布するので,一人・1回当たりの弾数は15枚ほどという計算になる。50人という大戦力と,週末のアキバの人出がもたらした結果であり,さすがに次週の配布に備えて,クリアファイルは増刷するとのことだったが。
 人出といえば,気になった点がもう一つ。せっかく大挙50人を投入したマビノギガールズなのだが,もともとアキバの人出が多いこともあって,意外に目立っていなかったのが少々残念なところ。この日は曇天でやや肌寒かったこともあり,黒い衣装が道行く人のコートの色に埋もれてしまったのが,原因の一つだろう。
 とはいえ,クリアファイルがあっという間にさばけたのは,それだけ好評だったということだし,数人ずつにバラけての配布中でなく,配布開始前/終了後に10数人ばかりが固まってぞろぞろと中央通りを行くさまは,「うお,何だ?」と思わせるものがあった。そもそも現在のアキバは,どこの手の者とも知れぬメイドさん(を模した衣装の人)が2〜3人組で定期巡回する街になっている。数で押すならむしろあまりバラけさせず,POPか何かを持たせて計画的に練り歩かせるのが正解ではあるまいか。
 "ジャック"というにはやや散漫で,おまけに昨今の皇室事情,それに対応せざるを得ない警察の方々を慮ってか,MCどころか拡声器も使わぬ"おとなしの構え"。"イベント"として見ると若干コメントに窮する部分もあるが,クリアファイルが欲しい,ナオとサキュバスがぜひ見たいという人は次週の配布に合わせ,26日(土),27日(日)にアキバに出てみるとよいだろう。配布開始は14時と16時の2回,今回の結果を受けた増刷数にもよるが,依然として競争率が高いことも考えられるので,心して出かけたい。

写真左:出撃前,50人が勢揃いしたマビノギガールズのみなさん。黒い,そして数が多いんですよとにかく
写真中,右:街頭で活躍するマビノギガールズの面々。だが,これらの写真からも分かるように,当日は曇天で肌寒かったこともあって,黒っぽい服の人も多く,存外目立たなかったのが残念なところ。まあでも,今のアキバでどんな格好をしたら目立つのかというのも問題だ


■4月中旬頃のタイミングでゲーム内イベントも

マビノギカフェ店内でも使われていたが,JR秋葉原駅構内の柱に貼られていたのは,このパターンの大判ポスター。ホームからエスカレーターで降りてくると目に入る
 さて,以上で用意されたメニューは終了なのだが,せっかくの機会なのでネクソンジャパンの方に,今回のイベントおよびマビノギ自体について,気になるところをぶつけてみた。

 まずはあまりにあからさまな,今回のイベントの狙いについて。ターゲットの広いオンラインゲームでありながら,なぜアキバという"スポット"をプロモーションの対象に選んだのか? ネクソンジャパン 企画部 マーケティングチーム 大井香苗氏は,「オープンβテストが開始されたばかりのタイミングですし,Web上でのプロモーションにも,もちろん力を入れています」と前置きしたうえで,「オフラインでPRするに当たっては,最も分かりやすい場所から始めた,ということです。グッズ配布とカフェだけでなく,JR秋葉原駅構内のポスター,アニメイトさんの店内での掲示なども含めて,とにかく見ていただく機会を増やし,Web上,口コミを含めて話題にしてもらえればと。駅でのPRについては,大阪日本橋でも行っています。秋葉原とはまた違う形ですが」と,答えてくれた。

 しかしながら,秋葉原に出入りする人々の中でも,コスプレ,メイド喫茶,アニメグッズショップでの掲示などに親和的なのは一部であるハズ。むしろ気になるのはその方法論である。それに対して大井氏は「韓国での盛り上がり方を見るに,コスプレや同人誌の果たす役割がそれなりに大きかったということです。マビノギについて,韓国ではテレビCMを含めたより広いプロモーションが行われ,小中学生にも高い人気を得ていますが,日本のオンラインゲーム事情として,年齢層の違いがあると思います」と,抽象的ながら論点のたいへん明確な回答を返してくれた。要するに,トゥーンレンダリングでアニメ調の本作を楽しんでくれる大人とは,どういう大人かという解釈の問題のようだ。いや,しかし,その自己認識はこの作品に対して少々もったいない気もする。もちろん,数あるアプローチ手段の一つとしてはアリかもしれないが。ともあれメーカーが,その総力を挙げてソチラ方面にパワーを割くという,思い切りよく大胆な手法を採ったのは,オンラインゲームの浅い歴史の中とはいえ,これが初めてではなかろうか。

 そして,その結論(の一つの形)が50人の"マビノギガールズ"だとすると,どうしてもぶつけてみなければならない質問がある。ぶっちゃけ,「ラグナロクオンライン」におけるガンホーさんの方法論を意識していますか? という点だ。聞くも愚かな話に思えるが,大井氏の回答は「ゲームの魅力の部分が似ているので…………そんなに意識していないです」という,やや当惑気味のもの。ぶしつけな問いでたいへん恐縮な次第だが,それはそれとして回答の間(ま)の部分,行間をどう読むかについて,少なくとも筆者はさらなるツッコミの必要を感じなかった。

 イベントについておおむね理解できたところで,ゲーム自体の今後について聞いてみた。
 ■韓国でも人間以外の種族の登場は"G2"世代から
 ■韓国では月に一度定例アップデートがあるが,国内では未定
 ■3月17日時点での同時接続者数は1万3000人に達した
など,直近のさまざまな事柄が話題に上ったのだが,オフラインのPRイベントもさることながら,大勢のβテスターが集まっている今,気になるのはむしろゲーム内イベントの予定だろう。
 大井氏は「どこまでお話ししてよいか」と言いよどみつつも,「4月中旬頃を目処に,そうしたことが考えられています。内容は今のところ未定ですが」と答えてくれた。現在はクライアントソフトの動作状況などを見ながら,実施可能なイベントを検討している段階のようだ。

 ちなみに今回のイベントで,クライアントソフトのCD-ROMを一緒に配布しなかったのは「時間的制約が大きかった」(大井氏)という理由らしい。いろいろ忙しいタイミングではあると思うが,次はぜひ,ゲーム内の話題,新機軸をいささかなりとも覗かせてくれるイベント内容を期待したい。
 そんなことを考えながら,今や"アキバ"ではすっかり数を減じてしまった輸入洋ゲー屋さんに立ち寄った後,柱に貼られたマビノギの大判ポスターの間を抜けて,JR秋葉原駅のホームに向かった次第である。(text by Guevarista,photo by kiki)

「マビノギ」
 →公式サイトは「こちら」
 →紹介ページは「こちら」

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写真左:「マビノギガールズ秋葉原ジャック」で配布された,クリアファイルとチラシ。これを入手するには26日,27日にアキバへGoである(撮影:Guevarista)
写真中:「JR秋葉原構内の柱に貼られた,マビノギのポスター。面によってバージョンの違うものが使われているなど,気合のほどが窺われる(撮影:Guevarista)
写真右:「最後に再びマビノギガールズの集合写真を。計画的に集中投入していれば,確かに"ジャック"できたかも。ともあれターゲットの明確なイベントであった

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http://www.4gamer.net/news/history/2005.03/20050322173243detail.html