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[GDC#14]GDCエキスポ会場はミドルウェアだらけ
2005/03/14 16:02
 いまさら強調することでもないだろうが,GDCエキスポ会場内には,PlayStation 2やNINTENDO DS,そしてATI社,NVIDIA社,Intel社などの華やかなブースに混じって,ミドルウェアを展示したブースが並んでいる。
 ミドルウェアとは,例えばDirectXのようにアプリケーションの要求に合わせ,さまざまな機能を用意しておくことでゲーム開発の効率化と低予算化に役立てるソフトウェアのことである。アプリケーションソフトとゲームソフトの中間に存在するので,"ミドルウェア"と呼ばれるわけだ。

 とくに,次世代ゲーム機ではミドルウェアの必要性もさらに高まると見られており,ゲーム開発の現場にいる人間にとっては,どのミドルウェアを利用するかは死活問題といえる。レンダラーとしては不動の地位にある「RenderWare」のクライテリオン社や,セガ社ではスタンダードとなっているCRIミドルウェア社,モデリング/アニメーションツールの「3ds max 7」のDiscreet社,キャラクター制作ソフト「Granny 3D」で有名なRAD Game Tools社などの会社のブースが,今回の会場での真の主役達といって過言ではないのだ。

樹木生成では広く使われているSpeedTreeも有名ミドルウェアだ


 今回のGDCに出展されているのは,グラフィックス関連のミドルウェアだけでないのも面白い。まず「Half-Life 2」「Halo 2」「Crash Nitro Kart」や「鉄腕アトム」などへ物理エンジンを提供したHavok社の需要はここ数年うなぎ上りで,GDCでは「Havok Physics SDK 3」と「Havok Animation 3」を統合した「Havok Complete」と呼ばれるツールセットを初公開している。
 Havok Physics 3は「Continuous Physics」と名付けられた新技術で,衝突検出(Collision Detection)を連続してチェックし続けることで見落としを最小限に留め,開発期間の延長を最小限にするもの。Havok Animationは,アニメーションの効率的な圧縮/解凍,モーション・ブレンディング(Motion Blending:いわゆるモーフィング)やインバース・キネマティクス(Inverse Kinematics:動作の結果を基に関節などを動かしていくこと)などを完全サポートしている。これにより,ラグドール効果で倒れたキャラクターが,より現実的に起き上がるというような,ちょっとトリッキーな動きを実現した。
 物理エンジンでは,ここ最近セガ社やEpic Games社とのライセンス契約に至ったAgeia社にも注目しておきたいところだ。同社のフラッグシップは「NovodeX Physics SDK」で,リアルタイムでレンダリングされる水流(Liquid)やパーティクル効果がウリの一つ。さらには,史上初となる物理演算を処理するための専用プロセッサ「PhysX PPU」を開発中で,完成すればNovodeXをサポートしたソフトウェアの物理処理の効率を,驚異的に増大させると考えられる。

 もう一つ今回のGDCで目立っていたのが,AI(人工知能)のミドルウェアで,実に3社がブースで展示していた。今のところ最も有望なのがBioGraphics Technologies社の「AI. Implant」で,ゲームエンジンと相互に共存して,ゲームキャラクターの行動パターンを制御するためのソフトである。「Maya」や「3ds Max」のプラグインインタフェースが内包されているのが強みで,アーティストが制作したキャラクターの動きを,自らそのまま細かく調節できる。キャラクターの移動地点(ウェイポイント)をネットワーク化したり,バイナリディシジョンツリー(BDT/二分決定ツリー)を利用して,動作に一定のルールを適用する機能などを取り揃えている。
 SimBionic社の「SimBionic 2.0」もAIミドルウェアの一つで,AI. Implantと同じC++プログラミング言語ベースのソフトウェアである。SimBionicの存在は古く,2000年12月にリリースされた「Giants: Citizen Kabuto」で初めて利用されたという。会場で展示のデモをしていた同社のデイビッド・フウ(David Fu)氏も,「これまでの経験からユーザーのフィードバックが蓄積されていますので,それを生かして開発したのがSimBionic 2.0です」と説明する。これにより,メモリ管理を円滑に行う「Dynamic Behavior Loading」など,40種類ほどの新機能が追加されているのだという。

 ゲームをプレイする側にはあまり馴染みのない世界だが,開発費が肥大化する現代では,ミドルウェアは避けては通れないビッグビジネスになりつつある。今回のGDCでは,そう確信せずにいられなかった。(奥谷海人)

「GDC 2005」
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http://www.4gamer.net/news/history/2005.03/20050314160216detail.html