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フェイス&GMインタビュー。Gravityとの提携の経緯と守備範囲
2005/03/02 22:32
フェイスのマーケティング担当の皆さん
 本日(3月2日)「こちら」でお伝えした通り,フェイスは韓国Gravity社と提携して,MMORPG「ローズオンライン:Rush On Seven Episodes」(以下,ローズオンライン)を日本国内でサービスすると発表した。
 ローズオンラインは,韓国Gravityが2004年9月からオープンβテストを開始しており,現在も継続中の作品である。"急"な告知,さらに決定したGravityの提携先が,オンラインゲーム界においては新興の存在であるフェイスということで,提携内容を詳しく聞くべく,早速フェイスにお邪魔してみた。

 この日取材を受けてくれたのは,フェイスのマーケティング担当を務める谷川 一(たにかわはじめ)氏,そしてローズオンラインの日本オープンβテスト立ち上げ初期からGMを担当している河 奉鉉(ケニー・ハ)氏。ちなみに谷川氏は,かつてゲームオンで「天上碑」のプロデューサーを務めた経歴があり,イベントなどにも割と頻繁に出ていたため,読者のなかには顔を見てピンときた人もいるだろう。
 谷川氏には,ゲーム業界的にも気になるGravityとの提携のいきさつについて,また河氏には,GMの目から見たローズオンラインの魅力や,サポート,イベントについて話を伺った。

ローズオンラインの特徴でもある,カート【画面中央】とキャッスル・ギア【画面右】。谷川氏はそれぞえれ,"チョロQ"と"ゾイド"にたとえて,その魅力を伝えてくれた

■Gravity社との提携に至った経緯と,フェイスの守備範囲
フェイスのマーケティング担当ビジネスインテグレーション事業部の谷川 一(たにかわはじめ)氏
4Gamer.net:
 今回の発表は非常にインパクトがありましたね。ではまず,今回の業務提携に至った経緯を教えていただけますか。

谷川氏
 はい,基本的に当社(フェイス)は,携帯電話の着信メロディやゲーム内音楽の制作,企画,配信などの業務をメインに行っています。Gravityさんとは,そのゲーム内音楽制作の関連でお付き合いがあり,今回の提携に至りました。

4Gamer.net:
 いつ頃から,どのようにアプローチしていたのですか?

谷川氏
 諸々の接触があったのは,2004年からですね。具体的な動きがあったのは同年の秋ぐらいです。正式には2005年の1月。それまでは水面下での接触が続き,お互いの条件や意思,意気込みが合致したころで,提携が決定しました。

4Gamer.net:
 昨年の秋……というと,ローズオンラインが大々的に発表された東京ゲームショウ2004直後から,もう提携の話は出ていたわけですか。

谷川氏
 そうです。今回の一連の提携については,総合プロデューサー的な役割りを担っている佐藤というものが強くアプローチを行い,それが実ったという感じです。なぜローズオンラインを? と聞かれれば,やはりライトユーザー向けのグラフィックスやゲーム性に,強く惹かれたと答えます。

4Gamer.net:
 ちなみに第一報(「こちら」)にも書きましたが,我々が気になっているのはGravityと独占包括永続提携を結んでいるガンホー・オンライン・エンターテイメントの存在です。ローズオンラインのオープンβテストを韓国Gravityが単独で実施していたので,正式サービスは誰がどのように行うのかが非常に気になっていたんですよ。

谷川氏
 おっしゃりたいことは分かります。ただフェイスは,キチンとローズオンラインに関する日本でのサービスの権利を取得しています。当社が実際に業務提携を結んだという事実からみると,今は完全に独占契約というわけではないようですね。ただ事実上独占という形になっていないだけで,Gravityさんとガンホーさんの間では,なんらかの業務提携が行われているのではないでしょうか。

4Gamer.net:
 では,フェイスがローズオンラインサービスのどの範囲を担うのかを教えてください。

谷川氏
 これは重要なポイントなのですが,"サービス元"となるのはあくまでもGravityということです。フェイス的には,Gravityが日本のマーケットに対して新しいタイトルをリリースするのを全面的にバックアップする,サポートするというスタンスです。

4Gamer.net:
 具体的には?

谷川氏
 具体的には,サービスオペレーション,ゲームワールドの健全な運営,ファシリティ,GM,サポート,マーケティング,販売までをフェイスが支えていきます。もちろんゲームの制作と維持は,Gravityが行います。パブリッシングというのが最も的確な表現かもしれません。つまり"サポートする"というのが重要なキーワードになっていて,これまでGravityが提供してきたローズオンラインが,より日本に受け入れられるような存在にするというのが,我々の使命です。

4Gamer.net:
 韓国企業の日本市場への展開をサポートするという感じですね。ただその場合,果たしてフェイスという会社にオンラインゲームのノウハウがどの程度あるのか? というところが気になってきます。おそらくβテスターも同じ思いでしょう。

谷川氏
 ノウハウはさておき,まずファシリティ(企業活動に使用する施設や環境の整備)については,自信をもって"持っている"と言えます。つい先日韓国から日本へとゲームサーバーが移転されましたが,それらもフェイスが用意しました。手前味噌ですが,おそらくほかのオンラインゲームメーカーのものと比べても,まったく遜色のない規模の環境を用意したつもりです。私も陣頭指揮を執って,サーバーのコンフィグレーションをやったんですよ。
 確かに,実際フェイス社内にオンラインゲームに関するノウハウをもった人間は少数です。今回も,パートナーであるGravityのエンジニアが来日して,私と一緒に3,4日,昼夜を問わず作業を行いました。非常に短いタイミングで移転をしたのでホントに大変でしたが,今回のようにノウハウはGravityと共有できますので,問題ないかと思います。

【ローズオンライン】


■ローズオンラインの現状
"ローズオンラインの生き字引き"こと,Gravity社の河 奉鉉(ケニー・ハ)氏
谷川氏
 ところで,彼を紹介させてください。韓国Gravityでローズオンラインを仕切ってきた人間で,日本でもβテスト開始直後からGMとして関わっています。GM名は明かせないので,ゲーム内の人気GMとでもしておいてください(笑)。

4Gamer.net:
 河さんがGMを取り仕切っているとのことですが,主な業務を教えていただけますか。

河氏
 GMとしては,主にスクリプトやテキスト作成時に発生する日本語の問題をキャッチして,本国へ報告したりしています。あとは日本のプレイヤーからのフィードバックをまとめたりと,さまざまな業務に携わっていますね。

谷川氏
 彼は日本語の能力が高いので,サポートの範疇だけでなく,ゲーム内におけるプレイヤーの活動状況を報告するなどの役割りも担っています。一部社内やGravityの間からは,"ローズオンラインの生き字引き"なんて呼ばれたりもしていますね。それぐらいゲームに精通しています。

4Gamer.net:
 それは頼もしい。ローズオンラインはβテストの期間が結構長くなってきましたし,最近は致命的な不具合などはないんでしょうね。

谷川氏
 確かに今のところ不具合自体は多くありませんが,ローズオンラインは頻繁にアップデートを行うので,これから先に関しては不具合が混入する可能性はあります。
 ただコンテンツをどんどん更新してプレイヤーを満足させたいのは確かです。まだ正式な発表ではありませんが,今後はGMのサポート時間を拡大することが決まっています。最低でも昼(正午ぐらい)から翌朝までのオンラインゲームのコアタイムは,キチンとサポートする予定です。

4Gamer.net:
 GMという立場から見て,βテスト当初と今現在のローズオンラインは,どのように変化したと思いますか? また日本のプレイヤーから多く出た要望などがあれば,教えてください。

河氏
 大きく変わったのはインタフェース,とくにチャット周りでしょうか。要望で一番多かったのは,ユニオン戦(PvP)の人数を拡大してほしいというものでしたね。現状ハイレベルプレイヤーは,午後10時から11時のイベントタイム,そしてPvPを楽しんでいる人がほとんどです。で,実際にこの要望を吸い上げて本国に引き渡したところ,そのアイデア,というかバランスのとり方は非常に参考になったと言っていました。

谷川氏
 やはりプレイヤーは間違ったことを言いませんからね。現在日本語版用の独自の仕様はありませんが,将来的には,国民性に合わせてある程度最適化される可能性はあります。まず日本に導入して様子を見てから本国へ,という普通に考えたら逆の流れもありえます。

4Gamer.net:
 なるほど。何か具体的に聞けたりしますか?

谷川氏
 う〜ん,これは決定事項ではないのですが……お話しましょう。ローズオンラインには"惑星"という広さの概念があるのですが,これを利用して,これまでのPvP,RvR,攻城戦を超える大規模な戦いを実現したいと思っています。詳しくは言えませんが,"惑星規模"という言葉を聞けば,なんとなく想像がつきませんか?

4Gamer.net:
 ローズオンラインの開放感あるグラフィックスだと,規模が大きな野外での戦闘は,しっくりきそうな気がします。βテストの段階で"ハイレベルに達してしまった"プレイヤー向けに,もっと情報がほしいですね。

谷川氏
 そうですね。あとは……近々,新しいアップデートを行います。近頃のプレイヤーは情報が早く,とくに韓国語の達者な日本のプレイヤーは,韓国のゲーマーよりも先に情報を入手したりするものですから,情報の出し方には非常に気を遣いますね。


■「サーバーとGMがいっしょにやってきた」
万全のサポート体制でローズオンラインを切り盛りしていく

4Gamer.net:
 先ほどアップデートの話が出ましたが,輸入ゲームでいつも問題になる"アップデートタイミングのズレ"について聞かせてください。ローズオンラインだと本国版に対してどの程度の遅延が生じるのですか?

谷川氏
 ローズは早いですよ!(笑) 現状は1日ですね。なんと1日。Just in timeとまではいきませんが,1か月も遅延するということはまずありません。もちろん遅延が少ないだけに,アップデート後に多くの問題が出ることもあるので,実は1日よりももう少しだけ遅らせようと思っているんですけどね。
 あとこれは強く言っておきたいのですが,フェイスがローズオンラインに携わったからには,公式サイトで行われる,メンテナンスおよびアップデートの告知を,現在よりもさらにスピーディに,かつ的確に行っていきたいと思っています。

4Gamer.net:
 1日はスゴイ! これはゲームサーバーが日本に移設されたことも関係しているのでしょうね。

谷川氏
 その通りです。"サーバーとGMが一緒にやってきた"というのが今回の重要なポイントといえるでしょう。問題の分析と解決の両方がすぐに行えるようになったんですから。

4Gamer.net:
 分かりました。最後に一言ずつ,プレイヤーにメッセージをいただけますか。

谷川氏
 はい。何度も繰り返しますが,フェイスはこれまでGravityが単独でやってきた業務を強力にバックアップする立場にいます。もちろんプレイヤーの皆さんからのフィードバックを的確に開発側に伝えるフィードバックループという"輪っか"をキレイに作るということもお約束します。

河氏
 フェイスと業務提携したことで,これまで以上に日本人の感覚でローズの進化を促せるはずです。イベントなども頻繁に開催,企画していきますので,期待してください。

4Game.net:
 本日はありがとうございました。

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 さて少しゲームの話からはそれるが,今回フェイスがオンラインゲーム業界に参入したことは,ローズオンラインの動向以外にも,興味をソソられる部分が多い。
 同社は,オンラインゲームや音楽配信などのコンテンツ決済事業を手がけると共に,NTTドコモやKDDIといった巨大な企業とアライアンスを結ぶことで,自社の競争力を強めている,実は手広く各方面に影響力のある一部上場企業である(グループ企業にはあのウェブマネーなどもあったりする)。
 こういった企業がオンラインゲーム1タイトルの運営のみに関わるというのは考えにくく,幅広いパートナーシップを利用して課金決済などをひっくるめた"ゲームポータル"として進出してくる可能性は非常に高い。ローズオンラインが"単発のビジネス"なのか,オンラインゲーム本格参入への足がかりなのか,動向に注目しておきたい。(Gueed)

「ローズオンライン」
 →公式サイトは「こちら」
 →紹介ページは「こちら」

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