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NVMe準拠のPCIe 3.0接続となるIntel製SSD「SSD 750」レビュー。SATA 6Gbps比で2倍以上という圧倒的な速度性能を確認する
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印刷2015/04/03 01:00

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NVMe準拠のPCIe 3.0接続SSD,その圧倒的な性能を確認する

Intel Solid-State Drive 750

Text by 米田 聡


Solid-State Drive 750
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 2015年4月3日1:00,Intelは,デスクトップPC向けSSDの新製品となる新たなハイエンドモデル「Solid-State Drive 750」(以下,SSD 750)を発表した。SSD 750最大の注目点は,NVM Express(以下,NVMe)1.0準拠のPCI Express Gen.3 x4接続を採用する,初のPC用SSDとなる点だ。
 原稿執筆時点で価格は未公開ながら,まず間違いなくいいお値段になると思われる新型SSDを入手できたので,今回はその性能をチェックしてみたい。


2種類のフォームファクタで販売されるSSD 750


 というわけで,まずはSSD 750の概要を確認しておこう。SSD 750は,容量1.2TBと400GBの2モデル展開となるが,実は,フォームファクタもPCI Express拡張カード型と2.5インチHDD互換ディスクドライブ型の2種類が用意されるため,当初のラインナップは合計4モデルということになる(表1)。

画像集 No.022のサムネイル画像 / NVMe準拠のPCIe 3.0接続となるIntel製SSD「SSD 750」レビュー。SATA 6Gbps比で2倍以上という圧倒的な速度性能を確認する

 SSD 750における最大の特徴は,冒頭でも述べたとおり,論理インタフェースとしてNVMe 1.0が採用された点にある。

 SSD用としてこれまで広く利用されてきたSerial ATA(以下,SATA)6Gbpsとその論理層にあたるAHCI(Advanced Host Controller Interface)は,もともとHDDを想定して策定された規格であり,SSDにとっては,もはや機能や性能が十分ではない。
 そこで登場したのがNVMeだが,「NVM」は「Non-Volatile Memory(不揮発性メモリ)」の略。つまりNVMeは,フラッシュメモリに代表される“メモリベース”のSSDのために策定されたインタフェースおよび論理層の仕様なのだ。物理層としてはPCI Express Gen.3をそのまま利用し,フラッシュメモリ向けに設計されたNVMeの論理層を載せる形である。

P3700の製品イメージ
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画像集 No.014のサムネイル画像 / NVMe準拠のPCIe 3.0接続となるIntel製SSD「SSD 750」レビュー。SATA 6Gbps比で2倍以上という圧倒的な速度性能を確認する
 NVMeに対応するSSDは,2013年にSamsung Electronics(以下,Samsung)からエンタープライズ市場向けに投入され,Intelも2014年第3四半期にデータセンター向けの「Solid-State Drive DC P3700」「Solid-State Drive DC P3600」(以下順に,DC P3700,DC P3600)の出荷を開始済みだ。
 一方のPC向けにおけるNVMeの対応はというと,2014年に,SATAとNVMeの両方に対応するPC向けインタフェース仕様であるSATA Expressを採用し,PCI Express Gen.2接続の製品がPhilips & Lite-On Digital SolutionsのPlextorブランドやSamsungから出ている。それに続く製品となるSSD 750は,PCI Express Gen.3のx4接続を用いているため,PCにおけるSSD性能のさらなる向上を期待できるSSDということになる。

 さて,先ほど紹介したとおり,SSD 750には,Intelが「AIC」(Add-In Card)と呼んでいるPCI Expressカード型と,2.5インチHDD互換のディスクドライブ型という,2種類のフォームファクタが用意されている。

SSD 750のラインナップ。2.5インチ互換形状のSSD 750は厚さが15mmもある
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RAIDカードに用意されるSFF-8643 PCI Expressコネクタの例
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 PCI Expressカード型は,もちろんPCI Express x4対応以上のスロットに差して使うことになる。実使用にあたっては細かな注意点があるが,それについては後述したい。
 一方の2.5インチタイプは,マザーボードや拡張カード側にSFF-8643,SSD側にSFF-8639と呼ばれるコネクタを用いた,NVMe専用ケーブルで接続するモデルである。Intelによると,2.5インチ互換形状の製品は,PCI Expressスロットの数に限りのある小型PCを想定したモデルとのことだ。筆者の知る限り,SFF-8643コネクタを装備するPC用マザーボードはない――いわゆるRAIDカードの一部は対応しているから,使えないわけではない――ので,自作PC市場では当面の間,PCI Expressカード型が主流になるのではなかろうか。

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2.5インチHDD互換フォームファクタ用の接続ケーブル仕様に関するスライド。マザーボード側にSFF-8463コネクタを備えている必要がある。Intelは,小型PC向けとしている
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2.5インチHDD互換フォームファクタを採用する小型PCの例として示されたスライド。ひょっとすると日本でもASUSTeK Computer製品が登場するかもしれない

 気になるSSDコントローラやDRAMキャッシュメモリの容量に関する詳細は,原稿執筆時点では明らかになっていない。NAND型フラッシュメモリが,IM Flashの20nmプロセス技術を用いて製造されるMLCタイプであることのみが公開情報だ。

 ちなみに,先ほど紹介したP3700とP3600では,P3700において,高耐久が謳われる特殊なNAND型フラッシュメモリ「HET MLC NAND」(HET:High-Endurance Technology)が採用されていたのに対し,P3600では標準的なNAND型フラッシュメモリが採用されていた。
 ここからは筆者の推測だが,PC用の高スペックSSDとして2014年に登場した「Solid-State Drive 730」(以下,SSD 730)が,データセンター向けSSD「Solid-State Drive DC S3500」のPC向けカスタムモデル的な存在だったことと,今回も700番台の型番が与えられていることからすると,SSD 750は,P3600のPC向けカスタムモデルという可能性が高いのではなかろうか。

 ちなみにIntelはSSD 750が,一般的なSATA 6Gbps接続のSSDに比べて総合的に4倍以上の性能を持つと謳っている。実際,表1で先に示した逐次読み出し性能値やランダムアクセスIOPS値は,既存のSSDを圧倒している。
 なお,そこで示されているランダムアクセスのIOPS値は,Queue Depth(QD)を128に設定のうえ,「Iometer」で計測したもの,より厳密に言うと,「QD=32」の4スレッドを同時走行させたときのIOPS値とされている。AHCIではQDが最大32だったので,それ以上のQDは意味を持たなかったが,NVMeでは最大65536にまでキュー(Queue)が拡大され,SSDに対する効率的なコマンドの実行とデータ転送が可能になった。こうした違いも「4倍以上の性能」の裏にあると考えていいだろう。


カードは分解できなかったため,外から見て分かることをまとめてみる


PCI Expressカード型のSSD 750。フルハイトとハーフハイトの両方に対応できる
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 ここで,入手したSSD 750をチェックしておこう。
 冒頭で紹介したとおり,今回筆者の手元へやって来たのはPCI Expressカード型の容量1.2TBモデルだ。カード長は約168mmで,Low Profile(ハーフハイト)に対応できるようになっており,カードエッジベゼルも,フルハイト用とハーフハイト用の2種類が付属している。

 カードの部品面は,ほぼすべてが製品名入りのアルミ製ヒートシンクに覆われており,接着されているのか,取り外すことができなかった。そこで今回は,今回は外から眺めた範囲での紹介に留まることを,あらかじめお断りしておきたい。

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アルミ製ヒートシンクの厚さは約17mm。取り外すことはできなかった
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モデルナンバーは「SSDPEDMW012T4」。ただ,これが製品版と同じかどうかは分からない

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 基板の裏側では2種類のチップを確認できる。14個取り付けられているのがNAND型フラッシュメモリで,型番は「29F16B08LCMFS」。Intelのロゴが記されているが,実際にはIM Flash製ということになる。
 同社の型番の命名規則からすると1枚あたりの容量は16GBと見るのが妥当と思われるが,言うまでもなく,1枚あたり16GBのチップで容量1.2TBの容量を実現しているわけがない。型番の表記ルールが変わっているか,部品面には異なる容量のチップが搭載されているかの,どちらかではないだろうか。
 P3600(やP3700)のSSDコントローラは,最大48チャネルのフラッシュメモリインタフェースを持ち,その並列動作によってNVMeのスペックに見合う内部帯域幅を得るとされる。おそらくSSD 750も同じような方法で性能を確保しているはずなので,ヒートシンクの下にも,かなりの数のフラッシュメモリチップが搭載されているはずだ。

 また,2個取り付けられているチップはMicron Technology製で2Gbit品のPC3-12800 DDR3 SDRAM「4CE72 D9PQL」だ。2枚で容量は512MBという計算になるが,部品面側にもDRAMチップは用意される可能性があるため,キャッシュ容量もいまのところは不明ということになる。

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20nmプロセス技術を用いて製造されるMLC NAND型フラッシュメモリである29F16B08LCMFSが基板裏に14個実装されていた
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Micron Technology製のロゴがあるDRAMメモリチップ。2枚で容量は512MBだが,SSDに搭載される総容量は分からない


SSD 750「使用上の注意」


 PCI Expressカード型SSD 750は,PCI Express x4以上のスロットに差す必要があるわけだが,実際の運用においては,いろいろ注意すべき点や制限がある。
 最大のものは,CPUと接続されるPCI Express Gen.3のスロットに接続しないと十分な性能が得られないということだ。

SSD 750の性能をフルに発揮させるにはCPUとPCI Express Gen.3 x4で接続する必要がある。SSDとグラフィックスカードの性能を100%引き出したい場合は,X99システムが必須ということになりそうだ。なお,マイナーな制限として,現在のところ,SSD 750では「Intel Rapid Storage Technology」によるRAID構成はサポートされていないことが挙げられる。RAID 0/1を利用したい場合は,Windowsの「ディスク管理」によるソフトウェアRAIDが必要だ
画像集 No.019のサムネイル画像 / NVMe準拠のPCIe 3.0接続となるIntel製SSD「SSD 750」レビュー。SATA 6Gbps比で2倍以上という圧倒的な速度性能を確認する
 2015年4月時点において,PCゲーマーにとって最も標準的なCPUのパッケージはLGA1150だと思うが,LGA1150パッケージのCoreプロセッサは,16レーンのPCI Express Gen.3を高速な拡張カード用に,4レーンのPCI Exprss Gen.2相当となるDMI 2.0をそれ以外のインタフェース用に持っている。つまり,LGA1150プラットフォームに標準的なグラフィックスカードを差した状態だと,その時点でPCI Express Gen.3は“埋まって”しまう。
 LGA1150プラットフォームに対応するマザーボードでは,PCI Express Gen.3を8レーン×2などに分割して利用できるケースが少なくないため,そういう場合は,プライマリにグラフィックスカード,セカンダリにSSD 750を差せば,SSD 750をフルスペックで動作させることができる。ただ,この場合,グラフィックスカードがフルポテンシャルを発揮できなくなる(可能性が出てくる)わけで,ゲーマー的にはちょっと痛い制約といえるだろう。

 ちなみに,LGA2011-v3パッケージを採用するCore i7-5000番台のCPUだと,40レーンもしくは28レーンのPCI Express Gen.3を持つので,いま挙げたような心配はほぼ無用だ。SSD 750はハイエンド市場向けSSDなので,Intelも基本的にX99マザーボードでの運用を想定しているという理解でいいのではなかろうか。

 以上がハードウェア的な注意点だが,ソフトウェア周りにも注意すべきことが2つある。1つはUEFI(BIOS)側,もう1つはWindows側だ。

MAXIMUS VII GENEのx16スロットにSSD 750を差して,UEFIの起動オプション選択を表示させたところ。起動ドライブとしてSDPEDMW012T4(=SSD 750)を選択できた
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 UEFIのほうからだが,SSD 750では,マザーボードのUEFIバージョン2.3.1以降が推奨されている。2.3.1以降のUEFIであれば,オプションROM(※OROM)によってSSD 750から起動を行えるとのことだ。
 Windows 8対応のマザーボードは,たいていがこの条件をクリアしているはずだが,マザーボード独自の実装が入っていたりすると,OSを起動できない可能性はある。SSD 750を利用するにあたっては,マザーボードメーカーのサポートページをチェックするなどしたほうがいいかもしれない。

 一方,Windows側では,OSによる制限がいくつかある。まず,Intelのスペックシートによると,公式対応OSは64bit版のWindows 8.x&7だけだ。ドライバダウンロードページだと,32bit版Windows 8.x&7用やWindows Server系OSの一部などもサポートされているようにも見えるので,実際にはさまざまな環境で動くのではないかと思うが……。

Windows 7のインストール先指定時に「ドライバの読み込み」を使い,Intelからダウンロードしたドライバをインストールすると,OSのインストール先としてSSD 750上のボリュームを選択できるようになった
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 また,試してみたところ,Windows 8.1ではMicrosoftのNVMeドライバが標準で組み込まれているため,特別なドライバなしに,SSD 750へOSをインストールできたのだが,Windows 7では,OSのインストール時にドライバを組み込む必要があった。

 Windows 7環境で今回導入したドライバは,2015年2月5日にリリースされた「Intel Windows NVMe driver 1.1.0.1004」だが,D以降のドライブとして追加するときは,MicrosoftのHotfix「KB2990941」を導入することでも,SSD 750は利用可能になるのを確認できた。

 なお,蛇足ながら付け加えておくと,Microsoftが公開中の「Windows 10 Technical Preview」のインストールメディアにもNVMeのドライバが含まれていた。したがって,Windows 8.1以降ならインストール時を含め,特別なドライバなしにSSD 750が利用できるという理解でいいだろう。



Windows 7環境でSSD 730と比較


 というわけで,テストのセットアップに入っていこう。
 2015年4月時点における4Gamerの標準テスト環境は64bit版Windows 7なので,今回は64bit版Windows 7ベースのシステムを用意した。テスト機に導入したNVMeドライバは「Intel Windows NVMe driver 1.1.0.1004-x64」だ。

MAXIMUS VII GENE
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:テックウインド(販売代理店) info@tekwind.co.jp
実勢価格:2万6000〜3万円程度(※2015年4月3日現在)
画像集 No.024のサムネイル画像 / NVMe準拠のPCIe 3.0接続となるIntel製SSD「SSD 750」レビュー。SATA 6Gbps比で2倍以上という圧倒的な速度性能を確認する
 マザーボードは「Intel Z97」チップセット搭載でLGA1150パッケージのCPUに対応するASUSTeK Computer製ゲーマー向けモデル「MAXIMUS VII GENE」を用意した。先に述べたとおり,LGA1150パッケージのCPUではPCI Express Gen.3が16レーンしかないが,今回は単体グラフィックスカードを用いず,プライマリのPCI Express x16スロットにSSD 750を差すので,性能面でのボトルネックは生じないと考えている。

デバイスマネージャからNVMeドライバのプロパティを開いて,ベンダ−IDを表示させてみた。P3700やP3600などと共通のドライバなのが分かる
画像集 No.026のサムネイル画像 / NVMe準拠のPCIe 3.0接続となるIntel製SSD「SSD 750」レビュー。SATA 6Gbps比で2倍以上という圧倒的な速度性能を確認する
 比較対象として用意したのは,容量480GBでSerial ATA 6Gbps接続のIntel製SSD「Solid-State Drive 730」(以下,SSD 730)だ。今回の主役であるSSD 750とは容量がまったく異なるが,「Serial ATA 6Gbps接続では最速クラスのSSDと比べて速度性能にどの程度の違いがあるのか」を確認する目安にはなるだろう。
 そのほかテスト環境は表2のとおり。テストにあたって,CPU側の自動クロックアップ機能「Intel Turbo Boost Technology」は有効化したままとしている。

画像集 No.023のサムネイル画像 / NVMe準拠のPCIe 3.0接続となるIntel製SSD「SSD 750」レビュー。SATA 6Gbps比で2倍以上という圧倒的な速度性能を確認する

 ちなみに,下に示したスクリーンショットは,Intel製SSDユーティリティ「Intel Solid-State Drive Toolbox」でSSD 750を見たものだ。バージョンは3.3.0。原稿執筆時点ではまだ一般公開されていないが,β版というわけではないので,おそらくは,SSD 750の販売開始に合わせて配布が始まるはずである。

SSD 750に対応した,3.3.0版Intel Solid-State Drive Toolbox
画像集 No.027のサムネイル画像 / NVMe準拠のPCIe 3.0接続となるIntel製SSD「SSD 750」レビュー。SATA 6Gbps比で2倍以上という圧倒的な速度性能を確認する

 このツールを使えば,SSD 750においても,これまでのPC用Intel製SSDと同じく,最適化やファームウェアアップデート,セキュアイレースといった作業を行える。なお,SSD 750のファームウェアは8EV10135で,原稿執筆時点ではこれが最新版だ。


従来のPC用SSDとは次元が異なる性能を持つSSD 750


 まず,Futuremark製のPC総合ベンチマークアプリケーション「PCMark 8」(Version 2.3.293)に用意されたストレージテスト「Storage」から見ていくことにしよう。
 PCMark 8のストレージテストは,5本の一般アプリケーションと,「Battlefield 3」および「World of Warcraft」を実際に動かしたときのストレージアクセスを再現したワークロードを3回繰り返し,ストレージの平均転送速度を算出するという,負荷の高いテストだ。

 というわけでグラフ1は,ストレージテストの平均転送速度(≒帯域幅)をまとめたものになる。
 PCMark 8における平均転送速度は,SATA 6Gbps接続のハイエンドSSDなら300MB/sを超えれば優秀といった感じなのだが,SSD 750はなんと500MB/sを軽く越えてきた。
 実のところ,この「PCMark 8で500MB/s超」という平均転送速度は,SATA 6GbpsのSSDを2台束ねたRAID 0構成でさえ達成するのが難しい。PCI Express Gen.3 x4接続となるNVMeの持つ実力が遺憾なく発揮された結果といっていいだろう。

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 もっとも,500MB/s超という平均転送速度を持ってしても,ワークロードの実行時間そのものには大差がつかなかったりする。グラフ2は,Battlefield 3およびWorld of Warcraftのスコアを抜き出したものだが,両者のスコアはほぼ同じ。130秒以上という所要時間で1.2秒,もしくは60秒近い所要時間における0.4秒なのだから,体感はまず不可能だ。

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 ちなみに,スコアは掲載しないが,ゲーム以外の一般アプリケーションでもワークロードの実行時間は1〜2秒程度の短縮に留まっている。結果として,総合スコアもグラフ3のとおり,わずかに約1%異なるだけとなった。
 実際のアプリケーションにおけるストレージアクセスを模したテストとなるPCMark 8のストレージテストでは,ストレージにアクセスする時間より,アプリケーションそのものの動作時間のほうが割合としては遙かに大きくなる。そのため,せっかくの転送速度も,総合スコアには反映されにくいというわけだ。

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 続いては,定番のストレージベンチマークツールである「CrystalDiskMark」(Version 3.0.3b ja)のスコアを見ていきたい。
 先ほど述べたとおり,SSD 750は新しい世代のストレージであり,最大65536のQDがサポートされる。なので,古典的なベンチマークであるCrystalDiskMarkでSSD 750の性能を計測し切れるのかという疑問はあると思うが,従来型SSDとの比較においては分かりやすいスコアを出せるはずだ。

 今回はテストデータを「ランダム」,テストサイズを「1000MB」,テスト回数を「5」に設定したうえで,10回計測し,スコアの平均をとって,揺らぎを抑えることにした。テスト数合計50回分の平均なので,ほぼ確実な値が出ているといえるのではないかと思う。

 では,逐次アクセス性能のスコアから見ていきたい。グラフ4がその結果だが,SSD 750の逐次読み出し(Sequential Read)は1.6GB/sを超え,逐次書き込み(Sequential Write)は1.2GBを超えてきた。SATA 6Gbpsの仕様上限でスコアが頭打ちになっているSSD 730に対しては前者で約3.3倍,後者で約2.6倍。「比較する意味があるのか?」と問いたくなるくらいの大差であり,素晴らしい結果だといえる。

画像集 No.031のサムネイル画像 / NVMe準拠のPCIe 3.0接続となるIntel製SSD「SSD 750」レビュー。SATA 6Gbps比で2倍以上という圧倒的な速度性能を確認する

 続いてグラフ5は,容量512KB単位でランダムアクセスした結果をまとめたものだ。SSD 750はランダム読み出し(Random Read),書き込み(Random Write)とも1.2GB/sを超えてきた。SSD 730に対しては2.6〜2.7倍程度というスコアになっている。

画像集 No.032のサムネイル画像 / NVMe準拠のPCIe 3.0接続となるIntel製SSD「SSD 750」レビュー。SATA 6Gbps比で2倍以上という圧倒的な速度性能を確認する

 少し面白い結果になったのが,グラフ6にまとめた,容量4KBのランダムアクセスをQD=1で実行したときの結果だ。SSD 750のランダム読み出し時(Random Read 4KB)のスコアが極めて平凡なものに留まり,SSD 730とも大差はついていない。
 最近のSSDだと,QD=1設定におけるランダム読み出しのスコアは差がつきにくくなっているので,ストレージ側以外の要因,具体的にはWindowsのディスクI/O周りの設計がスコアの頭を押さえてしまっているのかなという気もしている。確証は持てないので,判断は保留としておきたい。
 一方,書き込み時はSSD 730に対して約3.4倍の差がついている。こちらはSSD 750の性能がストレートに出た結果だろう。

画像集 No.033のサムネイル画像 / NVMe準拠のPCIe 3.0接続となるIntel製SSD「SSD 750」レビュー。SATA 6Gbps比で2倍以上という圧倒的な速度性能を確認する

 グラフ7は,ランダムアクセスコマンドを32個単位で処理するQD=32で容量4KBのランダムアクセスを実行した結果だ。SSD 750は非常に優秀な結果となっているが,すでに述べたとおりNVMeは32以上のQueueを処理できるので,実際には,さらに高い性能を期待できることになる。

画像集 No.034のサムネイル画像 / NVMe準拠のPCIe 3.0接続となるIntel製SSD「SSD 750」レビュー。SATA 6Gbps比で2倍以上という圧倒的な速度性能を確認する

画像集 No.025のサムネイル画像 / NVMe準拠のPCIe 3.0接続となるIntel製SSD「SSD 750」レビュー。SATA 6Gbps比で2倍以上という圧倒的な速度性能を確認する
 以上から,SSD 750自体の性能はSATA 6GbpsのSSDを文句なしに圧倒するレベルにあるといえそうだが,ここで,「SSD 750をPCH側に接続したらどうなるのか」も,簡単に確認しておこう。
 MAXIMUS VII GENEは,CPUから最も遠いところに,PCI Express x4スロットを持つ(※内部レーン数はGen.2 x4)ので,ここにSSD 750を差して,CrystalDiskMarkを実行してみた。その結果が下のスクリーンショットだ。

MAXIMUS VII GENEのPCI Express Gen.2スロットに差した状態でCrystalDiskMarkを実行した結果
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 CPU直結時と比べて全体的にスコアは落ち込んでいるが,とくに落ち込みが大きいのは逐次読み出しで,先ほどグラフ4で示したスコアと比べると約74%になっている。
 このスコアでも,SATA 6Gbps接続のSSDと比べれば圧倒的に高速なのだが,SSD 750のフルポテンシャルを生かし切れていないのも分かるだろう。


SSD 750の内部帯域幅は極めて大きそう


 NVMeではより大きなQDをサポートすると再三述べてきたが,ここからは,その効果をIometer(Version 1.1.0)で確認してみよう。Iometerは,ストレージに高い負荷をかけて性能をテストするベンチマークツールで,I/O性能を確認できる機能を持っている。

 筆者によるストレージのテストでは4KB単位のランダム読み出しと書き込みを50%ずつ混在させた状態でディスクアクセスを5分間実行し,その間のIOPSを取得する方法を使っているが,今回は少し変えてみた。
 まず,SSD 750に限り,QD=128の設定も追加で試している。設定は単純に「Disk Targets」タブにある「# Outstanding I/Os」の値を変えるだけだ。この値を32にするとQD=32,128にすればQD=128としてストレージアクセスが行われる。
 また,今回は長い時間におけるIOPSの変化を調べるため,テスト時間を1時間とした。ただ,こちらは結論から先に書いておくとSSD 750,SSD 730ともにスタート時と終了時のIOPSに有意な変化はなかった。どちらのストレージも1時間程度の連続アクセスでIOPSが“ダレる”ようなことはないようだ。


QD=128の設定例。QD=32のときは「# Outstanding I/Os」を32に設定する
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 さて,結果はグラフ8のとおり。SSD 730に対してSSD 750は,QD=32でも約2倍のスコア差を示すのだが,QD=128に設定すると,IOPS値は約28%向上し,対SSD 730で約2.5倍のスコア差を示すようになる。テストスレッド側の設定を変えなくても,ターゲットのQDを増やしただけでIOPSが伸びるわけである。

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 たとえば,極めて負荷の高いランダムなストレージアクセスが複数のプロセスやスレッドから行われているようなときに,NVMeの深いキューが威力を発揮することだろう。もっとも,個人使用のPCでそのような状況が起きうるかというと,疑問もあるのだが。

 最後にHDDベンチマークの定番である「HD Tune Pro」(verson 5.5.0)でSSD 750の挙動を調べてみたのだが,正直,結果には少し感心させられた。
 一般的にSSDは,書き込み時の内部帯域幅に限りがある。その点,HD Tune Proの逐次書き込みテストは,SSDの先頭セクタから順に書き込むことによる転送速度の変化をグラフ化して表示するため,キャッシュに起因する転送速度の変化が現れることが多い。

 たとえば,SSD 730の結果がまさにそれで,下に示したスクリーンショットだと,大きな上下動がある。ピーク時には400MB/sを超えるものの,SSDの内部では250MB/s程度でしか書き込めていない可能性が,画面から見て取れよう。

HD Tune ProにおけるSSD 730の逐次読み出しテスト結果(※橙の折れ線)
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 ところが,SSD 750は,スタート直後こそ落ち込むものの,それを除くと,最初から最後まで約1.2GB/s前後をキープした。内部の帯域幅が極めて大きいのだろう。また,アクセスタイムのバラ付きが小さいことから,SSDコントローラも極めて高速であることが窺える。

HD Tune ProにおけるSSD 750の逐次読み出しテスト結果(※橙の折れ線)
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文句なしに速いが,当面は「ハイエンドPC向けの高級ストレージ」か


 SATA Express仕様のSSDと比較したわけではないが,それでも,SSD 750は間違いなく一般向けのSSDとして最高性能を持つ製品だ,と述べていいように思う。それほどまでに,そのスコアは圧倒的である。
 ただ,本稿の序盤で述べたとおり,フルにポテンシャルを活かしきる性能を発揮させるハードルは決して低くない。GPU性能を重視したいゲーマーが使う場合は,LGA2011 v3プラットフォームが必須となるだろう。

画像集 No.005のサムネイル画像 / NVMe準拠のPCIe 3.0接続となるIntel製SSD「SSD 750」レビュー。SATA 6Gbps比で2倍以上という圧倒的な速度性能を確認する
 また,どう考えてもお手頃価格にはなるはずがない,というのも,指摘しておく必要がある。繰り返すが,原稿執筆時点で価格は明らかになっておらず,ヒントになるような情報も開示されていない。なので,価格に関しては「分からない」としか言いようがないが,いずれにせよSSD 750は,「速ければそれでいい」という,一部の人向けの選択肢ということになるのではなかろうか。

 余談気味に続けておくと,ストレージはコンピュータにとって長らく最大のボトルネックになってきたが,NVMe,そしてSSD 750の登場で,それが過去のものになりそうな気配はある。ある種の処理はオンメモリよりストレージにデータを置いてやったほうが高速といったこともあるだろう。こうした変化は将来的に,ゲームを含めたアプリケーション設計にも変化を与えていくはずだ。

Intel日本語公式Webサイト

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    Intel Solid-State Drive

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