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ここまでやるか? AIカスタマイズゲームとしても成立しそうな「UNAC」システムなど,「ARMORED CORE VERDICT DAY」の新要素について聞いてきた
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印刷2013/08/03 00:00

インタビュー

ここまでやるか? AIカスタマイズゲームとしても成立しそうな「UNAC」システムなど,「ARMORED CORE VERDICT DAY」の新要素について聞いてきた

 フロム・ソフトウェアが2013年9月26日に発売を予定している人気メカカスタマイズアクションシリーズ最新作「ARMORED CORE VERDICT DAY」PlayStation 3/Xbox 360 以下,ACVD)。前作,「ARMORED CORE V」PlayStation 3/Xbox 360 以下,ACV)で追加されたマルチプレイの要素がさらに強化され,勢力争いを行うコンテンツになっていたり,新パーツや新たなソロプレイモードなども登場するというのは,これまでお伝えしてきたとおりだ。
 本日(8月3日)からはXbox 360向けのネットワークテストも始まり,ここでは新要素UNACシステムの一部が体験できるとのことだが,これらの要素はどういった意図で実装され,どのような楽しみ方ができるものなのだろうか。今回4Gamerでは,プロデューサーの鍋島俊文氏,そしてディレクターの高橋直之氏に詳しく聞いてみた。

画像集#002のサムネイル/ここまでやるか? AIカスタマイズゲームとしても成立しそうな「UNAC」システムなど,「ARMORED CORE VERDICT DAY」の新要素について聞いてきた

「ARMORED CORE VERDICT DAY」公式サイト


4Gamer:
 よろしくお願いします。今回のインタビューは,以前に実施されたPlayStation 3版ネットワークテストなどを通じて姿が見えてきたACVDが,どういったゲームになっているのかを詳しく聞いていきたいと思っています。

鍋島俊文氏(以下,鍋島氏):
 分かりました。よろしくお願いします。

4Gamer:
 テストを通じてすでに触れているプレイヤーも多いかと思いますが,ACVからの変更点としては,やはり勢力ごとに分かれての対戦システムの導入や,マッチングシステムの改修が大きな部分でしょう。とくにマッチングは,前作で不満の声も挙がっていた部分なので,このあたりは待望の調整といったところかと思います。

プロデューサー 鍋島俊文氏
画像集#003のサムネイル/ここまでやるか? AIカスタマイズゲームとしても成立しそうな「UNAC」システムなど,「ARMORED CORE VERDICT DAY」の新要素について聞いてきた
鍋島氏:
 そうですね。ACVでは,想定と違う部分があり,その点は我々も反省していまして……。僕達がACVで目指していたものや,こういう風にしたいと思っていたことが,プレイヤーの皆さんに望まれていた遊び方と,大きくズレていたと感じているんです。

4Gamer:
 と言いますと?

鍋島氏:
 ACVは,これまでのシリーズと大きく変えた部分もあったので,新しい人に入ってきてほしいという狙いを持って作っていました。そのため,対人戦を「うまい人が遊ぶエンドコンテンツ」と位置付けて,マッチングシステム的にも「時折,対人戦となる」という性質のものにしていました。ただ,こちらの想定以上に対戦がしたいという人の熱量が高く,ゲームデザインとうまく合致していなかった。そこは,不満に思われた方,ストレスを感じた方が多かったと思っています。

4Gamer:
 例えば「敵の領地に攻め込んだけど無人だった」みたいな状態ですよね。せっかく対戦がしたくても,相手がいなくて肩すかしをくらってしまうですとか……。

高橋直之氏(以下,高橋氏):
 はい。そういった前作の不満点は,ACVDでは可能な限り排除するようにしています。
 今回,ACVDの開発にあたって最初に議論したのは,快適に対戦してもらうために,どういったマッチングのシステムを提供すれば良いのかということなんです。プレイヤーが求める対戦とは何なのか,まずは言葉だけを並べて,それぞれを解決していけるような仕組みを構築しました。

4Gamer:
 言葉?

高橋氏:
 ええ。最初は「とにかく対戦がしたい」という,皆さんの要望から始まり,次に「でも負けたくはない」「ときどき強い相手と戦いたい」「強い相手になら負けてもいい」「強い相手と戦うならハンデがほしい」といった具合に,求められているものを思いつく限り挙げていったんです。そして,これらを満たせるマッチングシステムとはどういったものなのかを何度も開発ライン内で重ねて検討して作っていきました。

4Gamer:
 なるほど。その言葉どおりですと,マッチングの段階で戦績によるレーティングみたいなものが加味されたりするんですか?

ディレクター 高橋直之氏
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高橋氏:
 はい。レーティングもありますし,強い相手と戦う場合はハンディキャップが付く仕組みもあります。あまりに負け越している場合は,相手がNPCになって勢力への勝ち点を入れやすくなるとか,さらには同じ相手と何度も連続して戦うことのないよう対戦相手が変わるといった仕組みを実装し,できるだけマッチングでのストレスを減らす方向で調整しています。

4Gamer:
 マッチングの待ち時間はどうでしょう? ACVではかなり待たされた覚えがあるのですが……。

高橋氏:
 そこも大きく改善しています。早ければ8秒,遅くとも40秒,平均するとだいたい20秒ぐらいと考えていただいて大丈夫です。

4Gamer:
 かなり早くなりましたね。それだけでも,ずいぶん対戦はしやすくなりそうです。

鍋島氏:
 言ってみれば,ACVDでは対戦の方向性を大きく変えているんです。ACVは,あくまで領地の取り合いが主軸にあって,相手は人間だったりNPCだったりという形でしたが,ACVDはとにかく対人戦を楽しめる形を目指しています。

4Gamer:
 そうであれば,単純にオンラインでの対戦ゲームに特化して,例えばFPSのように,対戦用のサーバーなり部屋なりを作って,そこに人が出入りするような一般的な形にするのも方向性としてはアリだと思うんです。ACVDは新たに勢力争いという要素を追加していますが,これには理由があるんですか?

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鍋島氏:
 基本的には,差別化したかったというのが大きいですね。アーマード・コアのオンライン対戦というものを考えた時に,普通にマッチングして,対戦して終わりというのは,これまでのフリー対戦と同じで,何か違うなと感じていました。
 それと,あまりうまくない人でも,気持ち良くプレイし続けられるような仕組みにしたかったんです。ACVの仕組みでは,あまり勝てないと,どうしてもゲームに対する熱量みたいなものが下がってしまいます。しかし勢力があれば,強い人でも弱い人でも同じグループで戦っているという連帯感が生まれますし,極端に言えば,10回中2回ぐらいしか勝てないとしても,その2勝が確実に勢力への貢献になって,最終的な勝利につながってくるという達成感が得られます。そういった喜びを,チームを越えて共有できるようにしたいというのが,大きな狙いですね。

4Gamer:
 勢力の仕組みは,領地を攻めるモチベーションにもなりそうですよね。ACVは,領地を取り合う目的が弱かったと思うんです。対戦がしたいのであって,領地の攻防自体はそのついでになっていたといいますか。

鍋島氏:
 そうですね。そこが弱いという意見は,プレイヤーの皆さんからもいただきました。ストーリー上攻めなければいけないわけでもなかったので,ごっこ遊び的なこともしづらかったかと思います。……あまり言い訳にするのもよくないんですが,うち(フロム・ソフトウェア)はストーリーとか作るのが比較的苦手なんですよ(笑)。

4Gamer:
 確かに,フロム・ソフトウェアのゲームでストーリーを押し出したタイトルは,あまり覚えがないです(笑)。

鍋島氏:
 ストーリーやキャラクターよりも,世界観や雰囲気を重視している部分があるんですよね。とくにACVは,オンラインになってシステムを重視した作りになっていたので,余計に弱く感じられたかもしれません。ACVDでは,このあたりの反省を踏まえて,領地の削り合いが勢力の勝敗に関わってきますし,過去シリーズにあったようなメールのような形で指令が来たり,世界情勢のニュースが届いたりと,勢力からプレイヤーに対してのリアクションもいろいろと用意してありますから,対戦での遊びの幅も広がるのではと思っています。


ACVDの大きなウリになるAI機能「UNAC」


4Gamer:
 今回,対人戦が重視されているということは理解できましたが,一方で,メインコンテンツがチーム戦というのは,どうしてもハードルが高くなってしまいがちですよね。遊びたいと思っても友達となかなか時間が合わないなど,どうしてもプレイするまでのプロセスが増えますから,1人で遊び込むのが難しいゲームになってしまいかねません。

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鍋島氏:
 そうですね。ACVでは,傭兵の仕組みを入れたりして,ある程度1人でも遊べるようフォローはしたつもりだったのですが,なかなかうまく機能しませんでした。オペレータや領地の獲得,領地カスタマイズなど,ゲームのすべての機能をプレイしていただくことができなかったという反省点もあります。
 そこでACVDでは,1人でもすべてのゲーム機能を十分に遊び尽くせるということを念頭に,さらにもっと遊び込める新要素として,AI機能を追加しました。ゲーム中では「UNAC」(ユーナック)と呼ばれているのですが,これを本気で遊ぼうとすると,ACVとはまったく違ったゲームになるというぐらい,大きな要素なので,ぜひ紹介させてください。

4Gamer:
 AIですか。何だか「アーマード・コア フォーミュラフロント」を思い出しますね。

鍋島氏:
 フォーミュラフロントよりもっと細かく,深いものが入っていると思ってください。

4Gamer:
 ……え? ええと,どういうフィーチャーなのでしょう。

鍋島氏:
 ACVDでは,ACVと同様,基本的な対戦形式は5vs5(オペレータ1名+戦闘メンバー4名)のチーム同士での対戦になります。このメンバーとして,自分が設定したUNACを連れていけるんです。自分がオペレータとしてプレイする場合は,全機UNACにすることも可能なので,まったくジャンルの違うゲームとしても遊べるんですよ。

4Gamer:
 そういえば,今回はジャンルが「メカカスタマイズアクション」ではなく,「メカカスタマイズアクション&リアルタイムストラテジー」になっていますが,もしかしてUNACを使えばアクションの必要がないからRTSというわけですか。

高橋氏:
 そうです。UNACは設定した動作に従って自動的に戦ってくれるんですが,自分がオペレータの場合は,戦闘中に指示を与えてUNACのAIの思考とは違う動作をさせられるので,RTSのように遊ぶことができます。ACVDの初出時はUNACの情報を出せなかったので,ユーザーの皆さんからは,ACVの従来のオペレータシステムを指して「これがRTSなのかな?」みたいな反応をされていたんですが(笑)。

4Gamer:
 具体的には,UNACにどういった設定を行えるんですか?

鍋島氏:
 簡単に言ってしまうと,我々開発陣がミッションやアリーナに登場する敵ACを作るのに使っているシステムがそのまま入っています。もちろん,ある程度ゲーム的な制限があったり,見た目を分かりやすくしていたりはしていますが,ベースはまったく同じものです。

4Gamer:
 なんと。ということは,アリーナで一番上にいるレベルのACを4機出撃させて指示を出すなんてこともできるわけですか?

鍋島氏:
 そのぐらいの強さであれば,絶対に作り出すことができます。細かく説明していきましょう。まずUNACは,その「機体」とオペレーションと呼ばれる「思考」の2つから構成されています。そしてUNACの使い方には,3段階の深さが用意してあります。
 まず最も手軽な1段階目は,傭兵組織みたいなところから借りるプリセットのUNACです。足りない出撃メンバーを補う感じで,必要な役割の機体を選択して運用する形になります。

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4Gamer:
 それはとくにカスタマイズの必要はないんですか?

鍋島氏:
 ええ,借り物ですからカスタマイズはできません。しかし一方で,機体も思考も適切に組み上げられたものなので,一定の強さをもって運用することができます。次に,プリセットの戦果に満足できなくなり,もっと強いUNACを使いたいという人は,自分で設定したくなるのではと思います。これが2段階目です。ただ,この段階ではカスタマイズといっても何をすればいいのか分からないと思うので,機体は自分でアセンブルして,思考はプリセットを参考にしたものを使う形になるはずです。例えば,敵と500mの距離を空けて戦うというUNACを700mに設定して,より遠距離攻撃に特化させるというような,ちょっとした調整ですね。

高橋氏:
 そして,それに慣れてまったくのゼロからUNACの挙動を設定するというのが,3段階目の遊び方になります。基本的に,3段階目までいかずとも楽しく遊べるようにしてあるので,ここまでくる人は,本当にAIの設定が好きな人でしょう。その代わり,到達した人はこれだけで1本のゲームとして遊び込めるように,本当にディープな仕組みにしてあります。

4Gamer:
 ぜひ詳しく教えてください。

鍋島氏:
 まずUNACの思考は,3層のツリー構造で設定されていて,そこに「チップ」と呼ばれる思考のテンプレートをはめ込むことで挙動が決まっていきます。一番上は「オペレーション層」というもので,最大3つまで設定できるんですが,これはUNACの思考パターンを決定するものですね。
 例えば,ミッションが始まった時はオペレーション1でスタートするんですが,オペレーション2に「戦闘中に自分のAPが半分になったらこっちに切り替える」というチップを入れておくと,自動的に切り替わるわけです。

4Gamer:
 挙動の条件付けを行う層……ということで合ってます?

鍋島氏:
 そんな感じです。ほかにも,「敵のACの数が○機になったら切り替える」とか,「タンクなどの特定の敵が来たら切り替える」とか,「敵の弱点がTEだから切り替える」とか,いろいろなシチュエーションのチップを用意しています。そして,その下にあるのが「カテゴリー層」というもので,ここでは「右腕攻撃」「脚部移動」といったカテゴリー分けがなされています。

高橋氏:
 そして,各カテゴリーの下には3層目の「アクション層」というものがあって,ここで設定した挙動が,カテゴリー層に配置したチップのルールで制御されることになります。

4Gamer:
 う,うーん……。

鍋島氏:
 こうして言葉で説明すると非常に複雑ですよね(笑)。
 では,脚部カテゴリーで説明してみましょう。例えば,脚部のカテゴリー層に「左から順番に実行する」というチップが入っているとします。そしてアクション層に,「左に回り込む」「右に回り込む」「まっすぐ進む」というチップが入っていると,左,右,直進の順に動いてくれるわけです。ただ,これだと動きがパターン化されてしまうので,あえてカテゴリー層のチップを「ランダムで実行する」チップにするということもできます。

4Gamer:
 何となく分かってきました。ジグザグに動いて敵をかく乱してほしい場合は,左,右,左,右って移動のチップを,順番に実行してくれるように設定するってことですよね,おそらく。

鍋島氏:
 そうです。ただ,チップにはコストという概念があって,好きな数だけ入れられるというわけではありません。ツリー全体で使えるコストの上限が決まっているので,オペレーションの数を絞る,動きを単純化するなど,どこかで効率良く調整する必要があります。

4Gamer:
 ジグザグに動かそうと思ったら,必要なチップの数が多くなるぶん,高コストになってしまうわけですか。

鍋島氏:
 一番コストの影響が分かりやすいのは,「認識」というカテゴリーです。これは,UNACが敵を認識してくれる範囲を決定するもので,「前方を60度の角度で遠くまで認識」「距離は短いけど360度を認識」「建物の影にいる敵を認識」など,いろいろなアクション層用チップがあります。これらは複数付けると,そのぶんいろいろな場所を認識できるようになるので,チップが多いほど強くなります。

4Gamer:
 逆に,認識範囲が狭いとあまり役にたってくれなさそうですね。

鍋島氏:
 いえ,役に立たないということはないですよ。例えば「とにかく敵に突っ込んで殴ってくれればOK」というような,シンプルな動きしかしなくていい機体の場合は,認識範囲を限定してコストを抑えるのも手です。スナイパーなら,「周囲はどうでもいいから,とにかく同じ方向を遠くまで見ておく」みたいな認識範囲にして,射撃精度にコストを割くというのもアリでしょうね。

高橋氏:
 あと,チップを最大まで詰め込まずにわざとコストを余らせることによって,オペレータの指示を早く実行してくれるようになったり,敵をロックする精度が向上したりというメリットもあります。チップをたくさん使用して作り込めば作り込むほど,オペレータからの指示を処理する速度が遅くなって,早いものだと実行まで0,1秒,遅いものだと2秒ぐらいかかります。

4Gamer:
 それはかなり違いますね。

鍋島氏:
 多くの機能を突っ込むと,処理の負荷が大きくなって動作が遅くなるようなイメージですね。
 また,カスタマイズするときのコツは,装備している武器の有効射程距離とUNACの認識や移動を,うまくシンクロさせることです。射程の長い武器を持っているのに,敵に近寄ろうとする移動ロジックを組んでいると,攻撃のチャンスが減ってしまいますよね。攻撃と移動の得意距離がシンクロしているかどうかは,グラフで表示されていますので,これをうまく揃えると一貫性のあるUNACになるというわけです。これを意識すると,戦力になるUNACを作りやすいかと思います。

高橋氏:
 ただ,あえてシンクロからズラしたUNACを組むというのも,作戦の1つですが。

4Gamer:
 え,なぜでしょう。

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高橋氏:
 例えば,銃の適正距離を保つために敵と距離を取るようなカスタマイズをするとします。でも,もしかしたら敵のほうが移動速度が速くて,指定した適正距離を取れないかもしれない。その場合,あまり適正距離にこだわる設定をしていると,UNACの行動が移動ばかりになって敵に翻弄されてしまうこともあるんです。

鍋島氏:
 あまり厳密に「この距離から撃て」と指示してしまうと,無駄弾は減るかもしれませんが,逆に“遊び”がないのでほとんど攻撃してくれなくなってしまうんですよ。

4Gamer:
 そうか。完璧にシンクロさせて得意距離を作っても,思い通りの展開になるかどうかは戦況次第というわけですね。これは設定に時間が掛かりそうです。

鍋島氏:
 僕らがいつも敵ACのAIを作るときにやっている苦労を,皆さんにも体験いただけるかと思います。面白いですが,けっこう大変ですよ(笑)。
 設定が複雑なので,オペレーションカスタマイズしたUNACを実際に動かしてチェックする「UNACテスト」を行えるようにしてあります。ここでは,UNACの動きを見ながら,どのチップが機能しているかをリアルタイムで確認できるので,想定していたものと違う動きをしていたら,原因となるチップを割り出せます。

高橋氏:
 動きを見て,すぐに思考を調整したいと思うので,テスト中は,UNACのカスタマイズ画面へローディングを一切挟まず,ワンボタンで瞬時に飛べるようにしました。設定を変えて挙動を確認というのが,ストレスなく行えるかと思います。UNACのカスタムでは非常によく使用する部分ですので,気持ちよくカスタマイズできるということに,かなり注力して作っています。

4Gamer:
 設定に使えるUNACのチップは,全部で何種類ぐらいあるんですか?

高橋氏:
 チップ自体は220種類ぐらいでしょうか。ただ,各チップにパラメータが5〜7個ぐらいあって,最終的にはそれぞれのパラメータの数値も,プレイヤーさんが1単位で細かく自由に調整できるので,基本的に組み合わせは無限大と言って良いと思います。

4Gamer:
 本当にディープですね。確かにそこまでいくと,アーマード・コアというより,「カルネージハート」とか,別のゲームの感覚になってきそうです。
 ところで,UNACを細かく設定できるのは分かりましたが,出撃するACを全機UNACにして,自分はオペレータで遊ぶ場合,何を指示するんですか? 聞いていると,設定だけしておけば後は自動で戦ってくれそうな印象なのですが。

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鍋島氏:
 そうですね。うまく組み上げたUNACには指示をする必要はないと思いますが,戦況は常に同じとは限りません。そんなときに,ざっくり言うとオペレータは,UNACに設定されているオペレーションと違う指示を出すことができす。UNAC自身は,想定されていない状況に陥ったとか,戦局全体を見ると不利だとか,そういった人間的な判断ができないので,それをサポートしてあげる形ですね。例えば,不利な敵とぶつかったときに,専用のオペレーションがないUNACに対して,一時的に後退しろと指示しておくといった感じです。

4Gamer:
 基本的には,それこそRTSのように,移動場所や攻撃対象の決定を行う感じですか。

鍋島氏:
 それだけでなく,設定された思考オペレーションも戦闘中にある程度調整できます。敵の足が想定より速ければ,もっと距離を取りながら戦うように補正したりとか。
 ほかにも,回避や攻撃,移動など,UNACの行動の配分を変えて,「時間がないからガンガン攻める」「全力で逃げて時間を稼げ」「敵が見つからないからリコンを撒け」みたいな指示も調整次第でリアルタイムに出すことができます。

4Gamer:
 UNACとはいえ,操作量は多くなりそうですね。もし,プレイヤー+UNACの構成でオペレータをやろうと思ったら,人にはボイスチャットで指示を出しながら,UNACはコントローラで細かな調整をしなければならないので,かなりのスキルが必要になりそうです。

高橋氏:
 その時は,どっちか無視してしまいそうです(笑)。

4Gamer:
 ほかのプレイヤーに「指示をくれ!」とか言われそうですね。

鍋島氏:
 むしろ,UNACの調整が忙しくて「ちょっと黙ってろ!」みたいなことになるかもしれません(笑)。

高橋氏:
 ちなみに,マッチング時はUNACの数が考慮されるので,UNACをたくさん連れている人は,同じようにたくさん連れている人とマッチしやすくなります。勝利数が多くなっていくと,複数人チームの対人戦のほうにも割り振られていきますが。

4Gamer:
 UNACの数で有利不利がでにくい仕組みになっているんですね。逆に,勝ち続けてUNACチームで人間チームに勝つっていうのも,ロマンがあって楽しそうです。

鍋島氏:
 将棋の電王戦みたいにね。
 結局のところ,先ほどもお話したとおり,前作では1人で遊んでいた大多数の人は,オペレータを体験できなかったかと思います。なので,今作ではアクションで遊んでもらうのはもちろん,オペレータをやってみたかったという人は,ぜひUNACを使って体験してみてほしいです。

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