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印刷2013/06/04 19:02

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[COMPUTEX]ARM,新CPUコア「Cortex-A12」とGPUコア「Mali-T622」などを発表。200〜350ドル台の低価格スマートフォンを狙う

 COMPUTEX TAIPEI 2013開催前日の6月3日,ARMは記者説明会を行い,新しいCPUコア「Cortex-A12」と,GPUコア「Mali-T622」,ARM初のビデオ処理専用プロセッサ「Mail-V500」と,これらの製造に用いる28nm世代のPOP IP(プロセッサオプティマイゼーションパック IP)を発表した。

ARMが発表した4種類の製品。CPUコアはCortex-A12,GPUコアはMali-T622となる。Mail-V500はビデオ処理用のプロセッサコアで,これらに対応した28nm世代のPOP IPも発表された
Cortex-A


Cortex-A9のポジションを引き継ぐ

新CPUコア Cortex-A12


 Cortex-A12の情報に入る前に,これの前提となる既存製品の流れについて,簡単に説明しておこう。まずARMは2007年に,現在も使われているCPUコア「Cortex-A9」を発表した。2009年には,これの下位にあたるローエンドCPUコア「Cortex-A5」を,2010年にはCortex-A9を高速化したハイエンドCPUコア「Cortex-A15」を発表している。また2011年には,Cortex-A5の後継的なCPUコア「Cortex-A7」も発表。こちらはとくに携帯電話向けに広く利用されている。
 つまり,ハイエンドはCortex-A15,ローエンドはCortex-A7が使われる一方で,ミドルレンジに関しては,2007年発表のCortex-A9が使われ続けていたわけだ。

 Cortex-A9は,Cortex-A7/A15と同じ「ARM V7」命令セットに準拠したCPUコアなのだが,今となっては古いCPUコアなので,「ハードウェアでの仮想化支援機能」や「4GBを超えるメモリのサポート」といった,Cortex-A7/A15で導入された新機能には対応していなかった。
 そこで,このCortex-A9の後継製品となるべく開発されたのが,今回発表されたCortex-A12というわけだ。ARMの説明によれば,200ドルから350ドルの価格帯で販売されているスマートフォンが,Cortex-A12の主なターゲットになるという。

Cortex-A12の位置づけを解説したスライド。かつては高性能なプレミアム製品だったCortex-A9が,現在ではミドルレンジに下がっているため,後継製品が必要だった。ここにCortex-A12が投入される
Cortex-A

 Cortex-A12は,最大4CPUコアの構成に対応しており,同一周波数で比較した場合,Cortex-A9に比べて40%性能が改善しているという。パイプライン段数は11段で,9段だったCortex-A9から若干増えている。最大動作クロックは,プロセスや商品構成によって変わるため今回は示されなかったが,パイプライン段数が増えると動作クロックも上げやすくなるので,同じプロセスならCortex-A9を上回る動作クロックを期待できそうだ。

Cortex-A12の主な特徴。Cortex-A9より40%高速という
Cortex-A

 パイプライン構成は,2ウェイのOut-of-Orderパイプラインを持つスーパースカラ(Superscalar)型とのことだが,命令デコード段の同時命令処理数や命令発行ポート数といった具体的な情報は,公表されていない。
 また,4GBを超えるメモリ空間のサポートも導入される。Cortex-A15は「Large Physical Address Extension」と呼ばれる技術で,最大1TBのメモリを利用可能であるので,Cortex-A12でもほぼ同等の機能を搭載したと見られる。

 そのほかにも,ハードウェア仮想化や,セキュリティ機能「TrustZone」などが搭載されるということで,演算性能以外に関しては,Cortex-A12はCortex-A7/A15と同等の機能を備えることになる。さらに,Cortex-A12とCortex-A7を組み合わせて,「big.LITTLE」技術に対応するプロセッサを構成することも可能ということだ。


第2世代MidgardのミドルレンジGPU

Mali-T622


Mali-T622の主な特徴。グラフィックスAPIはOpenGL ES 3.0,GPUコンピューティング用APIはOpenCL 1.1に対応する。これは既存の第2世代Midgardと同じだ
Cortex-A
 Cortex-A12に合わせて発表されたGPUコアが「Mali-T622」である。Mali-T600シリーズは「Midgard」という開発コードネームで知られているが,製品は大別して,第1世代と第2世代の2種類が存在する。Mali-T622は,第2世代のエントリー向けという位置づけになるようだ。

  • 第1世代:Mali-T604/658
  • 第2世代:Mali-T624/628/678

Mali-T622と同世代で上位に当たるMali-T624の構成図。図では4つのシェーダーコアが描かれているが,Mali-T622ではこれが半減するようだ
Cortex-A
 第1世代と第2世代の主な違いは,発表時期や対応するプロセス,および若干の改良程度。そのため内部構造に,大きな違いはなく,強いて言えば第2世代のほうが,少し効率がいいくらいだ。

 右のスライドは「Mali-T624」の内部構成を示した図だが,おそらくMali-T622は,Mali-T624のシェーダコア数(最大で4)を半減させたものと思われる。ただし,特徴の説明スライドにあった「エネルギー効率が50%向上」(50% energy-efficiency improvements)が,内部の回路による向上なのか,プロセスに起因するものなのかについて,詳細な説明はなかった。


ARM初のビデオプロセッサ?

Mali-V500


 3つめの新製品は,ビデオのエンコード/デコード処理専門のプロセッサコア「Mali-V500」である。ARMがビデオプロセッサそのものを発表するのは,実は今回が初めてで,Mali-V500は「Mali Video」シリーズ初の製品となる。

Mali-V500の特徴を示したスライド。エンコード/デコードコアは最大8つまで拡張可能で,8コア構成では4K映像を120fpsでエンコード/デコードできるという
Cortex-A

 これまでMaliを利用したSoCを設計するSoCベンダーは,ビデオのエンコード/デコードに関しては自社で開発したり,別の企業が設計したビデオプロセッサのIP(Intellectual property)を使って開発するのが一般的で,そこが各SoCベンダーの差別化ポイントでもあった。
 ここに,ARM標準と言えるMali-V500が投入されることで,とくに中小のSoCベンダーが開発するARM SoCのビデオ処理性能は,ぐんと向上することが期待できる。200〜350ドル程度の低価格スマートフォンの場合,こうした中小ベンダーのSoCを使う比率が高いので,これはユーザーにとっても喜ばしいところだ。

 ただし,Mali-V500がどんなフォーマットのエンコード/デコードに対応するのかや,エンコード/デコード以外の機能にはどんなものがあるのかは,現時点では一切公開されていない。最近ではハイエンド向けSoCになると,動画撮影時にリアルタイムで手振れ補正をかける機能を持つ製品もある。Mali-V500でそうしたことが可能かどうかも分からない。また既存のビデオプロセッサは,静止画処理用のイメージプロセッサ機能を持つものが多いが,Mali-V500はこれについての情報も出していない。続報を期待したいところだ。


Cortex-A12にもPOP IPを提供


 冒頭で書いた「POP IP」とはなにかについて,簡単に解説しよう。半導体業界で言うIPとは,要するにCPUの設計図である。ARMは基本的に,SoCメーカーとライセンス契約を結んでIPを提供し,完成した製品の販売にあたって,ロイヤリティを受け取るというビジネスを展開している。住宅にたとえるなら,IPというのは家全体の設計図,正確に言えば構造設計図に近い。住宅の外観や部屋の配置,人の動線などが,この設計図で決まる。

 では,この設計図さえあれば住宅が建つのかというと,それだけでは全然足らない。「この構造を実現するためには,実際にどう作るか」を指示するために,展開図とか施工図といった,多数の図面が必要になる。これらの図面を引く作業にあたるものを,SoC製造では「物理設計」と呼んでいる。なお,住宅の場合は展開図やら施工図ができ上がったら,これを工務店に渡して実際に家を建ててもらうわけだが,SoCでこれにあたるのが,ファウンダリ(半導体製造事業者)による製造となる。

 物理設計は回路規模にもよるが,Cortex-AクラスのCPUにMali-T600シリーズのGPUを組み合わせて,それ以外の必要な回路も組み込むとなると,100人規模のエンジニアを動員して,優に1年くらいかかる。SoC開発ではこの物理設計が大変な作業であり,中小SoCメーカーにとって馬鹿にならない負担となるのは,容易に想像できるだろう。とくに最近はプロセスが微細化したことで,物理設計でミスがあると「動かない」「動くけど消費電力が大きすぎて,動作クロックを上げられない」といった問題が頻発してしまう。
 130nmプロセスの頃までは,SoC設計をミスった時のやり直しコストは1000万円未満で済んでいたが,40nmプロセスや28nmプロセスを使う現在では,1回につき億単位の金額になっているそうだ。これでは設計したSoCが一発で動かないと,経済的な損失が膨大になり,これがまた物理設計の難易度を上げてしまうというわけだ。

 前置きが長くなったが,この物理設計にともなう問題の解決法が,ARMの提供するPOPを利用することだ。ARMが物理設計まで終わらせた状態のIPを,SoCベンダーに提供するというもので,住宅の例で言えば,プレハブの建築キットを工務店に販売するようなものか。POPなしの場合より,ARMに支払う価格はやや上がることになるが,確実に動作するものが物理設計なしで利用できる点は,技術力や資金力の面で難のある中小ベンダーにとって救いとなっている。

 話を戻そう。ARMはこれまでにも,さまざまなCPUコアやGPUコアのPOP IPを提供している。今回発表されたのは,Cortex-A12についてもPOP IPを提供しますよ,ということだ。
 面白いのは,Cortex-A12のPOP IPが,大手ファウンドリであるGLOBALFOUNDRIESとTSMCで異なることだ。GLOBALFOUNDRIESでは,「28SLP」(28nm Super Low Power)と呼ばれるプロセスを使うのに対して,TSMCでは「28HPM」(28nm High-Performance Mobile)というプロセスを使う。実のところこの違いは,28SLPしかまともに製造できないGLOBALFOUNDRIESに配慮した,というのが正直なところだろう。
 余談だが,下のスライドでGLOBALFOUNDRIESがMali-T622のPOP IPを利用できないのは,単にタイミングの問題ということで,なにか技術的な問題があるわけではなさそうだ。

ARMがPOP IPを利用できるファウンダリに関するスライド。TSMCにはMali-T622のPOP IPも提供しているが,GLOBALFOUNDRIESはまだ
Cortex-A

 最後に,今回発表された製品が,いつスマートフォンやタブレットに導入されるのかについても触れておこう。まずCortex-A12の投入時期については,今回は発表されていない。すでにVIA TechnologiesなどSoCベンダー3社がライセンスを取得しており,POPも用意されているとなると,早ければ2013年中に,Cortex-A12搭載SoCのサンプル出荷が可能になるだろう。
 そこから開発をスタートしたとして,最短なら半年程度で製品を開発ができる。早ければ来年のCOMPUTEX会場で,Cortex-A12搭載スマートフォンの動作デモが披露される,なんてことになるかもしれない。


ARM 公式サイト

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