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印刷2011/08/16 00:00

インタビュー

ゲーム専用機は無くならない――SCEの吉田修平氏に聞く“PlayStation Vita”のコンセプト

ゲーム専用機は無くならない――SCEの吉田修平氏に聞く“PlayStation Vita”のコンセプト
 6月の「E3 2011」でついに正式名称が発表され,29,980円(税込)(3G/Wi-Fiモデル),24,980円(税込)(Wi-Fiモデル)という想定外の価格設定も話題を呼んだ“PlayStation Vita”(以下,PS Vita)。処理能力の向上は言うに及ばず,タッチスクリーンを兼ねた高解像度の有機ELディスプレイや背面タッチパッド,高感度のジャイロセンサー,ネットワーク機能,本体前面の左右に搭載された2つのアナログスティックなど,PS Vitaは,ゲーム機として欲しいと思われる機能を惜しげもなく詰め込んでいる――そんな印象を受ける製品である。

 しかし一方では,iPhoneやAndroid携帯など,いわゆるスマートフォンが世界を席巻し,新聞や経済誌を見れば,「もはやゲーム機の時代は終わったのでは」という論調さえ目立つ昨今。本当にゲーム機は必要なくなってしまうのだろうか。汎用機で動くゲームがあれば,それで十分――そんな時代へと移り変わってゆくものなのだろうか。

 そんな疑問が頭から離れない中で,今回4Gamerは,SCEワールドワイド・スタジオ(以下,SCE WWS)プレジデントの吉田修平氏に話を伺う機会を得た。吉田氏といえば,SCEI(Sony Computer Entertainment Inc.)の設立メンバーの一人として,「プレイステーション」ビジネスの立ち上げから参画している人物であり,現在はSCE WWSのプレジデントとして全世界のソフトウェアタイトル制作の指揮を取る,SCEIの中心人物の一人である。
 ゲーム機ならではの面白さや魅力,ひいてはPS VitaやPlayStationファミリーが目指す次世代のデジタルエンタテインメント……それらは,一体どういったものなのだろうか。吉田氏へさまざまな質問を投げかけながら,改めてゲームの価値,ゲーム機の価値を考え直してみた。

ゲーム専用機は無くならない――SCEの吉田修平氏に聞く“PlayStation Vita”のコンセプト

「PlayStation Vita」コミュニティサイト



4Gamer:
 大変ご無沙汰しております。昨年の“PlayStation Move”についてのインタビューから半年が経ちましたが,今回は,“PlayStation Vita”(以下,PS Vita)のコンセプトや戦略についていろいろとお聞きしながら,ソーシャルゲームやスマートフォンといった新興市場が台頭するなかで,PS Vitaが,ひいてはSCEがどういう方向を目指しているのか,といったお話をお聞きできればと思っています。よろしくお願いします。

吉田修平(よしだしゅうへい):1986年にソニー入社。1993年には,SCEIの設立メンバーの一人として「プレイステーション」の立ち上げに参画。久夛良木健氏の下,プロデューサーとして数々のゲームを世に送り出してきた。2008年からはSCEワールドワイド・スタジオのプレジデントに就任。ゲームタイトル制作の立場からPS Vitaの開発に深く携わっている。

吉田氏:
 こちらこそ,よろしくお願いします。

4Gamer:
 ではまず,PS Vitaプロジェクトの立ち上がりの経緯や,製品としてのコンセプトを教えていただけますか。

吉田氏:
 大きなところで言うと,社長である平井のビジョンがベースになっています。「これからは,ハードウェアのエンジニアが描く未来だけでは,ユーザーに十分に届くものにはできない」というのがそれです。今後は,よりユーザーに近い位置にいるクリエイターの意見やアイデアを活かしたゲームを出していきたい,そういうものが遊べるゲーム機にしたいという考えに基づいたものです。

4Gamer:
 従来のゲーム機で,そういう取り込みはなかったんでしょうか?

吉田氏:
 従来は,どちらかというとハードウェアの部隊が主導していて,ゲームのクリエイターには,出来上がったハードウェアの仕様/制約の中で面白いゲームを作ってください,ベストを尽くしてください,という流れが強かったんですよ。ゲームの開発者というのは,そういう制約があるなかで面白いものを作るプロですから,実際,それでも面白いものを作れてきたと思います。
 けれど,新しいゲーム機を開発するにあたって,平井からは,まず「そこを変えなさい」という指示があったわけですね。ハードのエンジニアはとても優秀な人たちが揃っているのですが,彼らだけでやるのではなくて,各ゲームスタジオの優秀な人達,いろんなアイデアを持っているクリエイターも一緒になってPS Vitaの開発に取り組みなさいというのが,平井からのオーダーでした。

4Gamer:
 なるほど。ではそのなかで,吉田さんの役割はどういうものだったんでしょう。

吉田氏:
 私としては,一も二もなく「ああ,それは素晴らしい!」という感じで(笑)。当時,ちょうど私もSCE WWSの責任者を引き継いだばかりの時期だったんですが,平井ともいろいろと話をしまして,「そういうことをやるんだったら,日本に行きます」という話になり,アメリカから日本に戻ってくることにしたんです。

4Gamer:
 戻ってからは具体的にどういったお仕事を?

吉田氏:
 私は,先程も申し上げた通り,SCE WWSの責任者――つまり,ゲームクリエイターを束ねる立場――に就任していたわけですが,日本での私のオフィスは,ゲームスタジオの方ではなくて,ハードの開発チームがいるSCEIの方に置かせてもらったんですね。それで,プラットフォームの開発に関わるさまざまなミーティングに常に参加していました。

4Gamer:
 クリエイター側の意見を反映させる橋渡し役として,ということでしょうか。

ゲーム専用機は無くならない――SCEの吉田修平氏に聞く“PlayStation Vita”のコンセプト
吉田氏:
 はい。PS Vitaの開発における私の役割は,例えば,ハードの開発チームから「こういう技術がある」という話があった時に,それを使って何ができるのかを,ゲームスタジオの人間に考えてもらったり,簡単なプロトタイプを作ってもらったりというのをお願いしたり指示したりという立場でした。
 その技術を使って何ができそうか,あるいは,やりたいことを実現するためにはどういう機能が必要なのか。そういう意見や情報を取りまとめて整理するのが仕事でしたね。例えば,背面のタッチパッドみたいなものがあったら,まずその試作品をハードの技術者に作ってもらって,そのうちの数台を北米のスタジオへ,残りは東京へ……みたいなやり取りを,ずっとやっていたんですよ。

4Gamer:
 PS Vitaがクリエイターの意見を重視して開発されているというのは聞いていましたが,文字通り,各国の開発スタジオを巻き込んでのプロジェクトだったんですね。

吉田氏:
 ええ。そこで私がやっていたのは,各国のスタジオにいるいろんなチーム,クリエイターをPS Vitaの開発に巻き込むための潤滑油といいますか,サッカーで言うと,「ポストプレイ」のようなものです。前線でボールを受けて,それを後ろに返して,みたいな(笑)。
 で,そうやっていろんな人に“ボールを繋げていく”と,ハードの人たちもだんだんとゲームスタジオのことが分かってくるんですね。アメリカのここにはこんなことを考える人がいて,ヨーロッパにはこういうことをやっている人たちがいる。日本は日本でこんなことを考えている人がいるんだなっていうのが,だんだんと分かってくる。そうなってくると,SCEIのハード開発のチームと各スタジオ同士が直接話せるようになっていって,仕事の流れが出来ていくわけです。

4Gamer:
 しかし,ソニーにおけるゲーム機開発が,ハードウェアの技術者主導ではなくて,クリエイター側の意見をふんだんに取り入れようという方向転換をするようになった裏側では,具体的にどういった議論なり話し合いが行われたんですか。

吉田氏:
 まぁ,主導はやっぱりSCEIで変わらないんですけどね。ただ,なんと言うんでしょうか。一つには,やっぱり“PlayStation 3”(以下,PS3)の開発で得られた経験があるんですよ。

4Gamer:
 というのは?

吉田氏:
 PS3という物凄いスーパーコンピュータが出来たんだけど,最初はこれをどう使っていいかも分からず,みんな試行錯誤をして,結果,コストが高くついた。ビジネスとして考えると,初期段階でかけるに見当たったコストだったのか,みたいなところがいっぱいあったわけですね。ですから,そこはちょっとやり方を変えましょうという話は重要でした。

4Gamer:
 ここ最近のゲーム機というと,CPUとかメモリとかではなくて,いわゆる処理能力以外の部分というんでしょうか,入力デバイスなどで差別化なりハードとしての特徴を出そうとする傾向が強いと思うんですけど,そういう時代の変化も,その方針転換には大きな影響があったんですか?
 SCEの“PlayStation Move”や任天堂の「Wii」,Xbox 360の「Kinect」はもちろんですが,携帯ゲーム機でも,やはりニンテンドー3DSがスペックよりもハードウェアとしての特徴を重視していますよね。

吉田氏:
 ああ,そこはもう,当然ながら物凄く議論を繰り返したところです。PS Vitaの開発を始めた頃っていうのは,任天堂さんがニンテンドーDSやWiiとか,それまでの方向――CPUとかGPUの性能を上げていく――とは違った戦略で成功されていましたし,スマートフォンや,あるいはFacebookみたいなソーシャルネットワークも人気が出始めていてとか,そういう時期だったんですね。

4Gamer:
 なんというか,物凄く判断が難しい時期ですよね。

吉田氏:
 ええ。で,やっぱり普通にスペックを上げていくだけでは新しい物や新しい体験は生み出せないよね,という議論になるわけですよ。PS3でも「プレイステーション・ポータブル」(以下,PSP)でも,グラフィックスが良くなって「凄い!」という部分はありましたが,それだけだとお客さんは飽きてしまう。ネットワークのサービスですとか,これまでにはなかったいろいろな「遊び」そのものを提案できないと,本当の意味では次に続いていかないわけです。

4Gamer:
 そうですよね。

吉田氏:
 PSPにしても,我々としては初めての携帯ゲーム機だったにも関わらず,全世界で7000万台売れて,事業としても利益が出て,本当に成功して良かったと思う一方で,やっぱりね,それでも「もっとうまくできたのかもしれない」という気持ちがあるんですよ。

4Gamer:
 PSPは,最近,とくに国内ではとても好調に見えていますが。

吉田氏:
 我々が携帯ゲーム機事業に参入する前は,任天堂さんのゲームボーイが,割と子供向けと言いますか「低年齢向けの遊び」という部分にフォーカスしていたんです。そこに対してPSPは,「もう少し上の年齢層が遊べるエンタテインメント」というコンセプトで進めて,そのミッションについては達成できたと考えているんですよね。
 でも,発売当時こそ「4.3インチ液晶」「“PlayStation 2”のようなグラフィックス」という部分でご好評をいただいたと思うんですが,なんと言いますか,PSPは「PlayStation 2レベルのゲームを外に持ち出せる」というところで止まっているな,という思いがあるんです。

4Gamer:
 何が足りなかったんですか。

吉田氏:
 いえ,もちろん我々(SCE WWS)も,いろんな挑戦を,本当にいろんな取り組みをやってきたつもりではいたんです。けれど,そこで新しいゲームのフランチャイズを生み出せたかというと,ね。結局,我々が作ったなかで一番売れた作品は「ゴッド・オブ・ウォー」だとか,据え置き機で生まれたシリーズ作品が携帯機でも遊べます,というものでしかなくて。
 その一方で「モンスターハンター」シリーズみたいな作品が他社さんから出てきて,それが爆発的なヒットになっていくのを見て,やっぱり,なんと言うか,その「PSPじゃないと出来なかったもの」「PSPだからこそ出来た遊び」っていうものを,私たち自身が生み出せなかったって思っちゃうんですよ。

4Gamer:
 モンスターハンターのヒットにはいろんな要因があるとは思うんですけど,「持ち寄って遊ぶ」というプレイスタイルは,やっぱり携帯ゲーム機ならではの面白さだと思います。同じ場所で,顔を突き合わせながらゲームを遊ぶというのは,オンラインゲームで知らない人と遊ぶのとはまた違った楽しさがありますし。

吉田氏:
 そうですよね。あの一緒に遊ぶっていうところは,新しい遊びを生み出す「ハードのポテンシャル」としてすでにあったんだな,という。だから,そういう新しい遊びというものを,もっと早い段階で,自分たちでもちゃんと提示できていたら,状況は今よりももっと違っていただろうなと。そう思うわけです。
 ですので,PS Vitaに関して言うと,「PS Vitaじゃないと生まれなかった遊び」が出来るような仕掛けを提示していかなければという部分は,より強く意識として持とうと考えています。

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ゲーム専用機は無くならない――SCEの吉田修平氏に聞く“PlayStation Vita”のコンセプト


ゲーム専用機ならではの魅力,そして面白さとは?


4Gamer:
 その「新しい遊び」に関連してお聞きしたいのですが,「ゲーム機の価値/魅力」ってどんなものだとお考えですか? とくに最近は,スマートフォンやソーシャルゲームが台頭して,トラディショナルなゲーム産業,つまりは“ゲーム機ビジネス”が終焉を迎えるんじゃないか,みたいな意見が聞かれるようになりましたよね。そういった意見に対してはどう感じていますか。恐らく,あちらこちらで散々質問されているとは思いますが……。

吉田氏:
 ええもう,最近はその話題ばっかりですね(苦笑)。スマートフォンとどう戦うんですか,みたいな。

4Gamer:
 経済誌なんかは特に,そんな話題ばかりですよね。結局は,ゲームビジネスっていうものが「何を売り物にしているのか」という議論だとは思うんですけど。

吉田氏:
 いわゆる「汎用機が専用機を飲み込む/飲み込まない」という議論の一つですよね。分かりやすいところでいうと,ポータブルオーディオプレイヤーとかワープロみたいな。iPodよりも今やiPhoneの方が売り上げが上だとか,デジタルカメラの性能が上がって,携帯電話でも8メガピクセルだ10メガピクセルだという世界になって,さらにはFacebookとかに撮ったものをそのままアップロード出来てしまうとか。以前あれだけ高価だったカーナビでさえ,今や携帯電話のGPSや,Googleマップで事足りちゃったりするわけですよね。

4Gamer:
 そういう環境の変化のなかで,本当に「ゲーム機」は必要なくなるのでしょうか。

吉田氏:
 そこは,我々がPS Vitaを開発してきた3年間のなかでも,一番意識して取り組んできた部分だと思います。私たちはやっぱり「そうではない」と思っているんですよ。
 例えば,デジタルカメラ市場が良い例だと思うんですけど,カメラの性能が高くなって,あるいは価格が下がって,携帯電話でも気軽に写真が撮れるようになりました。じゃあデジタルカメラの市場がなくなったかというと,そんなことはないですよね。
 もちろん,携帯電話/スマートフォンのカメラで十分という人もいるでしょうけれど,家族や親戚が集まったりする大事な時には,やっぱりちゃんとしたカメラとかで撮りたいわけじゃないですか。一眼レフのカメラにしても,小型化したり,誰でも使えるようにしたりしてますし,もちろんハイエンド機の性能もどんどん良くなったりとか,いろんな方向で進化を遂げながら,市場をずっと作っていってるわけです。私としては,それとまったく同じことだと思うんですよね。

4Gamer:
 その価値が代替できるものであるか。必要十分であるか,という話ですよね。

吉田氏:
 スマートフォンがあって,そこでカジュアルなゲームが出て,スマートフォン上でもどんどんグラフィックスが良くなっていく中,そこで満たされるユーザーさんも当然いらっしゃるとは思うんです。でも,それと同時に「もっと凄いゲームを遊びたい」「もっと快適に遊びたい」というニーズも,やっぱりあり続けると思うんですよ。
 だから,PS Vitaという専用機,ポータブルゲーム専用機としての存在意義ってなんだろうというと,基本的には「凄いゲーム」「それじゃないと遊べないゲーム」が遊べるっていうことですよね。それが第一だと考えています。

4Gamer:
 ゲーム専用機ならでは,という意味だと,やっぱりインタフェース的な部分での差別化は大きいとお考えですか?

吉田氏:
 そうですね。これもまたPSPでの経験から来る話なんですけど,例えばPSPは,グラフィックス的な意味では良いハードだと思いましたが,インタフェースに関しては,欧米ではなんというかいろいろと問題もあるなという思いがあって。

4Gamer:
 ……問題,ですか?

吉田氏:
 日本ではそこまでは言われないことなんですけど,3Dのシューターとかアクションアドベンチャーが人気ジャンルとして確立されている欧米では,アナログスティックといいますか,もっと具体的に言うとツインスティックがないことに関しては……。

4Gamer:
 ああ,なるほど。

吉田氏:
 そこは,ハードウェアの設計として,「申し訳なかった」といいますか。ツインスティックのコントローラというのは,たぶんSCEが最初にやったと思うんですけど,3D空間の中でキャラクターとカメラを自由に動かせるっていうのは,昨今のゲームでは,もうほんとに“なくてはならない”ものだったんです。
 なのに,それがPSPでは物理的に,ハードウェア的に出来なかったわけです。だから,あの4つのボタンを使ってカメラを操作したりして,あるいはスムーズなカメラ操作ができないことで,敵の動きを遅くさせたり,AIを多少弱くしたり,ゲームデザインの足かせになってしまっていた側面もあると思うんです。

4Gamer:
 それでPS Vitaでは,ツインスティックを採用したんですか。

吉田氏:
 PS Vitaでやっとできた,という思いがあります。

4Gamer:
 でも一方で,ポータブル機には,持ち運びやすさとか,小ささとか,そういう要素の必要性もあるわけですよね。PS Vitaの設計を考えるうえで,何を重要視して,どういう取捨選択をしていったのでしょうか。

ゲーム専用機は無くならない――SCEの吉田修平氏に聞く“PlayStation Vita”のコンセプト
吉田氏:
 はい。当然ポータブル機ですから,「小さくて薄くて軽くて,持ち運びやすいほうがいいだろう」という考え方もあります。しかし,そこを重視していくと,結局のところゲームとしての迫力だったり操作感を妥協しないといけないわけです。
 これは,我々が「PSP go」で本当に痛感したところでもあって。PSP goは,あれはあれでいろんな取捨選択をして出した製品だったわけですが,結果として,ちょっと小さく作りすぎたとか,ボタンが薄くなって押しにくくなってしまったとか,多くの反省点があったんです。

4Gamer:
 PS Vitaの大きさや形は,やはり議論が割れたポイントだったんですか?

吉田氏:
 PS Vitaの開発の中では,それこそ二転三転したところだったと思います。スクリーンの大きさも最初から5インチって決めていたわけじゃなくて,大きかったり小さかったり。形もスライド式にしようか,今みたいな形にしようか,開発スタッフのみんなが悩みに悩んでいた時期があったんですよ。
 でもある時,「5インチのスクリーンにして,形をPSPのようにすると,昔は使えなかった“本物のスティック”が盛り込めるかも。携帯機に使えそうな小さいスティックが開発できた」という話が出てきて。その瞬間,みんなが「それだーっ!」と声を揃えたような,もう空から光が指すような瞬間があったんです(笑)。

4Gamer:
 光(笑)。

吉田氏:
 試作機が出来上がってきて,手に取ったときの“しっくり感”というか,こうスティックを触ってグリグリ動かした時の嬉しさといったら,それはすごいものでした。まさに「これだーっ!」っていう(笑)。

4Gamer:
 でも,確かに携帯機で品質の高いツインスティックが使えるのは大きいですよね。FPSとかもそのままに近い感覚で遊べるようになりますし,例えばモンスターハンターなどにしても,ツインスティックの方が快適に遊べるのは間違いないですから。

吉田氏:
 はい。ツインスティックに関しては,携帯ゲーム機初,業界初ということで,妥協なく作れたと我々も自信を持っている部分です。

4Gamer:
 ちなみに5インチのスクリーンを採用する,つまりちょっと大きくするというのは,やっぱり携帯ゲーム機の遊ばれ方と言いますか,例えば,外でも遊ぶけど家で遊んでいる人の割合が多い,みたいなデータに基づいての判断だったんですか?

吉田氏:
 それもありますね。実際,いろんなデータを取ると,自分もそうなんで分かるんですけど,結局,家の中で遊ぶ人が多いんです。どちらかというと,パーソナルなスクリーンって感じで使われてますよね。家族と一緒にリビングにいるけれど,自分は携帯ゲーム機で遊んでいるとか。あるいはテレビを付けて,それを見ながらゲームをしたりだとか,そういう遊び方をしている人がたくさんいることがわかりますし。

4Gamer:
 そうですね。感覚としては,リビングで漫画を読んだり,雑誌を見たりする感覚に近いというか。

吉田氏:
 はい。ですからPS Vitaに関しては,「絶対にポータビリティがナンバーワン」という結論にはならなかったんです。とくに今後,スマートフォンが普及していって,携帯電話はもうすべてスマートフォンになっていくといった時代に,あえてPS Vitaという商品を出すからには,やっぱり独自性といいますか,スマートフォンでは体験できないものを志向しないといけないわけですし。
 そういう意味では,5インチのスクリーンも「スマートフォンではやりにくいだろう」という考え方で,採用したものの一つなんです。

4Gamer:
 ああ,なるほど。スマートフォンの液晶もだんだん大型化しつつはありますけど,5インチまでいくのはまだ少し先になりそうですしね。

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