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Dragon's Dogma
  • カプコン
  • 発売日:2012/05/24
  • 価格:通常版:7990円 / イーカプコン限定版:1万1990円(いずれも税込)
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[GDC 2013]“BBSのような手軽さ”の追求がポーンを生んだ。企画書から探る「Dragon\'s Dogma」の原型
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印刷2013/03/29 17:32

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[GDC 2013]“BBSのような手軽さ”の追求がポーンを生んだ。企画書から探る「Dragon's Dogma」の原型

「Dragon's Dogma」ディレクター 伊津野英昭氏
画像集#001のサムネイル/[GDC 2013]“BBSのような手軽さ”の追求がポーンを生んだ。企画書から探る「Dragon's Dogma」の原型
 米国時間の2013年3月27日,Game Developers Conference 2013において,カプコンの伊津野英昭氏「Behind the Scenes of Dragon's Dogma」(Dragon's Dogmaの裏側)と題したセッションを行った。伊津野氏がディレクターを務めた「Dragon's Dogma」PS3 / Xbox 360)の企画の成り立ちや,各種仕様が決定されるまでの過程などが詳しく解説されたので,本作のファンはぜひ確認してほしい。

 伊津野氏によれば,Dragon's Dogmaの“源流”は2000年に企画案を作ったRPGにあるのだという。Dragon's Dogmaの特徴的な要素である「ポーン(従者)の貸し借り」というアイデアも,この時点で盛り込まれていたそうだ。

 このRPGのキーコンセプトは,「インターネット上の掲示板(BBS)のようなお手軽さ」
 BBSは見ているだけでも楽しいが,自分で書き込めば,ほかの人の反応が気になって,さらに楽しくなる。それと同じような感覚で,ほかの人からポーンを借りたり,自分のポーンを誰かに使ってもらったりして楽しむ,という趣向だ。

画像集#002のサムネイル/[GDC 2013]“BBSのような手軽さ”の追求がポーンを生んだ。企画書から探る「Dragon's Dogma」の原型

画像集#003のサムネイル/[GDC 2013]“BBSのような手軽さ”の追求がポーンを生んだ。企画書から探る「Dragon's Dogma」の原型
 しかし伊津野氏が,当時開発が難航していた「デビル メイ クライ 2」に参加することとになり,このRPGは日の目を見ずに終わってしまった。

 時は流れて2008年,カプコンの上司から「世界で100万本売れる完全新規タイトルを作れ」という指示を受けた伊津野氏は,7本の企画を提出する。そのうちの1本がDragon's Dogmaだった。

 最初の企画案に書かれていたキーワードは「アクションに重点を置いたアクションRPG」「オープンワールド」「ポーンの貸し借り」といったもの。
 Dragon's Dogmaがヒットした今となっては何の違和感もないキーワードだが,伊津野氏は「2008年の時点でこれらを理解してもらうのは大変だった」としみじみと語る。
 日本製アクションRPGのヒット作「Demon's Souls」の姿はまだなく,オープンワールドという言葉も耳慣れない時代。いわゆるソーシャルゲームも流行していなかったので,とくにポーンの貸し借りは,社内にネットワークを作って実際に試してもらわないと,その面白さが分かってもらえなかったそうだ。

画像集#004のサムネイル/[GDC 2013]“BBSのような手軽さ”の追求がポーンを生んだ。企画書から探る「Dragon's Dogma」の原型

表紙には「ちょっとだけオンライン」「BBS-RPG」「CMCーON LINE」といった,ポーンのシステムを意識したタイトルが付けられている。CMCとは,「Custom Mercenary Character」(カスタマイズできる傭兵キャラクター)の略で,ポーンという名称が生まれていなかった頃の呼び名だ
画像集#005のサムネイル/[GDC 2013]“BBSのような手軽さ”の追求がポーンを生んだ。企画書から探る「Dragon's Dogma」の原型
 続いて伊津野氏は,そんな逆境の中で作った企画書を披露した。一般的に,企画書の内容は完成時の仕様と大きく違っていることが多いため,タイトル発売後に公にされることは少ないとのことだが,Dragon's Dogmaはほぼ企画書通りに完成したタイトルだったので,公開の運びになったとのことだ。


画像集#006のサムネイル/[GDC 2013]“BBSのような手軽さ”の追求がポーンを生んだ。企画書から探る「Dragon's Dogma」の原型
BBSのような手軽さをアピールするページ。伊津野氏自身が一般的なオンラインゲームだと,相手に気を使い過ぎて楽しめない性格で,そこからこのシステムを思いついたとのことだ
画像集#007のサムネイル/[GDC 2013]“BBSのような手軽さ”の追求がポーンを生んだ。企画書から探る「Dragon's Dogma」の原型
ポーンの貸し借りやカスタマイズといったシステムが説明されている
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「自分とポーンによる最大4人のパーティでプレイするアクションRPG」という基本部分は,すでにこの時点で固まっている
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当初は人間以外にも,動物や獣人といったキャラクターをポーンにできる仕様が予定されていた

ポーンをほかのプレイヤーと貸し借りして冒険を進める,という本作の特徴的なシステムが詳しく紹介されている
画像集#010のサムネイル/[GDC 2013]“BBSのような手軽さ”の追求がポーンを生んだ。企画書から探る「Dragon's Dogma」の原型 画像集#011のサムネイル/[GDC 2013]“BBSのような手軽さ”の追求がポーンを生んだ。企画書から探る「Dragon's Dogma」の原型

画像集#012のサムネイル/[GDC 2013]“BBSのような手軽さ”の追求がポーンを生んだ。企画書から探る「Dragon's Dogma」の原型
アクションRPG市場の有望性をアピールするため,「The Elder Scrolls IV: Oblivion」(PC / PS3 / Xbox 360)「Fallout 3」(PC / PS3 / Xbox 360)「Fable II」といったタイトルの売上本数を列挙。だが,これを見た上司から返ってきたのは「オブリビオンって何や?」という言葉だったとのこと
画像集#013のサムネイル/[GDC 2013]“BBSのような手軽さ”の追求がポーンを生んだ。企画書から探る「Dragon's Dogma」の原型
RPGに重点を置くのではなく,アクションを楽しむという点が強調されている

画像集#014のサムネイル/[GDC 2013]“BBSのような手軽さ”の追求がポーンを生んだ。企画書から探る「Dragon's Dogma」の原型
 この力作と言うべき企画書が通り,Dragon's Dogmaの開発が始まったわけだが,もちろん開発にはさまざまな技術的課題があった。
 なかでも大きかったのは,ポーンのキャラエディット機能。当時のカプコン製ゲームには,Dragon's Dogmaに必要な自由度の高いエディット機能を搭載したものがなく,試行錯誤を繰り返したそうだ。
 とくに,「腕だけ長くする」「脚だけ長くする」といった体型のエディットを,両手に武器を持って戦う本作のシステムとマッチさせるのが非常に難しかったという。
 
 同じように,オープンワールドのゲームに欠かせない,プレイの裏でマップのデータを読み込むようなシステムも社内では前例がなく,苦労したそうだ。
 
 また,PlayStation 3版,Xbox 360版ともにオンラインプレイの料金を無料とするために,ソニー・コンピュータエンタテインメントや日本マイクロソフトと長い時間をかけて調整したとのこと。最終的には,リーダーボードなどのシステムを利用して,運営費をほぼ0円に抑えることができたという。

 続いて伊津野氏は,そういった技術的な課題以外にも,多くの問題を抱えていたことに触れ,マップやイベントのフローチャートといった開発資料を披露した。
 本作をプレイした人ならお分かりになるだろうが,マップに設けられた拠点や,用意されているイベントの数が,製品版と比べて段違いに多い。開発途中のボリュームは製品版の2倍にもなっていたとのことで,さまざまな要素を削ってまとめるのに,相当苦労した様子がうかがえた。

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 そんな苦労を乗り越えて完成した本作は,見事に世界で100万本を超えるセールスを記録するヒット作となった。
 伊津野氏は「2周以上プレイしているという声を聞いたり,続編の希望をいただいたりして,非常に嬉しく思っています。アップグレード版の『Dragon's Dogma: Dark Arisen』PS3 / Xbox 360)も出ますので,ぜひプレイしてください」と語ってセッションをまとめた。

 ポーンのシステムが10年以上も前,しかもゲームとは一見関係がなさそうなBBSからヒントを得て構想されていたことには驚いた。視野の広さや先を見通す力などは,ゲームクリエイターに欠かせない能力だろうが,伊津野氏の場合,その能力がかなり高いように思われる。氏の次なる作品がどのようなものになるのか,今から非常に楽しみだ。

伊津野氏が最後に「おまけ」として披露した,タイトルロゴの候補
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画像集#022のサムネイル/[GDC 2013]“BBSのような手軽さ”の追求がポーンを生んだ。企画書から探る「Dragon's Dogma」の原型

「Dragon's Dogma」公式サイト

Game Developers Conference公式サイト

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AD(最終更新日:2023/02/27)
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