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ハイエンドスマホ向けSoC「Snapdragon 8 Gen 3」が発表に。レイトレーシング性能が1.4倍に向上
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印刷2023/10/25 15:53

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ハイエンドスマホ向けSoC「Snapdragon 8 Gen 3」が発表に。レイトレーシング性能が1.4倍に向上

 2023年10月25日,Qualcommは,スマートフォンやタブレット端末向けの次世代ハイエンドSoC(System-on-a-Chip)「Snapdragon 8 Gen 3」を発表した。CPUコアとGPUコアに加えて,AI処理に使うNPU(Neural network Processing Unit)の性能が大幅に向上しており,とくに生成AI(Generative AI)において効果を発揮するという。
 Snapdragon 8 Gen 3を搭載した製品は,ソニーやASUSTek Computer,RedMagic,Xiaomiなどの各メーカーから登場する予定だ。

Snapdragon 8 Gen 3
画像集 No.001のサムネイル画像 / ハイエンドスマホ向けSoC「Snapdragon 8 Gen 3」が発表に。レイトレーシング性能が1.4倍に向上

 CPUコアである「Kryo」は,前世代製品の「Snapdragon 8 Gen 2」と比べて,プロセッサの構成が大きく変わった。Snapdragon 8 Gen 2では,最も性能が高い「プライムコア」が1基,それを支える高性能コアが4基,高効率コアが3基の計8基を組み合わせていた。これに対して,Snapdragon 8 Gen 3は,プライムコアの「Cortex-X4」が1基,高性能コアが5基,高効率コアが2基へといった具合に,より性能を重視した構成へと変化している。これにより,CPU性能が1.3倍に向上したとのこと。

 一方,GPUコアの「Adreno」について,例によってQualcommは詳細を公開していないものの,Snapdragon 8 Gen 2と比べて,25%ほど高性能で,消費電力あたり性能では40%優れているという。
 さらに,スマートフォン向けSoCとして「Unreal Engine 5.2」に対応することで,リアルタイムレイトレーシングによるグローバルイルミネーションの処理性能が1.4倍になったそうだ。

 Snapdragon 8 Gen 2では,Digital Signal Processor(DSP)という位置付けだった「Hexagon」プロセッサは,新たにNPUへと立ち位置が変わった。性能は従来比の約2倍と大幅に向上しており,AIの推論処理が最大で1.4倍に高速化している。

 このほかにも,5G対応の新型モデム「Snapdragon X75 5G」や,異なるOS間のデバイス同士で,ファイルの送受信やドラッグ&ドロップ,キーボードやマウスの共有が行える「Snapdragon Seamless」にも対応するという。
 Qualcommは,さまざまな改良をアピールしているものの,製造プロセスが変わっていないこともあってか,全体的に改良点は小粒な印象を受ける。前世代と比べて,スマートフォンの性能が劇的に向上する,というほどではないかもしれない。

Snapdragon 8 Gen 3の概要
画像集 No.002のサムネイル画像 / ハイエンドスマホ向けSoC「Snapdragon 8 Gen 3」が発表に。レイトレーシング性能が1.4倍に向上

表 Snapdragon 8 Gen 3と前世代SoCの主なスペック
Snapdragon 8 Gen 3 Snapdragon 8 Gen 2
型番 SDM8650-AB SDM8550-AB
製造プロセス 4nm 4nm
CPUコア Kryo Kryo
CPU物理コア数 8(プライムコア×1,高性能コア×5,高効率コア×2) 8(プライムコア×1,高性能コア×4,高効率コア×3)
CPU最大動作クロック 3.3GHz 3.36GHz(3.2GHz版もある)
GPUコア Adreno Adreno
ISP Spectra Spectra
カメラ 1億800万画素(シングル),6400万画素+3600万画素(デュアル),3600万画素×3(トリプル) 1億800万画素(シングル),6400万画素+3600万画素(デュアル),3600万画素×3(トリプル)
AI処理用プロセッサ Hexagon NPU Hexagon DSP
APIサポート OpenGL ES 3.2,OpenCL 2.0 FP,Vulkan 1.3 OpenGL ES 3.2,OpenCL 2.0 FP,Vulkan 1.3
メモリコントローラ LPDDR5X 4800MHz 最大容量24GB LPDDR5X 4200MHz 最大容量16GB
統合型モデム Snapdragon X75 5G Snapdragon X70 5G
通信仕様 5G,下り最大10Gbps 5G,下り最大10Gbps

 また,Qualcommは,Windows PCやChromebook向け新型SoC「Snapdragon X Elite」も合わせて発表した。新開発のCPUコア「Oryon」を採用することで,Intelの「第13世代Coreプロセッサ」やAppleの「Apple M2 Max」といったプロセッサと比べて,高い性能と電力効率を実現するとアピールしている。
 Snapdragon X Eliteを搭載した製品は,2024年の中ごろに登場する予定だという。

Snapdragon X Elite
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 Snapdragon X Eliteは,Oryonを12コア搭載して,動作クロックは最大3.8GHzであるが,そのうちの2基はブースト最大クロックが4.3GHzで動作するそうだ。

ベンチマークソフト「Geekbench v6.2.1」におけるSnapdragon X EliteとApple M2 Maxの性能比較
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Snapdragon X Eliteと「Core i9-13980HX」の性能比較
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 GPUコアはスマートフォン向けSnapdragonと同様にAdrenoだが,詳細は明らかになっていない。Qualcommによると4.6 TFLOPSの演算性能を備えているとのこと。ちなみに,PlayStation 4 ProのGPU演算性能が約4.2 TFLOPSだったので,前世代の据え置き型ゲーム機上位モデルを上回る理論性能値を有することになる。

 Qualcommが公開した資料によると,Snapdragon X EliteのGPU性能は,「Core i7-13800H」の統合GPUである「Intel Iris Xe Graphics」と比べて,同じ消費電力の場合は最大2倍に,性能をそろえるのであれば,消費電力を74%削減できるそうだ。また,「Ryzen 9 7940HS」の統合GPU「Radeon 780M」と比べても,同じ消費電力で最大1.8倍,同じ性能で消費電力を80%削減できるとのことだ。

ベンチマークソフト「3DMark」のWild Life ExtremeにおけるSnapdragon X EliteとCore i7-13800Hの性能比較
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Snapdragon X EliteとRyzen 9 7940HSの性能比較
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QualcommのSnapdragon 8 Gen 3製品情報ページ(英語)

QualcommのSnapdragon X Elite製品情報ページ(英語)

Qualcomm公式Webサイト(英語)

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