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印刷2011/09/08 22:17

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[CEDEC 2011]稼げるゲームはこう作れ。グリーが明かす「セールスランキングNo.1プロダクトの作り方」

グリーメディア事業本部 土田俊郎氏(左),グリー開発本部ソーシャルアプリケーション(Japan)統括部 統括部長 岸田崇志氏
 コンピュータエンターテインメント協会の主催する日本最大のゲーム開発者イベント「Computer Entertainment Developers Conference」。2010年のセッション数は150だったが,2011年は210になり,さらにその規模を拡大した。なかでもソーシャルゲームがテーマのセッションが増えており,業界のトレンドが感じられる。

 そんなCEDEC 2011の3日目である9月8日に「セールスランキングNo.1プロダクトの作り方」というセッションが行われた。これはソーシャルゲーム界の雄であるグリーが,旧来からあるゲーム業界とどのように付き合っていくのかを語るというもので,グリー側から一つの回答を示すものとなった。

 登壇したのはグリーメディア事業本部の土田俊郎氏と,開発本部 ソーシャルアプリケーション(Japan)統括部 統括部長である岸田崇志氏だ。

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 土田氏は2011年2月にスクウェア・エニックスを退社し,3月にグリーに入社したばかり。独立時代に「フロントミッション」や「アークザラッド」を手がけたほか,スクウェア・エニックスでは「ファイナルファンタジーXIII」PS3/Xbox 360)のバトルディレクターなどを務めた経験があり,ゲーム業界でのキャリアは20年近くに及ぶ。

 岸田氏は大手ネットワークインテグレーターのネットワークエンジニアを経て2009年にグリーに入社。ゲーム制作のキャリアをソーシャルゲームからスタートさせている。

 講演は,岸田氏がソーシャルゲームの状況を整理するところからスタートした。調査会社によれば,日本国内のソーシャルアプリ市場は2010年に1700億円規模に到達,2011年には2000億円を突破する見込みだという。加えて,KONAMIの2012年度3月期第一四半期決算ではソーシャルゲームの売上が家庭用ゲームのそれを上回ったという具体例を提示した。

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 またご存じのとおり,スマートフォン市場は全世界的に拡大傾向にある。グリーでは代表取締役社長 田中良和氏の「5年後には現在のガラケー(日本独自の携帯電話)市場はなくなり,グリーのビジネスはゼロになる」という認識のもと,半年以内で全内製プロダクトをスマートフォンに対応させるという取り組みを行い,2011年6月末にその目標を達成した。

 その後,同社のソーシャルゲーム「探検ドリランド」が,App Storeのセールスランキングで1位を獲得。それに引き続き,「カイブツクロニクル」「マジモン」「モンプラ」もランクインするなど,ソーシャルゲームがランキングの上位を賑わせるようになった。

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 土田氏は,「探検ドリランド」の売上1年分は,数百万本クラスのコンソールゲーム(コンシューマ機用ゲーム)と同じ規模感がある,と指摘。コンシューマゲームにおいて数百万本を売るには世界を相手にしないと達成できないが,「探検ドリランド」は国内の売上で同規模の数字を達成している。これは開発費の高騰や在庫コストといったリスク,対象国のプレイヤーに合わせたローカライズ/カルチャライズといった手間を回避しつつのことである。同じ規模の売上といっても,ソーシャルゲームのほうが明らかに収益性が高いことが分かる。

 次いで岸田氏はグリーにおけるソーシャルゲーム制作は垂直統合型の少数精鋭チームによって行われており,旧来のゲーム業界で多く用いられている水平分業型とは対照的であると説明した。

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 岸田氏の分類による水平分業型とは,個人が専門職化していくもので,プロデューサーはプロデュース業,プログラマーはプログラミングに専念し,それぞれの専門技能を高めていく。
 一方グリーでは少人数のエンジニアとディレクターが企画,リサーチ,開発などすべての分野をカバーし,流動的なソーシャルゲーム市場に対応できるスピードを維持しており,これを垂直統合型と呼んでいる。
 具体的には,グリーのソーシャルゲーム制作・運営は平均5〜7名で構成され,デザインやデータマイニングなどを専門に行うプロフェッショナルチームがサポートする。この体制を敷くことにより,コミュニケーションコストが最小化され,個人が最大限に成長できる環境が整うという。

 次いで岸田氏はグリーで行われている「データ駆動型アプローチ」を紹介した。これはグラフィックスデザインやゲーム設計では「かわいい」「かっこいい」「面白い」など,個人の感性に頼るところが大きかったものを,ロジカルに表現する手法のこと。グリーでは「GREE Analytics」というデータマイニングツールを用いて,プレイヤーの利用状況を徹底的に調査し,反応や動向を数値化しているという。
 そして,11:00にイベントをスタートし,その1時間後にどんな反応があったかをチェック。反応が想定と異なっていた場合は即座に修正をかける……というようなことを行うそうだ。
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[CEDEC 2011]稼げるゲームはこう作れ。グリーが明かす「セールスランキングNo.1プロダクトの作り方」
 またグリーでは,ゲームデザインや施策などを「仲間と集めるモデル」「Raidモデル」といったようにモデル化し,フレームワークとして蓄積している。前述したデータマイニングにより,それぞれのフレームワークが収益や集客など,どの分野に効果を発揮するかも把握されているため,新たな施策を行う際は,蓄積されたフレームワークを目的に合わせて組み合わせるそうだ。もちろん新規フレームワークの開発も行われており,「フレームワークの数が企業体力とスピードに繋がる」と岸田氏は語る。

 土田氏は「ソーシャルゲームの組織とゲームの組織の違い」と題したスライドを提示,双方の違いを解説した。

 ゲームが複雑化・高度化するなか,今までは水平分業型が効率的であると言われてきたが,今後は垂直統合型に注目が集まる,というのが氏の考え方だ。そこでは,「私はこれが専門」という枠を作らないマインドで,少数精鋭チームを編成していくことが鍵になるという。

 少数になれば各人の責任が重くなるため,自ずと精鋭化していき,スピード感ある動きができるようになる。また,権限と責任を持つような組織形態に自らが臨むことで,ゲーム業界自体も精鋭化していくのではないかと土田氏は語る。そして,「データ駆動型アプローチを理解して取り入れなければ滅びる。これを理解したうえで,過去の経験や感性が生かされる」という見通しを披露した。

 岸田氏は,グリーの取り組みの重要パートである「データ駆動型ゲームデザイン」に関して解説を行う。これは,徹底的なデータマイニングによりプレイヤーの反応をチェックし,「集客」「活性化」「収益」の各要素に働きかけていくという手法だ。
 「集客」は新しく人を集める手段。「活性化」は継続率を高め退会を防ぐ仕組み。そして「収益化」は課金の増加を目的としている。ここではいずれの要素にも「〜し続ける」という視点が必要となり,会員数やログイン人数などの数値から,流入率,ログイン率,課金率,ARPU(ユーザー1人あたりの収益平均)などを可視化していくことが大切だという。

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 ここで岸田氏は「集客モデル」「活性化モデル」「収益モデル」の考え方と実際の運用例を披露した。
 岸田氏が語る集客モデルのキーワードは,「ゲームデザインによるプロモーション」と「ソーシャルデザインによるバイラル」の二つ。3000万人向けにコンセプトメイキングを行い,「釣り」や「ペット」など,ゲームの元ネタに興味を持つ人達の数をチェックすることで,よりマスに受け入れられる,名前を聞くだけでルールが理解できるモチーフを選定。そのうえでゲームデザインを進行させるという。同時に,ゲームを友達に紹介するメリットも明確化し,「友達招待スパイラル」を生み出すソーシャルデザインを行う。

 活性化モデルは,「サイクル設計を取り入れたゲームデザイン」と「ユーザー間コミュニケーションを促進するソーシャルデザイン」がキーワードだ。

 ゲームをデザインする段階では,1サイクルの中で達成感を演出することを重要視し,短・中・長期のゲームサイクルそれぞれにゴールを用意。さらに,ゴールが遠い場合は細かくマイルストーンを作っていくという。例えば「釣りスタ」では,手軽に達成感が味わえるように簡単なイベントを行っているそうだ。
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 ソーシャルデザインは,「運営からのお知らせよりも,友達からの呼び込みのほうが効果は高い」(岸田氏)という経験則から,プレイヤー間のコミュニケーションを促進するため,「モンプラ」に「友達の牧場へ遊びに行く」という要素を導入。遊びに行くことで「なつき」というパラメーターが増えるというメリットを用意しただけでなく,履歴を残すことで効果もアップする。もちろん,「どれくらいの人数が遊びに行ったか」「再ログイン率」などを数値化し,効果測定も行っている。

 基本的に無料で遊べるのがグリーのソーシャルゲームだが,岸田氏が指す「収益化モデル」とは,有料アイテムなどにお金を出してもらうためのモデルのこと。キーワードは「納得のいく失敗と劇的な変化をもたらすゲームデザイン」と「自己顕示欲を最大化するソーシャルデザイン」だ。

 収益化モデルの構築には,失敗に意味があることをきちんと演出することが重要であり,有料アイテムは見た目に効果が分からないとダメだという。「細かなゲームバランスよりも,課金機会の演出,効果の演出のほうが大事」と岸田氏は指摘する。
 「釣りスタ」では魚を釣り損ねた際に,どんな魚を逃したかを表示し,どうすればいいのかという提案が出る。そのうえでアイテムを購入すると魚が釣れるという劇的な変化を,演出するわけだ。

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 「探検ドリランド」では「自己顕示欲の最大化」がポイントとなる。無課金のライト層は集客,課金額の多いミドル・ヘビー層は収益の役割をそれぞれ担っている,と岸田氏は説明する。その比率はライト層が83.5%なのに対し,ミドル層が12%,ヘビー層が4.5%である。このゲームでは友達同士で助け合えるようになっており,ライト層はヘビー層に手伝ってもらうことで達成感を味わい,ヘビー層はライト層を助けることにモチベーションを感じるように設計されているという。これを岸田氏は「収益性と集客性のスパイラル」と表現し,プレイヤーが増えることでより収益力が上がる仕組みになっていると解説した。

 最後に岸田氏は,「家庭用ゲーム業界の歴史は長く,コンテンツ力を持っているのが強み。そこにソーシャルゲーム業界のフレームワークとグローバルプラットフォームを加わえて両業界を融合させ,日本のプレゼンス高めて世界に発信することが重要ではないだろうか」と提案し,講演を締めた。

「GREE」公式サイト

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