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印刷2011/10/12 13:01

レビュー

ついに登場のBulldozerアーキテクチャ。“Zambezi”はゲーマーのためのCPUか

FX-8150/3.6GHz

Text by 宮崎真一


FX-8150。入手した個体のOPNは「FD8150FRW8KGU」となっていた
AMD FX
 別途お伝えしているように,2011年10月12日13:01,AMDは,Bulldozer(ブルドーザ)アーキテクチャに基づく初のデスクトップPC向けCPU「AMD FX」(もしくは「AMD FX-Series」)を正式発表した。開発コードネーム「Zambezi」(ザンベジ)と呼ばれてきた同製品が持つ最大の特徴は,シリーズ上位の「FX-8150/3.6GHz」「FX-8120/3.1GHz」で,デスクトップ向けCPUとして初の8コアモデルとなっている点だ。
 4Gamerでは,正式発表に合わせて,最上位モデルとなるFX-8150を入手したので,「10月下旬以降,順次」とされる発売スケジュールからするとやや早すぎるタイミングではあるものの,前後編に分けて,その実力を検証してみたいと思う。

AMD,Bulldozerアーキテクチャ採用の新世代CPU「FX」を正式発表。発売は10月下旬以降に



4モジュール・8コア構成をとるFX-8150

Turbo COREでは最大4.2GHzの動作も可能に


Zambeziのダイ写真
AMD FX
 AMD FXの技術的な詳細は本間 文氏による解説記事を参照してほしいと思うが,Bulldozerアーキテクチャでは,2基の整数演算ユニット(≒CPUコア)がフロントエンド部や浮動小数点演算ユニット,L2キャッシュを共有する構造になっているのがポイントだ。AMDはこれらをまとめて「Bulldozer Module」(以下,Bulldozerモジュール)と呼んでいるが,2 CPUコアからなるこのモジュールを最大4基搭載することで,AMD FXは最大8コアCPUとなる仕組みである。

 また,全モデルで倍率ロックフリーとなる一方,従来の倍率ロックフリーモデルに冠されてきた「Black Edition」の表記がなくなった――製品ボックスには残るが,製品名からは外れた――のは,従来からの大きな変更点といえよう。
 一方,CPUパッケージがAM3+で,Socket AM3+マザーボードとの互換性が確保されているのもトピックといえる。

CPUパッケージはAM3+。「Socket AM3b」の刻印のあるSocket AM3+と互換性がある
AMD FX AMD FX

第2世代Turbo COREの概要
AMD FX
 さて,冒頭でも紹介したように,FX-8150は,発表時点におけるAMD FXの最上位モデルだ。
 定格の動作クロックは3.6GHzながら,TDP(Thermal Design Power)の余剰分を動作クロックの引き上げに割り振ることで自動クロックアップ動作を実現する「AMD Turbo CORE Technology」(以下,Turbo CORE)の第2世代版を搭載しており,最大4.2GHzの動作が可能となっている。「ターボ動作時」という条件付きながら,4GHzを超える動作クロックが公式に実現されたのは,大きなトピックと言っていいだろう。

AMD FXのラインナップ。動作クロックは規定値のほか,Max TurboとAll Core Turboが示されている
AMD FX
 なお,最大4.2GHzと述べたが,正確を期すと,4.2GHz動作するのは,4 Bulldozerモジュール中,2モジュールまでに負荷がかかっているときだ。この条件を満たす場合は,最大2モジュール4コアが4.2GHz動作するようになっており,3モジュール以上に負荷がかかるようになると,最大4モジュール8コアが3.9GHz動作するようになる。

「CPU-Z」(Version 1.58)。モデルナンバーを正確に取れていないが,アイドル時の動作クロックが1.4GHzに下がっているのは確認できる
AMD FX
 もう少し細かく見てみよう。
 まず,1モジュール1コアから2モジュール4コアまでに負荷がかかっているときだが,この場合は,負荷のかかっているコアを含んだモジュールだけが4.2GHzに達し,残りの2〜3モジュールは,アイドル時の最低動作クロックたる1.4GHzまでは落ちないものの,比較的低いクロックに落ち着くようになっている。
 対し,3モジュール5コア以上に負荷がかかるようになると,負荷のかかっているモジュールだけが最大3.9GHz動作するようになる。たとえば4モジュールすべてに負荷がかかった場合は全モジュールが3.9GHz動作するが,3モジュールの5コアに負荷がかかっている場合だと,3モジュールだけ3.9GHzに引き上げられ,残る1モジュールは定格の3.6GHzに留まるといった具合だ。
 要するに,Turbo COREではBulldozerモジュール単位での制御が行われるわけである。

1コアにだけ負荷をかけた状態(左)と,5コアに負荷をかけた状態(右)とで,AMD OverDriveから動作クロックを見たところ。前者では1モジュールが4.2GHzになって残りは1.6〜1.9GHz近辺に落ち着いていることと,後者では3モジュールが3.9GHzになって,残り1モジュールで定格を200MHzほど下回るクロックになっていることが分かる
AMD FX AMD FX

 ちなみにAMDは,前者を「Max Turbo」,後者を「All Core Turbo」と呼んで区別しているため,第2世代Turbo COREでは,Bulldozerモジュールの負荷状況に応じた2段階のターボ動作モードが用意されている,という理解をしておくのが正解と思われる。

AMD FXのブロック図
AMD FX
 ところで,L2キャッシュはBulldozerモジュールごとに搭載されると先ほど述べたが,その容量はモジュールあたり2MB。なので,4 Bulldozerモジュール構成をとるFX-8150の場合は2MB×4で合計8MBとなる。さらに,全Bulldozerモジュールで共有のL3キャッシュは容量8MBと,そこそこのスペックだ。
 メモリコントローラはDDR3-1866対応で,Ganged(≒デュアルチャネル)およびUnganged(≒シングルチャネル)両対応。メモリ周りは「AMD A-Series」と同じ水準にまで高められているわけである。Phenom II X6だとDDR3-1333までのサポートだったので,かなりの強化がなされたといえる。

 そんなFX-8150のスペックを,「Phenom II X6 1100T Black Edition/3.3GHz」(以下,X6 1100T),「Phenom II X4 980 Black Edition/3.7GHz」(以下,X4 980),「Core i7-2600K/3.4GHz」(以下,i7-2600K),「Core i5-2500K/3.3GHz」(以下,i5-2500K)と比較したものが表1である。


AMD OverDrive 4
AMD FX
 なお,AMD FXの発表に合わせて,AMD純正のオーバークロックユーティリティ「AMD OverDrive」も,Version 4.0.5.0529へとアップデートされている。
 AMD OverDrive 4.0.5.0529では,Turbo CORE周りの設定が豊富になったのが見どころで,動作クロックはもちろんのこと,Turbo CORE適用時の電圧なども変更できるようになった。

AMD OverDrive 4からは「Turbo Core Control」というサブウインドウを開けるようになっており,そこからTurbo CORE動作時の動作倍率やCPU VIDの設定が行える。このあたりの詳細は後編で
AMD FX AMD FX


DDR3-1600でのテストを実施

テストには空冷クーラーを利用


 テストのセットアップに入ろう。
 今回のテスト環境は表2のとおり。今回,FX-8150は評価キットの形で入手しており,そこには「AMD 990FX」チップセット搭載のASUSTeK Computer(以下,ASUS)製マザーボード「Crosshair V Formula」が付属していたので,これをそのまま用いることとした。BIOSのバージョンは,ASUSから入手した「0813」正式版だ。


Crosshair V Formula
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) news@unitycorp.co.jp
実勢価格:2万4000〜2万7000円程度(※2011年10月12日現在)
AMD FX
 注意してほしいのは,今回,FX-8150のメモリ設定がDDR3-1600になっていることである。4Gamerで用意したG.Skill International Enterprise製のPC3-14900メモリモジュール「F3-14900CL9D-8GBSR DDR3-1866」は,Crosshair V Formulaの動作確認済み製品で,また,AMD A-Seriesのテストにおいても問題なく動作していたのだが,FX-8150との組み合わせでは,どうしてもDDR3-1866設定で正常に動作しなかった。
 ASUSに確認したところ,Crosshair V Formulaの場合,公式サポートはDDR3-1600までとなっており,(少なくとも現時点だと)それ以上は「オーバークロック設定」になるとの回答が得られた。また,AMDから世界中のレビュワーへ配布されたレビュワーズガイドでも,AMDはDDR3-1333設定でFX-8150のテストを行っていたりするので,ひょっとすると現時点では,DDR3-1866動作に向けた最適化……というか,AMDとマザーボードメーカー間のすり合わせが済んでいないのかしれない。もちろん,評価機としてやってきたマザーボードの個体不良という可能性もあるのだが。

国内限定で付属する液冷クーラー。KUHLER-H2O-920相当とされる本製品の製品ボックスにはAsetekの英文マニュアルが付属していた
AMD FX
 ところで,日本AMDは,FX-8150の初回出荷数が500個であることと,それには国内限定でAntec製簡易液冷クーラー「KUHLER-H2O-920」相当の製品が付属すること,そして,500セットの販売が終わったあと,次の出荷がいつになるか分からないことを予告している
 つまり,初回出荷の500個にはすべて液冷クーラーが付属するわけだ。ただ,今回入手した評価機には付属せず,テスト開始後,遅れて到着したため,前編となる今回は,性能検証にあたって,Socket AMxに共通のAMDリファレンスクーラーを用いることとした。空冷か液冷かでTurbo COREの効果に違いが生じることも予想されるが,そのあたりは後編で検証する予定だ。

※「液冷クーラー付属の特別版500セットが完売したらどうなるのか? すぐ単品販売を開始するのか?」という質問を投げたところ,日本AMDから返ってきた回答は「500セットの販売が終了したのちは,単品販売したいという気持ちがございますが,年内は世界的に数に限りがございますので,未定でございます。単品販売をすることになりましたら,価格も含めてご案内させていただきます。」(原文ママ)だった。

 比較対象として用意したのは表1でその名を挙げたCPUである。テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション11.0準拠だが,「Battlefield: Bad Company 2」は,ゲーム側のアップデートによってか,セーブデータが機能しなくなったため,今回は省略している。また,いいくつか基礎検証用にゲーム以外のテストも追加した。

 FX-8150のテストにあたっては,第2世代Turbo COREの有効時,無効時それぞれでテストを行うこととし,それぞれ「FX-8150(TC ON)」「FX-8150(TC OFF)」と表記する。X6 1100Tは,第1世代Turbo COREを無効化したほうがゲームでは高い性能が得られることもあるのだが,Turbo COREを有効化した状態のほうがより一般的であることから,今回,Turbo COREは有効化している。
 また,AMD製プロセッサに共通して,メモリアクセス設定はGangedに設定してあることもここで述べておきたい。


メモリバス帯域幅が向上し,レイテンシも増大

L2キャッシュは遅く,L3は速くなった


 先ほど,ベンチマークレギュレーション11.0準拠のゲームタイトル以外に,いくつか基礎検証を行うと述べたが,今回はさっそく「Sandra 2011」(SP5 Version 17.80)を使ってみよう。これで,FX-8150の“素性”を見ていくわけである。

 というわけででグラフ1は,「Inter-Core Bandwidth」の結果だ。
 i7-2600Kでは,「Intel Hyper-Threading Technology」が有効になっていることもあって,同一コア内でデータのやり取りが行われるため,値が飛び抜けてしまっている。なので除外しつつ,そのほかを見ていくことになるが,FX-8150(TC ON)はX6 1100Tから約4倍にまでスコアが向上し,4コア4スレッド動作のi5-2500Kをも上回った。
 もちろんこれは,2コアが1セットとなるBulldozerモジュールの設計自体がこのテストに向いているというのはあるだろうが,モジュール間でも,より大きな帯域幅を確保できるように調整した結果ではなかろうか。8コアCPUとして,これは順当な改良といえそうである。


 ただ,「Inter-Core Latency」を見ると,レイテンシが大きくなってしまっているのも分かる(グラフ2)。FX-8150(TC ON)がX6 1100Tの約1.6倍,i5-2500Kの約4.4倍というのは,総じて帯域幅よりむしろレイテンシがスコアを左右しやすいゲーム用途を考えるに,少々気になるところだ。


 続いてはメモリやキャッシュ周り。
 グラフ3はメモリ関連の総合的な帯域幅を見る「Memory Bandwidth」で,FX-8150(TC ON)はi7-2600Kやi5-2500Kと同等のスコアを示しており,Phenomから大きく改善しているのが見て取れる。


 もう少し細かく,グラフ4の「Cache and Memory」で,データブロックサイズごとの帯域幅を見てみると,FX-8150(TC ON)は,128kBから1MBあたり,つまりL2キャッシュに収まる範囲で,i5-2500KやX6 1100Tにかなりの差を付けられている一方,L3キャッシュに収まる4MBブロックでは最も高いスコアを示した。L2はPhenom IIより遅いが,L3はむしろ速い,という結果になっているわけだ。

※グラフ画像をクリックすると,スコアの詳細をまとめた表3を別ウインドウで開きます
AMD FX

 また,ブロックサイズごとのメモリレイテンシを見る「Memory Latency」で,1MB付近のスコアを見る限り,L2キャッシュ周りのレイテンシはX6 1100TやX4 980よりも小さいようである。

※グラフ画像をクリックすると,スコアの詳細をまとめた表4を別ウインドウで開きます
AMD FX

 つまり,ここまでのテスト結果からFX-8150の特徴をまとめると,

  • コア間の帯域幅は向上したが,レイテンシも増大した
  • L2キャッシュの帯域幅は低下したが,レイテンシは小さくなった
  • L3キャッシュは高速化した

ということになる。


Turbo COREの恩恵は大きいものの

i5-2500Kに置いて行かれる場面が多い


 さて,ここからが本番だ。ゲームにおける性能を見ていこう。
 グラフ6は,「3DMark11」(Version 1.0.2)における「Entry」「Performance」「Extreme」各プリセットのスコアをまとめたものだ。GPU性能への依存が大きくなるExtremeプリセットでは数値がほぼ完全に揃ったが,CPU性能の重み付けが大きいEntryプリセットだと,FX-8150(TC ON)はX6 1100Tより約11%,X4 980よりも約15%高いスコアを示した。ただ,i5-2500Kに対しては約4%低いことも,指摘しておく必要はあるだろう。
 第2世代Turbo COREの有効/無効を比べると,Entryプリセットでは,約1%ではあるものの,有効時のほうがスコアは高かった。


 続いてグラフ7,8は「S.T.A.L.K.E.R.: Call of Pripyat」(以下,STALKER CoP)の「Day」と「SunShafts」シークエンスにおける結果である。
 まず,最も描画負荷の低いDayだが,ここではFX-8150(TC ON)がX4 980とほぼ同じスコアにまとまり,揃ってX6 1100Tに対して3〜6%程度の差を付けている。ここではコア数よりも動作クロックがスコアを左右している印象だ。また,FX-8150(TC ON)とFX-8150(TC ON)では6〜8%と,クロックが“効く”分,スコアの違いはかなり大きくなっている。
 気になるのはi5-2500Kとのギャップで,FX-8150(TC ON)は,1280×720ドットで約23%,描画負荷が高まりスコアが低下する1920×1080ドットでも約13%置いて行かれている。

 なお,STALKER CoPの公式ベンチマークテスト中で最も描画負荷の大きいSunShaftsでは,ご覧のとおり,CPUによる有意なスコア差がほとんど見られなかった。


 DirectX 9世代のFPS「Call of Duty 4: Modern Warfare」(以下,Call of Duty 4)は,今回のテスト環境からすると“軽すぎる”タイトルだが,解像度が上がっていくとスコアは並んでいく(グラフ9)。そこで,1280×720ドット時に着目すると,FX-8150(TC ON)のスコアはX6 1100Tとほぼ同じで,X4 980にすら若干ながら置いて行かれてしまっている。
 Call of Duty 4のような,マルチスレッド処理にそれほど最適化されておらず,かつ描画負荷の低いようなタイトルでは,先述したL2キャッシュの性能が足を引っ張っているのではなかろうか。


 グラフ10の「Just Cause 2」は,STALKER CoPのDayシークエンスと似た傾向を示した。FX-8150(TC ON)のスコアはX4 980Tとほぼ同じで,FX-8150(TC OFF)よりは4〜7%高いスコアだ。しかし,i5-2500Kには14〜27%の差を付けられている。


 グラフ11の「Sid Meier's Civilization V」(以下,Civ 5)もSTALKER CoPと同傾向だ。FX-8150(TC ON)のスコアはX4 980とほぼ同じで,FX-8150(TC OFF)に対しては4〜8%高いフレームレートを示している。


 ゲーム性能検証の最後はグラフ12に示した「DiRT 3」だが,ここでは1600×900ドット以上でスコアが揃い気味。ただ,1280×720ドットではFX-8150(TC ON)がFX-8150(TC OFF)に対して約9%,X4 980に対しても約6%高いスコアを示し,気を吐いている。
 i5-2500Kに対して93%にまで迫っていると見るか,それでもi5-2500Kに置いて行かれると見るかは,人それぞれだろう。



8コア&高クロックで消費電力は増加も

アイドル時の消費電力は非常に低い


Maximus IV Extreme-Z
R.O.G.ブランドのZ68マザー
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) news@unitycorp.co.jp
実勢価格:3万2500〜4万1000円程度(※2011年10月12日現在)
AMD FX
 Bulldozerアーキテクチャの採用と高クロック化,そして「余裕を持って設定された」という125WのTDP値が示されるFX-8150で,消費電力の傾向はどう出るのか。ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を利用して,システム全体の消費電力を計測してみよう。テストにあたっては,CPUに100%の負荷をかけ続けるストレスツール「OCCT」の30分間連続実行時を「高負荷時」,その後,30分放置した時点を「アイドル時」としている。

 その結果はグラフ13のとおりで,ここでの見どころは2つだ。
 1つは,アイドル時の消費電力で,FX-8150がi5-2500Kを20Wも下回った点。(「R.O.G.」ブランドの上位モデルという形でマザーボードの方向性は揃えたものの)マザーボードが異なる以上,この20WがそのままCPUの違いとは言いがたい。ただそれでも,アイドル時におけるAMD FXプロセッサの消費電力が低そうというのは言ってもよさそうである。

 そしてもう1つは,高負荷時の消費電力が非常に高いこと。今回のテスト結果は全コアフルロードという,最も厳しい条件を想定したものだが,そこでFX-8150(TC ON)の消費電力は,同じTDP 125WのX6 1100Tと比べて60W以上高い。8コアを搭載したことの代償はそれなりに大きい印象だ。


 アイドル時と高負荷時におけるCPU温度を,ハードウェアモニタリングツール「HWmonitor PRO」(Version 1.12)で取得した結果がグラフ14だ。テスト環境はPCケースに組み込まず,いわゆるバラック状態のまま,室温26℃の環境に置いている。
 CPU温度テストに限っては,FX-8150(TC ON)に対して付属の簡易液冷クーラー(に,標準添付の120mm角ファンを2基取り付けたもの)を用いたスコアも,参考までに「FX-8150(TC ON,LC)」として掲載することにした。

 で,そのスコアだが,FX-8150のスコアはアイドル時に室温より10℃も低く,これをそのままCPUのコア温度として捉えるのは難しい。HWmonitor PROがAMD FXに対応しきれておらず,温度データの補正がうまく行えていないのだろう。
 そのため,高負荷時のスコアがどこまで信頼に足るのかというと,やや怪しいのだが,少なくとも,付属の簡易液冷クーラーがかなり優秀だということは,FX-8150(TC ON,LC)のスコアからは言えそうだ。
 ちなみに,毎度毎度筆者の主観で申し訳ないのだが,ラジエータ部に取り付けたファンの動作音はさほど大きくない。PCケース内に組み込んでも,ラジエータ部から吸気するようなレイアウトにすれば,静かに運用できるものと思われる。



1から環境を構築させるだけの魅力は欠くが

アップグレードパスとしては有用か


 最後に,システム全体が持つ総合性能の目安として,グラフ15および表5に,「PCMark Vantage」(Build 1.0.2)のスコアをまとめてみた。FX-8150(TC ON)の総合スコアは,X6 1100T比で約6%,X4 980比で約9%高いが,i5-2500Kにはまったく届かない。


評価キットに含まれていた製品ボックス。予告されていたとおり,缶である
AMD FX
AMD FX
 また,ここまでのテスト結果からも明らかなように,3Dゲームを前にすると,FX-8150はX4 980とあまり変わらない局面が少なくない。マザーボードやらメモリモジュールやらと一緒に買って,1からシステムを構築するコストを考えるに,なかなか手を出しにくいというのが正直なところだ。
 ただ,前述のとおり,既存のSocket AM3+プラットフォームとの互換性が確保されているため,すでにSocket AM3+環境を用意してある人からすれば,有力な選択肢となることもあるだろう。


 ……ここ数年,AMDのCPUは,どれもコストパフォーマンスに秀でており,それがAMD FXでも踏襲されたことは,大いに歓迎できそうだ。しかし,FX-8150の場合は,国内限定で付属する簡易液冷クーラーが,北米市場で単体価格245ドルのCPUを,国内のメーカー想定売価3万3800円(税込)にまで引き上げてしまっており,これは物議を醸しそうである。
 また,国内限定500セットしかなく,その後の単体販売スケジュールが未定であるうえ,そもそも発表時点で発売日が分からないというのも問題。現状では,「興味があるなら,発売スケジュールを追い,発売されたら即座に購入すべし」としか言いようがない。おそらく,少しでも躊躇したら,いつになるか分からない二次出荷を待つことになるはずだ。

 ともあれ,近日掲載予定の後編では,そんな簡易液冷クーラーを本格的に使ってみたいと考えている。

AMD,Bulldozerアーキテクチャ採用の新世代CPU「FX」を正式発表。発売は10月下旬以降に

FX-8150レビュー記事(後編)

  • 関連タイトル:

    AMD FX(Zambezi)

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