オススメ機能
Twitter
お気に入り
記事履歴
ランキング
4Gamer.net
パッケージ
GeForce GTX 400
  • NVIDIA
  • 発表日:2010/03/26
  • Amazonで買う
お気に入りタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

最近記事を読んだタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

LINEで4Gamerアカウントを登録
QRコードでLINEの4Gamer
アカウントを友達登録すると
月〜金の週5回,21時に厳選
ニュースをお届けします!
※購読にはLINEアプリが必要です
特集記事一覧
注目のレビュー
注目のムービー
印刷2010/03/27 08:01

レビュー

Fermiアーキテクチャ採用の新型GPUは,DirectX 11世代の主役になれるか

GeForce GTX 480リファレンスカード

Text by 宮崎真一


GTX 480リファレンスカード
GeForce GTX 400
 別途お伝えしているように,日本時間2010年3月27日8:01,NVIDIAは,「Fermi」(フェルミ)アーキテクチャを採用する新世代GPUシリーズ,「GeForce GTX 400」を発表した。
 AMDに遅れること約半年。開発コードネーム「GF100」と呼ばれてきた新シリーズについては,情報を小出しにすることで話題性を保ってきたNVIDIAだが,ようやくこれで,DirectX 11世代という,新たなステージに立ったわけだ。これまでDirectX 11世代のGPUはAMD製品しか存在しなかったが,GeForceの新世代品ということで,心待ちにしていたゲーマーも多いのではないだろうか。
 4Gamerでは,発表時点のラインナップとなる「GeForce GTX 480」(以下,GTX 480)「GeForce GTX 470」(以下,GTX 470)から,前者を搭載するリファレンスカードをNVIDIAから入手できたので,さっそく,その実力に迫ってみたい。

GeForce GTX 400シリーズ正式発表レポート記事


GeForce GTX 480基本特性テストレポート記事



FermiのフルスペックではないGTX 480

GDDR5採用でメモリ帯域幅を確保


タグラインのキャッチコピーは「World's Fastest Gaming GPU」(世界最速のゲーム用GPU)
GeForce GTX 400
 GTX 480が搭載するシェーダプロセッサ「CUDA Core」の数は480基。前世代のハイエンドモデル「GeForce GTX 285」だと240基だったので,倍増した計算になる。
 ただ,連載「西川善司の3Dゲームエクスタシー」でも紹介されているとおり,GF100は,512 CUDA Coreを搭載したGPUとして,これまで紹介されてきた。それが最終製品では,32基減ったわけだ。

GTX 480のブロックダイアグラム。GPCの1基だけ,内包するSM数が3基になる
GeForce GTX 400
 GF100(≒Fermi)アーキテクチャでは,32基のCUDA Coreが,L1/共有キャッシュや,テクスチャユニット,(広義の)ジオメトリエンジンなどとセットになって「Streaming Multi-Processor」(以下,SM)を構成し,それが4基で“ミニGPU”となる「Graphics Processing Cluster」(以下,GPC)を構成。さらにGPCが4基集まることで,512 CUDA CoreのGPUとなっていたが,GTX 480では,4基中1基のGPCで,SMが1基無効化されて,1基分の32 CUDA Coreが減り,480基となっている。
 おそらく,フルスペックの512基で実現しようとすると,歩留まりに問題が出てくる,ということなのだろう。イメージとしては,PlayStation 3のプロセッサである「Cell Broadband Engine」で,SIMDエンジン「Synergistic Processor Element」(SPE)を8基実装しつつ,実際には7基動作に留めているのと,同じ理屈だと考えてよさそうである。
 ともあれこの結果,GF100のフルスペックだと,シェーダプロセッサ512基,テクスチャユニット64基となるところ,GTX 480では同480基,60基となった。

 一方,メモリ周りは,当初のフルスペックをそのまま実装。8基で1パーティションを形成するROPユニットを六つ実装し,計48ROPとなる。
 メモリインタフェースは,GTX 285の512bit幅から384bit幅へとスペックが落ちているが,グラフィックスメモリに,GDDR3比で2倍の転送速度を持つGDDR5を採用することで,メモリバス帯域幅を,GTX 285の158.9GB/sから177.4GB/sへと引き上げている。AMDは,ATI Radeon HD 4000シリーズの時代にGDDR5へ舵を切り,メモリインタフェースのbit幅を減らしつつ帯域幅を確保したが,遅ればせながら,NVIDIAもその方向へ進んだわけだ。

 表1は,GTX 480と,その下位モデル「GeForce GTX 470」(以下,GTX 470)そしてGeForce 200世代並びに競合のハイエンドGPUについて,スペックをまとめたものだ。GTX 470では,SMがGTX 480比で1基削られ,さらにROPユニットが1パーティション分,64bitメモリコントローラが1基,それぞれ削られているのが,大きな違いとなる。メモリインタフェースは,64bit×5で,320bit。メモリバス帯域幅は133.9GB/sという計算である。



GTX 295を彷彿させる“箱”型GPUクーラー

動作音は「かなりうるさい」レベル


GTX 295やGTX 285カードと,取り回しやすさ(づらさ)は変わっていない
GeForce GTX 400
 テストに先立って,カードを概観しておきたい。
 冒頭で述べたとおり,今回入手したのはNVIDIAのリファレンスカードだが,カード全体が,大型のGPUクーラーですっぽりと覆われたデザインになっている。PCBに“吸気孔”が設けられている点や,PCI Express外部給電コネクタの仕様が8+6ピン仕様になっている点も含め,その外観は初期型「GeForce GTX 295」(以下,GTX 295)を彷彿させる。
 カードサイズは実測267mm(※突起部含まず)で,GTX 285やGTX 295などから変わっていない。

2スロット仕様のクーラーがすっぽりとPCBを覆うGTX 480リファレンスカード。カード裏面にはブロワーファンの冷却効率を向上させるための切り欠きがあり,カードの表裏両方から吸気する仕様となる。PCI Express外部給電コネクタは,GTX 295と同じ8+6ピン仕様
GeForce GTX 400 GeForce GTX 400 GeForce GTX 400

 GPUクーラーは,ブロワーファンでエアフローを発生させ,主に拡張スロット部からPCケースの外へ排気を行うタイプだ。取り外してみると分かるのだが,GPUクーラーは,メモリチップや電源部などを覆いつつ,スタビライザーとしても機能すると思われるファンの台座部と,GPUからの熱を5本のヒートパイプで放熱フィン部へ送るGPU用ヒートシンクから構成されている。ヒートパイプは,GPUに直接触れる構造になっており,GPUの冷却に,相当配慮した設計になっているといえる。

外部インタフェースはDVI-I×2とMini HDMIで,その上が排気孔。カード側面にもスリットがある。GPUヒートシンクは,天板部がヒートスプレッダになっており,PCケース内のエアフローも利用して冷却しようという配慮が見える
GeForce GTX 400 GeForce GTX 400 GeForce GTX 400

2ピース構成のGPUクーラー。GPU用ヒートシンクは,5本のヒートパイプがGPUパッケージと直接触れる設計になっている
GeForce GTX 400 GeForce GTX 400 GeForce GTX 400

 その動作音だが,筆者の主観になることをお断りしつつ端的に述べると,かなりうるさい。GPU負荷が低い状態では気にならない程度の音量で,十分に静かと言えるレベルなのだが,ひとたびGPUに負荷がかかって,GPUクーラーが「本気」を出すと,こちらが「正気」でいられないほどの音量になってしまう。ベンチマークテストを行うまでもなく,「GTX 480を購入するなら,各グラフィックスカードベンダーのオリジナルクーラー搭載モデルを待ったり,速攻で液冷化したりするべきではないか」と断じてしまいたくなるほど,と述べたら,その壮絶さが伝わるだろうか。

GeForce GTX 400
 さて,クーラーを完全に取り外すと,GTX 480のGPUパッケージと,それを囲むように置かれた12枚のグラフィックスメモリチップが姿を見せる。
 GPU全体がヒートスプレッダに覆われ,ダイサイズを確認できないのは,GeForce GTX 200シリーズと同じ。グラフィックスメモリチップは,Samsung製のGDDR5「K4G10325FE-HC04」(0.4ns品)を採用していた。GTX 480のリファレンスメモリクロックは3696MHz相当(実クロック924MHz)なので,マージンは相当大きいことになる。グラフィックスメモリの動作クロックをここまで低く抑えたのは,カードの熱問題をクリアするためのように思われる。

GeForce GTX 400
GTX 480 GPU。パッケージには,A3リビジョンと思しき「GF100-375-A3」という刻印が見える
GeForce GTX 400
搭載するメモリチップはSamsung製のGDDR5。1Gbit品を12枚で,容量1536MBを実現する


テストにはGTX 480専用ドライバを利用

推奨マザーボードを利用したSLI構成も検証


 テストのセットアップに入ろう。
 比較対象は,ざっくり,GeForce 200シリーズの上位モデルと,ATI Radeon HD 5000シリーズの上位モデル。具体的には,ASUSTeK Computer(以下,ASUS)製のGTX 295カード「ENGTX295/2DI/1792MD3」と,ZOTAC International製のGTX 285カード「ZT-285E3LA-FSP」,ASUSのGTX 285搭載モデル「ENGTX285 TOP/HTDP/1GD3」,そして「ATI Radeon HD 5970」(以下,HD 5970),「ATI Radeon HD 5870」(以下,HD 5870)の両リファレンスカードと,MSI製のHD 5870搭載カード「R5870-PM2D1G」を用意した。
 GTX 285とHD 5870を2枚ずつ用意したのは,NVIDIA SLI(以下,SLI)およびATI CrossFireX(以下,CFX)動作させるためだ。SLIのテストに当たって,メーカーレベルのクロックアップがなされたENGTX285 TOP/HTDP/1GD3は,セカンダリで用いることにより,クロックアップの影響を排除する。

GeForce GTX 400
Rampage III Extreme
ブラッシュアップを果たしたゲーマー向けボード
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店)
価格:未定(※2010年3月27日現在)
GeForce GTX 400
SLI構成の例。Rampage III Extremeは,Intel X58 Expressノースブリッジから数えて1本めと3本めのスロットが16レーン動作となる。その場合,両スロットの間は3スロット分の空きが生まれるので,NVIDIAの推奨をクリアできる
 SLIの話が出たので,一点述べておくと,NVIDIAは,全世界のレビュワーに対して,「SLIの検証に当たっては,2本のPCI Express x16スロット間に,2スロット分の空きがあると,冷却的に最適」という形で推奨を行っている。2スロット仕様となるGTX 480を2枚差したとき,両者の間に1スロットの空きがあったほうがいい,というわけだ。そこで今回は,この条件を満たすマザーボードとして,ASUS製のゲーマー向け「Intel X58 Express」搭載モデル,「Rampage III Extreme」を,同社から借用し,SLI動作時の検証も行う。

 CPUは,ハイエンドGPUの検証に当たって,なるべくCPUボトルネックが生じないよう,「Core i7-975 Extreme Edition/3.33GHz」を選択。ただし,GPUによってその効き具合が異なることを避けるため,自動オーバークロック機能である「Intel Turbo Boost Technology」はBIOSから無効に設定している。一方,「Intel Hyper-Threading Technology」は有効にしたままである。

 このほかテスト環境は表2のとおり。GTX 480のテストに用いる「GeForce Driver 197.17 Beta」は,NVIDIAから全世界のレビュワーへ配布されたものだが,これはGeForce GTX 400シリーズ専用だったので,GeForce 200シリーズのテストには「GeForce Driver 197.13 Beta」(※テスト開始時の表記。3月27日時点では正式版へ昇格済み)を用いた。なお,HD 5970とHD 5870については,「ATI Catalyst 10.3」正式版がリリース済みだが,テストスケジュールの都合で,今回は「ATI Catalyst 10.3 Preview」を用いている。
 ATI Catalyst 10.3については,NVIDIAがGTX 480のレビュワーズガイド内で異議を唱えているが(※),異議の対象となるタイトルを扱わないので,(よりパフォーマンスの最適化が進んでいる3月版ドライバを用いても)公正さは保たれると判断した次第だ。

※原文は「AMD has admitted that performance optimizations in their driver alters image quality in the above applications. The specific change involves demoting FP16 render targets to R11G11B10 render targets which are half the size and less accurate. The image quality change is subtle, but it alters the workload for benchmarking purposes. The correct way to benchmark these applications is to disable Catalyst AI in AMD's control panel.」。影響は,「Dawn of War 2」「The Elder Scrolls IV: Oblivion」「Empire: Total War」「Need for Speed: Shift」「Serious Sam II」「Far Cry」で生じるとされている。



 テスト方法は,4Gamerのベンチマークレギュレーション9.0準拠。ただし,時間的な都合と,「このグラフィックスカードでは,低解像度だと,負荷が低すぎて性能差が表れにくい」という判断から,テスト解像度は基本的に,1920×1200/2560×1600ドットの二つに絞った。GTX 480とGTX 285のSLI,HD 5870のCFX動作だと,解像度を高くしただけではまだ負荷が低すぎる事態を迎える可能性があるため,4xアンチエイリアシングと16x異方性フィルタリングを適用した「高負荷設定」のテストのみを行うことにしている。
 また,同じ理由で,アンチエイリアシングを公式にサポートしていない「ラスト レムナント」を省略。代わりに,DirectX 11環境での性能評価を深めるため,Direct3D 11をサポートした「S.T.A.L.K.E.R.: Call of Pripyat」(以下,STALKER CoP)の公式ベンチマークソフトを採用する。


“史上最速のDX11用シングルGPU”なGTX 480

DX 9〜10世代ではスコアが伸び切らないことも


 いつものように前置きが長くなってしまったが,いつものように,DirectX 9世代の3Dベンチマークソフトである「3DMark06」(Build 1.2.0)の総合スコアから見ていこう。グラフ1,2 がその結果だが,標準設定,高負荷設定とも,GTX 480のスコアはGTX 295とほぼ同じ。GTX 285からは20〜44%と,大きくスコアを伸ばしているが,一方でHD 5870比では最大でも8%程度の違いしかない。
 高負荷設定のマルチGPU構成をチェックしてみると,シングルGPUと比べてのスコアの上昇率は2560×1600ドットで37%。ただしこれは,HD 5870 CFXの同53%に届いておらず,総合スコアでも(ほぼ同じレベルとはいえ)一歩低い数字になった。


 続いて,3DMark06のデフォルト設定である解像度1280×1024ドットの標準設定で,「Feature Test」の結果をいくつかチェックしていく。
 まずグラフ3は,「Fill Rate」(フィルレート)だが,ご覧のとおり,GTX 480は,「Multi-Texturing」でGTX 285にも置いて行かれるなど,まったく振るわない。NVIDIAは,「GTX 285よりもテクスチャユニット数は減ったが,従来,コアクロックで動作していたテクスチャユニットが,GF100コアではSM側へ移動して動作クロックが引き上げられたため,テクスチャユニットのピーク性能は変わっていない」と主張しているが(関連記事),テスト条件によっては,そうでもない可能性がある。


 続いて,グラフ4,5は,「Pixel Shader」(ピクセルシェーダ)と「Vertex Shader」(頂点シェーダ)のテスト結果。GTX 480では,「PolyMorph Engine」を搭載することで,頂点処理性能が飛躍的に高められているが,事実,頂点シェーダのテスト結果はそれを反映したものになっているといっていい。ただし,「シングルカード」として見ると,HD 5970にはずいぶんと置いて行かれているのも確か。
 また,ピクセルシェーダ性能は,GTX 285からほとんど変わっていないようにも見える。


 Shader Model 3世代における汎用演算性能を見る「Shader Particles」(シェーダパーティクル)や,長いシェーダプログラムの実行性能を見る「Perlin Noise」(パーリンノイズ)では,ATI Radeon製が総じて良好な結果を示した(グラフ6,7)。GTX 480も,前世代のデュアルGPUソリューションと同等のスコアを出しており,その点では大いに評価できるが,誉め称えるには,いかんせんHD 5970とHD 5870のスコアが良好すぎる。


STALKER CoPの公式ベンチマークでは,「Day」(日中)「Night」(夜間)「Rain」(雨)「SunShafts」(日差し),以上四つの環境でテストが実施される。シークエンスはいわゆるFlybyで,その間のフレームレートが計測される仕掛けである。4環境で用いられるマップは同じものだが,気象環境が変わればGPUにかかる負荷も変化するため,異なるスコアを取得するようになっている。Dayは,マップのオブジェクトをすべて視認できる,基準となるテスト。SunShaftsは,それに強い日差しを加え,日光の反射や影といった負荷を与えるものだ
GeForce GTX 400
GeForce GTX 400
 では,実際のゲームではということで,まずはDirectX 11世代のFPS,STALKER CoPから。同タイトルでは,公式ベンチマークソフト,「S.T.A.L.K.E.R.: Call of Pripyat Benchmark」を用いて,「DX11 Ultra」「DX10 High」の2モードでそれぞれテストを行う。
 本ベンチマークソフトでは,最も描画負荷の低い「Day」から,描画負荷の高い「SunShafts」まで,四つのパートに分かれてスコアが示されるが,今回,グラフはDayとSunShaftsのみ示し,残りは表でスコアを列挙することにした。

 というわけでグラフ8〜11表3,4は,DirectX 11モードで実行したDayおよびSunShaftsのテスト結果だ。DirectX 10世代のGPUだとテストを実行できないので,バーの数は少なくなっているが,描画負荷が高くなるDayの高負荷設定とSunShaftsの標準&高負荷設定で,GTX 480のスコアは高めに推移する。とくにSunShaftsでは,HD 5870より16〜24%,高負荷設定では31〜55%も高く,さらに高負荷設定の2560×1600ドットでHD 5970を逆転している点はインパクトが大きい。高負荷設定時におけるSLI動作のスコアが,HD 5870 CFXを圧倒するのも目を引くところだ。
 全体として,テッセレーションやポストプロセスの処理性能,そして何より,384bitメモリインタフェースの恩恵が大きいように感じられる。

※表3&4における数値は平均フレームレート(fps)

 だが,DirectX 10モードでは状況が一変する(グラフ12〜15)。GTX 480は,Day,SunShaftsともスコアが伸びきらず,GTX 295を下回るケースどころか,SunShaftsの標準設定ではHD 5870比72〜78%程度のスコアしか示せていないのだ。
 表5,6に示した結果はDayのスコアに似た傾向であるうえ,GTX 285比では25〜66%高いスコアを示しているので,問題ないと見るべきなのかもしれないが,DirectX 10タイトルを前にしたときのパフォーマンスに不安が残るのは確かである。

※表5&6における数値は平均フレームレート(fps)

 ここからはレギュレーション9.0準拠のタイトルになる。
 グラフ16,17は,DirectX 10世代のタイトルとなる「Crysis Warhead」だが,先ほどと同じDirectX 10モードでも,こちらだとGTX 480のスコアは良好だ。1920×1200ドットの高負荷設定で,シングルGPU仕様のグラフィックスカードとしては唯一30fpsを超えている点や,。GTX 480 SLIが,高負荷設定の2560×1600ドットで40fps近いスコアを出している点はポイントが高い。
 なお,HD 5870 CFXとHD 5970が高負荷設定の2560×1600ドットでスコアを大きく落としているのは,HD 5970のレビュー時にも見られたもの。Crysis Warheadに向けたAMD側のマルチGPU動作最適化は,まだ十全とはいえないようである。


 続いてはDirectX 9世代のFPS,「Left 4 Dead 2」。テスト結果はグラフ18,19にまとめたが,Crysis Warheadからは一転,GTX 480のスコアは芳しくない。標準設定ではGTX 295やHD 5870に歯が立たず,高負荷設定でHD 5870にようやっと届くというレベルである。
 なお,GTX 480 SLIのスコアはHD 5870 CFXと同じ水準。その意味で,GTX 480 SLIとHD 5870 CFXのマルチGPU動作効率は同等,とはいえよう。


 同じくDirectX 9世代のFPS,「Call of Duty 4: Modern Warfare」(以下,Call of Duty 4)だと,GTX 480のスコアはHD 5870とほぼ同等(グラフ20,21)。マルチGPUの動作効率もほぼ互角だ。テクスチャユニット性能がスコアを左右するタイトルだけに,シングルカード仕様の製品同士で比較した場合の軍配は,GTX 480ではなく,デュアルGPUソリューションであるHD 5970やGTX 295のほうに上がる。


 DirectX 10世代のTPS,「バイオハザード5」だと,CPUボトルネックが出てしまい,スコアは120fps前後で頭打ちになる(グラフ22,23)。ただそれでも,高負荷設定で比較したとき,GTX 480がGTX 285より39〜41%,HD 5870より8〜14%高いスコアを示しているのは確認可能だ。
 解像度で見ると,1920×1200ドット設定時のほうが,HD 5870&GTX 285に対するGTX 480の優位性は顕著で,2560×1600ドット設定時は差が縮まる。


 パフォーマンス検証の最後に,レースタイトル「Colin McRae: DiRT 2」(以下,DiRT 2)のスコアをまとめたのがグラフ24,25である。3月23日に掲載した「ATI Radeon HD 5830」のレビュー記事において,レギュレーション9.0準拠のテストを行ったところ,DirectX 9モードで不可解なスコアが得られたため,今回はDirectX 11モードのみのスコアを示すことにしている。
 STALKER CoPのテスト結果を考察した段で,DirectX 11モードにおけるGTX 480の優位性について言及したが,DiRT 2のDirectX 11モードでも,GTX 480のスコアはなかなか良好だ。標準設定,高負荷設定とも,1920×1200ドットで20%以上のスコア差を示している。
 バイオハザード5と同様,2560×1600ドットになるとその差は小さくなり,10%前後にまで接近するが,一方,マルチGPU動作時のスコアは,GTX 480 SLIがHD 5870 CFXを突き放す点も指摘しておきたい。



1枚でデュアルGPUソリューション並み

驚くほど“大メシ喰らい”なGTX 480


電源部はおそらく6層
GeForce GTX 400
GeForce GTX 400
 前述したとおり,GTX 480の公称最大消費電力は250W。GTX 295からは39W下がったことになるが,あちらはデュアルGPUソリューション。シングルGPU仕様のグラフィックスカードとして,歴代最も高い公称値だけに,どれだけのものなのかは気になるところだ。TSMCの40nmプロセス技術を採用して製造されるという意味で,ATI Radeon HD 5000シリーズと同条件でもあるため,競合製品との違いも,興味の対象だろう。

 そこで今回も,ログを取得できるワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の消費電力を計測することにした。
 テストに当たっては,OSの起動後,30分間放置した時点を,「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,各タイトルごとの実行時としている。

 その結果はグラフ26にまとめたとおり。GTX 480 SLIのバーが突き抜けた格好になっていることからも容易に想像できるように,GTX 480の消費電力は高い。3Dゲームアプリケーション実行時におけるシステム全体の消費電力は,タイトルにもよるが403〜463W。GTX 295と同等以上であり,HD 5970よりは間違いなく高い水準だ。スコアはHD 5870やGTX 285より,むしろHD 5870 CFXのほうにより近いというのも,なかなか趣深い。
 ただ,アイドル時は148Wで,GTX 285とほぼ同程度。HD 5870ほどの省電力性は期待できないものの,3Dゲームを実行していないときも消費電力が高いという心配は,少なくともシングルカードで利用する限りは杞憂に終わりそうだ。

※DiRT 2で一部スコアがN/Aなのは,実施したテストがDirectX 11モードのみという理由によります

 さて,序盤でGTX 480のGPUクーラーは,動作音がうるさいと指摘した。それだけうるさいなら,冷却能力には期待したいところだが,十分な冷却は行われているのか。3DMark06の30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,室温20℃の環境においたバラック状態に対し,GPU-ZからGPU温度の取得を試みた結果がグラフ27である。
 GPUクーラーが異なるため,横並びの比較はできないが,ほぼどの製品も,アイドル時が40〜50℃,高負荷時が80℃前後に収まっている。それだけに,GTX 480が高負荷時に90℃を超えてくるのはなかなか印象的だ。さらにGTX 480 SLIは,NVIDIAの推奨よりも広くスロット間のスペースを取っているにもかかわらず,アイドル時に60℃前後の値を示してしまっている。


 GTX 480の利用に当たっては,PCケース内のエアフローを相当に考慮する必要が生じるはずだ。しかし,これだけうるさいGPUクーラーを搭載して90℃オーバーとは……。


よくも悪くもDirectX 11特化型GPU

DX11性能は期待できるが,相当に人を選ぶ


GeForce GTX 400
 以上のテスト結果を踏まえるに,GTX 480は,高い描画負荷のDirectX 11環境でこそ真価を発揮するGPUだと結論づけられそうだ。STALKER CoPやDiRT 2のDirectX 11モードでは,HD 5970に迫るシーンが多く,おおむね良好といえるフレームレートを示す。ただし,DirectX 9&10世代のゲームタイトルを前にすると,3DMark06のFeature Test結果で裏付けられる,ラディカルなアーキテクチャ刷新が,さまざまな格好で得手不得手を生み,スコアが伸び悩むケースもしばしば見られた。

 もちろん,総合的に見ればHD 5870のスコアは上回る傾向にあるため,「シングルGPU仕様のグラフィックスカードとして世界最速の座を奪還した」とは述べても差し支えない。新アーキテクチャの出始めということもであり,今後,ドライバの最適化が進んでいけば,パフォーマンスの上積みも見込めるだろう。しかし,現実として今ここにHD 5970が存在するため,“シングルGPU世界最速”のインパクトは,どうしても弱くなってしまいがちだ。
 NVIDIAによる搭載グラフィックスカードの想定売価は499ドルで,HD 5970よりも安価という魅力はあるものの,消費電力と発熱,そしてなんといってもGPUクーラーの動作音と課題は多く,少なくとも,扱いやすいGPUではないという事実を払拭できるほど,強烈な価格設定というわけでもない。

 そのためGTX 480は,「DirectX 11世代の新しいゲームタイトルにおける性能のみにフォーカスしつつ,シングルGPU仕様にこだわる人や,安定したマルチGPU性能を欲している人のうち,温度や騒音が気にならない場合」にオススメできるGPUということになる。ただ,果たしてこの条件に合致する人がどれだけいるのかを考えるに,GTX 480は,厳しい立ち位置にあると言わざるを得まい。

 GTX 480も,一定数のニーズは満たすはずだ。ただ,GeForce 400シリーズが広く受け入れられるためには,より消費電力と発熱,動作音を下げた,「GeForce FX 5800 Ultra」に対する「GeForce FX 5900」的な存在,そして,GeForce 9600&9800シリーズの後継が早急に必要だろう。
  • 関連タイトル:

    GeForce GTX 400

  • この記事のURL:
line
4Gamer.net最新情報
トピックス
スペシャルコンテンツ
注目記事ランキング
集計:05月26日〜05月27日