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【西川善司】「お出かけ多画面」のススメ。出張用ディスプレイを新調してみた
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印刷2014/02/01 00:00

連載

【西川善司】「お出かけ多画面」のススメ。出張用ディスプレイを新調してみた

西川善司 / グラフィックス技術と大画面と赤い車を愛するジャーナリスト

画像集#018のサムネイル/【西川善司】「お出かけ多画面」のススメ。出張用ディスプレイを新調してみた

(善)後不覚

blog:http://www.z-z-z.jp/blog/


自宅でも多画面なら出張先でも多画面は当然のこと


西川善司の仕事場,2013年仕様。多画面マニアの面目躍如といった構成だが,普段からこうだと,出張時にも多画面が欲しくなってしまう
画像集#002のサムネイル/【西川善司】「お出かけ多画面」のススメ。出張用ディスプレイを新調してみた
 仕事柄,海外出張が多いのですが,その出張で一番大変なのは,現地で記事を書くことです。
 出張先のカンファレンスやコンベンションを取材した後,ホテルに戻って記事を書くわけですが,プレスリリースや写真,関連ウェブサイトなどを見ながらの作業になるので,持参したノートPCの1画面だけではデスクトップが狭すぎて作業効率が上がりません。

 振り返ってみると,1990年代に使っていたノートPCの画面は,せいぜい解像度1024×768ドット程度でした。それが今では解像度1920×1080ドットで当たり前という世界になっているのだから,問題ないじゃないかと思うかもしれませんが,やっぱりノートPCの1画面は,ボクからすると,狭くてイライラさせられるのです。
 複数のウインドウを複数同時に開きっぱなしという使い方に問題があるのかもしれませんけど,こればっかりは自分のPCの使い方なので,なかなか変えられないですね。

 たまりかねたボクは,2010年から,出張用のトランクに液晶ディスプレイを詰め込んで,出張先へと持っていくようになりました。ボクが多画面マニアであることは,この連載で何度か報告しているので知っている人も多いでしょうけど(関連記事),実は出張先でも多画面マニアなのでした。

こちらは,2014年1月上旬に開かれた,「2014 International CES」取材で出張中のホテルで撮影した一コマ。ノートPCの右にあるのが,今回のお題である出張多画面用のディスプレイだ
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出張多画面遍歴

〜LG E2250VRからシャープLL-S201Aへ


 さて,いくら出張多画面マニアとはいえ,トランクにあまり重い物を詰め込んでいくこともできません。
 そこで,高解像度と軽量を両立した液晶ディスプレイを模索したところ,2010年当時はLG Electronics(以下,LG)の「E50」シリーズが最有望だったので,22インチサイズの「E2250VR-SN」(以下,E2250VR)を選択しました。

 E2250VRは,スタンドの台座部分を取り外すとフォトフレームのように設置できるというデザインが特徴でした。つまり,スタンド無しでも運用できるので,携行時にかさばらないのです。解像度は1920×1080ドットで,重量はスタンド無し状態で2.9kg。2.9kgというと,ハイスペックノートPC約1台分の重さといったところでしょうか。ちなみに,ボクが選択したE2250VRは,超解像機能搭載する製品でしたが,超解像機能を削除して価格を抑えた「E2250V-PN」という製品もありました。

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2010年発売のE2250VR-SN(左)。右写真のようにスタンドの台座を取り外して,机に直置きできるデザインが特徴だった

右側にあるのがE2250VR。素晴らしい相棒だった
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 このE2250VRは2010年から4年間,ほぼすべての海外出張に携行しましたが,酷使しすぎたせいか,ときどき画面右側に,マゼンタの直線が縦方向で表示されることが起きるようになってしまいました。度重なる運搬で「ねじり」ダメージが蓄積されたんでしょうか,上部を「ガン!」と叩くと直ります。ただ,まぁ「そろそろ寿命も間近」といったところでしょう。

 E2250VRは,性能と重量のバランスが良かったので,同じモデルをもう一度買っても良かったのですが,さすがに4年前のモデルということもあってとっくに生産終了してしまいました(流通在庫が残っているようで,探せば購入できなくもないですが)。また,LGはスタンドなしで自立するE50シリーズのデザインをすでに止めてしまっていて,現行製品はごく普通の,スタンド付き液晶ディスプレイ製品ばかりになってしまいました。

新たな相棒となったLL-S201A
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 「弱ったなぁ……」と思っていたある日,偶然にも「E50シリーズの再来か?」とも言うべき製品に出会いました。
 それがシャープの「LL-S201A」(関連リンク)という製品です。20インチサイズで,解像度は1920×1080ドット。本体サイズは,463.8(W)×274.8(D)×25.2(H)mm。額縁は上下左右わずか15mmしかなく,いわゆる狭額縁デザインになっています。画面サイズはE2250VRの22インチより小さいですが,十分な大きさですし,解像度も変わらず。しかも重量はスタンド込みで2.3kgと,E2250VRよりも軽いのです。

組み立て前のスタンドパーツ。プラスチック製なので軽い
画像集#009のサムネイル/【西川善司】「お出かけ多画面」のススメ。出張用ディスプレイを新調してみた
 しかもこのスタンド,いわゆる「ディスプレイのスタンド」とは仕様がかなり異なり,タブレット端末用スタンドのように,ディスプレイ本体を立てかけるような感じで設置する仕組みになっています。そのため,安定感確保のための錘(おもり)がなく,軽量。しかも,組み立て式のため,3つのプラスチック製パーツを組み合わせるだけで簡単に組み上げられるうえに,ばらせばフラットな形状になるため,旅行鞄に詰め込んでもかさばりません。

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LL-S201Aのスタンドは,タブレット端末用のスタンドに似ている(右)。これに20インチサイズのディスプレイを立てかけて使う(右)

 なお,このLL-S201Aは,業務用ディスプレイ製品なのですが,Amazon.co.jpなどの通販サイトから普通に購入できます。本稿執筆時点の実勢価格は4万8000円前後でした。

「LL-S201A」をAmazon.co.jpで購入する(Amazonアソシエイト)



LL-S201Aはタッチ操作やペン操作にも対応


LL-S201Aに付属するスタイラス
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 5万円弱というのは,画面サイズからするとやや割高な感じがしますが,実はこのLL-S201A,Windows 8.1対応の10点マルチタッチ操作に対応しています。静電容量式タッチパネルを採用し,しかも,本体に内蔵されている,ペン先2mmのスタイラスを使ったペン入力も可能なので,個人的には,機能相応の価格設定かなという気はしますね。
 タッチ操作に対応している事もあって,画面部分と額縁に段差のない,フルフラットなデザインになっています。大きなタブレット端末のようなイメージです。

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LL-S201Aの前面。画面とベゼルに段差のないシームレスなベゼルデザインを採用。ちなみに表示面は光沢コーティング仕様だ
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背面と右側面。厚さは25.2mmと,タブレットほど薄いデザインではないが,トランクに忍ばせるには十分な薄さである

 接続端子はHDMI入力,DiaplyPort入力がともに1系統ずつ。HDMI端子はMHL(Mobile High-definition Link)にも対応しています。ちなみにMHLとは,USB端子に映像出力の機能を持たせたもので,MHL対応のスマートフォンであれば,USB−HDMIのMHLケーブル経由でLL-S201Aと接続して,映像出力とスマートフォンへの給電を同時に行えます。

付属のACアダプターは,15インチ程度のノートPCに付属するものと似たようなサイズだった
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 また,音楽を本格的に楽しむのには向かないかもしれませんが,PCのサウンドを再生程度するには必要十分な,1W+1Wのステレオスピーカーも内蔵されています。この内蔵スピーカーは,HDMI伝送されてきたサウンドを鳴らすためのもので,アナログサウンド入力端子はありません。
 このほかに,タッチ操作の情報をPC側に伝送するためのUSB Micro-B端子も備えています。

 なお,LL-S201Aの電源は,付属のACアダプターで給電する方式です。ACアダプターは100〜240Vにまで対応可能で,海外出張でも安心の仕様でした。


液晶パネルはAQUOSと同じで実は高画質


 さて,LL-S201Aは液晶パネルに,シャープ製のUV2A(Ultraviolet induced multi-domain Vertical Alignment)パネルを使用しています。
 コントラスト値は公称「3000:1」。「ン万:1」を謳う最近の液晶テレビに比べれば地味な値ですが,これはLL-S201Aがビジネスユース用ディスプレイであり,映像の平均輝度に応じてバックライト輝度を変調する「ダイナミックコントラスト」機能などは搭載していないためでしょう。
 逆に言えば,3000:1は液晶パネルのネイティブコントラスト値ということであり,十分なスペックだともいえます。

 もっとも,いわゆるVA液晶パネルに分類されるもので,黒の締まりがよく発色もナチュラルです。UV2Aパネルは,シャープの液晶テレビ「AQUOS」シリーズに採用されるものと同じ液晶パネルだったりしますから,高画質なのは当たり前といえば当たり前なんですけどね。ただし,最大輝度は250cd/m2で,同400cd/2程度もあるテレビとはさすがに異なります。

 もともと多画面環境用ディスプレイとして「+1画面」的な用途で選んだLL-S201Aですが,画質自体がいいので,単にWeb画面や資料を表示するだけではなく,取材写真のレタッチやプレビュー用途に使うほうが今では多くなっています。この高画質ぶりは,良い意味の誤算となりました。

こちらは,先日ドバイに出張したときのホテルにて。左側にあるのがLL-S201Aだ
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この写真ではペン先が宙に浮いているように見えるが,実は表示面にペン先をビタっとくっつけている。描かれる線はペン先から少し離れた下側に見える,というイメージ
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 さて,ボクの使用目的においては「図らずも付いてきたタッチ機能」ですが,指先でWindowsをタブレット的に操作するには必要十分な精度があります。
 しかも,ペン入力時には,画面上に手(※小指の付け根)を置いた状態でも入力できる「パームキャンセル」機能を利用できるため,紙に書くような使い方で入力可能です。しかし,ペン先と表示画面が目測で約2.5mmほど離れているので,ペン先直下から線が描かれるようなペンタブレット的な操作感とはやや違いますね。

ペンを使い,フリーハンドでLL-S201Aに絵を描いてみた。描けなくもないが結構大変だ。手書き文字によるメモ書きくらいならばいいが,ペンタブレット的に活用するには慣れが必要かも
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 そのため,LL-S201Aのペン入力でゼロからイラストを描いたり,CGデザインをフルにやるのはちょっと慣れが必要そうです。ペン入力が描画に反映されるまでのレスポンスは良好なので,手書きメモやIMEの手書き文字認識,フォトレタッチソフトにおける自由線による領域選択くらいの用途ならば,十分に使えます。
 ボクは,あくまで出張多画面用としてLL-S201Aを導入したので,タッチ操作は時々使っているものの,結局ペン入力は使っていないという状況です。


かつては笑われた出張多画面も,

今ではIT系ライター・編集者のスタンダード(?)


 昔は同業者からも,「よく,ディスプレイなんかトランクに詰めて持ってくるね」と奇異な目で見られた出張多画面ですが,最近では同じことをする同業者も増えつつあります。同業者たちが利用しているのは,USB接続のモバイルディスプレイ,あるいはサブディスプレイと呼ばれるような小型の製品が多いようです。たしかに,USB給電で動作して重量も約1kgほどですから,LL-S201A以上に軽くて手軽です。

 この分野では,解像度1600×900ドットのLenovo製「ThinkVision LT1423p」や,解像度1366×768ドットのグリーンハウス製「GH-YSD16K」など,さまざまな製品が登場しつつあります。しかし,特殊なUSBグラフィックスドライバソフトをインストールする必要があることに,ボクは抵抗を感じています。

 それに最近のノートPCならば,CPUに内蔵される統合型グラフィックス機能を使う製品でも,外部映像出力としてHDMI出力端子やDisplayPort出力端子が付いていますから,あえて汎用インタフェースであるUSB端子を使うのはもったいないというのも,USB接続ディスプレイを選択しない理由です。
 まあ,どちらを選択するかはユーザーの好みでしょう。というわけで,みなさんも,出張多画面を始めてみませんか。

■■西川善司■■
テクニカルジャーナリスト。年明け早々からCES 2014取材でラスベガスに赴き,日本に帰国後は,席を温める暇もなくアラブ首長国連邦のドバイへ出張と,1か月の半分近くを砂漠の都市ですごすことになった西川氏。ところが,ラスベガス滞在中に風邪を引いたうえに,直す余裕もないままの連続出張によりドバイにて悪化と,なかなかつらい1か月だったようです。「砂漠とは相性が悪いんですかね?」とも言ってましたが,ええと,なんて言うんでしょう。加齢による体力の衰え?
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