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  • 発表日:2009/01/08
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印刷2009/04/23 13:01

レビュー

AM3世代初のハイエンドモデルを,新型ツールともども検証する

Phenom II X4 955 Black Edition/3.2GHz

Text by 宮崎真一

»  AM3時代の開幕から約2か月。Socket AM3マザーボードの最適化などを終え,満を持して登場する初のハイエンドクアッドコアCPUを宮崎真一氏がチェックする。「Phenom II X4 940 Black Edition」から動作クロックが200MHz引き上げられたシリーズ最上位モデルは,2009年4月下旬にあって,どう位置づけられるべき製品だろうか。


Phenom II X4 955 Black Edition。OPNは「HDZ955FBK4DGI」だった。トランジスタ数は7億5800万で,ダイサイズは258平方mm。GLOBALFOUNDRIESの「Fab 1」で製造されたものと公表されている
Phenom II
 日本時間2009年4月23日13:01,AMDは,Phenom IIシリーズ最上位にして,AM3パッケージのCPUとしては初のハイエンド市場向け製品となる「Phenom II X4 955 Black Edition/3.2GHz」(以下,X4 955),そしてその下位モデル「Phenom II X4 945/3.0GHz」(以下,X4 945)を発表した。X4 955はメーカー想定売価2万8800円前後で,24日発売予定。一方のX4 945は,PCメーカー向けに,1000個ロット時単価が225ドルと示されているが,今のところ,国内で店頭販売の予定はないという。

 4Gamerでは,明日から店頭に並ぶ予定とされるX4 955の評価用サンプルを,同社の日本法人である日本AMDより入手できたので,さっそく,その実力と可能性を明らかにしてみたい。


AM3世代初のハイエンドモデル

Socket AM2マザーでは対応BIOSが必須


X4 955は938ピンのAM3パッケージを採用する
Phenom II
 X4 955のトピックは大きく分けて二つある。一つは,1月に発表された「Phenom II X4 940 Black Edition/3.0GHz」(以下,X4 940)の動作クロックを200MHz更新する,シリーズ最高クロックの製品であること。もう一つは,2月に登場したAM3プラットフォーム初のハイエンドCPUであることだ。

 確認がてら,少し情報を整理してみるが,DDR3&DDR2メモリコントローラを内蔵し,HyperTransportリンクのスペック引き上げを実現したAM3世代のクアッドコアCPUが発表されたのは2月9日のこと(関連記事)。ただ,このとき登場したのは「Phenom II X4 810/2.6GHz」のみで,「Phenom IIの最上位モデル」は,この時点で依然としてX4 940,つまりAM2+世代だったのである。SocketAM2マザーボードを利用している人が,将来的なAM3プラットフォームへの移行も考えながらCPUを選ぼうとしたとき,選ぶべき選択肢にハイエンドがなかったという,おかしな状況は,X4 955の登場によってようやく解消するわけだ。

 X4 955(とX4 945)の主なスペックは表1に示したとおり。「Black Edition」であることから想像できるとおり,X4 955は,CPU動作倍率固定が解除された,いわゆるロックフリーのCPUである。また,先ほど述べたとおり,DDR2だけでなくDDR3メモリをサポートしていたり,AM2+世代のX4 940と比べると,HyperTransportリンクのスペックが片方向1.8GT/sから2GT/sへと引き上げられていたりもするが,キャッシュメモリ構成やTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)の値など,基本的な仕様は,X4 940から変わっていないのも分かる。

※X4 955は日本AMDによる想定売価で,X4 945は1000個ロット時単価。X4 940およびCore i7-920は2009年4月23日現在の実勢価格(※4Gamer調べ)

DKA790GX Platinum
「DrMOS」採用のAMD 790GXマザー
メーカー:MSI
問い合わせ先:エムエスアイコンピュータージャパン TEL:03-5817-3389
実勢価格:1万8000円前後(2009年4月23日現在)
Phenom II
 もちろん,AM3パッケージのCPUが持つ大きな特徴である,AM2+プラットフォームとの互換性は,X4 810と同じく確保。AM2+パッケージのCPUをサポートしたSocket AM2マザーボードで,TDP 125W版CPUに対応する製品なら,X4 955を動作させられる可能性は高い。
 ただ,正常動作には対応BIOSが必須のようで,現に,今回用意したMSI製のSocket AM2マザーボード,「DKA790GX Platinum」の場合,原稿執筆時点である4月22日付けで公開されている最新BIOS「V1.6」では,X4 955の動作クロックが1.6GHzに固定されてしまった。今回はMSIから,X4 955対応バージョンとなる「V1.7β4」を入手して事なきを得ているが,マザーボードベンダー側の動き次第では,AM2+環境で正常に動作させられるようになるまで時間がかかるかもしれないので,この点は押さえておきたいところだ。

 ちなみに,X4 940のAM3対応版という位置づけになるX4 945の国内店頭販売予定は今のところないこともあって,X4 940は今後も(少なくとも当面は)販売されるようである。


AMD OverDriveが3.0へバージョンアップ

機能がさらに充実も,完成度を語るには時期尚早


 AMD独自のオーバークロックユーティリティとなる「AMD OverDrive」(以下,AOD)は,X4 955のリリースに合わせる形で,バージョンが3.0へと引き上げられた。
 AOD 3.0で注目したいのは,「Black Edition Memory Profiles」(以下,B.E.M.P.)と「Smart Profiles」,二つの新要素だ。

AOD 3.0のメインメニュー。AOD 3.0では,今回取り上げる2機能以外に,CPUクーラーやケースファンの回転数制御機能も用意されていたりするが,これはマザーボード側の独自機能,あるいはフリーソフトウェアによって実現済みであり,新味のある機能ではないため,紹介は割愛する
Phenom II

●B.E.M.P.


B.E.M.P.のメニュー。[Check]ボタンを押すと,対応モジュールの情報に従ってオーバークロック動作が設定される。このとき,CPU側ノースブリッジ部の動作クロックと電圧も,2200MHz,1.2Vから2400MHz,1.3Vへと自動的に引き上げられる(※サムネイルをクリックすると別ウインドウで全体を表示します)
Phenom II
 これは早い話が,メモリの自動オーバークロック機能だ。AOD 3.0のB.E.M.P.メニューからチェックをかけると,AMDが用意しているサーバーと照合が行われ,そのモジュールに適したオーバークロックプロファイルが用意されていれば,それが自動で適用されるというものである。
 日本AMDから入手したX4 955には,ASUSTeK Computer(以下,ASUS)製のマザーボード「M4A79T Deluxe」と,Corsair Memory製のDDR3-1600モジュール「CM3X2G1600C9DHX」(※容量2GB)2枚とがセットになっていた。この組合わせで,とくに何も設定せずPCを起動すると,CM3X2G1600C9DHXはDDR3-1066で動作するのだが,この状態で,全世界のレビュワーに配布された「AOD301_0276 Beta」版AOD 3.0からB.E.M.P.を利用すると,確かにDDR3-1600動作へと切り替わる。

CM3X2G1600C9DHXをデュアルチャネルアクセスできるよう2枚差しした状態でB.E.M.P.を実行すると,エラーダイアログが表示される
Phenom II
 しかし,CM3X2G1600C9DHXに対応したプロファイルは現時点でUngangedモードしかサポートされておらず,Gangedモード(=デュアルチャネルアクセス)では利用できない。メモリ構成がデュアルチャネルアクセス用になっていると,ご丁寧にも「差すメモリスロットを変更せよ」とエラーダイアログが出るほどだ。
 付け加えると,B.E.M.P.はDDR3メモリ専用であり,AM2+プラットフォームでは,グレーアウトして利用できなかった。最低でも,Gangedモードで使えるようになってくれないと,ゲーム用途でメリットを見つけるのは難しそうである。

X4 955を差したAM2+プラットフォーム上でAOD 3.0を実行したところ。[Check]ボタンがグレーアウトし,押せなくなっている(※サムネイルをクリックすると別ウインドウで全体を表示します)
Phenom II

●Smart Profiles


 Black EditionのCPUを対象にした,ユニークな自動オーバークロック機能が,このSmart Profilesだ。
 簡単にいうと,これは「利用するアプリケーションに合わせて個別に設定しておいたプロファイルに従って,CPU各コアの動作倍率を変更することで,パフォーマンスの最適化を図る」というもの。例えば,2スレッド処理に最適化されたアプリケーションがあった場合,CPUコア0と1の動作倍率をX4 955の規定よりも2段階引き上げた18倍(実クロック3.6GHz)に,残る2コアを省電力機能「Cool’n’Quiet」適用時の最低倍率となる4倍(※実クロック800MHz)にそれぞれ設定する,といったことが可能だ。こう設定しておくと,当該アプリケーションが実行されたとき,2コアだけがオーバークロック動作するため,得られるパフォーマンスが向上するという仕掛けである。

Smart Profilesから,2コアの動作倍率を2段階(2bin)引き上げ,残る2コアを最低倍率まで落としたところ。「MAX+2」「MIN」という文字が読み取れると思う。ちなみにこのSmart Profiles,AOD 3.0が予告された1月時点で,「Smart Control」と呼ばれていた機能という理解で間違いないだろう
Phenom II

 設定できる動作倍率は,それこそ10段階など,結構アグレッシブに引き上げられるのだが,実際には,TDPの総量を超えない範囲で動作するようで,その意味ではIntelの「Turbo Boost」テクノロジとよく似ている。一方,全自動のTurbo Boostほどインテリジェントではないが,逆に,ユーザー側でプロファイルをカスタマイズできるというメリットもあるわけで,Turbo Boostとは似て非なる,マニア向けの機能であるといえそうだ。

レビュワー向けのAOD 3.0ドキュメントに含まれていた,正式リリース時にプリセットされるプロファイル一覧
Phenom II
 また,AOD301_0276 Beta版ビルドには間に合っていないものの,正式リリース時には,右に示したタイトル用のプロファイルがあらかじめ用意されるという。一覧には定番のマルチプレイFPSやヒット作など,ゲームのタイトル名が多く並んでいるが,一方で「3DMark06」や「PCMark05」といったベンチマークアプリケーション用のプロファイルが用意されているのも興味深い。

 ところで,先ほどB.E.M.P.はAM3プラットフォーム専用と指摘したが,今回のβ版ビルドでチェックする限り,Smart ProfilesはAM2+プラットフォームでも利用できる見込みである。
 「見込み」としたのは,そもそも今回のビルドだと,AM3プラットフォームでも,プロファイルが正常に動作せず,実際の挙動を確認できなかったためだ。このあたりは,AOD 3.0の正式リリースを待って,あらためて検証してみたいと思う。


DDR2とDDR3の両環境でテストを実施

比較対象はX4 940とCore i7-920


日本AMDによる評価キットに含まれていた,ASUS製の「AMD 790FX」チップセット搭載マザーボードM4A79T Deluxe(上)と,Corsair Memory製のPC3-12800メモリモジュール4GBキット(2GB×2),CM3X2G1600C9DHX(下)
Phenom II
Phenom II
 テスト環境は表2のとおり。従来のPhenom II最上位モデルとなるX4 940,そして,3万円前後という価格帯で競合する「Core i7-920/2.66GHz」(以下,i7-920)と比較することになるが,機材調達の都合上,後者は,「Core i7-965 Extreme Edition/3.20GHz」(以下,i7-965)の倍率変更で“i7-920相当”としていることをお断りしておきたい。Hyper-Threadingテクノロジは有効化しているが,今回テストに利用した「Eclipse SLI」は,倍率設定を変更するとTurbo Boostを有効化できなくなるため,スコアは,実際のi7-920より若干低めに――2008年11月3日のレビュー記事におけるデータを参照する限り,確実に下がるが,劇的ではない――出るものと思われる。

 主役となるX4 955は,DDR3,DDR2の両環境でテストを行う。これは,プラットフォームを揃えることで,X4 940との違いをはっきりさせるためと,DDR3&DDR2の違いをチェックするためだ。なので以下,ベンチマーク考察の段落では,本文,グラフとも,Socket AM3マザーボードに差した状態をX4 955[DDR3],Socket AM2マザーボードに差した状態をX4 955[DDR2]と書いて区別する。
 スケジュールの都合により,DKA790GX PlatinumのBIOSバージョンが,X4 955[DDR2]のテスト時に1.7β4,X4 940のテスト時に1.6となる点はご理解いただきたい。


 いずれもメモリ設定は,ゲームにおいてよりメリットの大きいGangedモードで固定。テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション6.0準拠となるが,GPU負荷が高く,CPUの性能差が見えづらくなる「高負荷設定」は省略し,「標準設定」のみを実施する。


X4 940から順当にスコアが向上

得手不得手はあるが,総合的にはi7-920以上か


 さて,グラフ1は,「3DMark06 Build 1.1.0」(以下,3DMark06)の総合スコアをまとめたものだ。X4 955は,プラットフォームの違いにかかわらず,X4 940から順当なスコアの向上を示していると述べていい。X4 955[DDR3]およびX4 955[DDR2]とi7-920では,前者のほうが若干高い数字だが,Turbo Boostの存在も加味すると,ここは「完全に互角」とするのが正しそうである。
 枯れたプラットフォームとそうでないプラットフォームで,互角のスコアに持ち込んでいると評価するか,よりバス帯域幅の大きなメモリモジュールを搭載しながらパフォーマンスメリットがないと評価するかは意見の分かれるところだろうが,傾向自体は,AM3プラットフォームのリリース直後と変わっていない印象を受ける。


 その一方,3DMark06のCPU Scoreを見てみると,i7-920が一歩抜け,X4 955[DDR2],X4 955[DDR3]が続くといった具合に,順位が変動(グラフ2)。i7-920は,論理8コアの面目躍如といったところだが,X4 955[DDR3]とX4 940[DDR2]で,後者が優位気味に展開しているあたりからは,メモリのレイテンシが効いている可能性も指摘できよう。


 グラフ3は「Crysis Warhead」のテスト結果だ。Crysis Warheadは,標準設定でもグラフィックス描画負荷が高いため,CPUの性能差は表れにくい。今回試したどのCPUを使っても,ゲームの体感速度に違いは生じないと断じていいレベルだが,スコアはX4 955[DDR3]とX4 940でわずかに異なっており,パフォーマンス自体は上がっているのが分かる。


 続いては,グラフィックス描画負荷が比較的低く,L2キャッシュ周りを中心としたキャッシュとメモリ性能がスコアを左右しやすい「Call of Duty 4: Modern Warfare」(以下,Call of Duty 4)のスコアだが,グラフ4を見ると,Phenom IIシリーズの強さが光る。ただ,X4 955[DDR3]&X4 955[DDR2]とX4 940の間に違いはまったくなく,むしろX4 955[DDR3]は,3DMark06のCPU Scoreと同じく,DDR3メモリの持つ,レイテンシの高さによる影響が見て取れる。


 圧倒的に描画負荷が低いタイトルである「デビル メイ クライ4」のテスト結果をまとめたのがグラフ5だ。総じて,パフォーマンスの差は大きくない(※1024×768ドットでは最大20fps強の違いが出ているが,300fps超級では誤差として扱ってかまわない程度のものである)。


 面白いスコアになったのが,グラフ6に示した「Company of Heroes」で,低解像度でスコアが目に見えて高いX4 955[DDR3]が,高解像度になると大きくスコアを落とし,1920×1200ドットではX4 955[DDR2]に逆転を許している。基本的に,Company of Heroesは3DMark06と似たような傾向を示すので,なぜこのような結果になったのか,はっきりとした理由を述べることはできないが,低解像度ではメモリバス帯域幅が効き,高負荷になるにつれてメモリのレイテンシが効くようになっている可能性はありそうだ。


 一方,マルチスレッド処理に最適化されており,論理8コア動作のCore i7が持ち味を発揮しやすい「Race Driver: GRID」(以下,GRID)では,GPUボトルネックの発生しづらい低解像度で,i7-920がPhenom IIの2製品に大きな差を付けている。X4 955[DDR3]とX4 955[DDR2]は,X4 940に対して動作クロック分,順当なスコアの向上を見せているのだが,マルチスレッド処理に最適化されたアプリケーションだと,Core i7とPhenom IIの差は,まだまだ埋まっていない。



クロック向上に伴って

消費電力も(順当に)増大


 TDPはいずれも125WのX4 955とX4 940だが,実際の消費電力にはどのような違いが生じているだろうか。今回も,レギュレーションに従いつつ,ログを取得できるワットチェッカー,「Watts up? PRO」を用いたシステム全体の消費電力測定を試みることにした。
 ここでは,OS起動後30分間放置した時点を「アイドル時」,システムに100%の負荷をかけて全体の安定性をチェックするソフト「Prime95」を用い,全コアの使用率を100%にした状態で30分実行し続け,最も高い消費電力値を示した時点を「高負荷時」とする。また前者については,CPUが持つ省電力機能「Cool’n’Quiet」あるいは「Enhanced Intel SpeedStep Technology」を有効化・無効化した状態のそれぞれで測定を行う。

 その結果をまとめたのがグラフ8だ。同一のマザーボード上で動作するX4 955[DDR2]とX4 940で比較すると分かりやすいが,高負荷時の消費電力は,X4 955[DDR2]のほうが20W弱高い。125Wという枠内に収まっているとはいえ,やはり動作クロック上昇分の消費電力増大は確実に存在するようだ。
 それにしても,X4 955[DDR3]とX4 955[DDR2]の消費電力差が解せない。高負荷時,アイドル時を問わず一定の差がついているので,マザーボードの違いがこの結果を生んでいるとしか思えないが,マザーボード側の省電力機能「EPU」を有効化しない状態のM4A79T Deluxeは,それだけ電力食いということなのか,あるいは,DKA790GX Platinumで採用される「DrMOS」の効果がそれだけ大きいということなのだろうか。

 i7-920は,そもそもi7-965からの倍率変更で,しかもマザーボードも異なるため,参考程度にしかならない。とはいえ,DrMOSを採用したMSI製マザーボードを使っていることも加味するに,X4 955搭載システムのほうが,i7-920搭載システムよりは消費電力が高めとはいえそうである。


 最後に,アイドル時と高負荷時のCPU温度をチェックしてみよう。
 Phenom II X4は,前述のAOD 3.0から,i7-920は「HWMonitor Pro」(Version 1.02)から,それぞれ4コアの平均温度をスコアにすることにした。テスト環境の室温は22℃で,PCケースには組み込んでいない。CPUクーラーは,Phenom IIシリーズが評価キットに含まれていたもの,i7-920はi7-965の製品ボックスに付属のものを利用している。

 その結果ををまとめたのがグラフ9で,ここで目に付くのは,「アイドル時に室温以下」というX4 940の異常な値。現行ビルドのAOD 3.0は,X4 940の温度測定に当たって,Tjmaxの違いによる数値の補正を織り込んでいない可能性が高い。というわけで,クーラーの異なるCPU同士でしか比較できなくなってしまったため,今回の結果は参考程度としてほしい。


評価キットに付属していたCPUクーラー。2本のヒートパイプを備える以外,ごくごく普通のSocket AM3/AM2対応製品といった佇まいだが,とにかくうるさい
Phenom II
 ところで,「それにしてもX4 955の温度が低い」と思ったかもしれないが,これは,評価機に付属していたクーラーの“賜物”だろう。というのも,このクーラーはなかなか曲者で,ASUS製マザーボード独自のファン回転数制御機能「Q-Fan」から,最も静かに運用する設定を選択してもなお,アイドル時のファン回転数は3300rpmほど。さらに,高負荷時の回転数は5000rpmを余裕で超えており,その騒音はかなりのものだからである。
 MSI製マザーボードに装着しても,アイドル時3400rpm前後,高負荷時4400rpm前後と,うるさいことには変わりなし。AMDから明確なアナウンスがないので何ともいえないが,リテールボックスにこのクーラーが付属しないことを切に望みたい。


AM2+環境のアップグレードパスとしては大いにアリ

一方,AM3環境へ移行させるだけの魅力には欠ける


 総じてX4 955は,3万円で購入できるCPUとして十二分のコストパフォーマンスを備えていると述べてよさそうだ。体感できるかどうかはさておき,ベンチマークスコアも多くの局面でi7-920と同等かそれ以上であり,ゲームプレイを前提とすれば,「おおむねi7-920を上回る性能」と評価して差し支えない。

 また,トータルの移行コストという観点でも,X4 955の魅力は大きい。i7-920へ移行する場合,プラットフォームを丸ごと買い換えなければならないが,X4 955は,対応BIOSさえ提供されれば,AM2+プラットフォームでそのまま利用できるからだ。AM3を見越してX4 940の購入を見送った,Socket AM2マザーボードのユーザーにとって,X4 955は格好のアップグレードパスとなるだろう。

 その一方,鳴り物入りで登場するはずのAOD 3.0は,まだ使い勝手をどうこう言えるレベルに達していない。Smart Profilesは,うまく動作してくれさえすれば,ゲーム用途でもかなり使えそうだが,いかんせん現時点では評価を下しようがない,というのが正直なところである。また,AM3プラットフォームのメリットが,未だ明確な形で示されていないのも気になるところ。これらの“宿題”にAMDがどう取り組むか,注意して見守っていく必要がありそうだ。
  • 関連タイトル:

    Phenom II

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