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消費者のプロファイル情報を集めるためのRPG「チアフルタウン・オンライン」
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印刷2007/10/09 23:48

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消費者のプロファイル情報を集めるためのRPG「チアフルタウン・オンライン」

画像集#007のサムネイル/消費者のプロファイル情報を集めるためのRPG「チアフルタウン・オンライン」
 blogや個人サイトからの情報抽出と,その結果のマーケティングへの応用などを事業内容とする会社ブログウォッチャーが,消費者情報の収集/需要把握を目的としたWebブラウザゲーム「チアフルタウン・オンライン」の開発を予定している。Opera 9.10とFlash 7上で動作し,PCおよびWiiでプレイ可能になるという。

 プレイの中身は一種のシングルRPGだ。舞台となるのは小さな町「チアフルタウン」。プレイヤーキャラクターとNPCのインタラクションで様相を変えていくのが特徴とされている。あるときその一角が住民ごと消えてしまった。その謎を解き明かす,あるいはどうにかするのが,プレイヤーに課された使命となる。

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 ゲーム内の飲食店での食事,ゲーム内での映像視聴といった,プレイヤーキャラクターの町での振る舞いや,プレイ中に示される質問への回答などは,すべてユーザープロファイルとして記録されており,それが町の発展に影響する。blogでレビューを書いたお店や,訪れた観光地をゲームに登録していくことで,新たなショップがオープンしたり,散策可能なエリアが広がったりといった具合だ。また,クエストをこなすことで帽子やドレス,新しい髪型といった,プレイヤーキャラクターの見た目を変化させる装備アイテムも獲得可能となっている。

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 「チアフルタウン・オンライン」におけるキャラクターの成長は,ミッションをこなすことで上がる「ミッション・ランク」で表され,これが上がっていくにつれて,行ける場所やできることが増えていく。そうして行けるようになったクーポン・ショップでは,現実の買い物で利用できるクーポンが(ゲーム内通貨と引き換えに)入手できる。これはPCのプリンタから印刷したり,メールを介して携帯電話に転送したりすることで利用可能だ。
 またクエストで,現実にある場所の調査を命じられる,NPCに問われて,お菓子作りの得意な人(実在の知人)を推薦するといった,オフラインとの連携も考えられているようだ。
 このゲームには連携するSNSサービスの設置も予定されており,前述のような現実世界との接点ではさまざまに利用される。ただし,そうした連携が行われるのは,2009年度以降となりそうだ。

 実証実験(βテスト)は2008年2月下旬から3月初旬に,2週間程度の期間と数十人程度のモニターで行われる。2009年度以降には携帯型ゲームへの対応や,マルチプレイゲーム化も構想されているという。

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 さて,ゲームとプレイを中心に概要を語ってきたが,このゲームはあくまでマーケティングツールである。プレイヤーの選択結果や発言,動画の視聴履歴といった情報は,どのように集約/活用されるのだろうか。ゲームの背後にあって,そのほかの情報とともにプレイヤー情報が集約されるのは,「プロファイルパスポート」(PP)という仕組みだ。ここに集まった情報が必要に応じて分析され,個々の分野に分かれた「パスポート」というサービスを通じて,提案型営業に利用される。
 その仕組みは,ブログウォッチャーがすでに手がけている「SHOOTI」(衆知)というblog解析マーケティングツールの延長線上にあるものと考えてよいだろう。

 そしてその提案型営業の一案として構想されているのが「WEBオカン」だ。これは,ユーザー/プレイヤーのプロファイル分析から生活スタイルを推定し,それをユーザー/プレイヤーの母親に連絡して,有益な差し入れ物件を推薦するという,かなり突っ込んだプロファイル活用モデルである。

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 ちなみにブログウォッチャーは,リクルートが資本の99%を拠出し,自然言語処理を専攻分野とする東京工業大学助教授 奥村 学氏とのタッグで設立された会社。そして,「チアフルタウン・オンライン」の母胎ともいうべきプロファイルパスポート事業は,経済産業省の「情報大航海プロジェクト モデルサービスの開発と検証」の受託によって成立した。

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 ここまで述べてきたとおり,さまざまな可能性が喧伝される「チアフルタウン・オンライン」だが,消費の現場そのものでなく,ゲームを通して消費性向やマーケティング情報を手に入れるという迂回作戦は,果たして有望なのだろうか? ゲームもまた,プレイヤーの時間と手間を費やさせる消費の一つであることを考えたとき,そうした疑問が浮上せざるをえない。無料でプレイできるゲームのすべてが好評を博しているわけではないし,ゲームという形の実証実験が成功するとすれば,それはそのゲームのプレイが面白かったときに限られるのではないだろうか。
 そしてそのことが,第二の疑問を提起する。ゲームがプレイアブルなものとして回ったとき,プレイヤーの行動はゲーム内の価値基準に大きく規定される。あるクーポンが人気を博したとして,それが入手過程の楽しさゆえだったりしたのでは,プロファイル収集にならない。いやもちろん,販促手段としては別かもしれないが。

 現在しばしば話題となるゲーム内広告などと比べて,一足飛びにラディカルな構想がユニークな「チアフルタウン・オンライン」。占い/性格診断といった対話型のコンテンツや,トライ&エラーを繰り返す過程でプレイヤーの個性を抽出するような,別のゲームも考えられているそうだが,現存するゲームがビジネス的成功を目指す中で,必ずしも現実社会の消費生活のごとき多様性を志向してきたわけではない。したがって,マーケティングに使える場面は必ずしも豊富ではない。
 そこで上述のような,ゲームの理屈とゲーム外の理屈が織りなす二律背反の関係を,どのような手段で克服しようと考えているのか,実に気になる存在ではある。
  • 関連タイトル:

    Game0.1a wyrd(旧題 チアフルタウン・オンライン)

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