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「チアフルタウン・オンライン」改め「Game0.1a wyrd」のテストが本日からスタート
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印刷2008/03/11 23:45

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「チアフルタウン・オンライン」改め「Game0.1a wyrd」のテストが本日からスタート

画像集#025のサムネイル/「チアフルタウン・オンライン」改め「Game0.1a wyrd」のテストが本日からスタート
ブログウォッチャーの代表取締役社長の羽野仁彦氏
 クチコミ――かっこよく言うと,バイラルマーケティングですかね――を活用したメディアである「SHOOTI」(シューティ)の運営/広告を行うブログウォッチャーは,3月11日に記者発表会を行い,同社の新しいサービスである「プロファイルパスポート」の実証実験,いわゆるβテストのようなものを本日からスタートすると発表した。プロファイルパスポートを実現するサービスとしてSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「Shooti Town」(以下,シューティタウン)と,WiiとPCで動作するゲーム「Game0.1a wyrd」(以下,ウィルド)が用意されている。
 このウィルド,以前は「チアフルタウン・オンライン」という名称で「こちら」に記事を掲載したが,今回名称変更が行われた。プロファイルパスポートについても既報のとおりだが,あらためて簡単に説明しよう。これは「消費者一人一人が発信するCGM情報と行動履歴を関連づけて蓄積し,行動ターゲッティング型の情報提供サービスに活用していく」というものであり,ちっとも簡単じゃありませんでした。

画像集#001のサムネイル/「チアフルタウン・オンライン」改め「Game0.1a wyrd」のテストが本日からスタート 画像集#002のサムネイル/「チアフルタウン・オンライン」改め「Game0.1a wyrd」のテストが本日からスタート

 紹介に当たったブログウォッチャーの代表取締役社長,羽野仁彦氏によると,我々がブログやレビュー,SNSなどを通して情報を「明示的に」発信しているのは誰でも知っているが,それ以外にも,例えばSuicaの移動履歴,携帯電話で撮った写真,カード使用履歴などを通して「暗黙的に」も情報を出しているとのこと。そうした情報はあちこちに散在しており,従来はまとめられることがなかった。
画像集#010のサムネイル/「チアフルタウン・オンライン」改め「Game0.1a wyrd」のテストが本日からスタート
 羽野氏が聞き取り調査を行ったある通販業者によれば,一人の消費者が何を買ったのかという購入履歴は持っているものの,では次に何を買うのかについてはまったく分からないという。しかし,その消費者が自分のブログに旅行をテーマにした文章を多く書いており,またブラウザの履歴から旅行検索,それもヨーロッパ周辺の検索をよく行っているというようなことが分かれば,海外旅行用のグッズをレコメンド(おすすめ)できるはず,というのがプロファイルパスポートの理屈である。さまざまな企業が参加すれば,海外旅行グッズだけでなく,例えば保険とか,ホテルの予約とか,そういった情報が利用者の元に配信されることにもなる。
 顧客に単純に「これいいでしょう」と情報を一方的に提供するのではなく,個人の行動履歴をデータベース化することで,よりフィット感のある情報配信が可能になるわけだ。

 なんだかゲームがちっとも出てこないが,もうしばらくの辛抱だ。実証モデルサービスでは,利用者の情報をさまざまな形で取得することになる。具体的にはまず「インターネット上の行動履歴」。これには,カレンダーに予定を記入する,レビューで「あのイタリアンレストランは旨かった」などと書き込む,自分のブログに写真をアップする,そしてこういう動画を見ている,などがある。
 リアルな行動履歴も重要だ。移動履歴や現在位置の情報がなければ,北海道の人に沖縄のレストランを推奨してしまうようなトンマなことが起きてしまうので重要である。これはGPS付きの携帯電話や,PCの場合だったら無線LANのアクセスポイントなどを解析することで求められる。クレジットカードの使用履歴やSuicaの移動履歴などは,カード会社やJRの協力が必要になるので,とりあえず実証実験では使われないようだ。実際の運用が始まって,各種の企業が参画してからということになるだろう。

ウィルドのスクリーンショット
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 そして最後がゲームである。上記の情報収集手段はどうしても間接的なものになるため,直接利用者の意見を聞く手段としてゲームが採用されたのである。
 名前は変わったものの,ゲームの内容自体に大きな変化はない。ウィルドはシングルのRPGとして作られており,「陽炎街」と呼ばれる架空の街に暮らすアバターを操って,日々の暮らしを楽しむのである。例えば行動履歴を登録するとアイテムが手に入り,それで自分のキャラクターを着飾らせることができる。また,レストランのレビューを書けば,そのレストランが空き地に忽然と出現するという具合で,このようにして自分自身および自分の街を次第にリッチなものにしていくのが目的といえば目的だ。イベントをクリアすることで,現実に使える(しかも本人の嗜好に合った)クーポンがもらえたりするのだ。
 個人のデータは,ゲーム内の会話などによって収集される。街を歩いていると,突然NPCから質問を受けるし,イベント/ストーリーを進めるための会話の中にもさりげなくアンケートが混ざっている。占いや性格診断のコーナーではもっとストレートに,各種の質問に答えることになるだろう。こうして得られたデータが蓄積され,個人の「嗜好モデル」が形成されていくのだ。
 キャラクターにはレベル概念もあり,ミッションをこなしたり敵と戦ったりすることでアップしていく。かなり意表を突いた職業の人物が敵として登場するらしいが,ゲームの内容についてはまだ開発中の要素も多いようだ。

ウィルドのスクリーンショット(続き)
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 対応機種はPCとWiiが予定されている。とはいえ基本的にFlashで制作されたブラウザゲームであるため,他機種への対応も容易なはずだ。
 発表会ではWii版のブラウザである「インターネットチャンネル」版のウィルドが使用されていたが,ウィルドからSNSであるシューティタウンへの切り替えはシームレスで,このシューティタウンにレビューや日記を書き込むことでアイテムが登場したり,街が成長したりする。シューティタウンには,友達機能やカレンダー,移動履歴を保存する機能などが用意されている。

 今後についてだが,今回の実証実験に続いて2008年12月に試験運用を開始し,2009年4月からβ版の運用を始める予定になっている。事業を本格的に開始するのは2010年の4月からで,当初の目標会員数は200万人,事業規模は2012年までに25億円を見込んでいる。

 プロファイルパスポートの試みは,ブログやSNSなどの普及によって爆発的に増加した情報量と,それらの情報を連携する技術がないこと,そして制度的な課題(例えば,UCC=ユーザー・クリエイテッド・コンテンツに見られる著作権問題)などや技術者の海外流出といった問題への取り組みとして進めているものだと羽野氏は語る。
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 以前もお伝えしたように,これは経済産業省による「情報大航海プロジェクト」の一つでもあり,「新しい技術を開発する」ことにより「新しい情報サービス」を生み出して産業基盤を作ることが目的だ。産学協同のこうした試みは各所で注目されており,サービスを支える基幹技術である「日本語の解析」(ブログのカジュアルな文章を解析するのは一苦労)や「マルチデバイスによる位置情報測定技術」「動画視聴履歴を用いたソーシャルタギング技術」といった数々のテクノロジが開発の途上にある。情報のさらなるパーソナル化は時代の趨勢だ。

画像集#003のサムネイル/「チアフルタウン・オンライン」改め「Game0.1a wyrd」のテストが本日からスタート
 とはいえごく普通のPCゲーマーとして,「なんというか,ゲームがもうちょっとかも」といった疑問を感じたもの事実。ゲームを使ったのはあくまでモチベーションを高めるためであり,普通のアンケートにしてもよかったのだが,2月に行われたウィルドのクローズドβテストの結果,達成感や緊張感といった点でゲームを使うのはよいことだ,という利用者の反応があったとのこと。ならば,もう少し工夫してほしかった気がするのは仕方ないところ。例えば消費者の行動様式に沿ったデータ収集の方法,例えばお店でこれを買ったとか,仮想世界ではこんなレストランを好んでいるとかいったゲームならではの方法が使われているとさらに面白かっただろう。もっともこれについても,ゲーム専業メーカーの協力が得られることで変わっていくかもしれない。
 ある日,王様が勇者に言う。「ドラゴンを退治して王国に平和をもたらすのだ」。はい分かりましたと答える勇者に向かい王様は続ける。「ところでおまえ,スター○ックスとタ○ーズとどっちが好きかね?」。うーん,どうなんだろう(笑)。

「プロファイルパスポート」公式サイト

  • 関連タイトル:

    Game0.1a wyrd(旧題 チアフルタウン・オンライン)

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