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Access Accepted第578回:Atariに続け! 1980年代を彩ったゲーム機「インテレビジョン」が復活
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印刷2018/06/04 12:00

業界動向

Access Accepted第578回:Atariに続け! 1980年代を彩ったゲーム機「インテレビジョン」が復活


 1980年代初頭,日本ではバンダイからリリースされた世界初の16ビット家庭用ゲーム機が「インテレビジョン」だ。ツービートがビートたけしさんがCMに出演していたが,1年ほどで日本の市場からは消えてしまった。しかしアメリカでは,モデルを変えながら1990年まで10年も販売が続けられていた。今週は,そんな「インテレビジョン」を紹介してみよう。


インテレビジョンという,(日本では)知られざる名機


 1979年,玩具メーカーのマテルによって北米でテスト販売がスタートした16ビットの家庭用ゲーム機「インテレビジョン」。1980年に全米,そして1983年までに日本を含む世界各国で展開し,3年間で300万台の販売実績を記録した。「インテレビジョン」がデビューした頃,ゲーム市場の頂点にあったのはAtariの「Atari 2600」「Atari VCS」とも呼ばれる。VCSは「Video Computer System」の略)で,「インテレビジョン」の開発は,その「Atari 2600」がデビューした1977年に始まった。
 ちなみに「インテレビジョン」とは,インテリジェンスとテレビジョンを組み合わせた造語で,英語の発音では“インテリビジョン”に近いが,この記事では,日本で発売された当時の表記を使っている。

1980年に299ドルで正式発売された「インテレビジョン」
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 「インテレビジョン」のグラフィックスは160×96ドット16色で,スプライトを最大8枚表示できるという当時のPC並みの性能を誇っていた。これは「Atari 2600」を大きく上回り,さらに,家庭用ゲーム機としては初めてケーブルテレビの回線を使ってゲームのがダウンロードができる機能まで装備していた。ボタンとダイヤルの付いた,まるで電話機のような奇妙なコントローラも特徴的だった。

 メーカーのマテルは,広告に辛口スポーツコメンテーターとして知られたジョージ・プリンプトン(George Plimpton)氏を登用し,「Atari 2600」の類似したゲームと「インテレビジョン」を比べるというストレートな比較広告を打って話題になった。このことは,「コンシューマーゲーム機戦争の初めてのケース」として知られている。

ジョージ・プリンプトン氏が登場した当時の広告。Atari 2600に比べて高性能なグラフィックスや,独特な形状のコントローラに,“ガイドシート”を差し込むという使い方が分かる
Access Accepted第578回:Atariに続け! 1980年代を彩ったゲーム機「インテレビジョン」が復活

 1981年には日本のバンダイ(当時)が販売を開始し,テレビコマーシャルでツービートのビートたけしさんを起用したことで注目を集めた。しかし,1985年のプラザ合意以前の超円安時代だったこともあり,販売価格は4万9800円と非常に高額で,売り上げは低迷した。バンダイが,より安価なゲーム機に乗り換えたことで,日本では約1年の短命な存在に終わってしまう。

 2012年7月2日に掲載した本連載の第349回「Atariの歩んだ,栄光と苦難の歴史 」でも紹介したように,一方のアメリカでは1983年にゲーム機市場を襲った「Video Game Crash of 1983」(「アタリショック」と言われることが多い)にマテルも飲み込まれてしまう。1983年には新型というより簡易モデルに近い「Intellivision II」の販売を開始したものの,結果は芳しくなく,同社から独立したエンジニア達が設立したIntellivision Inc.(後にINTV Corp.へ社名変更)に製造販売権を売り渡すことになった。
 INTV Corp.は,「インテレビジョン」をモデルチェンジした「INTV System III」を1984年に発売。以降,1991年に同社が倒産する直前まで,メールオーダーを中心にさまざまなモデルの販売が続けられてきたという。


新生Intellivision Entertainmentを彩る古参開発者達


 以上のような歴史を持つ「インテレビジョン」だが,その伝統を受け継ぐべく,現在,最新モデルの開発が進められている。行っているのは2018年5月29日にカリフォルニア州アーバインで設立された,Intellivision Entertainmentで,同社は「簡単で,安価に,家族と楽しく」をモットーに,新たな「インテレビジョン」を幅広いマーケットに展開していくとしている。製品の正式アナウンスは10月1日に行われる予定で,ゲーム音楽業界の大御所であるトミー・タラリコ(Tommy Tallarico)氏を新社長に迎え,ゲーム業界に参入しようとしている。

 今のところ,どのようなゲーム機を作るつもりなのかは分からないが,「簡単で,安価に,家族と楽しく」というモットーには,これまでに何度も登場しては消えていったAndroidゲーム機のようなチープさが感じられる。ライバルになりそうな「Atari VCS」(関連記事)を少なくとも性能面で超えてこそ,真の伝統継承と言えるが,こればかりは,約4か月後の発表を待つしかない。

Intellivision Entertainmentの社長に就任したトミー・タラリコ氏。音楽分野での活躍が目覚ましいが,実はエアロスミスのボーカル,スティーヴン・タイラーさんの従弟だという
 Intellivision Entertainmentの社長に迎えられたタラリコ氏は,ゲーム音楽に詳しい人なら,その可愛らしい響きの名前に聞き覚えがあるかもしれない。ゲーム音楽とオーケストラを組み合わせたライブイベントとして,日本で開催されたこともある「Video Games Live」の発起人の1人であり,現在も代表として運営を切り盛りしている人物だ。

 タラリコ氏は,大学卒業後にギターショップでバイトしていたとき,PCエンジン(アメリカでは「TurboGrafx-16」という名前で発売された)のTシャツを着ていたことで,その頃ゲーム市場への参入を考えていたVirgin Interactiveの幹部の目にとまり,同社初のゲームテスターとして雇われることになった。それをきっかけに,「Cool Spot」「The 7th Guest」など,Virgin Interactiveタイトルの作曲に携わり,5年後に独立。「Madden NFL '95」「MDK」,さらに「Sonic and the Black Knight」「Metroid Prime」「Time Crisis」などのプロジェクトに参加して,いくつもの賞を受賞している。

 このように,作曲やライブの運営に能力を発揮してきたタラリコ氏だが,ゲームビジネスの,しかもハードウェアを販売する会社の,経営者としての手腕は未知数だ。そんなタラリコ氏の脇を固めるのは,マテル時代に「Space Spartans」(1982年)のプログラマーを務めたスティーブ・ロニー(Steve Roney)氏と,「B-17 Bomber」(1982年)のゲームデザイナーだったビル・フィッシャー(Bill Fisher)氏。ロニー氏が会長,フィッシャー氏が技術部門の社長という布陣だ。

 また,25作品以上の「インテレビジョン」向けタイトルのプログラムやデザイン,作曲にまで関わったデイヴィッド・ウォーホル(David Warhol)氏がデザイン部門のリーダーに就任し,INTV Corp.出身のエミリー・ライヒバッハ・ローゼンタール(Emily Reichbach Rosenthal)氏がライセンシングを統括する。さらに,INTV Corp.で契約社員として長くゲームデザインに協力してきた歴史家でもあるポール・ナーミネン(Paul Nurminen)氏が製品開発部門の副社長になるなど,古くから北米ゲーム産業で働いてきた古参の人々が,Intellivision Entertainmentに集結したという雰囲気だ。

Intellivision Entertainment公式サイト


 個人的には,開発中のゲーム機に,どこまで現代的な機能やビジネスモデルを盛り込めるかが気になる部分だ。繰り返すが,「簡単で,安価に,家族と楽しく」では頼りなさすぎて,「インテレビジョン」を購入するゲーマー層にはアピールしない印象を受ける。無数のゲームデバイスがひしめく現代のゲーム市場を前に,タラリコ氏らがどのような策略を練っているのか,続報を楽しみにしたい。

著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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