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Access Accepted第559回:2017年の欧米ゲーム業界を振り返る
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印刷2017/12/18 12:00

業界動向

Access Accepted第559回:2017年の欧米ゲーム業界を振り返る


 Steamでは,年末までに合計6000本もの新作がリリースされる見込みの2017年。VR市場が落ち着きを見せる一方,新たなコンシューマ機「Nintendo Switch」が発売されるなど,欧米ゲーム市場では今年もいろいろな出来事があった。というわけで今週は,2017年度のゲーム業界を振り返り,今後につながるトレンドを探ってみたい。


1年に6000本がリリースされる市場で,どのように自社タイトルを差別化するのか


 2017年も残り2週間ほどとなったが,読者の皆さんのこの1年はいかがだったろうか? 筆者の場合,昨年は非常に充実したゲームライフを満喫したと記憶しているが,今年は少々考えこんでしまう。もちろん,面白いゲームはたくさんリリースされ,「Nintendo Switch」という新ハードが出て,欧米ゲーム市場は例年にも増して豊かな印象を与えてくれていた。

 しかし,例えばE3 2017で発表されたSony Interactive Entertainmentの多数の新作は,ほとんどが2018年の発売予定で,個人的には不完全燃焼気味だ。Xbox One Xを発売したMicrosoftであれば,「Forza Motorsport 7」「Cuphead」のほかにあった,エクスクルーシブタイトルを思い出すのさえ難しい。
 発売されたゲームを概観すると,長く遊べる大手メーカーの大作と,Steamだけでも1年間に6000本を超える無数のインディーズタイトルに二極化しているようだ。

2017年6月に開催された「E3 2017」の会場,ロサンゼルスコンベンションセンター

 来年以降のトレンドとして注目したいのは,そんなインディーズゲーム界が変革期を迎えているという事実だろう。とてつもない数の新作ゲームがリリースされる状況で,広告・宣伝力の乏しいデベロッパの作品がゲーマーやメディアに届かないことも増えているのだ。
 対処法は2つ考えられ,その1つが専門の企業に頼ることだ。Take-Two Interactiveが発表した,インディーズゲーム開発者向けのレーベル「Private Division」もそうしたサポートを目的に設立されており(関連記事),規模の小さなデベロッパのマーケティングを引き受けるメーカーも出始めている。
 もう1つは,技術やデザインでゲーマーやメディアの目をひく独自性を押し出すことだ。Electronic Artsからリリースされる「A Way Out」や,E3 2017でアナウンスされた「The Last Night」,gamescom 2017に出展された「Where the Water Tastes Like Wine」「We. The Revolution」などがその好例で,いずれも注目せずにはいられない個性を持っている。欧米のインディーズゲーム業界は今後,以上のどちらかにシフトしていくことになるのだろう。

 以上のように,今年もさまざまな出来事が起きた2017年の欧米ゲーム業界。以下,いくつかのトピックに沿って1年を振り返り,2018年を考えてみたい。


(1) Nintendo Switchの登場


 新ハードの登場は,大なり小なりゲーム市場に影響を与えるものだが,2017年3月に発売された「Nintendo Switch」は,大きな旋風を巻き起こし,市場に活気を与えた。
 ここ数年の任天堂は,お世辞にも欧米で大きな注目を集めていたとは言い難く,PlayStation 4とXbox Oneの狭間にあって,存在感を失っていたことは否めない。
 ライバルコンシューマ機の高性能化・高解像度化とは方向性の異なる,いわば独自路線を行くNintendo Switchについては当初,不安視する向きもあったが,結果としては,そうした独自性を貫いたことが市場に評価される形となった。


 独自路線とはいえ,海外ゲームのウォッチャーを長く続けている筆者が唸ったのが,独立系ゲームタイトルへのアプローチだ。本連載の第557回「Nintendo Switchの成功と 『ニンディーズ』」で書いたとおりだが,ほかのプラットフォームに比べてインディーズタイトルへの取り組みが1世代遅れていた任天堂が,短期間のうちにゲーム開発者に「Nintendo eShopでリリースすることがトレンド」と思わせるまでになったのは,見事というほかない。
 発売初年である2017年は,年末商戦でとくに割引セールなどを行わなかったにもかかわらず,12月10日の時点で1000万台の販売を記録したという。


(2)カムバックしたシリーズ作品


 個人的に考えていることだが,シリーズ化された映画の多くが,続編が登場するたびに,より分かりやすく,そして多くの人々に受け入れられるよう,内容が「ゆるく」なっていく。かつては反核の象徴だったゴジラは子供の味方になり,「スター・ウォーズ」は銀河スケールのファミリーストーリーになった。
 一方で,常に技術が進歩し,同時にインタラクティブであるという特性を持つゲームの場合は,シリーズが進むことで,システムが複雑化していく傾向があるのではないだろうか。どちらの場合も,あまりにもそれが行き過ぎてしまうとファンを失うことになるため,クリエイター達は伝統と新たな挑戦とを秤にかけながら試行錯誤を繰り返す。

 欧米ゲーム市場におけるシリーズ作品の代表として,Activisionの「コール オブ デューティ」シリーズとUbisoft Entertainmentの「アサシンクリード」シリーズがある。毎年リリースされることが前提となっていたため,開発チームに大きなプレッシャーがかかっていたことは想像に難くない。
 そのためActivisionは3つの開発チームが順に新作を作るというシステムを採用し,一方のUbisoft Entertainmentは500人規模のスタッフをモントリオールに置き,さらに世界各地のスタジオが協力することで,24時間,世界のどこかで開発が進められているシステムを作り上げた。しかしいずれも,作品を重ねるにつれて,マンネリ化や技術の後れは明らかになっていたのだ。

Access Accepted第559回:2017年の欧米ゲーム業界を振り返る

 ファンの要望を聞いて第二次世界大戦に戻った「コール オブ デューティ ワールドウォーII」と,例年のリリースを1度取りやめて内容を練り直した「アサシンクリード オリジンズ」という2つの作品のリリースは,2017年のトピックとして特筆すべきだろう。いずれも,英断だった。
 さらに,後述の「ルートボックス問題」にあえぐ「Star Wars バトルフロント II」も,コンテンツの豊富さや世界観,プレイの楽しさなど,評価すべきところは多く,Warner Bros. Interactive Entertainmentの「シャドウ・オブ・ウォー」やBethesda Softworksの「Wolfenstein II: The New Colossus」もレベルが高いシリーズ最新作だ。2017年の欧米各社の看板タイトルが,総じて満足できる作品であったことは間違いない。


(3)VR対応のヘッドマウントディスプレイが価格低下


 2016年は「VR元年」などとも言わていれたが,今年を振り返ると,VR対応タイトルが「新しいメディア」として定着してはいない。VRを購入したくなるようなキラーアプリも残念ながら見つからず,VRに関わる人々にとってフラストレーションの溜まる状況に陥っていそうだ。

 もっとも,業界が将来に悲観しているかといえばそうでもないようで,カラーテレビの市場浸透の歴史と比較して,「2016年はVR市場にとって悪いものではなかった」と断言するのは,リサーチ会社SuperdataのVR/AR部門でVR市場のリサーチおよび戦略副社長を務めるステファニー・リャマス(Stephanie Llamas)氏だ(関連記事)。また,12月に開催されたPlayStation Experience 2017では,SIEワールドワイドスタジオの吉田修平氏が「これまで10年以上も切磋琢磨してきたのだから,誰が先頭に立とうと,喜ぶべきこと」と話しており,VRではプラットフォームの違いを超えた一体感があることを示している。VRに参入する企業が激減したり,投資が鈍ったりしたという話も聞こえてはこない。

 そんなVR市場で今年,特徴的なのは,SIEの「PlayStation VR」,HTCの「Vive」,そしてOculusの「Rift」すべてが販売価格を下げたことだろう。とくにRiftは,リリース当初に比べれば約半額に当たる399ドルというアグレッシブなプロモーションを行って,成果を挙げている。より手頃な価格帯に落ち着くことで,メインストリーム化が促進される可能性は高まった。

 かつては物珍しいだけだったコンテンツも,ゲームとして作り込まれる傾向が続いており,「Resident Evil 7: Biohazard」「The Elder Scrolls V: Skyrim VR」「Star Trek: Bridge Crew」,そして「Rock Band VR」など,人気の高いIPを使いつつ,VRとしてもしっかり楽しめる作品が増えてきた。「Farpoint」「Lone Echo」「Robo Recall」など,VRならではのIPも生まれており,こうした傾向が2018年も続くことで,さらに多くの支持が得らえるはずだ。

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(4)映像コンテンツの消費動向に変化あり


 アメリカの調査会社Super Data Researchの報告によれば,ゲーム関連のコンテンツを視聴する際,最も使われているのが,世界で5億1700万人の視聴者がいるというYouTube Gamingで,2位は1億8500万人のアカウント保有者数を持つTwitchとのこと(いずれも,2016年〜現在までの調査)。
 映画を中心にしたケーブルテレビ,HBOの視聴者数が1億3000万人,Netflixが9300万人で,有料か無料かの違いは大きいが,数字的にはそれらをしのぐ。音楽市場でシェアを誇るSpotifyでも1億人なので,e-Sportsトーナメントのライブストリーミングやゲームのプロモーション映像がどれだけ市場に受け入れられているのかが,なんとなく分かる。

 こうした流れは2017年も加速し,現在オンラインで9000万人の会員を誇るスポーツ情報誌のESPNが,e‐Sportsを中心にしたゲーム情報の配信を始めており,GameSpotやIGNといったゲーム専門メディアの閲覧者数を今年中に超えると予想されている。
 数字のうえでは,YouTubeとTwitchという両巨頭におよぶべくもないが,ESPNの取り組みは既存のゲームメディアが看過しがちだったe-Sports市場へのフォーカスが,いかに多くの潜在需要を持っていたかを如実に物語るもので,この傾向は2018年も続いていくだろう。

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(5)行き過ぎたマネタイズ「ルートボックス」


 年末の欧米ゲーム市場で最もホットな話題となったのが,「ルートボックス」問題だ。詳しくは本連載の556回「大きな議論になった『ルートボックス』」で詳しく紹介したとおりだが,もともとFree-to-Playタイトルのマネタイズの手段であった,ランダム性の高いアイテム販売が,定価を払って購入するパッケージタイトルに広がり,それに多くのゲーマーが反発しているというのが,分かりやすい構図だろう。

 渦中にあったのが「Star Wars バトルフロント II」だったが,Electronic Artsは早急に軌道修正を行い,さらに,こうした問題にきわめて保守的なオーストラリア政府の調査機関が,ルートボックスとギャンブルの直接的な関係を否定したことなどで,問題はある程度鎮静化してきた模様だ。

 「ルートボックス」は,大手パブリッシャの多くが進めている,「Games as a Service」(売りきりではなく,継続したサービスとしてのゲーム)の基本になると考えられていたビジネスモデルだっただけに,2018年の欧米ゲーム企業各社は方向転換を迫られることにもなるはず。
 いずれにせよ今回の件では,あまりにも利益を追求してゲーマー達を怒らせると,たとえ良質な作品であっても評価されないという事実は明白になったようだ。

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著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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