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印刷2011/03/28 15:29

業界動向

奥谷海人のAccess Accepted / 第298回:東北地方太平洋沖地震に対する,欧米ゲーム企業/メディア/ゲーマーの動き

奥谷海人のAccess Accepted

 日本を襲った災害は,筆者の住むアメリカを含めて世界中に報道され,被害の深刻さが伝えられている。これに対してさまざまなゲームメーカー/関連企業が支援を表明しているが,その動きは欧米でも同様だ。規模の大きさ,日本との関係の有無にかかわらず,さまざまな取り組みが始まっている欧米ゲーム業界の動きをレポートしたい。

第298回:東北地方太平洋沖地震に対する,欧米ゲーム企業/メディア/ゲーマーの動き

 

ダイコン,烏帽子からリストバンドまで
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チャリティのために急遽販売されることになった,「Team Fortress 2」のゲーム内アイテム。仕事のすばやさと,アイテムチョイスのマニアックさに日本へのシンパシーを感じる

 2011年3月11日に日本を襲った東北地方太平洋沖地震のニュースは,筆者が住むアメリカはもちろん世界中に報道され,被害の深刻さが伝えられている。
 4Gamerでは,今回の震災に対する支援を表明したゲーム関連メーカー各社の様子をお伝えしているが,アメリカやヨーロッパのゲームメーカー/団体も活動を開始している。大きな災害があるたび,さまざまな支援や募金の呼びかけが行われるのはこれまで何度も見られたが,今回はとくに欧米ゲーム業界の動きが活発な印象が強い。これは,「ゲーム」を通じて欧米の人々と日本の人々が深くつながっていることの現れなのかもしれない。

 アメリカのメーカーで,いち早く支援活動を開始したのが,Facebook向けゲームタイトルの大手,Zyngaだ。同社は,現地時間の3月12日には,人気ゲーム「Farmville」で生産アイテム「ダイコン」の販売を開始し,売り上げのすべてを寄付すると発表した。
 「Halo」シリーズで知られるBungieもそれに続き,「がんばれ日本! Japan Quake Relief Band」という文字が刻まれたリストバンドの販売を,同社のサイトBungie.netで開始している。送料以外の売り上げのすべてが,米国の赤十字社を通じて日本に送られる予定で,カスタマーレビューには,「5ドルを使う,最高の方法」「サンドイッチ1個の値段で,日本の復興に役立つ」といったメッセージが寄せられている。販売も順調のようで,数多くの欧米ゲーマーの腕に「がんばれ日本!」という文字が刻まれたリストバンドがまかれることになるだろう。

 また,「Bejeweled」シリーズや「Plants vs. Zombies」といったカジュアルゲームでおなじみのPopCap Gamesは,3月19日から2日間,すべてのiPod Touch向けゲームアプリを99セント,iPad向けゲームを1.99ドルで販売し,その売り上げを全額寄付した。さらに,オンライン販売サイトであるDirect2DriveParadox Plazaでは,3月18日から3月21日までに販売されたタイトル1本につき1ドルが義援金として寄付された。

 デジタル配信システム最大手「Steam」を運営するValveは,チーム対戦で人気の「Team Fortress 2」を利用したチャリティを展開中だ。ゲーム内で使用できるハチマキ,「Humanitarian's Hachimaki」を7.99ドル,烏帽子のような「Benefactor's Kanmuri」を19.99ドル,そして「Magnanimous Monarch」と名づけた冠を99.99ドルという価格で販売し,それらの売り上げをすべて米国赤十字社に送る予定だ。これらの和風アイテムは,4月6日までの期間限定販売になっている。

 

チャリティオークションや特別報道など,広がるゲーマーの輪
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「風雲たけし城」や「SASUKE」の放映など,ゲームだけでなく日本のサブカルチャーにも関心の高いG4tvが,欧米の著名なゲーム業界関係者を集めた特別番組「Gamers Heart Japan」を予定している。こうした活動は,規模の大小に関係なく心強いものだ

 震災から1週間も経たない3月16日,「Play for Japan」というチャリティキャンペーンサイトがオープンしたが,これは,アメリカのゲーム情報誌Game Informerのメーガン・マリー(Meagan Marie)氏や,イタリア人のフリーランスジャーナリスト,エリサ・ディ・フィオレ(Elisa Di Fiore)氏らの呼びかけに応じたSEGAが立ち上げた,「eBay」を使ったチャリティオークションだ。
 当初は,鈴木裕氏のサインが入ったセガサターン用「Virtua Fighter 2」や,ドリームキャストのロゴが付いたレアアイテムなど,懐かしいセガ製品のグッズがオークションにかけられていたが,やがて「Call of Duty」シリーズのInfinity Wardや,「Tomb Raider」シリーズの新作を開発中のCrystal Dynamics,さらにMicrosoftなども参加。数多くのジャーナリストも,業界著名人のサインが入った私物アイテムをオークション用に提供するようになった。

 関連メディアで動きを見せているのが,北米のゲーム専門のケーブルテレビチャンネル「G4tv」だ。G4tvは,業界の著名なクリエイターに呼びかけ,彼らが日本への思いを語る1時間の特別番組「Gamers Heart Japan」を,北米時間の4月3日に放送し,番組の中で視聴者に義援金の寄付を呼びかける予定だ。

 非常に豪華な出演者が予定されており,「Assassin's Creed」シリーズなどのプロデューサーで知られるUbisoft Trontoのジェイド・レイモンド(Jade Raymond)氏,BioWareのグレッグ・ゼスチャック(Greg Zeschuk)氏とレイ・ミュージカ(Ray Muzyka)氏,「BioShock」などのケン・レヴァイン(Ken Levine)氏,Epic Gamesのクリフ・ブレジンスキー(Cliff Bleszinski)氏,さらにはピーター・モリニュー(Peter Molyneux)氏やシド・マイヤー(Sid Meier)氏なども参加すると発表されている。同番組には,英語圏のゲーム情報サイト30社が協賛しており,現地時間の翌4月4日には,Gamers Heart Japanの公式サイトでインターネット版「Gamers Heart Japan」が無料公開される予定だ。

 2011年3月26日に掲載した記事「いま私達に出来ること。いま私達が思っていること」で,依頼に応じていち早く応援メッセージを送ってくれた,Bungieのエリック・オズボーン(Eric Osborne)氏のメールには,「メッセージのほかに,我々ができることがあれば,なんでも言ってください」という暖かい言葉が添えられていた。こうした気持ちを持った多くの人々による支援の輪は海外でも広がっており,ここには書ききれなかったさまざまな取り組みも始まっているのだ。被災地のいち早い復興を,筆者も心から望んでいる。

 

■■奥谷海人(ライター)■■
本誌海外特派員。サンフランシスコ在住の4Gamer海外特派員。ゲームジャーナリストとして長いキャリアを持ち,多様な視点から欧米ゲーム業界をウォッチし続けている。2004年に開始された本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,4Gamerで最も長く続く連載だ。
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