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印刷2010/12/20 16:42

業界動向

奥谷海人のAccess Accepted / 第288回:2010年の欧米ゲーム業界を概観する

奥谷海人のAccess Accepted

 2010年も残すところわずかとなった。1月に発売された「Mass Effect 2」から,年末の目玉「Call of Duty: Black Ops」「World of Warcraft: Cataclysm」まで,一年をとおして大作続きという印象のある2010年だったが,一方では欧米ゲーム業界のドラスティックな変化を感じるニュースも多かった。今週は,そんな2010年を軽く振り返ってみたい。

第288回:2010年の欧米ゲーム業界を概観する

 

コア向けゲームで長期的な展開を図るメーカー
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THQが制作発表した「inSane」。「2013年発売予定」という,かなり先走った感じのする発表だが,デル・トロ監督は来年から新作映画「ザ・ホビット」のメガホンを取ることになっており,ロケ地であるニュージーランドに短期移住する予定。そのため,デベロッパであるVolitionの本拠地であるシカゴやTHQのあるカリフォルニアと,ニュージーランドを行き来する,多忙な数年間になるだろう

 先週,北米のパブリッシャであるTHQが,新進気鋭の映画監督,ギレルモ・デル・トロ氏とのコラボレーションで,「inSane」というホラーアドベンチャーを開発するというニュースをお伝えした。そのときにも書いたように,inSaneが発売されるのは2013年の話。もし発売が2013年12月だったら,丸3年も先のことだ。
 最近のゲーム開発はますます規模が大きくなり,開発期間が3年,5年などといったことは当たり前になりつつある。一方で,「発表当初は話題になっても,発売までにあまり期間があると,途中で飽きられてしまう」などの理由から,1年半以上先のリリースが予定されるタイトルの発表は,敬遠される傾向にある。完成が予想外に遅れ,結果として発表から発売まで数年かかってしまったというケースはあるが,“2013年に予定されるタイトル”を発表するというのは最近では珍しいことだ。

 もちろん,デル・トロ監督のスケジュール調整が難しく,どうしても時間がかかってしまうとか,THQが株主や投資家にアピールしたかったなどの理由も考えられる。THQの株価チャートを見ると,2010年8月に最安値を記録して以降は順当に上昇を続けているのだが,このあたりでワンプッシュしておきたいと思った可能性もある。
 ちなみに,THQがショッピングシーズン向けに発売したWii向けのタブレット型デバイス,「uDraw」は非常に良く売れており,メディアの評価も高い。また,同社は2011年のラインナップとして「Homefront」や「Red Faction: Armageddon」など,コアゲーマー向けのタイトルを並べており,来年注目したいメーカーの1つでもある。

 話がそれたが,2013年に発売される予定のinSaneの対応機種は,PCのほかPlayStation 3とXbox 360となっており,さらに面白いことに「三部作」を想定して作られているという。つまり,6〜8年という長いスパンの作品として計画されているのだ。
 THQほどのメーカーになれば,Sony Computer EntertainmentやMicrosoftからある程度のレクチャーを受けていると思われることから,PlayStation 3もXbox 360も,少なくとも2013年の段階で現役のコンシューマ機として扱って良いと判断したと考えられる。
 さすがに,三部作最後の作品のプラットフォームがどうなるかは分からないが,ともあれ,2013年にはPlayStation 3が7年目,Xbox 360は8年目を迎えることになる。かつての「次世代機」は,かつてないほどの長寿ハードウェアになる可能性は高そうだ。

 コンシューマ機は,ハードウェアの「陳腐化」という代償と引き替えに,安定したプラットフォームをゲーム業界にもたらす。デベロッパは制作回数を重ねるごとに経験を積み,ハードウェアの性能を引き出しやすくなるし,パブリッシャは固定的なプラットフォームに立脚した長期的展望が立てやすくなる。2010年は,そうしたメリットが生きた,手の込んだコアゲーマー向けタイトルが花開いた年と言えるのではないだろうか。

 振り返ってみても,コアプレイヤー向けタイトルに強いメーカーが非常に頑張った1年だったような気がする。「Red Dead Redemption」のRockstar Gamesや,(PC向けタイトルになるが)「StarCraft II: Wings of Liberty」「World of Warcraft: Cataclysm」のBlizzard Entertainment,そして「Fallout: New Vegas」のBethesda Softworksなど,およそカジュアルなタイトルとは縁のないメーカーの作品がヒットを飛ばした一年であった。
 本連載の第287回,「増え続ける北米のゲーム開発費用」でも述べたように,Electronic Artsの「Battlefield Bad Company 2」や「Medal of Honor」,Ubisoft Entertainmentの「Assassin's Creed Brotherfood」,Microsoft Game Studiosの「Halo: Reach」,そしてActivisionの「Call of Duty: Black Ops」などのブロックバスター式のタイトルも,予想に違わぬ好調なセールスを記録している。

 Take-Two Interactiveは,これまで同社の看板ソフトである「Grand Theft Auto」シリーズが発売されない年は,必ずといってよいほど厳しい経営状況に陥っていたが,Red Dead Redemptionや「BioShock 2」,そして「NBA 2K11」の成功によって,2010年にはGTAの新作がなかったにもかかわらず,年間の業績予想を52%も上方修正する躍進を見せた。
 2011年には「Grand Theft Auto V」の制作発表が行われるというウワサもあり,さらに「BioShock: Infinite」 や「X-COM」といった期待作も出番を待っているので,今後数年は安定した経営が行えるだろうというのが,多くの業界アナリストの観測だ。
 ともあれ,2010年はゲーマーにとって嬉しい,大作や話題作で充実した一年だったと振り返ることができそうだ。

 

欧米のゲーム業界を激震させた,2010年の大ニュース

 さて,2010年の欧米ゲーム業界のトレンドを振り返ってみよう。今年は,欧米ゲーム業界の変化をよく現わす事件が立て続けに起こった。

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Zyngaの新作「Cityville」。「FarmVille」に「SimCity」をミックスしたようなゲームになっており,これまでのZynga製Facebookゲームの記録を新たに塗り替える大ヒットを記録した。アイデアでの新しさはないものの,著名なゲーム開発者を雇い入れるなど,ゲームとしてのクオリティの向上も怠っておらず,今後ますます既存の欧米ゲーム企業にとっての脅威になるかもしれない

 上から順に「モバイルゲーム」「クラウドコンピューティング」「ダウンロード販売」,そして「ソーシャルゲーム」という,現在の欧米ゲーム業界に吹く新風を代表する出来事だと言えるだろう。このうち,ZyngaやApple,そしてSteamの成功は間違いないところだが,OnLiveについては今のところ順調とはいえない。とはいえ,同じコンセプトを持つサービス,「Gaikai」が近々登場する予定なので,コンセプトが全面的に否定されたわけではないだろう。

 これらを見ると,欧米ゲーム産業における4つの動きに共通するキーワードは「手軽さ」であり,いつでもどこでもプレイできる利便性の高さが特徴だ。また,Steamの激安セールスを含めて,「安価」であることも重要であるようだ。

 それにしても,こういったゲーム業界における新たなトレンドを,3年前に誰が予想できただろうか。Steamを運営しているValveをのぞき,これらのトレンドを引っ張っているメーカーの多くが存在していなかったり,ゲーム業界とは無関係な場所からやってきていたりする。業界内部からではなく,外部からやってきた風であるのは間違いないが,改めて欧米ゲーム産業の変化の速さ,そして多様性を感じずにはいられない。

 現在,“ブロックバスター”スタイルのゲームには,広告費まで含めて100億円を超える予算と多数の人員が投入されることが多くなってきた。Rockstar GamesやBethesda Softworksのように成功すれば世界的な大ヒット作になるが,失敗すれば会社が傾いてしまいかねない。そういう開発手法を採れるメーカーは限られており,そのため大予算のブロックバスタータイトルと,コストや開発プロセスを徹底的にスリム化したローバジェットなソーシャル/モバイルゲームのようなゲームにヒットが集中することになる。今年は,そういう状況が極端に浮き彫りになった年でもあると思う。

 最後にごく個人的な話をすれば,筆者は間違いなく「旧来のゲームを好むゲーマー」であり,ソーシャル/モバイルゲームを仕事の合間に楽しむより,腰を据えて,Red Dead Redemptionで2頭のクーガーを同時に仕留めることに挑んだり,「Sid Meier’s Civilization V」の“Bollywood”のアチーブメントを高難度で獲得できるかに挑戦したりするほうが性に合っている。
 しかし,ゲームはもはや,筆者が昔から親しんできた「ゲーム」の概念を超えてさまざまな分野に拡大し,形を変えながら成長を続ける段階に入った。コンシューマー機用ゲームがPCゲームの売り上げを超えたように,ソーシャル/モバイルゲームが,旧来のゲームを超える日も近いのだろう。
 果たして,2011年は現在の流れが加速するのだろうか。それとも,またしても思いもよらぬ出来事が起きて,欧米ゲーム業界のトレンドが大幅に変わったりするのだろうか。

 

■■奥谷海人(ライター)■■
本誌海外特派員。サンフランシスコ在住の4Gamer海外特派員。ゲームジャーナリストとして長いキャリアを持ち,多様な視点から欧米ゲーム業界をウォッチし続けている。2004年に開始された本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,4Gamerで最も長く続く連載だ。
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