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Access Accepted第179回:Diablo IIIの開発に見えるもの
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印刷2008/07/04 12:00

業界動向

奥谷海人のAccess Accepted / 第179回:Diablo IIIの開発に見えるもの

奥谷海人のAccess Accepted

 Diablo III制作発表の衝撃が,ネットを駆け巡っている。ゲーマーの中には,DiabloがきっかけでPCゲームに触れた人も多く,その発表を多くの人が,待ち望んでいたのは間違いない。良い意味でも悪い意味でも「続編」である本作だが,新たなゲームエンジン,新たな開発チーム,そして新たな冒険が,我々を魅了してくれるだろう。

Diablo IIIの開発に見えるもの
ついに待望の「Diablo III」が発表された!

 6月28日,29日にフランスのパリで行われたBlizzard Entertainmentのファンイベント「Blizzard Worldwide Invitational」で,多くのゲームファンが待ち望む「Diablo III」がついに発表された。

 6月29日といえば,2000年には北米で「Diablo II」がリリースされた日であり,2001年は拡張パック「Diablo II: Lord of Destruction」も発売された日だ。Blizzardはこの日を特別なものとし,新作発表の照準を合わせていたのだろう。まあ,1日早かったが。

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公式サイトのオープニングページには,Diablo IIIのロゴと「AND THE HEAVENS SHALL TREMBLE」(そして天界が激震するだろう)と書かれている。いったい,どんな意味があるのだろうか

 Diablo IIIが発表される兆候は,ずいぶんと前からあった。「Diabloシリーズの開発元が,3D環境アーティストを求めています!」という求人広告が公式サイト内に掲載されたり,ファンサイトだったDiablo3.com(現Diablofans.com)のドメインネームを買収したりするなどの動きがあったのだ。

 同社関係者からは近々「Starcraft 2」以外の新発表があると公言されたこともあったし,Blizzard Worldwide Invitationalのポスターには,「Starcraft」のケリガン,「World of Warcraft: Wrath of the Lich King」のリッチキング,そしてどう見てもディアブロにしか見えないキャラクターが描かれていた。「これでDiablo IIIが発表されなければ,参加したファンは怒るだろう」と思われるほどの,ヒントがあちこちにあったのだ。

 Diabloが,どれほど衝撃を残した作品だったのかは,「ゲーム業界伝説の名士録 ファイルナンバー001」で書いたとおりだ。それまでのRPGにはなかったアクション性や,数多くのアイテムを集めるといった要素が世界中のファンに受け入れられ,ハック&スラッシュというアクションRPGのスタイルを確立したゲームだ。拡張パックを合わせると,シリーズ通算で約1700万本を販売しており,PCゲームとしては異例ともいえる人気作品だったのである。

 今は,ハック&スラッシュタイプのゲームが「Diabloタイプのゲーム」と紹介されることは少なくない。だが,「Diablo似のゲームと説明されてもピンとこない」といった声が聞かれるようになってきたのも事実だ。今の大学生ぐらいの年齢では,Diabloと聞いてもよく分からないというほうが普通かもしれない。

 しかし,前作「Diablo II」のリリースから8年が経っているとはいえ,いまだにDiabloシリーズをプレイしているゲーマーもいる。多くのゲーマーの心に,Diabloが焼き付いているのは,Diablo III発表の反響でも分かるだろう。

 

古くて新しいDiablo IIIを作るチームの存在

 公式サイトでは,すでにトレーラームービーなどが公開されており,ファンとしてはワクワクせずにはいられない。「Diablo II: Lord of Destruction」から20年後の世界が描かれ,Diabloファンには馴染み深いトリストラムを含める“サンクチュアリ”といわれる広大な大陸(もしくは惑星そのもの)が舞台となる。そして,DiabloをDiabloたらしめる,オンラインでの協力プレイにも重点が置かれるようだ。

 グラフィックスは3Dになり,Havok物理エンジンが採用され,さまざまなものが破壊できるようになった。公開されたムービーにも,ゾンビの一群が壁をなぎ倒して向かってくるシーンがあり,よりリアルな世界が表現されるようだ。

 また,自動的に体力を回復できるドロップアイテムがポーションの代わりとして登場したり,キャラクターのクラスごとに男性と女性が存在することが明らかになるなど,新しい部分も少なくはない。ただ,Diabloらしさはまったく失われておらず,インタフェースなどは「限りなくDiabloのまんま」といっていいだろう。

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この画像は,トレーラームービーをキャプチャーしたものだ。本作では,五つのクラスが登場するが,今回発表されたのはお馴染みBarbarianと,Witch Doctorの2種類のみ。画像のように,キャラクターの性別が固定されていないのは嬉しいところだ

 ファンにとって心配なのは,デイビッド・ブレヴィック(David Brevik)氏やエリック・シェーファー(Eric Schaefer)氏,そしてビル・ローパー(Bill Roper)氏など, Diabloシリーズに携わっていたBlizzard Northの面々が,2003年に退職していることではないだろうか。

 当時,親会社のVivendi Gamesを襲っていた騒動(関連記事)に嫌気がさした彼らが,辞表を叩きつけて経営陣に会社運営の透明性を求めたところ,その辞表があっさりと受理されてしまったのだ。彼らにとっては,誤算だったかもしれないが,そのDNAはFlagship Studiosの「Hellgate: London」へと受け継がれている。

 その後,Blizzardは,それまでBlizzard Southと呼ばれていた本拠に集約され,2004年になってWorld of Warcraftをリリースしたことで,Vivendi Gamesの経営を一気に好転させた。とはいえ,Diabloの新作を作ろうにも,頼れる昔の開発チームは残っておらず,潤沢な資金を背景に才能ある人材を集めてくることで,新たなDiablo IIIチームを作ったのである。

 リードデザイナーとして,チームを率いているのがジェイ・ウィルソン(Jay Wilson)氏で,彼はカナダのRelic Entertainment在籍中に,「Warhammer 40,000: Dawn of War」や「Company of Heroes」など,すこぶる評判のいいRTSを手掛けた人物である。また,Diabloの対抗馬といわれたRPG「Fallout」に携わったレオナルド・ボヤースキー(Reonard Boyarsky)氏も,デザインチームの一員としてゲーム世界の構築に携わっている。

 

100万本のヒットを宿命づけられたプレッシャー

 Diablo IIIはベーシックな部分(α版)は開発済みだと思われるが,これでStarcraft 2,World of Warcraft: Wrath of the Lich Kingと合わせると,3本のビッグタイトルが並行して開発されていることになる。本社だけで300人いるというBlizzardだが,これだけの開発を同時に進行させるのは,初めてのことだろう。

 またBlizzardは,「100万本売れないゲームは売り出さない」会社であることでも有名だ。例えば,1998年には,ロシアのデベロッパに委託したポイント&クリックタイプのアドベンチャーゲーム「Warcraft Adventures: Lord of the Clans」の開発を,あと数か月でリリースという段階で突然中止した。また,女性を主人公にしたスニーク型アクションアドベンチャー「Starcraft: Ghost」の開発を,無期延期にしたこともある。同社幹部には,まだStarcraft: Ghostを復活させるという意向もあるようだが,まずは本家Starcraft 2の開発に集中しているのだろう。

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Blizzard Entertainmentの舵取りを担う創業者であり現社長のマーク・モーヘイム氏。多くのDiablo開発者達が同社を去ったが,有能な人材を得て,新たな開発チームを結成させたのだ。ちなみに,技術&エンジニアリング部門で2008年にエミー賞を受賞した

 この数年,Blizzardは,Diablo,Warcraft,そしてStarcraftというヒットシリーズに頼っている傾向が強い。Diablo IIIの制作発表も,少し穿った見方をすれば,リスクの低い選択ともいえる。人気シリーズものに頼るのは,ゲームや映画を含めるエンターテイメントビジネスにおいては日常的なことだ。

 筆者は,Blizzardの社長 マイク・モーヘイム(Mike Morhaime)氏や(関連記事),副社長で総合プロデューサーでもあるロブ・パード(Rob Pardo)氏(関連記事)の講演を取材しており,Blizzardがいかに自社IPを大切にしているかは分かっているつもりだ。

 「100万本売れないゲームは作らない」という目標を自ら課してしまったところもあるが,1990年代中期にDiabloを開発していたCondor(後のBlizzard North)という無名メーカーを買収したように,PCゲーム産業を引っ張るメーカーとして,もう少し実験的かつ挑戦的な投資をしてもいいのではないかと思う。

 とはいえDiablo IIIの発表は,PCゲームファンにとって非常に嬉しいことなのは間違いない。本作がコンシューマ機に移植される可能性はあるが,それでも「PCゲーム業界を見渡すとWorld of WarcraftとSimsしかない」と揶揄される昨今において,Diablo IIIの登場は手放しで喜びたくなるほどだ。

 筆者も,Diablo III発表のニュースにドキドキし,久々にDiablo IIをインストールした一人である。ファンの一人として発売を楽しみにしつつ,情報収集を行っていきたい。

 

■■奥谷海人(ライター)■■
本誌海外特派員。サンフランシスコ在住の奥谷氏が,Diablo III以上に気になっているのが「I Survived a Japanese Game Show」というテレビ番組だという。これは,日本のバラエティ番組でお笑い芸人が挑戦するようなゲームに,アメリカの一般人が参加し,チームに貢献しなかった人物が選ばれて脱落していくという内容だ。もっとも奥谷氏にとっては「なぜか楽屋が障子に囲まれている」といった,アメリカ人の間違った日本観を探すのが面白いのだとか。アメリカでの生活が長いですが,日本観はズレていないようで安心しました。

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