レビュー
民間航空機の操作感を実現する入力デバイス
Pro Flight Yoke System
Pro Flight Throttle Quadrant
» フライトシミュレータ用の入力デバイスといえばジョイスティックが定番だが,今回UHAUHA氏が掘り下げるのはフライトヨークとスロットルレバーである。ニッチもニッチな製品だが,果たしてSaitekの新製品は,フライトシマーにとって,「ジョイスティックとは別に押さえておくべき」と断言できるアイテムなのだろうか?
フライトシミュレータ(以下,フライトシム)を楽しむための入力デバイスと聞けば,多くの人は真っ先にジョイスティックを思い浮かべるだろう。フライトシム好きの人には説明するまでもないが,ジョイスティックは戦闘機などで採用される操縦桿を再現したもので,機動性の高い機体を扱うのに向いたデバイスだ。スティックを前後左右に倒してピッチ(上昇/下降),ロール(横回転)を制御する仕様になっており,急下降や急旋回といった動作を行いやすい。
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Pro Flight Yoke Systemは,フライトヨークを再現する本体と,Saitekが「Quadrant」(クアドラント,四分円の意)と呼ぶ3連スロットルレバーのセット。さらに今回は,販売代理店であるゼネラルオートサービスから,単体で販売される3連スロットルレバー「Pro Flight Throttle Quadrant」も入手したので,この組み合わせが“フライトシマー”のフライト生活に何をもたらすかを考えてみたい。
Saitekらしくない(?)落ち着いたデザイン
しっかりした作りも好印象
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右グリップ背面にあるモード切替スイッチについて触れておくと,これは後述する「SSTプログラミングソフトウェア」(SST:Saitek Smart Technology,以下SST)から設定したコマンド割り当て設定を「Mode 1/2/3」と切り替えるためのもの。つまり,Pro Flight Yoke Systemでは,最大3種類のキーアサインを登録でき,それらはヨークを握ったまま切り替えられるというわけだ。「現在どのモードになっているのか」は,ハンドル部中央にあるLCDパネルの上段に表示されるため,困ることはまずないだろう。
ちなみに下段は通常時,Windowsの時計と同期する時計が表示されているが,LCDパネルの下に用意された[FUNCTION]ボタンを押すとストップウォッチに切り替わる。ストップウォッチ機能は[FUNCTION]ボタンと並んで用意された[START/STOP][RESET]ボタンで操作可能だ。現実に存在するフライトプランで航行したりするときの一助になるので,マニアにはなかなかありがたい機能といえる。
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![]() Saitekが「クアドラント」と呼ぶ3連スロットルレバー。単体版も購入すると,双発/多発航空機のエンジンコントロールが可能になる |
![]() 0位置以下の赤い目盛りはギミック。また,3連のロッカースイッチ風ボタンは,まさしくロッカースイッチ風で,実際にはデジタル6ボタンだ |
レバーのストロークは実機並みに十分に確保されており,適度なテンションで滑らかにスライドするため,細かなレバー操作もしやすい。0〜100のガイドがあるので,“刻み”があるのかと勘違いしてしまいそうだが,レバーはそれぞれにアナログ軸が割り当てられているのでご注意を。一方,0位置ではスライドが一旦停止するディセント機能付きで,0位置からマイナス方向(Reversers)にレバーを入れると,デジタル入力が一つ入力される。つまり,1個のデジタルボタンとして機能する。やはりガイド風の刻みがあるため,少々勘違いしてしまいやすいのでこちらも要注意だ。
レバー下部には(片側を倒すと固定される)ロッカースイッチのように見えるボタンが用意されているが,実のところは固定されることのない2ボタン。計6個のボタンとして,SSTから機能を割り当てられる。
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また単体版には,2台並べて“6連スロットルレバー”化したときの配慮か,黒×2,青×1,赤×1に,4本のレバーをワンハンドル化できるもの×1と,複数のレバーキャップが付属している。Pro Flight Throttle Quadrantを用意すれば,より実機に近い操作環境を実現できるわけで,この配慮は歓迎したい。
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固定方法はごくごく一般的
日本語版SSTは便利になったが,一部互換性に課題も
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スロットルレバーは固定具の“前”と“上”に取り付けられ,けっこう便利だが,前後左右どんな向きにも取り付けられるわけではない。
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![]() ゲームコントローラは,それぞれ別個に認識される |
![]() SSTのプロファイル管理ソフトも,認識されたゲームコントローラの数だけ常駐する。アイコンが見づらくて申し訳ないが,左から順にPro Flight Throttle Quadrant,Pro Flight Yoke System,Pro Flight Rudder Pedalsだ |
Pro Flight Yoke Systemのフライトヨーク本体と3連スロットルレバーは,一つの「ゲームコントローラ」としてWindowsから認識される。一方,Pro Flight Throttle Quadrantは単体で認識され,今回のテスト構成では,2台のデバイスがそれぞれ認識されるため,ドライバソフトウェアをインストールすると,常駐ソフトが二つ起動する格好になる(※いうまでもないが,Pro Flight Yoke Systemだけなら一つだ)。SSTのプロファイルをそれぞれ用意する必要があるのはまだ許せるとしても,プロファイルの自動切り替え機能がないため,あるフライトシムをPro Flight Yoke SystemとPro Flight Throttle Quadrantの2製品でプレイしようとすると,いちいち両方の常駐ソフトからプロファイルを切り替えねばならず,さすがに面倒である。
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また,最新バージョンはWindows Vistaをサポートするようになっているのだが,それに伴って(?)拡張子が「dat」から「pr0」へ変わるなど基本仕様にも変化があり,結果,旧バージョンのSSTで設定したプロファイルを読み出せなくなっている。プロファイルの設定作業はプレイヤーにとって大きな負担になるだけに,互換性が失われたのなら,せめてコンバータなどを用意すべきではなかっただろうか。
長時間のフライトでも疲れないのが最大の魅力
「栄光の翼」推奨デバイスとしては?
以上,外観と仕様について長々と述べてきたが,Pro Flight Yoke Systemは「FSX:栄光の翼」(以下,栄光の翼)の推奨デバイス認定を受けていることもあるので,ここからは栄光の翼を使って,使い勝手を検証していこう。
なお,先にお断りしておくと,筆者は(フライトシム専門店で触ったことはあるが)実際にフライトヨークデバイスを長い時間にわたって使うのは今回が初めてである。なので,他社製のヨークデバイスとの比較ではなく,既存のジョイスティックやスロットルとの比較が検証の主なテーマとなるので,この点はご了承いただきたい。
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とくに使い勝手のよさを感じられるのは,滑走路へのアプローチだ。フライトヨークを使うと,機体を微調整しながら滑走路を真正面に捉えたまま進入し,スロットルレバーを徐々に絞りながらゆっくり高度を落として,機首を上げて後輪からタッチダウンさせるという,教科書通りの着陸を比較的容易に行えるようになる。エンジンをコントロールするスロットルレバーも,固すぎず柔らかすぎずのテンションで扱いやすく,オーバースピード時に気持ちスロットルを絞って速度調整するという操作もしやすい。
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結論からいうと,前二者ならフライトヨークで操縦できないことはない。とはいえ,これは空中戦のない栄光の翼だからだろう。コンバットシムのように,敵機を追いかけるといった激しい動きには追従しづらい印象だ。また,ヘリコプターは,通常の操縦ならできなくはないものの,ホバリングなど,微妙な操作が要求される局面では思うような操作ができない。
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販売代理店であるゼネラルオートサービスの直販価格は,Pro Flight Yoke Systemが2万7090円,Pro Flight Throttle Quadrantが9240円(いずれも税込,2008年2月7日現在)。ゲームデバイスとしは明らかに高価だが,手軽に6スロットルを再現できるヨークシステムとして両製品を捉えるなら,(下手をするとスロットルレバーだけで2万円を超えたりする)他社製品と比べてコストパフォーマンスは決して低くない。また,従来のフライトヨーク製品と比べて,2008年2月時点での入手性が高いのも魅力で,民間航空機をメインにフライトシムを楽しんでいるなら,検討の価値が大いにある製品といえる。
- 関連タイトル:
Saitek
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